NVIDIA(エヌビディア)の強みとは?GPUでAIの発展に貢献|特徴とサービスを紹介

半導体を製造している様子

アメリカの株式市場を牽引するNVIDIAは、大手半導体メーカーです。名前を聞くことがあっても、NVIDIAがどのような会社かを把握している方は少ないはず。

そこで、

  • NVIDIAって何をしている会社?
  • 半導体は何に使われているの?
  • これからも成長する企業なの?

このように思っている方も多いのではないでしょうか?

結論から言うと、NVIDIAは市場シェアの大半を占める半導体メーカー。AIの発達には欠かせない製品を扱っています。

今回は、NVIDIAの特長やサービスについて詳しく解説。本記事を読めば、NVIDIAが売上を伸ばしている理由の一端が理解できるでしょう。

今後、私たちの仕事や生活の質に大きくかかわってくる可能性が高いので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

NVIDIA(エヌビディア)とは?4つの特徴を紹介

半導体を製造しているイメージ

NVIDIAは米国の大手半導体メーカーとして高い評価を得ています。その特徴を次の4つにまとめました。

  1. アメリカを代表する半導体メーカー
  2. GPU(映像処理装置)の設計に特化
  3. 時価総額は約1.13兆ドル|米国市場ランキング4位を誇る
  4. ChatGPTに使用されるGPU「H100」の売上が好調

なぜNVIDIAが、これほどまで注目されているか理由が分かるはずです。

1.アメリカを代表する半導体メーカー

NVIDIAは、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置く大手半導体メーカー。

パソコン向けのチップセットやグラフィックチップなどを開発・製造。特に3D映像などの処理に特化した GPU(Graphic Processing Unit)開発を得意としています。

GPU は、大量のデータを高速で処理できるため、昨今におけるAIの急速な発展に貢献しています。

現在NVIDIAのGPUは、人工知能のアルゴリズムの訓練に関連する市場のほぼ100%を支配することに。そのおかげで株価は過去5年間で15倍に成長中です。

過去最高売上を何度も更新しており、2020年の年間売上109.2億ドルに対し、2021年166.8億ドル、2023年においては269.74億ドルと3年間で売上を急増させています。

人工知能学習は今後も需要が高まるとされており、NVIDAが開発するGPUの需要も高まるでしょう。

2.GPU(映像処理装置)の設計に特化

GPUとは、Graphics Processing Unitの略称で、画像処理に特化した演算装置です。3Dグラフィックスなどのリアルタイム表示に必要な計算処理が得意で、ゲームやVR・ARの分野で重要な役割を果たしています。

ゲームに使用されているGPUのシェアは、NVIDIAが7割を超えており、2022年のPC向けディスクリートGPUシェアでも73%と市場を独占しています。

ディスクリートGPUとは?

PC部品のグラフィックカードに搭載されるGPU。

GPUは、画像処理以外にも機械学習やビッグデータ分析などの分野にも活用されており、同じような計算を高速で繰り返すことに長けています

このようなGPUの特性は、高速での並列処理が必要なディープラーニングに向いているため、AIの開発にも用いられています。

3.時価総額は約1.13兆ドル|米国市場ランキング4位を誇る

2023年9月時点の時価総額は1.13兆ドル、米国株式市場ではアップル・マイクロソフト・Amazonに次いで4位となっています。

こちらは2023年9月時点の時価総額ランキングです。

スクロールできます
順位企業名時価総額(兆ドル)
1アップル2,786
2マイクロソフト2,484
3アマゾン・ドット・コム1,426
4エヌビディア1,125
5アルファベット809
参照:日経新聞

※アルファベットは、Googleを経営する企業です。

NVIDIAの株価は5年で15倍に成長

アメリカ市場を牽引しているのは上位数社と言われていますが、NVIDIAもそのうちのひとつです。

株価は、この5年間で約30ドル付近から一時500ドルまで急上昇。2023年9月11日時点の株価が455ドルのため、約15倍にまで上昇しています。

NVIDIAの5年株価推移
日本経済新聞:エヌビディア5年チャート

ナスダックやSP500も上昇していますが、数倍の上昇にとどまっています。

NVIDIAのような企業のおかげで市場全体が底上げされているといえるでしょう。

4.ChatGPTに使用されるGPU「H100」の売上が好調

2023年は、ChatGPTに代表される生成AIが話題になりました。ChatGPTは、自然な文章を生成するAIで、NVIDIA製のGPUを多く利用しています。

ChatGPTの人気や機能向上にともない、OpenAIやTwitterなどが大量に購入しているという噂も。

特にA100やH100などの対応製品の売り上げが好調です。売上高、純利益ともにアナリスト予想を大幅に上回り、データセンター部門で140%増、ゲーミング部門で22%増と急拡大しています。

H100とは?

