テクノロジーの発展により、市場拡大が進むメタバース。
本記事では実際の市場規模はどの程度なのか、日本や世界のメタバース市場はどう発展するのか、情報をまとめました。
同時に、法整備や資金の支援などをはじめとした日本政府の取り組みや、業界をけん引するMeta社などの見解もご紹介。
メタバース市場の現在と未来の規模を知り、課題を知った上でビジネスチャンスを掴みましょう。
ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
メタバースの市場規模は拡大の予想!2030年は78兆円弱まで成長
メタバースの市場規模について、現在から2030年までの予想をご紹介します。
- そもそもメタバースとは?
- メタバースの日本国内の市場規模は2022年時点で1,825億円
- 2030年までにメタバースの市場規模は79兆円弱まで拡大予想
- 経済産業省が取り組むメタバース市場拡大の課題と支援
- Web3.0とメタバース市場加熱に対するデジタル庁の取り組み
ひとつずつ確認していきましょう。
そもそもメタバースとは?
メタバースとは、インターネット上の仮想空間を指す言葉です。
ユーザーはアバターと呼ばれる自身の分身となるキャラクターを使い、仮想空間で活動します。
メタバースの代表例には、ソーシャルVRアプリの「VRChat」や、オンラインゲーム「Fortnite」のイベントスペースなどが挙げられます。
メタバースの日本国内の市場規模は2022年時点で1,825億円
株式会社矢野経済研究所の調査では、日本国内のメタバース市場規模は2021年に744億円、2022年は1,825億円になる見込みと予想されていました。
メタバースのプラットフォームは、企業向け(BtoB)や企業から消費者向け(BtoC)のモデルに分かれますが、現在は企業向けが主流。
消費者向けでは、まだ収益化していないプラットフォーム運営事業者が多いとされています。
プラットフォーム運営事業者は、サービス・コンテンツ提供事業者に対して仮想空間を提供し、利用料や開発費用、コンテンツ販売時の手数料などで収益を上げています。
2030年までにメタバースの市場規模は79兆円弱まで拡大予想
総務省によれば、2030年までに世界のメタバースの市場規模は78兆8,705億円まで拡大するとのこと。
2021年の4兆2,640億円から、約75兆円もの成長が期待されています。
技術の進展とサービス開発によって、メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されている。
引用元:情報通信分野の現状と課題(総務省)
ブロックチェーン技術と組み合わせ、より安全で信頼性の高いデジタル経済圏が構築されるでしょう。
またNFT(非代替性トークン)はWeb 3.0時代のデジタル経済圏の成長を加速させる起爆剤となります。
新たな技術の融合によって、メタバース市場のさらなる急成長が見込まれ、私たちの生活やビジネスに革新的な変化をもたらすことでしょう。興味深い市場です。
6Gの登場でメタバースは変わる
通信技術の発展も、メタバースの市場に大きな影響を与えると考えられています。
2020年に5Gが実現し、現在日本では浸透している最中ですが、世界ではすでに6G技術の開発も進んでいることをご存じでしょうか?
以下は、6Gの実現と共に起こるであろうメタバース業界の変化予想です。
技術 | 変化 |
---|---|
高速・低遅延通信 | よりリアルタイムなインタラクションを実現 |
大容量データ転送 | 高品質なビジュアル体験が可能に |
広範なIoTデバイスとの連携 | 現実と仮想の境界が曖昧に |
AIとの統合 | パーソナライズされた体験と効率的なシステム構築でさらなる没入感を実現 |
ARとVRの融合 | 現実世界とメタバースがシームレスにつながる体験が可能に |
つまり6Gが実現した場合、メタバースはより現実世界に近づいていくはずです。さらにリアルな世界観を、快適に体感できるようになるでしょう。
経済産業省が取り組むメタバース市場拡大の課題と支援
メタバースの市場が拡大すれば、法的な整備や公的機関の援助なども必要になります。
経済産業省はいち早く議論を始めており、仮想空間ビジネス拡大には4つ課題があるとしました。
- 政治的要因:Political
- 経済的要因:Economical
- 社会的要因:Social
- 技術的要因:Technological
例えば、VR機器の一般的な普及や技術の開発環境の普及をどう後押しするか。
普及のきっかけとなるキラーコンテンツ作成者をどのように育成するか、といった課題に焦点が当てられています。
具体的には、次の8つの支援が進められています。
行政に求められる支援 | 進められている支援 |
---|---|
産業に対する支援 | ハードの普及支援 |
コンテンツ制作への支援 | |
人材育成支援 | |
事業者への直接的な支援 | 資金面の支援 |
活用機会の創出 | |
ルールメイク | ガイドラインの整備 |
