メタバース活用企業11選!日本と海外それぞれの事例を紹介

メタバース元年といわれた2022年以来、メタバースを活用する企業は増えています。

メタバースをビジネスにどのように利用しているか気になっている人は少なくないはず。

しかし、

  • 大手企業はメタバースをどのように活用しているの?
  • メタバース事業はうまくいっているの?
  • メタバースに取り組んでいる海外企業も知りたい

このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。結論からいうと、メタバースをビジネスに活用する動きは再び高まっています。

本記事では、大手企業がメタバースをどのように活用しているか、具体例を挙げてわかりやすく解説します。

事例を比較したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

企業がメタバースを活用する3つの理由

企業がメタバースを活用する3つの理由

企業がメタバースを活用する理由を3つにまとめました。

  1. 新しい市場としての可能性
  2. 新たな顧客層の開拓
  3. 物理的な手間やコストダウン

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.新しい市場としての可能性

メタバースは、これまで存在しなかったまったく新しい市場を生み出す可能性を秘めています。仮想空間上で商品やサービスを販売したり、バーチャルイベントを開催したりすることで、新たな収益源を創出しているのです。

また、メタバース独自の通貨やNFTを活用したビジネスモデルも続々と登場しており、企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。

令和5年に総務省がまとめた「情報通信に関する現状報告の概要」では、世界のメタバース市場は2030年に123兆9,738億円まで拡大すると予測しています。

新しい市場としての可能性
出典:総務省

日本のメタバース市場も、予想値で2023年3,255億円から2026年までの3年間で1兆円にまで成長する予想です。

2.新たな顧客層の開拓

メタバースは、時間や場所の制約なくアクセスできるため、世界中の人々にリーチできます。そのため、従来のビジネスではアプローチできなかった新たな顧客層も開拓対象となり得るのです。

とくに、Z世代やミレニアル世代といった、デジタルネイティブな世代は、メタバースに対して高い関心がある傾向です。

電通の「メタバースに関する意識調査2023」によれば、Z世代のメタバース認知度は約9割、利用率は4割となっています。メタバース上での年間課金額も2021年と2022年で比較すると3倍です。

アバターやアバターアイテムの購入以外にも、パフォーマーへの課金やデジタルコンテンツの購入、さらには仮想空間上でのリアルショッピングなど、新しい市場が確実に形成されていることがわかります。

3.物理的な手間やコストダウン

メタバースは物理的な制約がないため、さまざまな手間やコストを削減できます。具体的には、以下のようなコスト削減が可能です。

  • 場所の確保
  • 移動時間
  • 交通費
  • 機材の準備
  • 物理的な距離

数千人・数万人単位のイベントであっても、メタバース上では物理的な障壁なく、世界中からアクセス可能です。

地方に住むクリエイターも移動せずにプロジェクトに参加できるため、才能あるスタッフの確保も容易でしょう。

【日本】メタバース活用企業8選

【日本】メタバース活用企業8選

メタバースを活用している企業の実例を7件紹介します。

  1. 三越伊勢丹|仮想店舗「REV WORLD」
  2. Beams|バーチャルマーケット2024 Summer
  3. ANA NEO株式会社|バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』
  4. 大日本印刷×AKIBA観光協会|バーチャル秋葉原
  5. JR東日本|Virtual AKIBA WORLD
  6. 凸版印刷株式会社|MiraVerseとAVATECT
  7. 日産自動車|VRChatを利用して試乗・ゲーム体験
  8. サイバーエージェント|バーチャルストアを企業に提供

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.三越伊勢丹|仮想店舗「REV WORLD」

三越伊勢丹|仮想店舗「REV WORLD」
出典:REV WORLD

仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム「REV WORLD」は、スマートフォン向けアプリです。新宿東口の一部エリアと伊勢丹新宿本店などで再現されています。

ユーザーは、アバターとしてアプリ内の仮想伊勢丹新宿本店で、化粧品・雑貨・食品・婦人服などの買い物が楽しめます。アプリ上で商品をクリックすると、三越伊勢丹オンラインストアへ遷移するので、実際の商品購入が可能です。

サービスの特徴は以下のとおりです。

  • 友人や家族とチャット機能を利用して一緒に買い物
  • 実際の伊勢丹新宿本店のスタイリストがアバターで接客
  • 自分だけの部屋をコーディネートできるマイルーム機能

REV WORLDでは、三越伊勢丹本店以外にもイオンモールや専門店が出店しており、人気キャラクターショップや推し活ショップなども楽しめます。

三越伊勢丹|仮想店舗「REV WORLD」
出典:PRTIMES

2.Beams|バーチャルマーケット2024 Summer

Beams|バーチャルマーケット2024 Summer
出典:Beams

毎年開催される世界最大のバーチャルイベント『バーチャルマーケット(株式会社HIKKY主催)』にBeamsは毎回出店しています。期間中は、Beams社員がバーチャル接客を実施。

「ZEPETO」などにも出店しており、2024年には「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」としてギネス世界記録にも認定されています。

