近年ではバーチャルショッピングなるものが注目を集めています。これが何を示すのか「何となくイメージはできるが、具体的にどういったものかはわからない」人も多いでしょう。
そこで本記事では以下の点について解説します。
- バーチャルショッピングの詳細とメリット
- 具体的な事例
- バーチャルショッピングを利用できるプラットフォーム
本記事を読めば、バーチャルショッピングの現状やこれからの見通しをお分かりいただけるはずです。
今後バーチャルショップの出店を考えている方必見の内容になっているため、ぜひご参考にしてください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
バーチャルショッピングとそのメリット
まずは、バーチャルショッピングの定義や特徴を解説します。そのあとでどんなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。
VR・3D技術で作られたのがバーチャルショッピング
バーチャルショッピングは、仮想空間に存在する、VR・3D技術で作られた店舗のこと。
商品が陳列されていたり、試着・試用できたり、あるいは購入することが可能です。
現実世界では来店がむずかしい場合も、バーチャルショッピングなら容易にアクセスできるのが魅力です。
後ほど解説しますが飲食店なども登場しました。このことからわかるようにバーチャルショッピングはさまざまな業界で導入されています。
イオンのようなバーチャルショッピングモールもある
バーチャルショッピングができる店舗を集めたモールも登場しています。
常設型ショッピングモール「VketMall」がその代表です。現実世界に置き換えるとイオンモールのような存在。
バーチャルショッピングモールなら、プラットフォーム内に入るだけでありとあらゆるブランドの商品を閲覧できます。自宅にいながら本格的なショッピングを楽しむことが可能です。
また、店舗側はバーチャル店舗のアクセス数や各商品の閲覧数、ECサイトへ遷移した人数のデータを分析できます。それは、新たな商品開発やOMOマーケティングに活用されるでしょう。
バーチャルショッピングがもたらすメリット
バーチャルショッピングがもたらすメリットは、主に5つあります。
- 在庫リスクを減らせる
- 店舗運用コストを削減できる
- 遠方の顧客にリーチしやすい
- 感染リスクを避けられる
- 24時間365日営業できる
まずバーチャル店舗では、注文を受けてから必要分を発注できるため、在庫リスクを大幅に低減できる点が魅力的です。家賃や光熱費もかからないため、とにかくコストがかかりません。
さらにバーチャル上に存在することから、遠方の顧客をリーチしやすくなるでしょう。そのうえコロナ禍による感染リスクを避けられるのもポイントです。
そして24時間365日営業できるのも、バーチャルだからこその利点といえます。
バーチャルだからこそのデメリットもある
バーチャルショッピングのデメリットは、主に3つあります。これを理解しておけば、手痛い失敗を避けられるでしょう。
- VR環境が必要になる
- 実際には触れない
- そもそもVRを利用したがらない人もいる
まず、バーチャルショッピングを成立させるためには、店舗と顧客側両方にVR環境が必要です。
また商品を直接触れないのも厳しいところ。肌触りなどが重視されるアイテムには不向きな側面があります。
そのうえ、VRを利用したがらない人も少なくありません。いわゆるVR酔いなどの症状への懸念があったり、VRを「新しくてよくわからないもの」と認識している層もまだまだ存在します。
これらのデメリットを理解し、独自で対策を取るのが重要です。
バーチャルショッピングで成功している事例5選
続いてバーチャルショッピングで成功している事例をご紹介します。
- REV WORLD
- BEAMS
- バーチャルレストラン
- shu uemura
- プロセカ
バーチャルショッピングの導入を検討中の方は、ぜひご参考にしてください。
1.REV WORLD|伊勢丹が切り開く仮想ショッピング空間
三越伊勢丹のVRアプリ「REV WORLD」では、24時間どこからでも仮想都市にアクセスし、ショッピングを楽しめます。
実在する伊勢丹新宿本館で行われるポップアップストアと連動して、店頭と同じ商品をバーチャル化して営業。
実在するスタイリストを3Dスキャンしたリアルアバターが接客するなど、よりリアルに近い形態を目指しています。
その結果、バーチャルショップ両方の集客を実現しているのが特徴です。
2.BEAMS|アバターを活用してアパレル展開
BEAMSは、世界最大のVRイベントであるバーチャルマーケットにメタバース店を出店しました。
メタバース店では、陳列された商品をクリックするだけで、アバターが商品を簡単に試着できる機能が実装されています。これにより着用感を簡単に確かめることが可能に。
さらに「店員の接客を受けたくない」ニーズに対するアンサーにもなりました。
今後はグラフィックやアバターの高度化により、バーチャルでのアパレル購入が一般化するのかもしれません。
3.バーチャルレストラン|架空の飲食店でメニューを提供する