ルールメイク戦略 | |
標準化 |
メタバース市場に参入する際は、こうした支援を受けられるかどうかも重要となるでしょう。
Web3.0とメタバース市場加熱に対するデジタル庁の取り組み
メタバース市場と行政との関わりについて、デジタル庁の取り組みもチェックしておきましょう。
同庁は以前より、Web3.0やNFTの技術に対しての法整備を進めています。
2022年10月に公表された事務局説明資料では、2023年の通常国会でメタバース関連の法案の提出を図ると公表されました。
(多極化された仮想空間へ)
ブロックチェーン技術を基盤とするNFT68やDAO69の利用等のWeb3.070の推進に向けた環境整備の検討を進める。さらに、メタバース71も含めたコンテンツの利用拡大に向け、2023年通常国会での関連法案の提出を図る。
引用元:事務局説明資料 デジタル庁(太字装飾は編集部による)
メタバースとWeb3.0は非常に関連が深いため、それぞれの法律の影響を受ける可能性があります。
現在のところ、メタバースに対するデジタル庁の姿勢は、あくまでWeb3.0の推進のための環境整備のひとつという扱い。
しかし、2つの業界は今後も繋がりを増していくはずです。法整備がどのような形で進められるのか注目しておきましょう。
メタバースの市場規模拡大で生まれるビジネスチャンス
拡大していくメタバース市場には、ビジネスチャンスも数多く存在しています。
ここでは、関連するトピックを6つご紹介します。
- メタバース市場に対して大規模なアプローチをする日本企業
- 収益化の4つのパターン
- ビジネスチャンスを掴むMeta社の教え
- メタバースを牽引するリーダーの理論
- 投資対象として見るメタバースと仮想通貨
- NFTでメタバースの市場規模は拡大
それぞれ、チェックしていきましょう。
メタバース市場に対して大規模なアプローチをする日本企業
拡大するメタバース市場に向けて、日本の企業も大規模なアプローチを始めています。
なかでも注目しておきたいのが、次の4社です。
- クラスター:メタバースプラットフォーム「cluster」開発・提供
- バンダイナムコ:「IPメタバース」開発を重点戦略として400億円投資
- ソニー:PlayStation VR展開、スポーツ観戦・音楽技術でメタバース関連開発
- スクウェア・エニックス:既存のゲームとNFTを掛け合わせたメタバース開発
日本最大級のメタバースプラットフォームを提供するclusterを初め、数十年の歴史を持つゲームメーカーが名乗りをあげています。
彼らの活躍により、日本からキラーコンテンツが生まれるかもしれません。
日本で最大のメタバースプラットフォームは、クラスター株式会社が開発・提供するcluster(クラスター)です。
ユーザーはアバターを作成し、他の参加者とコミュニケーションしたり、イベントを共有したりできます。
PCやスマートフォン、VRデバイスに対応しており、多くのユーザーが気軽に利用できるのも魅力です。
クラスター株式会社は、日本のメタバース市場で注目されるスタートアップ企業のひとつです。
メタバース業界で注目を集める日本企業については、こちらの記事もご覧ください。
収益化の4つのパターン
メタバースで収益をあげるビジネスモデルは、大きく分けて4つ。
- サービス利用料で収益化:メタバース空間やコンテンツを有料で販売する
- メタバースでEC販売:ネットショップのようにメタバース空間でEC出店する
- 広告収益を得る:メタバース空間やキャラクターに広告枠を設けて収益を得る
- 仲介型:クリエイターやユーザー、企業を繋ぎその仲介手数料を得る
その他、メタバース業界の仕事にビジネスパーソンとして関わるのも手段のひとつです。
メタバース業界で求められる職種やスキルについては、こちらの記事もご覧ください。
ビジネスチャンスを掴むMeta社の教え
メタバース業界を牽引する巨大企業 Meta社は、メタバースの市場でビジネスチャンスをつかむ方法について、公式サイトで次のように述べています。
直近で人々がメタバースを体験する最初の方法は、2次元のアプリを介したものになるでしょう。
(中略)
今まさに活用しているスキルに注力することが重要だということです。そのスキルが、未来のメタバースでビジネスを成長させるための基盤になるからです。
引用元:メタバースでのビジネスチャンスを理解するための3つのポイント
要約すると、現在主流の2次元のアプリに注力することが最も大切だというわけです。
3次元のメタバース空間がもたらす市場が大きいのはたしかですが、それは今の技術と地続きのもの。
つまり、現在のアプリケーションや市場で結果を残すスキルは、そのままメタバースの空間で活かせるということです。目の前のビジネスで結果を出していきましょう。
メタバースを牽引するリーダーの理論
業界最大手のITアドバイザリ企業であるGartner社によれば、メタバースでビジネスチャンスをつかむためには以下の3つを考慮すべきとしています。
引用元:メタバースでビジネス・チャンスをつかむために取り組むべきことは何か?