Beams|バーチャルマーケット2024 Summer
出典:Beams

実在する商品を3D化したパラリアルアイテムは毎回好評です。

2024年5月には「VRChat」に常設ワールド『TOKYO MOOD by BEAMS』がオープンしました。

夜の東京をイメージしており、BEAMS店舗以外にも居酒屋やミュージックバーなど、くつろげる空間が用意されており、雰囲気ある空間が魅力的です。

フォトジェニックなバーチャルワールドとなっており、BEAMS商品を試着するだけでなく、撮影も楽しめます。

3.ANA NEO株式会社|バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』

ANA NEO株式会社|バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』
出典:ANA NEO

バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』は、世界旅行へVR技術を利用して再現できるメタバース旅行サービスです。旅のテーマパーク空間とショッピング空間の2つのサービスで構成されています。

日本国内61か所、海外3か所の全64か所のツアーがあり、観光名所へ行き写真撮影をしたり、ガイドから案内を受けたりできます。実際の景色と遜色ないリアリスティックなグラフィックがアピールポイントです。

ANA NEO株式会社|バーチャルトラベルプラットフォームアプリ『ANA GranWhale』
出典:ANA NEO

ショッピングができるSkyモールでは、実際の商業施設のように各ショップを見て回れ、デジタルアイテムのほかに実際の商品もECショップで購入できます。

4.大日本印刷×AKIBA観光協会|バーチャル秋葉原

大日本印刷×AKIBA観光協会|バーチャル秋葉原
出典:VIRTUAL AKIHABARA

パソコンブラウザからアクセスできるバーチャル秋葉原では、リアルな街並みとバーチャルショップが体験できます。一部のバーチャルショップでは商品の陳列ができ、ECサイトとも連携可能です。

アバターが集える大型モニターでは、商品や作品の展示、および広告などを配置。企業はコンテンツを提示するだけで、バーチャル秋葉原に参画できます。

大日本印刷×AKIBA観光協会|バーチャル秋葉原
出典:VIRTUAL AKIHABARA

2024年7月時点で、バーチャル秋葉原にログインしたところ、ステージではKポップバーチャルグループMAVEのステージを観覧できました。

このグループは、実在する人物のアバターではなく、メタバースのみで存在するバーチャルアイドルです。また、バーチャル秋葉原内の警視庁サイバーセキュリティセンターでは、サイバーセキュリティについて学べます。

5.JR東日本|バーチャル秋葉原駅

JR東日本|バーチャル秋葉原駅
出典:バーチャル秋葉原駅

JR東日本が2022年にオープンしたバーチャル空間「Virtual AKIBA World(VAW)」は、秋葉原駅と周辺の街をバーチャル上に再現しています。駅ホームからは、山手線に乗車可能です。

株式会社HIKKYが主催する「バーチャルマーケット(Vket)」への出店がスタートで、開発にはNTTドコモと連携。スマホやブラウザからも参加できる『Vket Real 2024 Summer』も会場となっています。

6.凸版印刷株式会社|MiraVerseとAVATECT

凸版印刷株式会社|MiraVerseとAVATECT
出典:広重美術館

世界的印刷会社である凸版印刷は、BtoBの領域でメタバース事業を伸ばしています。その事業内容は大きく分けて5つあります。

  • メタバースプラットフォーム:Miraverse
  • ショッピングプラットフォーム:メタパ
  • デジタルツイン型サービス:ワールドトリップ
  • アバター生成システム:メタクローン
  • アバター管理:AVATECT

メタバースプラットフォーム構築で有名なのが広重美術館です。これまで培った印刷技術で作品の詳細をデジタルで再現。

ほかにも美術館や展示会の制作を請け負っており、色味の再現性などにこだわっています。また、ショッピングプラットフォームやアバターの制作など、メタバースをはじめとするデジタル領域の事業を着実に伸ばしているようです

7.日産自動車|VRChatを利用して試乗・ゲーム体験

日産は創立90年を記念し、メタバースで公開している4つのワールドをリニューアル公開しました。それが以下の4つです。

NISSANのメタバースは、VRChat上で体験できます。NISSAN CROSSINGは、銀座にある日産ブランドセンター「NISSAN CROSSINF」をメタバース上で再現。ホームページからVRで新車の試乗が可能です。

日産自動車|VRChatを利用して試乗・ゲーム体験
出典:NISSAN CROSSING

4つ目のワールドとして、日産の名車と写真や動画を撮って楽しむ「NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio」を2024年3月に公開しました。

各スタジオには、交通安全の啓発活動として「交通安全未来創造ラボ」の研究内容が体感できる仕掛けも用意されています。

8.サイバーエージェント|バーチャルストアを企業に提供

サイバーエージェント|バーチャルストアを企業に提供
出典:サイバーエージェント

サイバーエージェントは、企業の販促活動を支援するバーチャルストアを開設。ユーザーは、ストア内で実際の店舗を回るように商品を選んだり商品の商材情報に触れたりできます。

