出典:XR World
NTTドコモは通信技術の先駆者として、人々がつながる機会を常に創出してきました。
新たな舞台としてNTTドコモが注目しているのはメタバースです。
しかし、
- どのようなメタバース事業に取り組んでいるの知りたい
- XR Worldとはどのようなものか知りたい
- メタバース事業の具体的な事例を知りたい
などの疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、NTTドコモはさまざまなメタバースプラットフォームを提供しています。
本記事では、NTTドコモが提供するメタバース事業と今後の取り組みについて詳しく紹介します。
XR Worldの始め方についても詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
NTTドコモのメタバース事業への取り組み
通信事業で培った技術を基に、NTTドコモは新たな市場として注目されているメタバース事業に参入しています。
NTTドコモのメタバース事業への主要な取り組みと、今後の展開をまとめました。
- 仮想空間メタバース事業に総額600億円投資
- NTT QONOQ(コノキュー)の設立
- 5Gから6Gへ「人間拡張基盤」が世界を変える
これらの項目について詳しく見ていきましょう。
1.仮想空間メタバース事業に総額600億円投資
2022年9月にNTTドコモは600億円を投資して、メタバースやAR(現実世界を拡張する技術)の専門会社NTT QONOQ(コノキュー)を設立。メタバース事業に本格参入することを正式に発表しました。
NTT QONOQではエンタメサービスや、外部の企業向けにメタバース空間を提供しています。
近年、メタバースの市場規模は急速に拡大しており、2021年に4兆2,640億円だったものが、2030年には78兆8,705億円まで増加すると予想されています。
NTTドコモは200人以上の技術者を集めて携帯電話事業の停滞を打開し、新たな収益源を創出する計画です。
他社がすでにメタバースで提供しているサービスとしては、大手デパートの商品販売や地方自治体での観光情報提供などがあります。
これまでの通信事業で蓄積された技術と知識で差別化を図り、今後もメタバース事業を推進していく予定です。
2.NTT QONOQ(コノキュー)の設立
NTTドコモは新たにNTT QONOQを設立し、2022年10月からXR事業をスタートしました。
VR・AR・MRなどXR技術を用いて、以下の3つの主要な分野でサービスを提供しています。
- メタバース事業
- デジタルツイン事業
- XRデバイス事業
- デジタルツインとは?
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現実世界から収集したデータをコンピューター上で再現する技術。
- XR(クロスリアリティ)とは?
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現実世界と仮想空間を融合し、仮想空間で知覚できる技術の総称。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)がXRに含まれる。
NTTグループの技術力、顧客基盤、営業基盤を活用し、個人・法人向けにリアルとバーチャルを融合した新体験のXR事業を提供。
製造、流通、小売業界での業務変革もサポートしています。
さらに、日本電信電話株式会社やドコモの研究開発部門と連携し技術開発を加速。
新会社NTT QONOQの社長である丸山誠治氏は、国内グループ全体の連携を強調しつつ海外への進出も視野に入れています。
メタバース事業
NTT QONOQはマルチデバイス対応メタバースXR Worldを通じて、アバターを使った新たなバーチャル体験や、コミュニケーションの機会を提供。
Matrix Streamでは、リアル会場、バーチャル会場、オンライン配信のすべてにおいてリアルタイムでバーチャルライブを実施できます。
これらのメタバース空間は、バーチャルアーティストの新たな活動の場として期待されています。
デジタルツイン事業
NTT QONOQはXR Cityを中心にパートナー企業と協力し、リアルな世界と仮想空間を自由に行き来する「新しい現実」が体験できるデジタルツイン事業を展開。
XR Cityではスマートフォンを特定のエリアにかざすと、その場所に適したARコンテンツが表示されます。
どこでも同じコンテンツが表示されるわけではなく、エリア独自のARコンテンツが話題となっています。
たとえば2021年12月には、大阪・梅田エリアの特定のエリアから上空にカメラを向けると、天空の城ラピュタの天空城が表示されるイベントが開催されました。
XR Cityを活用すれば、地域の活性化や店舗への集客が期待できるでしょう。
