2025年、仮想通貨市場は歴史的な転換点を迎えています。ビットコインETFの承認、機関投資家の本格参入、そして米国での規制明確化――これらの変化は業界に何をもたらすのでしょうか。
今回、世界第3位の取引高を誇る仮想通貨取引所BitgetのCEO、Gracy Chen氏に独占インタビューを実施しました。150カ国以上でサービスを展開し、1億人を超えるユーザーを抱えるBitgetは、この大転換期をどう捉え、どのような未来を描いているのか。
機関投資家の動向、アルトコインの将来性、CEXとDEXの共存、そしてPayFiやAIといった最新トレンドまで、業界の最前線で指揮を執るChen氏が、仮想通貨の「次の10年」について語ります。特に、Bitgetが目指す「完全なプラットフォーム」構想と、日本市場への期待は必見です。

本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。



こちらこそ、よろしくお願いします。
仮想通貨市場の現在地と次に来るトレンド



今後の仮想通貨市場のトレンドを、どのように見ていますか?



市場は今後も持続的な成長が見込まれています。その原動力は、機関投資家による参入、規制の明確化、そして技術革新です。ビットコインは依然として基盤ですが、AI連動型トークンや実世界資産(RWA)のトークン化など、インフラの成熟と共にアルトコインへの注目も再び高まっています。



最近のビットコイン半減期やETF資金流入も追い風となる一方で、米国の貿易関税のようなマクロ経済要因はボラティリティを引き起こす可能性があります。



なるほど、機関投資家の参入とビットコインの存在感の高まりが、市場の成熟を示しているんですね。



RWAやAI×Crypto、Layer2、DePIN、ミームコインといったトレンドの先に来る、次の大きな流れは何だと考えますか?



今は「ユーティリティとアクセス性の融合」が起きています。次のトレンドは、取引・運用・オンチェーンアクセスといった体験を直感的に一括で提供できるプラットフォームだと考えています。



BitgetのOnchainプラットフォームやBitget Wallet、Morphはまさにその方向性に沿って進化しており、より多くの人が手軽に分散型資産へ関われる仕組みを提供しています。



今後のシフトは、「新しいテクノロジーそのもの」ではなく、「それを誰がもっとも使いやすく形にできるか」という視点に移っていくでしょう。そこにこそ、本当のマスアダプション(大衆導入)の波が訪れると考えています。



ユーティリティとアクセシビリティの融合が、次世代のブロックチェーンサービスの鍵になりそうですね。
Morph(モーフ)とは、Bitgetが投資するイーサリアムのLayer2ブロックチェーン。2つの異なる高速化技術(OptimisticとZK Rollup)を組み合わせることで、速さと安全性を両立。一般ユーザー向けのWeb3.0アプリを動かすための基盤として開発されている。





仮想通貨業界は予測が難しいですが、今後5〜10年で起こり得る大きな変化は何だと考えますか?



今後10年を見据えると、ブロックチェーン関連の雇用が大きな成長分野になると予想しています。分散型技術が成熟していく中で、ブロックチェーン開発、コンプライアンス、DeFi運用などの専門スキルを持つ人材への需要が急速に高まっています。



Bitgetのリサーチチームでは最近、ブロックチェーンとAI分野の雇用比較に関する調査を行いました。その中で明らかになったのは、AIが既存の業務を自動化する一方で、ブロックチェーンはこれまで存在しなかった全く新しい職業やキャリアパスを生み出しているという点です。



このことから、ブロックチェーンは革新性と持続可能性を兼ね備えた「雇用の新たなエンジン」として、今後社会全体に大きなインパクトを与えると見ています。



ありがとうございます。
ブロックチェーンが単なる金融技術ではなく、革新性と持続可能性を兼ね備えた「雇用の新たなエンジン」になるという視点は新鮮でした。
仮想通貨が日常生活に浸透するだけでなく、社会全体の雇用創出にも貢献していく未来が見えてきますね。
DeFi(ディーファイ)は「分散型金融」の略称。銀行などの仲介者を通さず、ブロックチェーン上で直接お金の貸し借りや交換ができる仕組み。スマートフォンとネット環境があれば誰でも利用でき、24時間365日取引可能なのが特徴。


アルトコインシーズンは再来するのか



様々なブロックチェーンが台頭するなか、以前のようなアルトコインブームは再び訪れると思いますか?



