- メタバースってなんだか危ない気がする
- VRで廃人になってしまいそうで怖い
- 個人情報が流出したりしないだろうか
上記のように感じている人は多いのではないでしょうか?
近年はメタバースやVRが急速に普及し、仮想の世界を楽しむのが珍しくなくなってきました。
一方でメタバースの持つ危険性も心配されています。そこで本記事では以下の点について解説します。
- メタバースの危険性
- 危険性への対策
- それでもメタバースを利用するメリット
本記事を読めば、メタバースの危険性を理解したうえで、上手に使いこなす方法が見つかるはず。ぜひご参考にしてください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
メタバースの危険性は情報流出・窃盗被害・依存の3つ
メタバースの危険性は大きく分けて3つあります。
- 情報流出
- 窃盗被害
- 依存
そのいずれもが、ユーザーの安全と生活をおびやかす大きなリスクで、自身で対策することが求められます。
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
1.メタバースで個人情報が流出する可能性あり
まずは個人情報の流出が考えられるでしょう。その情報を犯罪に利用されたり、プライバシーが危険に晒されたりするかもしれません。
個人情報が流出する原因として以下が挙げられます。
- ハッキングやトラッキングのターゲットになる
- プラットフォームのミスで情報流出する
- 自らの不手際で個人情報を漏らしてしまう
古くからインターネットでは、個人情報に関する重大なトラブルが多々起こっています。メタバースでも、依然としてリスクは存在します。
自分自身をどう守るかがひとつのポイントになりそうです。
Robrox(ロブロックス)では個人情報流出トラブルがあった
メタバースのひとつ、Robroxでは、個人情報の流出トラブルがありました。
不正なアクセスを受けて、132件の氏名とパスワードが外部に公開されたとのこと。
氏名もパスワードも、重要な個人情報。これが流出したのは大きな問題です。
同様のトラブルは別のプラットフォームでも考えられます。個人情報流出に関して、他人事だと考えるべきではないでしょう。
2.窃盗被害も考えられる
メタバースでは窃盗の被害も考えられます。パスワードを抜き取られて、仮想通貨やNFTを盗まれるかもしれません。
既存のオンラインゲームでも、以下のような手口で何かしらのアイテムを奪い取る事件は幾度となく起こっています。
メタバースにも同様のリスクは考えられます。特に大量の仮想通貨や、希少性の高いNFTを盗まれるようなことがあれば、相当な損失です。
現行の法律では、メタバースで何かを盗まれても、犯人を罪に問えない可能性があります。
これは窃盗罪が「財物が盗まれた」ことを前提に法律する罪だからです。
財物とは、有形物であり、なおかつ本人が自由に管理できる財産を示します。一方メタバースのNFTなどは、管理できるものの、有形物ではありません。
つまりNFTは財物とみなされず、窃盗罪が成立しない可能性があります。現行ではメタバースで窃盗被害に遭っても、警察が動いてくれないケースもありうるわけです。
3.メタバース依存症になる可能性もある
メタバースを長時間プレイすると、依存症になる可能性があります。
メタバース業界に詳しい「なるがみ」氏は、実業之日本フォーラムによるインタビューで、以下のように述べています。
デジタル空間を観察していると、承認欲求は、もっと、もっと、という感じになっていて、1回、名前を呼んでくれただけでは満足できなくなっており、依存症的な状況とも言えます。
メタバースが人間の営みを支える機構として認められ、そこに依存する人が増えていく。
(引用:実業之日本フォーラム)
オンラインゲームやSNSがそうであったように、メタバースに対する依存で実生活に影響をおよぼす人は少なからず出てくるでしょう。
自分自身が依存症にならないよう、プレイスタイルを工夫する必要がありそうです。
メタバース依存症の究極例「ファントムタイムライン症候群」の恐ろしさ
メタバースやVRへの依存が進むと、ファントムタイムライン症候群を発症するかもしれません。
これは「現実と仮想現実の区別ができなくなる感覚に陥る」症状を示します。かつて言われた、「ゲームと現実の区別がつかない」ことの究極例です。
ファントムタイムライン症候群を発症すると、現実ではやってはいけないことをしてしまう可能性があります。例えばモノを壊したり、人を攻撃したりするなどです。
また仮想現実でのコミュニケーションで満足してしまい、現実での交流をおろそかにするなどのリスクもあります。
一部の人は、「メタバースにいると洗脳される恐れがある」と語ります。
結論からいうと、購買活動が誘導される程度のことはいくらでもあり得るでしょう。
メタバースやVRを使うことにより、商品やサービスを従来のネット広告やテレビCMより魅力的に訴求できます。それを体感することで、自然と購買へ興味が傾くのは想像できるでしょう。
また、IT情報メディアのビジネス+ITは「若年層は陰謀論を信じやすい」としています。同メディアは、そこにメタバースが絡むことで、陰謀論の発信者の訴求力が高まり、ある意味で「洗脳される可能性がある」と示唆しています。
メタバースに限った話ではありませんが、「与えられた情報を鵜呑みにしない姿勢」を取るのが大切になりそうです。
メタバースの危険性を回避する対策3つ
とはいえ、危険を回避するためにできる対策もあります。主に以下3つの対策が挙げられます。
- 強固なログインパスワードの利用
- 重要な情報をメタバース上で明かさない
- ログインする時間をコントロールして依存症を回避
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
1.ログインには強固なパスワードを利用する
メタバースにログインする際は、強固なパスワードを利用しましょう。これだけで多くの問題を解決することが可能です。
メタバースで個人情報を抜き取られたり、リプレイ・アタックをされたりしないよう、この点に特に気を配りましょう。
- リプレイ・アタックとは?