- テクノロジが幅広い変革をもたらすプログラマブル・エコノミー*でどのように市場が形成されるのか
- ビジネスモデルと財務モデルがどのように実行に移されるのか
- デジタル・ビジネス資産 (DBA)がどのように顧客エンゲージメントに組み込まれるのか
共通点をまとめると、メタバースという新たな市場にはこれまでにない需要が隠れているため、それらを見つけて提供する必要がある、となります。
それに加え、ブロックチェーンの技術を応用したPlay-to-Earnの経済的な原動力を活用すべきです。
メタバース市場で成功を収めるには、ビジネスモデルへの理解や、財務面の課題解決が必須です。
投資対象として見るメタバースと仮想通貨
個人がメタバース市場で稼ぐなら、投資対象として仮想通貨もチェックしましょう。
仮想通貨はデジタル資産として注目を浴びており、これまでと違った通貨システムを提供します。
仮想通貨は取引手段として利用されるほか、スマートコントラクトやディファイ(分散型金融)を実現するなど、革新的な技術として知られます。
メタバースで仮想通貨を使う事例として、投資を目的としたメタバース空間の土地購入が注目を集めています。
投資家や企業が仮想空間で不動産を取得し、将来的な価値上昇を狙う新たな投資手法です。
購入した土地でのビジネス展開や広告を活用し、収益を得ます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
メタバースと仮想通貨は、互いに関連性があり、将来のデジタルエコノミーを形作る要素となるでしょう。
これらの分野への投資は、テクノロジーの進化とともに変化する市場動向に適応し、成長を見込むための戦略的な選択となっています。
NFTでメタバースの市場規模は拡大
メタバースと相性がよく、市場拡大のために欠かせない技術がNFTです。
NFTは、デジタルアートや仮想アイテムなど、デジタルコンテンツの所有権や独自性を証明するブロックチェーン技術を活用しています。
これにより、メタバース内での取引やコレクションが可能となり、独自の価値を持つデジタルアセットとして機能します。
NFTを利用した美術品を展示する、メタバース美術館の存在をご存じでしょうか?
美術品を展示し、来館したユーザーとコミュニケーションをとりながら作品の売買を行う一連の流れを、メタバース空間上で実現できるシステムです。
日本国内や海外から多数のサービスが提供されており、なかには無料で利用できるものもあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
今後メタバースの普及も相まって、NFT市場はさらに拡大し続けると予想されており、アーティストや企業、投資家には明るい将来が開けていると言えます。
このような背景から、メタバースとNFT市場は今後も投資対象として注目されるでしょう。
メタバースの市場規模に関するQ&A
本記事ではメタバースの市場規模に関して解説しました。最後によくある質問に回答します。
- メタバースのWeb3.0の市場規模は?
- 市場が盛り上がるのは何年後?
- メタバースはなぜ人気があるの?
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
- メタバースのWeb3.0の市場規模は?
-
メタバース業界内でのWeb3.0の市場規模の、厳密な調査データはありません。
ただし、多くの調査会社はメタバース・Web3.0それぞれの市場規模は急速に拡大すると予測しており、ふたつの業界は深く関わっています。
以下は、日経BP総合研究所からの引用です。
2030年までに世界のWeb3.0ブロックチェーン市場の規模は335億3千万ドル(1ドルは約139.4円、約4兆6740億8200万円)に上り、2022-30年の年間複合成長率は44.9%になると予想される。
引用元:突如大注目のWeb3.0 メタバースと市場を奪い合うか?Web3.0とメタバースは相互に関わりながら発展するでしょう。
Web3.0とメタバースとは何か?違いや言葉の意味をわかりやすく解説 近年、Web3.0やメタバースという言葉を耳にする機会が増えてきました。 しかし、 Web3.0とは何か知りたい メタバースとは何か知りたい Web3.0とメタバースにはどのよう… - 市場が盛り上がるのは何年後?
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メタバースの市場は少しずつ盛り上がりを見せており、2023年から2030年までの複合年間成長率(CAGR)は41.6%に上昇すると予想されています。
市場規模についてはさまざまな予測がありますが、どれも急速な拡大を想定しているため、いつ大きく盛り上がっても不思議ではありません。
キラーコンテンツの不在やデバイスの普及といった課題が解決されれば、さらに急速に発展するでしょう。
- メタバースはなぜ人気があるの?
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メタバースの人気の秘密を知るには、大きく3つの視点から考えると良いでしょう。
- 投資家:新市場で利益の可能性が高い
- 企業:新プラットフォームで収益と顧客獲得
- 消費者:没入感あるエンターテイメントとコミュニケーション
それぞれ目的は異なるものの、お互いが利益をもたらす関係になっているため、成長が期待できる市場だといえます。
まとめ
メタバース市場は拡大が予想され、予想では2030年には78兆円弱にまで成長することを解説しました。
日本では経済産業省やデジタル庁がメタバース市場の拡大を支援し、多くの企業が新たなビジネスチャンスを探求しています。
また、メタバースと仮想通貨の投資対象としての可能性も注目されており、NFTの普及が市場規模の拡大を後押しすることでしょう。
今後の発展が期待されるメタバース市場には、様々なビジネスチャンスがあります。ぜひそのチャンスを掴んでください。