今回のサイクルではアルトコインへの資金流入はやや鈍化していますが、過去の傾向を見れば「忍耐は報われる」ことを示しています。



一般に、ビットコインのドミナンスがピークに達すると、その利益がよりリスクの高い資産へと流れ、アルトコインのラリーが始まります。ユーティリティが明確なプロジェクト、たとえばDencunアップグレード後のEthereumやSolanaの機関導入は、次のアルトシーズンを牽引する可能性があります。



単なる投機ではなく、実際の利用価値があるアルトコインが選別される時代に入っているということですね。



実際に英国のR3が、100億ドル超の資産を持つ金融機関をSolanaに統合する動きも始まっていますね。
参照:CoinDesk|大手伝統的金融機関、ソラナ上でトークン化の取り組みを推進


取引所の進化|CEXとDEXが共存するハイブリッド時代



HyperliquidをはじめとするDEX(分散型取引所)の台頭に対し、CEX(中央集権型取引所)の未来はどうなると考えますか?



CEXは消えることはなく、進化していくと考えています。カストディ、流動性、規制遵守を提供しながらDEXとの連携も果たす、ハイブリッド型の中核ハブとなるでしょう。



CEXは機関投資家にとっての「オンランプ(法定通貨 → 仮想通貨への入口)」としての役割を果たし、一方でDEXは革新の最前線を担います。それぞれが役割を分担する構図が今後のスタンダードになるはずです。



ユーザーの入り口としてのCEX、イノベーションの実験場としてのDEX、という役割分担が明確になってきているんですね。


Bitgetのロードマップと革新的プロダクト



Bitgetで予定している新機能や取り組みがあれば教えてください。



今年はBitgetをさらに「完全なプラットフォーム」へと進化させることに注力しています。機関投資家向けには、統合アカウントや個別対応の貸付サービスを展開し、マーケットメイカー向けのインセンティブも強化しています。



一方で一般ユーザーに向けては、より簡単にWeb3.0にアクセスできる環境を整えています。たとえば、期待値の高いトークンを取引できるOnchainプロダクト、130以上のエコシステムをカバーするBitget Wallet、そしてパブリックチェーンMorph上での実用的なWeb3.0アプリケーションなど、よりスマートでシームレスな体験を目指しています。



プロ向けの高度な金融サービスと、初心者でも使いやすいWeb3.0ツールの両方を充実させる。まさに「完全なプラットフォーム」として、あらゆるユーザーのニーズに応えようとしているんですね。



現在、特に注目しているセクターやテーマはありますか?



特に注目しているのは、PayFiの進化とAIとの融合です。Bitget Walletを通じたPayFiは、仮想通貨を「保有するだけの資産」から「積極的に使える金融ツール」へと変えることを目指しており、ユーザーが稼ぎ、送金し、使うという行動をシームレスに実現します。



これは、仮想通貨を日常生活により実用的に根付かせる可能性を秘めています。また、AIとブロックチェーンの融合は、取引戦略の高度化やUXの向上など、革新の新たな道を切り開いています。これら2つの領域は、仮想通貨をより幅広い層へと届ける鍵となるでしょう。
PayFi(ペイメントファイナンス)は、伝統的な決済システムとブロックチェーン技術を組み合わせ、より迅速で低コストかつ透明性の高い取引を実現することを目指した金融モデルです。引用:Bitget Wallet



PayFiで仮想通貨が「使える資産」になり、AIで誰でも高度な取引ができる。技術の進化が、仮想通貨を特別なものから日常的なツールへと変えていくんですね。



個人的な夢として、いつかBitgetに実装したい機能や構想はありますか?



Bitget Walletに統合された分散型IDシステムです。これにより、DeFiと伝統金融(TradFi)を横断したKYCが可能になり、ユーザーはより自由に、かつシームレスに資産活用ができるようになります。



たとえば、NFTを担保に資金を借り入れながら、Bitgetのエコシステム内にとどまれるような世界 -少し未来的かもしれませんが、ぜひ実現したいビジョンです。



ありがとうございます。
技術的なハードルは高そうですが、実現すれば金融サービスの在り方を根本から変える可能性がある。とてもワクワクする構想ですね。
分散型IDは、個人情報を企業や政府ではなく自分自身で管理できる仕組み。例えば、お酒を買う時に生年月日を教えなくても「20歳以上」という事実だけを証明できる。プライバシーを守りながら、必要な情報だけを相手に伝えられる技術のこと。
マクロ環境と規制が市場に与えるインパクト



トランプ前大統領の今後の政策が、仮想通貨市場に与える影響についてどう見ていますか?



