メタバースとセカンドライフの違いは?二の舞にならない理由4選

  • メタバースは、セカンドライフの二の舞に終わるのか?
  • これからのメタバースが乗り越えなければならない壁は何か?

上記のような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?

メタバースを使ったり、投資したりしている人にとって、セカンドライフの失敗は頻繁に脳裏をよぎるものです。もし二の舞になるなら、メタバースにコストをかける意味はありません。

そこで本記事では以下の点を解説します。

  • セカンドライフとは何で、なぜ失敗したのか?
  • メタバースがセカンドライフの二の舞では終わらない理由
  • メタバースが抱えるデメリットとユーザーの向き合い方

本記事を読めばメタバースがセカンドライフと同じ道を辿らず、大きな存在になっていく理由がわかるはずです。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

前のメタバース?セカンドライフとは何だったのか?

(引用:SECOND LIFE

まずはセカンドライフに関して、次のポイントをおさえましょう。

  • セカンドライフの概要
  • サービスの隆盛から現在までの歴史
  • 「早すぎた理由」と再度の流行の可能性

セカンドライフには激動の歴史があります。メタバースに興味がある人にとっては面白い内容であるはずです。

セカンドライフ=20年前にリリースされた仮想世界

セカンドライフとは、2003年に米国リンデンラボ社からリリースされたサービスです。仮想世界があり、ユーザーはアバターを作成、そのなかで現実とは異なる別な生活(Secondlife)を楽しめます。

セカンドライフでは、不動産取引ができたり、ゲーム内通貨でRMTができたり、経済的な活動もできました。つまりThe SandboxやDecentralandなどと大差のないサービスが、2003年からあったわけです。

サービスの隆盛から現在までの歴史

セカンドライフは、サービス開始から3年経った2006年ごろに大ブームとなりました。きっかけは、あるドイツ系中国人がRMTに近しい行動で、1億円以上の収益を得たと報じられたこと。

これを契機に世界中の個人・法人が次々とセカンドライフに参入します。一時期は電通主導で、みずほ銀行やTBSがオブジェクトを設置していました。下記は2007年ごろ、その事実を報じるWeb記事のアーカイブです。

(引用:ITmediaNEWS

しかし、この状況は長続きしませんでした。2007年ごろから後述する接続速度の問題やSNSの台頭により、ユーザー数が激減。

その後はアダルトとギャンブルに関連づいたコンテンツなどにしかユーザーが集まらず、かなり厳しい状態に追い込まれました。

セカンドライフは「早すぎた」がサービス終了はしていない

セカンドライフが終わってしまったのは、とにかく時代に対して「早すぎた」のが原因です。世界中があっと驚くような試みではありましたが、技術とユーザーがついてこれませんでした。

セカンドライフが早すぎたポイント
  • パソコンや通信環境が追いついていなかった
  • デザインやグラフィック技術がまだ未発達だった
  • 当時のユーザーが仮想空間に慣れていなかった
  • 仮想空間の魅力が一般的に知られていなかった

特にパソコンや通信環境が現代ほど進化していないのが致命的でした。よほど高度な環境が整っていないと、快適にプレイできない状態です。また、デザイン・グラフィック技術も未発達であったため、その点に不満を覚えるユーザーもいました。

一方でセカンドライフは現存しており、もちろん新規登録することも可能です。

セカンドライフがどれだけ早すぎたかできごとで振り返る

ちなみにセカンドライフがリリースされた2003年の出来事を振り返ると、それがいかに早すぎたかが分かります。

2003年の出来事
  • ICOCA運用開始
  • 横綱貴乃花が引退を表明
  • SMAP/世界の一つだけの花がリリース

2003年は、ようやく切符がICカードに変わり始めた時代です。

この時代に現代のメタバースに近いことをやろうとしていたと考えれば、いかに先進的だったかわかるでしょう。

当時からテクノロジーが好きで仕方がないギーク(パソコンオタク)たちならセカンドライフを理解できました。

しかし「このカードで切符の代わりになるのか。便利になったな」と思っている大勢の人にとって、セカンドライフは理解のしづらいコンセプトでした。

実は1995年からメタバースは存在した

ちなみにセカンドライフが世界初のメタバースではありません。1995年の時点で「Active World」という仮想世界が誕生しています。

デザイン性やグラフィック、機能性では現代のメタバースには歯が立ちません。しかし今から30年近く前にはもう、仮想空間で活動するアイデアは存在し、しかも実現していました。

