XR(クロスリアリティ)とは?特徴やVR・AR・MR・メタバースとの違いを徹底解説!

近年、さまざまなメタバースプラットフォームやVR・ARコンテンツがリリースされています。そんな中、XR(クロスリアリティ)と呼ばれる言葉を目にすることも増えました。

しかし、

  • そもそもXRが何かわからない
  • VRやAR、メタバースとの違いを知りたい
  • 活用事例や最新のデバイスを知りたい

などの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。結論からいうと、XRは現実世界と仮想空間を組み合わせる技術の総称。VRやARもXRの中に含まれます。

本記事ではXRの概念や注目される理由、ビジネス活用事例を紹介します。

最新のXRデバイスも紹介するので、気になる方はぜひ参考にしてください。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

XRとは?概念や注目される理由を解説

XR

XR(クロスリアリティ)について、概念や注目される理由について解説します。

  • XR=VR・AR・MR技術の総称
  • FacebookがMeta社へ社名変更したことで注目
  • コロナ禍による需要の高まり
  • ​​関連技術の進歩

XR=VR・AR・MR技術の総称

XRは、現実世界と仮想現実を組み合わせて新しい体験を創造する技術の総称です。主に以下の表にある技術がXRに含まれます。

名称概要
VR(Virtual Reality:仮想現実)デジタル上に作り出された仮想空間を現実であるかのように疑似体験できる技術
AR(Augmented Reality:拡張現実)現実世界にデジタル情報を付加する技術
MR(Mixed Reality:複合現実)ARよりも精密に現実世界とデジタル情報を組み合わせる仕組み

表記が似ていることから、XRをVRのような技術のひとつだと誤解されることもあります。あくまでこれらの技術の総称のため、表記する際などに注意しましょう。

XRとメタバースの違い

メタバースとは、仮想空間でアバターを使って主に他者との交流を図るプラットフォームです。

主にメタバースが仮想空間上に構築された社会的・経済的環境であるのに対して、XRは現実世界での体験を拡張・向上させるために使用される技術です。

ただし、VRデバイスを活用するプラットフォームも存在するため、XR技術はメタバースにとって重要な役割を果たしており、密接な関係にあります。

FacebookがMeta社へ社名変更したことで注目

XRが大きく注目される要因となったひとつの理由に、2021年にFacebookがMetaに社名変更をしたことが挙げられます。

Metaはメタバースを意味しており、仮想空間でのユーザーの新しい交流体験の創出を目的に改名されました。

MetaはVR機器を使ったメタバースの開発を進めたため、XRが注目されることとなったのです。

Metaが目指すメタバースについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

コロナ禍による需要の高まり

2019年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響により、XR技術の需要が高まったことも注目される理由のひとつです。

非対面・非接触の社会的ニーズが高まったため、企業ではリモートワークが、教育分野ではオンライン学習が普及することに。

より臨場感のあるコミュニケーションによる生産性の向上や、没入感のある学習体験を提供するため、VR機器を活用するなどXR技術の活用が進みました

医療分野やエンターテインメント産業でもXR技術の活用が進んでいます。

関連技術の進歩

XR技術に関連する以下のような技術の進歩も注目される要因のひとつです。

技術概要
ディスプレイ技術高解像度・高リフレッシュレートのディスプレイ技術が進歩し、より鮮明で滑らかな映像表示が低コストで実現可能になった
画像処理技術画像の認識・分類などの処理が高速かつ正確に実現できるようになった
3Dモデリング技術3DCGソフトウェアの進歩により、高品質な3Dモデルを効率的に制作できるようになった
ネットワーク技術5Gなどの高速・低遅延のネットワーク技術の普及により、大容量のデータをスムーズに送受信できるようになった

これら関連技術の進歩により、今まで実現できなかった体験を低コストで実現できるようになったため、XR業界に参入する企業も増加しています。

XRのビジネス活用事例5選

XRのイメージ

ここでは実際にXRをビジネス活用する企業と事例を分野ごとに紹介します。

  1. 【教育】NTT|バーチャル空間上に制作した教室での授業
  2. 【エンタメ】STYLY|体験型XRゲームを開発
  3. 【EC】Shopify|ARショッピング機能を実装
  4. 【医療】メディカロイド|手術支援ロボの実用化
  5. 【アート】ABAL|XRアートシアター