仮想通貨に前向きな政権は、米国における導入を加速させる可能性があります。ビットコインが戦略的準備資産と認識されれば、規制の明確化が進み、海外に流出していた取引所も米国に戻るかもしれません。



ただし、州ごとの障壁は依然として存在します。トランプ政権が「仮想通貨担当官(Crypto Czar)」を任命したことは、その強い意欲の表れと受け取っています。



2025年5月7日にニューハンプシャー州が米国で初めて暗号資産準備金法案を承認した先駆的な動きに続いて、連邦政府も専任担当官を設置。
地方と中央の両方から仮想通貨の制度化が進む米国は、まさに業界のゲームチェンジャーになりそうですね。
Gracy Chen CEOのビジョンと組織ミッション



CEOに就任されて以来、最も困難だった瞬間と、最も達成感を得た瞬間は?



最も困難だったのは、未開拓市場での仮想通貨普及と、各国の規制を両立させる戦略の策定でした。異なる司法管轄の規制に対応しつつ、より多くの人に仮想通貨を届けるには、綿密な戦略とチームの連携が欠かせませんでした。



一方、最も達成感があったのは、こうした取り組みが実を結び、アクセスが限られていた地域でBitgetのサービスが浸透したときです。地域社会にポジティブな変化をもたらせたことは、私たちの使命を再確認する瞬間となりました。



未開拓市場こそがチャンスという視点と、地域を超えたサービス展開への意欲。まさに仮想通貨の『民主化』を目指すリーダーの姿勢ですね。



次にBitgetを通じて、最終的に成し遂げたいビジョンを教えてください。



私たちは、ユーザーが「賢く取引したい」と思ったときに最初に思い出してもらえる存在を目指しています。初心者にもプロフェッショナルにも、Bitgetが「Web3.0と仮想通貨の架け橋」となるようなプラットフォームを創りたいのです。直感的で力強く、未来を見据えた、そんな基盤を構築し、「成長が自然に感じられる環境」を届けていくことがゴールです。



Web3.0への入口として、そして成長のパートナーとして。Bitgetが目指す『架け橋』としての役割は、まさに今の時代に必要なものですね。



その目標を実現するうえで、課題やボトルネックと感じるものはありますか?



もちろん課題はあります。規制の整備はまだ業界のスピードに追いついておらず、グローバル展開するうえでは複雑な要素になり得ます。また、ユーザー教育も大きなテーマです。Web3の世界は動きが早く、ユーザーが新技術を理解し、安心して活用できるようサポートすることが必要不可欠です。



さらに、Bitget自身のインフラも、拡大し続ける多様なユーザーベースを支えられるよう、常にアップデートしていく必要があります。とはいえ、これらは「前向きな課題」です。それだけ業界が成長しているという証でもあり、Bitget自身が前進している証でもあります。



規制、教育、技術革新。確かに課題は山積みですが、それを「前向きな課題」と捉える姿勢に、Bitgetの成長への自信を感じます。



本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。仮想通貨業界の最前線で活躍されているGracy Chen氏から直接お話を伺えて、大変勉強になりました。Bitgetのさらなる発展を楽しみにしています。
まとめ:仮想通貨の「次の10年」を見据えたBitgetの戦略
今回のインタビューを通じて、Gracy Chen氏から仮想通貨業界の現在地と、Bitgetが描く未来像について貴重な洞察を得ることができました。
機関投資家の本格参入やビットコインETFの成功、米国での規制明確化など、仮想通貨市場は大きな転換点を迎えています。こうした中、Bitgetは単なる取引所の枠を超え、機関投資家から一般ユーザーまであらゆる層に最適化されたサービスを提供する「完全なプラットフォーム」を目指しています。
PayFiによる仮想通貨の日常利用促進、AIを活用した高度な取引戦略の民主化、そして将来的には分散型IDシステムの実現など、革新的な取り組みを次々と打ち出しています。「賢く取引したい」と思ったときに真っ先に選ばれる存在へ――Bitgetの挑戦は、仮想通貨の未来そのものを形作っていくことでしょう。
Bitgetについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