出店の事例としては、日本マイクロソフトがほぼすべての自社ブランド製品をストア内で紹介するなどして好評でした。

メタバース活用企業4選(海外編)

メタバース活用企業4選(海外編)

メタバースを活用している海外企業を4社紹介します。

  1. Gucci|超限定NFTを販売
  2. Walmart|Z世代をターゲット
  3. Marriott Hotel|デジタルツインで商談
  4. NVIDIA|メタバース構築に貢献

1.Gucci|超限定NFTを販売

Gucci|超限定NFTを販売
出典:Gucci

世界的ブランドのグッチは「Gucci Vault LAND」のブランド名で「The Sandbox」内に専門店を構えています。ショップ内では、メタバース内のファッションアイテムやNFTを販売。

SUPERPLASTICとグッチは、コラボによりNFTの限定コレクション「SUPER GUCCI」を初リリース。ハンドメイドされたイタリア製セラミックフィギュアが付属され、注目を集めました。

ほかにもRoblox内にも特設ワールドを開催するなど、メタバースでの発信にも力を入れています。

2.Walmart|Z世代をターゲット

Walmart|Z世代をターゲット
出典:Waimart Realm

世界最大の小売業者であるウォルマートは、バーチャルストアとしてWaimart Realmを立ち上げました。ほかの企業がメタバースから撤退しているにもかかわらず、ウォルマートは仮想世界への投資を拡大しています。

ターゲットとしているのはZ世代。食料品や雑貨以外にファッションアイテムも販売していますが、比較的安価な商品が中心です。

Walmart|Z世代をターゲット
出典:Waimart Realm

また、ブロックゲームなども楽しめるようになっています。

Walmart|Z世代をターゲット
出典:Waimart Realm

3.Marriott Hotel|デジタルツインで商談

Marriott Hotelはホテルやカンファレンスセンターをそのままメタバース内に再現し、顧客はヘッドセットを通して施設内を視察できるようにしました。

会場のテーマやセットアップ、色、照明などは、ニーズに応じて変更できるとのこと。

また、マリオット・インターナショナルが提供する旅行プログラムおよびマーケットプレイスであるマリオット・ボンヴォイのためにNFTを作成しています。

4.NVIDIA|メタバース構築に貢献

メタバースやデジタルツインを実現するためのプラットフォーム・オムニバースを提供するのは、世界的半導体メーカーであるNVIDIA

オムニバースを使用すれば、オンラインやバーチャル上でリアルタイム作業が可能です。メタバース開発に必要なツールと連携でき、多くの企業がシミュレーションなどに利用しています。

メタバース活用企業に関するよくある質問

メタバース活用企業に関するよくある質問

メタバース活用企業に関する、よくある質問を集めました。

  • 日本最大のメタバースは?
  • メタバースが進んでいる国は?
  • メタバースの仕事は年収いくら?

それぞれ詳しくみていきましょう。

日本最大のメタバースは?

日本最大のメタバースプラットフォームはcluster(クラスター)です。累計来場者数は3,500万人以上。法人イベント実施数にも力を入れています。スマートフォン・パソコン・VR機器からアクセスできるマルチデバイス対応のメタバースを構築しています。

オリジナルの会場やアバターの制作だけでなく、企画段階からワンストップで提供。法人向けサービスとしては、社内イベント・採用セミナー・展示会・音楽ライブ・ファンイベント・観光地や街の再現など、さまざまなものを手掛けています。

メタバースが進んでいる国は?

WEF(世界経済フォーラム)の調査によれば、中国、インド、ペルー、サウジアラビア、コロンビアでは3分の2以上の人がXRへの関与に前向きであると答えているのに対し、日本、英国、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツでは3分の1未満にとどまっているとのこと。

メタバースに最も精通しているのは中国で78%、次いでインド(75%)、ペルー(74%)、トルコ(71%)となっています。ちなみに日本は22%でした。

参照:メタバースと拡張現実への熱意は新興国で最も高い

メタバースの仕事は年収いくら?

メタバースエンジニアは高収入の可能性があります。2024年7月時点の求人を見てみましょう。

  • メタバースプランナー 500万円
  • メタバース事業の営業 ~1349万
  • メタバースのサーバー開発エンジニア 850万~1020万円
  • メタバースの研究開発 1000万~1500万円

エンジニアであれば、フリーランスやフルリモートでも働けます。月収で60万円以上といった求人も少なくありません。

参照:求人ボックススタンバイen転職

まとめ

この記事では、メタバースを活用している企業11社を紹介しました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • 新しい経済圏として大手企業がメタバースに取り組んでいる
  • マルチデバイス対応のメタバースが増えている
  • 海外では有名ファッションブランドがメタバースで出店している
  • メタバースを開発できるエンジニアは高収入

メタバースで新しい経済圏を作っていくのは、新興国やZ世代以下の若い層です。メタバースを構築できるエンジニアの収入が高いことからも、メタバースは、次世代経済圏として引き続き注目です!

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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