コロナ禍で飲食店業界は多大なダメージを受け、今も感染リスクと向き合わざるを得ない状態にあります。そんな中で、バーチャルレストランが注目されるようになりました。
といっても、バーチャルの世界で飲食するわけではありません。実態としては、フードデリバリーの受付場所、といったところです。
飲食店業界は、感染リスクを回避するため、フルタイムで営業しづらい状態が続いています。しかしバーチャルレストランを利用すれば、オフタイムに調理・配送することが可能。苦しい状態に置かれている飲食店にとっては、魅力的な選択肢です。
4.shu uemura|バーチャルメイクでサンプルを使用
人気化粧ブランドshu uemuraは、好きなアイテムをテストできる、バーチャルメイクのサービスを提供しています。リップやファンデーションなどをバーチャル上で使用することが可能です。
実際に自分の顔写真を使うため、再現度も高くなっています。またコロナ禍ではテスター使用による感染リスクを低減できる側面も。
店舗側もテスターを用意したり、清潔に管理したりする手間がかからなくなり、合理的な運営が可能になりました。
5.プロセカ|大人気アプリのグッズ展開で成功
プロジェクトセカイ(通称プロセカ)は、スマホで遊べる大人気リズムゲームです。
同ゲームは自前のプラットフォームにてバーチャルライブを開催し、そのあとバーチャルショップでアイテムを販売することで多大な収益を挙げました。コンサート開催のビジネスモデルを、そのまま仮想空間へ持ち込んだ形です。
成功の背景には、そもそも初音ミクをはじめとした人気キャラクターを擁していた点が挙げられます。したがって同じようなビジネスモデルを実行するには、魅力的なコンテンツが必要でしょう。
バーチャルショッピングで活用されるプラットフォーム4例
バーチャルショッピングで活用される主なプラットフォームは、以下の4つです。
- メタパ
- STYLY
- VRforEC
- VR Shopping with Voice Chat
導入が現実的な順番で解説していきますが、それぞれに特徴があります。自社にフィットするものがあるかチェックしましょう。
1.メタパ|スマートフォンで楽しめるメタバース・バーチャルショッピング
メタパは、VR空間でリアルとバーチャルを融合したメタバースプラットフォームです。
同サービスでは、友達と一緒にショッピングしたり、店舗スタッフと話したり、実際の買い物とほぼ変わらない感覚でショッピングできます。
メタパでは音声チャットで実店舗と同じように接客ができるほか、自社のECサイトへの誘導チャネルとして活用することも可能です。
また、スマートフォンアプリである点も見逃せません。メタパに店舗があれば、より多くの顧客を受け入れられるようになるでしょう。
2.STYLY|伊勢丹やPARCOが活用するVRプラットフォーム
STYLYは、誰でも簡単にバーチャル空間を作成、体験できるプラットフォームです。同サービスは、実際に三越伊勢丹やPARCOなどの大手企業も活用しています。
特にファッション業界との相性のよさが魅力的。STYLYシステムを活用したサービス、STYLE Suiteがあるからです。
同サービスでは、特別な知識がなくても、VR空間の制作から配信までを一気通貫で実施できるツールが搭載されています。
プログラミングやVRなどの特別な知識がなくてもVR空間を作れるため、導入ハードルが低いのが特徴です。
また、現在主流になっているECショッピングとは異なり、ブランドの世界観を実際にユーザーに体験してもらうことも可能です。
そのため、ブランドイメージが伝わりやすく、ファン化に繋がりやすいのもSTYLYがアパレルと相性が良い理由です。
3.VR for EC|理想の自分になれるバーチャルショッピング体験
VR for ECは、バーチャル空間の中で商品を閲覧・購入できるサービスです。
これだけ聞くと、これまでに紹介したサービスとそこまで変わらないように感じるかもしれません。しかし、特徴として「理想的なショッピングを提供している」点が挙げられます。
例えば「南国リゾートのような家に住んでみたい」という思いを抱える方が、仮想空間上に作られたハワイのリゾート空間の中で買い物を行うイメージです。
このように、理想と近い状態を仮想空間上に作り出し、より高い購買率を実現できます。
4.VR Shopping with Voice Chat|会話もできるプラットフォーム
VR Shopping with Voice Chatは、世界初の会話機能付きVRショッピングサービスです。
同サービスでは、スマホをVRヘッドセットに取り付けて、ファッションショーなどを疑似体験します。
ショーの中で気になった商品を回転・縮小・拡大するなどして、詳細をチェックすることも可能。もちろんそのまま購入するフローも構築されています。
また会話機能を活かして遠隔地にいる友人などと、ともにショッピングするといった体験も提供可能です。ボイスチャットを本格的に導入しているバーチャルショッピングプラットフォームはまだ少ないため、貴重な存在だといえるでしょう。
バーチャルショッピングのよくある質問Q&A
バーチャルショッピングについて、よくある質問をまとめました。
- 店舗を開くにはどれくらいの初期費用がかかる?