XRデバイス事業
XRデバイスは独自のウェアラブルデバイスの開発を手掛ける事業です。
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークやバーチャルイベントが急速に普及。XRテクノロジーの需要は急速に高まりました。
VRゴーグルなどのXRデバイスを利用すれば、作業現場での安全性と効率性が大幅に向上します。
たとえば、XRデバイスをヘルメットに装着して音声操作することで、ドキュメントの参照や写真、動画の撮影などが可能になります。
XRテクノロジーを活用すれば、リアルな作業をスムーズかつスマートに進行することが期待できるでしょう。
3.5Gから6Gへ「人間拡張基盤」が世界を変える
メタバースが日常の一部になるためには、技術的な課題の解決やコミュニティーの活性化が不可欠です。
将来的には革新的なイノベーションも加速し、6Gの時代になると現実と仮想空間がリアルタイムでつながるようになるかもしれません。
NTTドコモはすでに次世代となる「6G(第6世代移動通信システム)」の研究開発を進めています。
他人の動きや感覚をセンサーで捉え、遠くにいる人が装着したデバイスやロボットで再現できる技術を開発中です。
実用化すれば、たとえばピアノが弾けない人でも専用デバイスを身につければ、誰でもプロ級の演奏が可能となります。
ほしいスキルを誰でもすぐに手に入れられる時代が来るかもしれません。
NTTドコモが提供する主なメタバース事業3つを紹介
収益の柱だった個人向け通信事業が先細りしつつあると懸念される中、NTTドコモは新たな成長戦略を立てています。
NTTドコモは2026年度までに、メタバースを含む非通信領域からの売上高を全体の半分以上にすると計画しています。
ここでは、NTTドコモが展開する主なメタバース事業を3つ詳しく見ていきましょう。
- XR World(XR ワールド) | 無料で遊べるメタバースプラットフォーム
- XR City | 新感覚街あそびアプリ
- MetaMe | メタコミュニケーション
1.XR World(XR ワールド) | 無料で遊べるメタバースプラットフォーム
XR World(XR ワールド)はマルチデバイス型メタバースサービスです。専用のデバイスやアプリが不要で、PCやスマートフォンから手軽にアクセスできます。
音楽、アニメ、ダンスなどのエンタメコンテンツや、有名アーティストとのコラボイベントなど見どころが満載です。
アプリのダウンロードや登録は不要で、Webブラウザから直接アクセス可能。
一部の有料コンテンツを除き無料で利用できます
XR World Plaza
XR World PlazaはXR World内の区画のひとつ。最新の仮想世界やイベント情報を探索し、他のユーザーとの交流を楽しめます。
さらに、XR World内のGLASS機能対応空間では、第一弾のイベントとして人気アニメ、エヴァンゲリオンのイベントが開催されました。
- GLASS機能とは?
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アバターに装着できるアイテム。装着することでエリア内に特別なキャラクターやイベントが登場する。
抽選で200名にEVA GLASSを配布。エヴァンゲリオンに登場するキャラクターたちと会話し、彼らから依頼されるミッションを楽しめました。
AKB48 SURREAL Theater
2022年10月5日、リアルとバーチャルの境界を越えた新たなメタバース専用ユニットAKB48 SURREALが誕生しました。
当初のAKB48 SURREALは、下記のAKB48のメンバー6人で構成されていました。
- YUI YUI(小栗有以)
- NARU(倉野尾成美)
- MIU(下尾みう)
- ERII(千葉恵里)
- ZUCKY(山内瑞葵)
- REMI as SURRY(徳永羚海)
2ndライブとなるWonderland公演からは、HIYUKA(坂川陽香)も加入し7人組として新たなスタートを切っています。
AKB48 SURREAL Theaterでは、Wonderland公演の告知映像やメイキング映像を楽しめますよ。
2.XR City | 新感覚街あそびアプリ
XR City(XRシティ)は、スマートフォン・タブレットで体験できるXRアプリケーションです。
XR技術を活用して建物や街をデジタル化することで、現実空間とデジタル情報を融合。
物理的な制約を超えたコンテンツ提供や空間演出、ユーザー間でのコミュニケーションが可能です。
ウルトラセブン55周年コラボAR
ウルトラセブン55周年を記念した特別なARコンテンツは、ウルトラセブンの魅力溢れる世界を体験できる特別なイベントです。