<1995年の出来事>

  • MicrosoftがWindows95を発売(現行より8世代前)
  • ポケベルブームが到来
  • 新世紀エヴァンゲリオン放送開始

OSでいえばWindows95が最新でした。筆者の自宅にも同機がありましたが、現代のものと比べればそのスペックは1/100もありません。もちろん接続はダイヤルアップです。

ちなみに同サービスは現在も運営中で、公式サイトからアバターを作成できます。

再度流行させるのはむずかしそう

近年のメタバースブームのおり、「セカンドライフも再度流行するのでは?」と期待する声もあります。

しかし、もう一度流行するとは考えづらいでしょう。理由としては以下の3点が挙げられます。

  • デザインやシステムの質が高くない
  • ユーザーがおらず過疎化が進んでいる、などの悪いイメージがついている
  • 現代のメタバースほど多額の投資を受けられていない

致命的なのがデザインやシステムの質が低い点です。いまだにグラフィックの描写が大幅に遅延したり、バグが多かったりと課題が多くあります。

アップデートで成長していますが、以下の動画からも分かるように、現代の新しいメタバースと比べるとやや遅れを取っている状態です。

また、実際には100万人以上の利用者がいるにもかかわらず、「過疎った」「終わったコンテンツ」と思われているのも苦しいところです。

それどころか「ああ、まだやっていたんだ」とサービスが終わったものと認識している人も少なくありません。

また現代のメタバースほどの投資が受けられている様子もなく、復活へのハードルはかなり高いといえるでしょう。

セカンドライフ内では犯罪事件も起きていた

近年メタバース上での犯罪事件が問題視されていますが、セカンドライフでも同様のことが起きていた記録が残っています。

2007年3月16日のJ-CASTニュースアーカイブによれば、ゲーム内通貨であるリンデンドルを奪うスクリプトが作られ、被害を生んでいたとのこと。

(引用:J-CAST

またハッキングを用いて何らかの資産を奪い取るユーザーもいたとされています。

これはセカンドライフだけではなく、現代のメタバースにも共通した課題です。

政府には法整備、プラットフォームにはセキュリティ向上、そしてユーザーには自衛が求められるでしょう。

メタバースとセカンドライフの違いは?二の舞で終わらない4つの理由

現代のメタバースはセカンドライフと比べてあまりにも恵まれた環境にあります。具体的には以下の点が挙げられるでしょう。

  1. ブロックチェーンで安全性が保たれている
  2. 仮想通貨とNFTブームによる後押し
  3. インターネットや端末の進化
  4. 投資額が大きい

いずれもセカンドライフ時代にはなかったものでした。それぞれがメタバースにどう関係しているのか解説します。

1.ブロックチェーンで安全性が保たれている

まずメタバースは、ブロックチェーン技術により、不正が発生しづらい状況が保たれています。セカンドライフの時代にはなかったメリットです。

ブロックチェーンとは、簡単にいえば過去の取引や行動をブロックに分けて暗号化し、それを延々と繰り返す技術のこと。

改ざんがあると前後のブロックで暗号が一致しない矛盾が生じるため、不正が発覚します。

セカンドライフでは、プラットフォーム内通貨リンデンドルが盗まれたり、ハッキングによって情報が改ざんされるトラブルがありました。

しかし新しいプラットフォームではブロックチェーン技術が機能し、同様の不正は起こりづらくなっています。

これはセカンドライフ時代と比較して大きな進歩だといえるでしょう。

2.仮想通貨とNFTブームに後押しされている

メタバースが流行し始めたのと同時期に、仮想通貨とNFTがブームを迎えました。

仮想通貨は、メタバースでの活動を支えるうえで必要不可欠な「貨幣」です。またこれ自体が投資対象となり、世界中で取引されています。

NFTは、特にアートが注目されるようになりました。本来ならさほど価値を持たなかったはずのイラストが、NFTによって唯一無二のものだと証明されることで、高値で取引され始めています。