- バーチャルショッピングの将来性は?
- バーチャルショッピングができる店舗の作り方は?
気になる項目をチェックしてみましょう。
- 店舗を開くにはどれくらいの初期費用がかかる?
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バーチャルショッピングの店舗は、0円から作成可能です。たとえばメタパのフリープランなら、初期投資0円ではじめられます。
ただし上位プランになると、月額10,000円以上が主流です。
STYLYでは、企業向けであるProプランで月額50,000円、Pro Unlimitedでは、月額100,000円の費用がかかります。
初期費用は無料とするケースが多いものの、ランニングコストがかかる点には注意しましょう。
メタバース開発に必要な技術・プラットフォーム・ツールを紹介 近年、さまざまなメタバースプラットフォームがリリースされています。需要の高まりを感じ、メタバース開発に携わりたいと考える方もいるでしょう。 しかし、 メタバー… - バーチャルショッピングの将来性は?
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バーチャルショッピングは、今後ますます普及する可能性が高いと言えます。
VRデバイスが普及したり、あるいは世界的大企業が同技術に投資したりしている点が根拠として挙げられます。特にMeta社の責任者であるマーク・ザッカーバーグは、1.5兆円をメタバースに投資すると明言しました。バーチャルショッピングはメタバースと関連した技術であるため、こういった投資の恩恵を受け、さらに発展・普及していくでしょう。
メタバースは失敗する?ザッカーバーグやセカンドライフの事例をもとにその将来性を徹底検証 | meta land メタバースの隆盛を後押しする要因は多々あり、今まで以上に普及すると考えられます。メタバースが失敗しない理由や成功要因について解説します。メタバースの市場規模は拡大する?現在から2030年までの推移をグラフ付きで解説 テクノロジーの発展により、市場拡大が進むメタバース。 本記事では実際の市場規模はどの程度なのか、日本や世界のメタバース市場はどう発展するのか、情報をまとめまし… - バーチャルショッピング店舗の作り方は?
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バーチャルショッピングの店舗を作るなら、メタパなどのサービスに出店するのが最も現実的でしょう。ただし、より高度なバーチャルショップを開きたいなら、専用の講座を受講するのがおすすめです。
先ほど紹介したVRプラットフォームSTYLYでは、バーチャル空間の制作に関するスクールを開いています。
出典:STYLY公式サイト このスクールでは、VRやARコンテンツの製作技術の基礎から応用までを学ぶことが可能。もちろんオンラインでも受講できます。これなら単にプラットフォームへ出すケースと比較して、店舗のクオリティを高く保てるでしょう。
まとめ
本記事では、バーチャルショッピングの概要とメリット、デメリットを成功事例と併せてご紹介しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- バーチャルショッピング=VR・3D技術で作られた店舗での買い物
- 遠方の顧客が簡単に来店できたり、24時間営業できたり、いろいろなメリットがある
- BEAMSやプロセカなど、あらゆる企業やプロジェクトがバーチャルショッピングを導入、成功させている
- 実際に出店するならメタパやSTYLYなどのプラットフォームがおすすめ
NTTデータ研究所の調査によると、バーチャルショップの認知度は、約3割程度。
しかしながら、バーチャルショップ利用経験者の約9割以上は、「今後も継続利用したいと感じている」という結果も出ています。
つまり一度経験すれば、その顧客はバーチャル上の常連客となりうるなど、無視できない影響がありそうです。ぜひ一度バーチャルショッピングを自社で導入できないか検討しましょう。