1.【教育】NTT|バーチャル空間上に制作した教室での授業

バーチャル空間
出典:NTT

教育分野では、NTTがXR技術を活用しています。長岡工業高校専門学校では、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面の授業が困難となっていました。

そこで、NTTが提供するメタバースプラットフォームDOORにバーチャルキャンパスを制作し、オンライン授業を実施しました。

国際総合学園人型コンピュータ専門学校では、同プラットフォームを活用してオープンキャンパスなどのイベントも開催されています。

教育分野でのXR技術の活用が進めば、遠方に住む生徒や不登校の生徒が自宅から気軽に授業を受けられる環境が整えられるでしょう。

2.【エンタメ】STYLY|都市型XRゲームを開発

SCARZ Real Metaverse with Identity V powered by STYLY
出典:STYLY

メタバース制作・配信プラットフォームSTYLYでは、体験型XRゲームのエンターテイメントサービスを提供しています。

2023年4月にGINZA SIXにて、プロeスポーツチーム「SCARZ」と、人気ゲーム「Identity V 第五人格」がコラボした体験型XRゲーム「SCARZ Real Metaverse with Identity V powered by STYLY」が開催されました。

Identity V 第五人格とは?

4対1形式でプレイする鬼ごっこ風対戦ゲーム。1人の追跡者「ハンター」と、4人の逃亡者「サバイバー」に分かれてプレイする。

参加者が専用のゴーグルを着用することで、現実世界にゲームのキャラクターが映し出され、臨場感あふれるゲーム体験ができます。

XR技術をエンターテイメント分野に活かすことで、これまでにない新しい体験を生み出せるでしょう。

3.【EC】Shopify|ARショッピング機能を実装

shopify AR
出典:Shopify

ECプラットフォームShopifyでは、購入者向けにARショッピング機能を提供しています。スマホカメラを通して現実世界を写すことで、商品の3Dモデルが実寸サイズで映し出されます。

サイズを計ったり、すべての角度から商品を確認できたりすることで、オンラインショップでありながら実際の店舗に足を運んでいるような体験が可能です。

4.【医療】メディカロイド|手術支援ロボの実用化

hinotori
出典:メディカロイド

2020年、川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドは、XR技術を活用した国内初の手術支援ロボットhinotoriを実用化しました。

AI技術を使って患部を3Dスキャンし、医師が3D画像を見ながらロボットを遠隔操作することが可能です。2020年12月には前立腺がん手術の1例目が成功しました。

遠隔手術が将来的に普及すれば、地方の外科領域における人手不足が改善されるでしょう。

5.【アート】ABAL|XRアートシアター

死神のアート
出典:ABAL

XRプラットフォームを提供するABALは、2023年3月にバーチャル展示空間「XRシアター」を公開

古典落語の代表作である『死神』を題材にし、浮世絵や屏風絵をモチーフとした広大で複数の仮想空間が制作されました。

仮想空間内に複数の階層を構築することで、現実世界よりも広大な展示空間を実現しています。

文化施設内の一角など、広さに限りのある空間を拡張することで、演劇・音楽・展示などさまざまな表現を可能としました。

進化を続ける最新XRデバイス3選を紹介

VRゴーグル

関連技術の進歩により、XRデバイスも進化を続けています。ここでは、注目の最新XRデバイスを3つ紹介します。

  1. Xreal air2|眼鏡型ARデバイス
  2. Apple Vision Pro|Apple社が提供するXRデバイス
  3. MeganeX|パナソニック社が開発するVRデバイス

1.Xreal air2|眼鏡型ARデバイス

眼鏡型ARデバイス
出典:Xreal

Xrealが提供するair2は、レンズを通して巨大な仮想ディスプレイを映し出せる眼鏡型ARデバイスです。

最大330インチの仮想ディスプレイを映し出せるため、自宅にいながら映画館さながらの迫力で映画などの動画コンテンツを楽しめます

仮想ディスプレイは複数表示させられるため、PC作業の業務効率化にも役立つでしょう。

2.Apple Vision Pro|Appleが提供するXRデバイス

Apple Vison Pro
出典:Apple

2024年2月に発売されたApple Vison Proは、Apple社が提供するXRデバイスです。仮想ディスプレイを映し出せるAR機能だけでなく、内蔵カメラを使った3D画像・動画撮影が可能な点が特徴。