CryptoNinjaというNFTシリーズは、2023年2月23日現在、時価総額37,999.62ETH、日本円にして85億円の価値があるとのこと。

(引用:CoinGecko

Web3.0を代表するこれらの存在が盛り上がっているのは、メタバースにとっても追い風だといえるでしょう。

3.インターネットや端末が進化している

セカンドライフのリリースから20年以上が経ち、通信環境や端末のスペックは劇的に成長しました。

携帯電話はスマートフォンになり、パソコンはMac、surfaceなど高性能な端末が台頭。ゲーミングギアに分類されるハイエンドモデルも登場しています。

ADSL接続は高速の光回線やWi-Fiに切り替わりました。さらには5G回線までもが後に控えています。

これらの環境がセカンドライフ時代よりは圧倒的に進化しているのは明白です。ユーザーはより安定した快適なプレイができるようになっています。

それは最終的に、メタバースのユーザー増加につながるでしょう。

4.投資額が大きい

また投資額が大きいのも、セカンドライフとの相違点です。当時と違い、現在のメタバース市場には世界中の大企業や投資家が投資しています。

よく話題になるのが、Meta社トップであるマーク・ザッカーバーグの投資コミット。2021年には本人が「1年間でおよそ1.5兆円投資する」と宣言しました。

(引用:DIAMOND SIGNAL

日本国内ではソフトバンクや電通など、名だたる大企業が次々と投資しています。

巨額な投資のおかげで、より高度な技術開発やプラットフォームのマネジメントができるようになりました。セカンドライフ時代にはなかった各投資家からの期待は、メタバースの進化を後押ししています。

メタバースが抱えるデメリットとユーザーの向き合い方

メタバースはセカンドライフと比較してかなり恵まれた環境にあり、少なくとも二の舞になることはないでしょう。

一方で現在も、メタバースにはデメリットがあり、またユーザー側にもある意味での努力が求められています。何を知り、どう努力すればよいのか、以下3点から解説するので参考にしてみてください。

  • メタバースが抱える3つの・課題
  • セカンドライフ以上に学習する必要性
  • 楽しむ・お金を稼ぐ方法を知ること

1.メタバースが抱える課題は3つある

  • 高スペックなパソコンが必要
  • セキュリティには改善の余地がある
  • 法整備が求められる

メタバースを動かすには、高スペックなパソコンが必要です。やはり3D空間を無理なく表示するには、ユーザー側の利用環境が整っている必要があります。

またセキュリティの改善も必要です。現在も「なりすまし」や「乗っ取り」など、ありとあらゆる不正行為が懸念されています。

これをどのようにして防止するかは、メタバースの抱える大きな課題。

また法整備も求められます。現在の法律はメタバース内での犯罪行為を処罰対象として一部定義しておらず、例えばNFTの窃盗には窃盗罪を適用できるようにするなどの改善が必要です。

というようにメタバースには乗り越えるべき課題がさまざまあります。これらを乗り越えなければ、期待外れに終わるかもしれません。

2.セカンドライフ以上に積極的に学習する必要がある

ユーザー側は、メタバースを積極的に学習する必要があります。覚えることがたくさんあるからです。

メタバースを楽しむには、NFTやブロックチェーンをはじめ、DAOやPlay to Earn、ミントやERC-20…あらゆる新しい事柄を理解しなければいけません。

そして現在も新しい技術などに関して次々とニュースが飛び込んできます。

本記事執筆日にも、触れた感覚を記録できる「フィールテック」なる技術に関する情報がアップされました。

(引用:METAPICKs

そしてその多くがWeb3.0基準で、ある程度難解です。それらをユーザーが積極的に学び理解できるかどうかが、メタバースの行く末を左右するでしょう。

3.メタバースで楽しむ・お金を稼ぐ方法を知る

ユーザー側は、メタバースそのものを理解するとともに、楽しみ方と稼ぎ方を知って実践する必要があるでしょう。それでこそセカンドライフ以上にメタバースが盛り上がります。