H100とは、大規模言語モデル・レコメンダー・コンピュータビジョン・医用画像・音声認識などにおいて、最高のベンチマークを達成したチップ。

NVIDIAが提供するサービス3選を紹介

半導体回路

NVIDIAは、GPU以外にもさまざまなツールやプラットフォームを提供しています。代表的なのが次の3つです。

  1. NVIDIA Studio|クリエイター支援プラットフォーム
  2. NVIDIA Omniverse|メタバース構築ツール
  3. NVIDIA Canvas|お絵描きAIツール

順にみていきましょう。

NDIVIAサービスを使用するには対応するGPUが必要

魅力的なサービスばかりですが、NVIDIAのサービスを利用するためには対応するGPUが不可欠。利用には、NVIDIA RTX GPUを搭載したWindows 10以上のスペックが必要などの条件があります。

主なNVIDIA RTX GPUを搭載したPCは、NDIVIA公式ページから購入できるので、気になる方はチェックしてみてください。

1.NVIDIA Studio|クリエイター支援プラットフォーム

NVIDIA Studio(エヌビディアスタジオ)とは、クリエイター支援を目的としたNVIDIA製のGPUを活用したプラットフォームです。

一般的に、イラスト制作や動画編集の際に利用するソフトウェアは、PC全体を処理するCPUを使って動作します。

しかし、NVIDIA Studioを使えば処理能力の高いGPUを利用するため、ソフトウェアをよりスムーズに利用できるようになるのです。

例えば、3DモデリングツールBlenderをNDIVIA Studioに統合すれば、MacPCやIntelGPUと比較して、最大10.3倍早くレンダリングが可能です。

出典:NDIVIA

NVIDIA StudioではBlender以外にも、以下のような人気のソフトウェアを連携可能。

  • Illustrator|イラスト制作ツール
  • Photoshop|写真加工・編集ツール
  • Premiere Pro|動画編集ツール
  • OctaneRender|レンダリングツール

デジタルコンテンツ制作に欠かせないツールばかりです。

OctaneRenderはNFTアーティストBeeple(ビープル)も利用している

NVIDIA Studioと連携できるOctaneRenderは、NFTアーティストBeeple(ビープル)も使用しており、デジタルアート作成に寄与しています。

画像引用:CHRISTIE’S

2023年3月には、Beepleの作品が75億円で落札されたというニュースも。現存アーティストのオークション落札額で3位、NFTアートとしては歴代1位という記録を樹立しました。

参照:AFPBBNews|デジタルアート、75億円で落札 NFTで史上最高額

2.NVIDIA Omniverse|メタバース構築ツール

NVIDIA Omniverse(エヌビディアオムニバース)は、メタバースやデジタルツインを実現できるプラットフォームです。

デジタルツインとは?

現実世界で収集したデータを仮想現実に再現する技術。

クリエイター・デザイナー・プランナーが、オンライン上でリアルタイム作業できるのが特徴。

以下の動画ではNVIDIA Omniverseを使って、3Dモデリングやアニメーションを制作している様子が視聴できます。

NVIDIA Omniverse とは?(日本語字幕付き)

グラフィックス、AI、シミュレーションなどの大規模演算を、単一のプラットフォームで行えるため、3Dの制作のパフォーマンスが向上。

設計・開発・展開・管理をクラウド上で完結することで、数百万人のクリエイターのメタバース開発に寄与しています。

NVIDIA Omniverseは2人までの共同作業であれば無料で利用できるため、個人でメタバース制作をしたい方は気軽に導入可能です。

3人以上で共同制作する際は、1人年間5,000ドル(約75万円)のNVIDIA Omniverse Enterpriseに加入する必要があります。

メタバース開発に必須の3DCG制作ツールを連携可能。

NVIDIA Omniverseは、メタバース開発に必要な3DCG制作ツールとの連携も可能。連携できるモデリングツールには次のようなものがあります。

  • 3ds MAX|幅広いジャンルの3DCG制作が可能
  • Maya|エンタメ作品の3DCG制作に特化
  • Blender|無料で利用できるオープンソースの3DCG制作ツール

メタバース開発については、こちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてください。

3.NVIDIA Canvas|お絵描きAIツール

NVIDIA Canvas(エヌビディアキャンバス)は、AIを使って線や丸を書くだけでリアルな風景画を作れるアプリケーションソフトです。

  • 素材パレット:草や雲などから選ぶ
  • スタイル:画像の雰囲気や見た目を選ぶ
  • レイヤー:レイヤーごとにスタイルやマテリアルを変えられる

大雑把に場所を指示するだけで、実写のような風景画が瞬時に描けます。NVIDIA Canvasを使えば、3DCG制作のパフォーマンスは大幅に向上するでしょう。

NDIVIAの将来性が期待できる3ポイント

半導体が大量に製造されているイメージ

メタバース・AI・ゲームなど、これから発展する分野に深くかかわるNVIDIA。

その将来性について期待できるポイントを3つ紹介します。

  1. 落ち込んでいた半導体需要の回復
  2. NDIVIAのGPUはAI開発にも活用
  3. メタバース市場の拡大によりGPU需要が増加

順にみていきましょう。

1.落ち込んでいた半導体需要の回復

2020年秋ごろ、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響で、半導体を使用する製品の生産や消費が減少しました。