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リプレイアタックは、あるユーザーの認証データの送受信を盗み取り、さらにユーザーになりすます不正行為を示す言葉です。
これを回避するにはログイン時に毎回異なる認証データを使用する「ワンタイムパスワード制」などが有効。
しかし利便性の低さなどが原因で一般ユーザーレベルには普及していないのが実情です。
パスワードさえわからなければ、そうそう大きな問題は起こりません。そのためにも推測しにくい強固なパスワードを考えましょう。
強固なパスワードを作るには、KEEPERを使うのがおすすめ。クリックひとつで簡単に文字列を出力できます。
ただしいくら複雑なパスワードでも、メモしたり、PCのオートコンプリートがはたらいていたりすると意味はありません。なるべく自分の頭の外には書き出さないようにしましょう。
2.重要な情報をメタバース上で明かさない
メタバースでは、個人情報やログイン情報をはじめとした、重要な要素を明かさないようにしましょう。
インターネット上のトラブルでありがちなのが、「被害者本人が自ら情報を開示してしまう」こと。なんらかの理由で個人情報を明かしたり、言葉巧みに誘導されてログイン情報を教えたりするケースがあります。
大人であれば自制できるでしょう。しかし若年層であればそうもいかず、重要な情報を公開してしまうかもしれません。
ただでさえハッキングなどのリスクがあるのに、本人が重要な情報を進んで公開するのは危険すぎます。どのようなことがあっても、個人情報やログイン情報は公開しないようにしましょう。
3.ログインする時間をコントロールして依存症を回避
依存症を回避するには、メタバースにログインする時間をコントロールするのがよいでしょう。
MMOもソシャゲも、プレイ時間を規定しないから、のめり込んで依存します。メタバースも同様で、ログインする時間をコントロールすれば、依存するリスクを落とすことが可能。
これには、自分で時間を測ったり、ブラウザの拡張機能で指定時間以上になるとプレイできなくしたりするなどの工夫が考えられます。
例えばGoogleChromeの拡張機能「Prodctivity Owl」では、1日の特定ページでの滞在時間を規定することが可能。
滞在時間を超過した場合、自動的にブラウザがシャットダウンされます。これを活用すれば、ブラウザでメタバースを使っているなら、ログインする時間をコントロールすることが可能です。
もしかしたら依存症が進行して、「完全にメタバースを遮断したい」と思う場面が来るかもしれません。そんなときはブロックツールを使うのがおすすめ。
これは、指定したページにいっさいアクセスできなくなるツールの総称です。例えばGoogleChromeのBlocksiteがこれに当たります。
これらを活用すれば、複雑な解除手順を踏まない限りは、メタバースにアクセスできなくなります。依存の問題が大きくなってきたら、こういったツールを使うのもひとつです。
それでもメタバースを利用するメリット
メタバースには情報流出や依存症など、無視できない危険性が潜んでいます。しかし、悪いことばかりではありません。メタバースには利用するメリットが多々あります。
例えば以下4点はかなり重要です。
- VRで新しい世界を体感できる
- NFTなどで利益を挙げられる
- 現実ではあり得ない刺激的な体験ができる
- ゲームをしながらお金を稼げる
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
1.VRで新しい世界を体感できる
まずVR環境で、新しい世界を体感できるのは大きなメリットです。
ほとんどのメタバースでは、VRデバイスを接続することで、あたかもその場にいるような感覚を味わえます。
例えばDecentralandなら、仮想空間で作られた街に、本当にいるかのように知覚できます。
これまでのオンラインゲーム・サービスはあくまでも平面な画面で提供されるものでした。
いかにグラフィックが美しくてリアルでも、画面の向こう側の別世界でしかありません。
しかしメタバースとVRが登場したことにより、その世界を体感できるようになりました。
これは非常に大きなメリットです。
2.NFTなどを販売して利益を挙げられる
またNFTなどの販売ビジネスで、利益を挙げられるのもメリットです。
メタバースでは所有数が限られるアイテムやアート、アバターやグッズなどが存在します。
極端な例では、プラットフォームが用意した土地や、メタバース内で制作したゲームがNFTとなることも。
また有料のイベントを開催するなどして、チケット代で稼ぐなどの手法も考えられます。
実際にNFTアートを制作し、やや不安定ながら数日で数万円稼いだ例もあるようです。
3.現実ではあり得ない刺激的な体験ができる
またメタバースとVRがあれば、現実では不可能な刺激的な体験もできます。
例えば、ほうきに乗って空を飛び回ったり、海底深くに潜ったり、夢でしかなし得なかったことを体感ができるわけです。
そのほか、プラットフォームによっては、仮想の美しい世界を冒険したり、あるいは銃を持って戦闘したりすることも可能です。
このように現実ではあり得ない刺激的な体感を得られるのは、メタバースならではのメリット。
ちなみに近年ではメタバースで旅行をすることも可能になりました。
例えばMeta Quest2では、VRデバイスがあれば世界各地の絶景を堪能できます。
メタバース旅行に関しては「メタバース旅行とは?VR技術で世界中を旅しよう」で解説しているので、参考にしてください。
4.ゲームをしながらお金を稼げる
メタバースでは、ゲームをしながらお金を稼ぐことも可能です。
メタバースには、Play to Earn(遊んで収益を得る)という考え方が広く普及しています。つまりプレイするだけでお金を稼げるわけです。
例えば、モンスター育成ゲームAxieinfinityでは、対戦で勝利するとゲーム内通貨を獲得できます。
そして獲得した通貨は、日本円に換金することが可能。
また、育てたモンスターを売却したり、レンタルに出したりして稼ぐ方法もあります。
このようにメタバースでは「Play to Earn」という考え方のもと、「遊びながらお金を稼ぐ」ことができるようになっています。
メタバースの危険性に関するよくある質問
本記事ではメタバースの危険性に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- メタバースってメンタル・心理学的にはヤバいって本当?