メタバースでは、ゲームをプレイしたりお店を開いたり、イベント開催したりすることが可能です。

さらにNFTアートやアイテムを売ったり、土地を貸し出したりしてお金を稼ぐ方法もあります。セカンドライフが一時的にでも成功したのは、こういった娯楽・経済的要素があったからです。

その成功を再現するには、ユーザー側がメタバースの楽しみ方と稼ぎ方を知る必要があるでしょう。

メタバースに関するQ&A

本記事ではセカンドライフ、そしてメタバースの可能性に関して解説しました。

最後にメタバースに関するよくある質問に回答します。

  • VRと何が違うのか?
  • メタバース広告とは何か?
  • 有名どころのプラットフォームはどこか?

それぞれ詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。

VRと何が違うの?ゴーグル必須?

VRはいわゆる「バーチャルリアリティ」を意味し、仮想現実・仮想現実感と訳されます。一方でメタバースはVRが使われた仮想世界のこと。つまりVRは技術で、それを活用したサービスがメタバースだと言えます。

VRを楽しむには、以下のようなゴーグルなどのデバイスを使わなければいけません。

これを利用すれば、現実世界にいながら、例えば「海の底を歩く」といった仮想現実を楽しむことが可能です。

ただしメタバースを利用するにあたってゴーグルは必須ではなく、通常のディスプレイでも表示できます。

メタバース広告とは何か?

各種プラットフォームに掲示される広告を、一般にメタバース広告と呼びます。

基本的な仕組みは、現実世界の広告出稿と変わりません。広告費用を支払う代わりに、ユーザーへ宣伝するチャンスが得られるわけです。

ただしメタバース広告特有のデメリットがあります。本来は現実世界から一線を画す仮想世界で、広告が表示されることで(つまらない)現実へユーザーを引き戻してしまう点です。

これは、鮮やかな仮想世界を楽しみたいユーザーに強烈な忌避感を与えます。そうすると宣伝効果が得られず、しかもメタバース全体を盛り下げてしまいかねません。

有名どころのプラットフォームはどれ?

有名どころのプラットフォームとして以下が挙げられます。

  • The SandBox
  • Decentraland
  • VRChat
  • Cluster
  • XANA

各プラットフォームの特徴を踏まえ、ご自身の目的に合ったものを選びましょう。

まとめ

本記事では、メタバースがセカンドライフの二の舞に終わるのかについて解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • セカンドライフは2003年にリリースされたメタバース
  • 一時は大ブームになり、1,000万人以上のユーザーがいた
  • しかしグラフィックやシステムの精度や通信環境の不足により、ブームはすぐさま下火に。復活も現実的ではない
  • 現代のメタバースは、おそらくセカンドライフの二の舞いには終わらない
  • 現在のメタバースはブロックチェーンや仮想通貨などのテクノロジーに守られ、通信環境が安定し、莫大な投資も受けている
  • 一方でセキュリティ向上などの課題を抱えている
  • ユーザーがメタバースに対する理解を深め、盛り上げていく必要がある

まだ電車に乗車する際に切符ばかりが使われていた時代に、セカンドライフというメタバースは存在しました。残念ながら人気は失速して定着しなかったものの、非常に画期的なアイデアであったのは事実です。

現代のメタバースがセカンドライフの二の舞になるかといえば、おそらくそうはなりません。2003年ごろと違い、あらゆる技術が進歩して、一般に定着する予感が示されています。

セカンドライフと比較して取り巻く環境が圧倒的に恵まれている点を踏まえれば、少なくとも二の舞で終わることはないでしょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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