しかし、2021年から2022年にかけて半導体の在庫調整が進み、さらに2023年半ばからは、本格回復の兆しが見えています。

世界の主要国・地域別半導体売上高(月別)と前月比伸び率推移
画像引用:JETRO

米Gartnerによれば、「2027年にはAI向け半導体の売上高は2023年の市場規模の2倍以上となる1194億ドル(約17兆3100億円)に達する」とのこと。

AIに必要なGPUを製造しているNVIDIAの成長が期待できそうです。

参照:日経XTECH

2.NDIVIAのGPUはAI開発にも活用

ChatGPTの登場によりAI市場が活発化しています。AIのディープラーニングに使用されるスーパーコンピューターのGPUは、NDIVIAが一番得意とする分野です。そのため2023年以降、GPUの需要が増加し続けています

2022年から2026年のAI需要の推移
画像引用:TrendForce

例えば2023年にAIが注目された一因であるChatGPTには、商用化のために非常に多くのGPUが必要です。

ChatGPTをはじめとするAIの需要が高まるとともに、市場シェア約70%のNVIDIA製GPUの需要も高まるでしょう。(参照:TrendForce

またNVIDIAは、自社製品でもAIを活用した次のようなソフトウエアを開発しています。

  • NVIDIA AI|データ分析ソフトウエア
  • NVIDIA DGX Systems|企業向けデータサイエンスAI
  • NVIDIA Broadcast|Web周りの危機をAIがアップグレード

このような状況から、2023年のAIサーバーの出荷台数は、年間50%以上の伸び率で成長すると予測されています。

ディープラーニングにはGPUが不可欠

AIのディープラーニングに不可欠なGPUには次のような特徴があります。

  • 同時に多くの処理ができる並列計算が得意
  • CPUよりも浮動小数点演算が得意
  • 高いメモリ帯域幅で大量のデータを読み書きできる

ディープラーニングでは、大量のデータをAIに学習させる膨大な単純作業が必要です。CPUに比べ、単純作業の繰り返しが得意なGPUの方がディープラーニングに向いています

3.メタバース市場の拡大によりGPU需要が増加

AIの発達と同時にメタバース市場の拡大も予測されます。メタバース開発とGPUには次のような関係が挙げられます。

  • グラフィック処理:3DCGのリアルタイムグラフィック処理に必要
  • AI活用:仮想空間の生成や管理に有効
  • プラットフォーム:開発や運用に必要

メタバース市場の規模拡大については、こちらの記事で詳しく解説しています。

NVIDIAに関するQ&A

NVIDIAに関する、よくある質問を集めました。

  • NVIDIAって何がすごいの?
  • GPUとCPUの違いは?
  • NVIDIAのライバル企業は?

順にみていきましょう。

NVIDIAって何がすごいの?

アメリカの半導体メーカーとして急成長するNVIDIA。その中心的な存在として脚光を浴びています。時価総額は、2023年9月の時点で13兆ドル。GPU市場の8割がNVIDIA製といわれています。

ゲーム以外にも自動車向けの半導体でも高いシェアを誇っており、トヨタや日産、メルセデスベンツ・テスラ・ボルボ・フォルクスワーゲン・ヒュンダイなどの有名メーカーと提携中です。

GPUとCPUの違いは?

どちらも処理装置ですが、目的と処理の対象・スピードに違いがあります。

CPU:汎用的な処理

GPU:高速画像処理

幅広い処理が得意なCPUはコンピューターの頭脳的な役割を果たします。それに対し、GPUは並列処理による圧倒的な処理スピードを誇ります。

単純計算に特化しており、行列演算の処理スピードはCPUの約10倍。スーパーコンピューターにもGPUが搭載され、AIによる処理を支えています

NVIDIAのライバル企業は?

米国におけるNVIDIAのライバル企業はAMDと言われています。GPUやCPU市場で競合しており、2022年はAMDの通年売上高が236億ドルだったのにに対し、NVIDIAは売上高269億ドルでした。

企業名売上高(ドル)前年比
NVIDIA269億+61%
AMD236億+44%

ほかにもAIチップ市場ではインテル、クラウドサービス市場ではGoogleと競合しています。

まとめ

この記事では、NVIDIAについて解説しました。

最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう

  • NVIDIAはアメリカを代表する半導体メーカー
  • GPU(映像処理装置)の設計に特化
  • 時価総額は約1.2兆ドルで米国市場ランキング4位を誇る
  • ChatGPTに使用されるGPU「H100」の売上が好調
  • NDIVIAのGPUはAI開発にも活用
  • メタバース市場の拡大によりGPU需要が増加傾向
  • クリエイター支援プラットフォームやツールを提供

2022年は売上高が前年比61%も伸びたNVIDIA。メタバースやAI開発に必要な高速処理にはNVIDIA製のGPUが欠かせないため、今後の成長も期待できそうです。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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