空間をそのまま切り取ったかのような写真や動画を撮影できます。以下の動画で3Dカメラの性能をチェックしてみてください。

2024年4月時点ではまだ日本では購入できず、アメリカでのみ購入できます。日本での発売は2024年内を予定しています。

3.MeganeX|パナソニックが開発するVRデバイス

VRデバイスを付ける男性
出典:Shiftall

パナソニックの子会社Shiftallが開発するMeganeXは、有機ELパネルによる高解像度の映像と、バッテリーを搭載しないことで実現した超軽量設計が特徴的なVRデバイスです。

これまでのVRデバイスは重量が大きく、長時間の使用には疲労が伴います

Meta社が販売する軽量タイプのMeta Quest 3でも515gありますが、MeganeXは約250gという軽量化に成功しました。

年間2,000時間以上をメタバースで過ごすといわれるヘビーユーザーに、快適なプレイ環境を提供します。

XRに関するQ&A

FAQ

XRに関するよくある質問と回答を紹介します。

疑問をお持ちの方は参考にしてください。

  • XRには将来性がありますか?
  • XRを制作できる企業はありますか?
  • XRデバイスの価格はいくらですか?
  • スマホでもXRを体験できますか?

XRには将来性がありますか?

XRは新しい技術であるため、将来性が期待できると言えるでしょう。

総務省によれば、XR技術が密接に関係するメタバース市場は、2021年の4兆2,640億円から2030年までに78兆8,705億円まで成長すると予想されています。

情報通信分野の現状と課題
出典:情報通信分野の現状と課題

メタバース市場が成長すれば、XR技術の需要も高まるため、関連する企業などの成長が期待できるでしょう。

XRを制作できる企業はありますか?

日本国内では、主に以下の企業がXR開発を行っています

  • 株式会社ABAL
  • 株式会社MuuMu
  • 株式会社GURI Art

自社でXRコンテンツを制作しようと考えている方は、公式サイトから問い合わせしてみると良いでしょう。

XRデバイスの価格はいくらですか?

XRデバイスの価格は台上さまざまです。ゲームなどをプレイするためのVRゴーグルであれば、以下のような価格に分類されます。

  • スマホタイプゴーグル:5,000円から10,000円
  • スタンドアローンタイプゴーグル:15,000円〜50,000円
  • 据え置き型:30,000円〜70,000円

価格が高くなるほど画質や没入感が向上し、表情の動きをアバターに反映できるトラッキング機能などが付属します。

用途に応じて購入するXRデバイスを検討すると良いでしょう。

以下の記事でそれぞれの価格帯の違いを詳しく解説しているので、参考にしてください。

スマホでもXRを体験できますか?

スマホでもXR体験は可能です。スマホを装着するタイプのVRゴーグルも販売されており、それを使ってVRコンテンツを再生すれば、没入感のあるXR体験ができます。

スマホを装着するVRゴーグルがなくても、簡易的にXR体験をすることも可能です。以下のYouTube動画では、スマホの位置を動かすと画面が動く仕組みです。

手軽にXR体験ができるコンテンツのため、気になる方はぜひチェックしてみてください。

まとめ

この記事では、XRについて詳しく解説しました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • XRは現実世界と仮想現実を組み合わせる技術の総称
  • VR・AR・MRはXRに含まれる
  • コロナ禍による需要の高まりや関連技術の進歩により注目が集まる
  • メタバースはプラットフォームでXRは技術の総称という違いがある
  • メタバース市場の成長が予想されているためXR技術の将来性も期待できる
  • 教育やエンタメ、ECや医療、アート分野でXRは活用されている

XR技術はすでにさまざまな分野で活用されており、企業における生産性の向上や新しい価値の創出に役立てられています。

今ではスマホから気軽にXR体験が可能なため、気になる方はYouTubeなどの動画配信サービスでチェックしてみると良いでしょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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