- 依存症になったらどうやって治す?
- メタバースは思ったより普及しない?理由は?
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
- メタバースってメンタル・心理学的にはヤバいって本当?
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程度の差はありますが、「ヤバい」側面もあるでしょう。例えば先ほど触れたファントムライン症候群によって現実世界の区別がつかなくなるのは問題です。
米国の統計情報メディアstatistaの統計では、メタバースに関して以下の点が、ユーザーの間で心配されているようす。
心配されているリスクの種類 回答者の割合 仮想現実中毒 47% プライバシー問題 41% メンタルヘルス問題 41% つまり中毒やメンタルヘルスなど、「こころ」に関するリスクは高く予想されています。メタバースにのめり込むことが、精神的なダメージにつながるかもしれません。
- 依存症になったらどうやって治す?
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依存症になったらとにかくメタバースと距離を置くほかありません。これは既存のオンラインゲーム、あるいはタバコやお酒など、中毒性があるものと変わりないでしょう。
しかし、メタバースに対する依存を解消するのは、簡単ではないかもしれません。
既存のMMORPGにのめり込み、仕事もせず引きこもっている人が大勢います。
2Dでこれなのだから、VR技術まで絡んでくるなら、依存症の発症率はさらに高くなる可能性もあります。そうすると依存から脱却するのも、比較的むずかしくなりそうです。
メタバースを利用する際は節度を持ち、あらかじめ依存のリスクを避けるようにしましょう。
- メタバースは思ったより普及しない?理由は?
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「メタバースは普及しない」と考える人もいます。その理由として、2010年ごろの仮想空間『セカンドライフ』の失敗やVRデバイスの普及失敗が挙げられます。
しかし両方とも、メタバースが普及しない根拠として適切ではありません。
かつて失敗に終わったセカンドライフと現代では環境が異なるため、二の舞にはなるとは考えにくいでしょう。詳細はセカンドライフとメタバースの比較に関する記事を参考にしてください。
VRデバイスも同様です。時事エクイティによればVR・ARヘッドセットの普及率は右肩上がりになると予想されています。一方で、普及を足止めする要因は見当たりません。
セカンドライフの存在とVRデバイスの不振が、メタバース普及を足止めするとは考えにくいでしょう。
メタバースは失敗する?ザッカーバーグやセカンドライフの事例をもとにその将来性を徹底検証 | meta land メタバースの隆盛を後押しする要因は多々あり、今まで以上に普及すると考えられます。メタバースが失敗しない理由や成功要因について解説します。
まとめ
本記事ではメタバースの危険性を解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- メタバースでは、個人情報流出・窃盗被害・依存症の3点が危険性として挙げられる
- 被害を防ぐためには、ログインパスワードを複雑なものにするのが有効
- また、自分自身で個人・ログインに関する情報を明かさないようにするのも大切
- 依存症を避けるには、ブラウザの拡張機能でログインできる時間を制限するのが有効
- メタバースには危険性があるものの、メリットも多い
- VRで新しい世界を体感できたり、NFTで収益を得たりできるのは特に魅力的
古くから「Webは危険性もあるものだ」と言われてきました。
Web3.0、つまりメタバースの時代になってもそれは変わらず、何らかの被害を受けないように対策するのが重要です。
一方で、メタバースがこれまであり得なかった、多くの魅力を秘めているのも事実。VRデバイスで空を飛び回ったり、ゲームで遊んで稼いだり、かつて夢でしかできなかったことが実現されつつあります。
危険に巻き込まれないよう対策しつつ、ぜひメタバースの世界に飛び出してみましょう。