ウルトラセブンの世界の怪獣やメカニックが目の前に迫力満点で登場します。また、LINEとARを活用して、無料で謎解きイベントに参加可能です。
City Lights AR
イベント各所に配置されたARコンテンツ「City Lights AR」にXR Cityアプリからカメラを向けると、スマホ上にARで彩られたカラフルなイルミネーションが出現。
現実とデジタルが融合した、幻想的なフィルターを通じて写真を撮影できます。
雪の結晶や光のカーテン、カラフルな雨粒に囲まれた状態で撮った写真は特別感があると話題になりました。
3.MetaMe | メタコミュニケーション
MetaMe(メタミー)は、同時に10,000人以上接続可能なメタバースコミュニケーション空間です。
さらに、他のユーザーに話しかけるとコミュニケーションコインを獲得可能。獲得したコインは空間内のアイテムと交換できます。
アイテムを使ってアバターを着飾れば、ユーザー間の交流をより楽しめるでしょう。
Identity World
Identity World(アイデンティティワールド)は、利用者の価値観を反映し「私らしさ」を表現する場です。
利用者一人ひとりに与えられた空間を好みに応じて自由にカスタマイズできます。
また、フレンド登録した利用者同士であれば、互いのIdentity Worldを訪問できるため、他の利用者とのコミュニケーションも可能です。
Community World
MetaMeのアバターは個々の趣味や好みに基づいて色分けされたオーラをまとっています。そのため、メタバース空間で気の合う人々を簡単に見つけ出せます。
自分と相性のよい人が最初からわかるため、同じ価値観を持つ人々とのコミュニティを形成しやすいでしょう。
また、NTTドコモとパートナー企業との連携により、今後もさまざまな空間が展開される予定です。
XR Worldのやり方
XR Worldは会員登録不要で、XR World Plazaに入場するだけですぐに楽しめます。
一部のサービスでは課金が必要ですが、基本的には無料で利用できます。
気の合う仲間を見つけて交流を深め、一緒に謎解きイベントに参加したり広場のモニターで開催されるライブを楽しんだりしましょう。
ここでは、XR Worldのやり方を以下の手順で解説します。
- 公式サイトにアクセス
- アバター・ニックネームを選択
- XR Worldワールドに入場
アバター・ニックネームを選択
数秒待つとXR Worldへようこそ!の画面になるため「START」をクリックします。
お気に入りのアバターを選び「決定」をクリックします。
アバターの名前は後からでも変更可能。
また、イベントの時期にはキャラクターや特別仕様のアバターも選べます。
ニックネームを入力して「決定」をクリックします。
操作方法の画面で操作を確認したら「次へ」をクリックします。
XR Worldワールドに入場
「次へ」をクリックします。
テキストチャットの利用方法と規約を読み「同意して次へ」をクリックします。
ボイスチャットの利用方法と規約を読み「同意して次へ」をクリックします。
チュートリアルが完了し「次へ」をクリックすると入場できます。
初期設定ではボイスチャットがONになっているため、テキストのみで参加したい方はボイスチャットをOFFに切り替えておきましょう。
XR Worldの中心は、最初に入場するXR World Plazaという広場です。
XR World Plazaではイベント情報が入手できます。新しい仲間を見つけ積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。
AKB48 SURREAL Theaterや謎解きなどが開催されている会場へも、この広場から移動できます。
以下のページからdアカウントを使ってログインすると、フレンド登録や有料コンテンツ購入もできるようになります。
ドコモのメタバース事業に関するQ&A
ドコモのメタバース事業に関するよくある質問と回答を紹介します。
疑問をお持ちの方は参考にしてください。
- ドコモのメタバースでは何ができますか?
- XR Worldの評判は?
- ドコモの仮想空間「メタバース」はすべて無料で遊べますか?
- ドコモのメタバースでは何ができますか?
-
ドコモのメタバースでは、アバターを介した仲間との交流、音楽、アニメ、ダンスなどのエンタメコンテンツ、有名アーティストとのコラボイベントなどを楽しめます。
NTTドコモが提供している主なメタバース事業は以下の3つです。
- XR World
- XR City
- MetaMe
これらのサービスは現実と仮想空間の行き来を可能にし、新たな集客プラットフォームとしても利用できます。
- XR Worldの評判は?
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過去のXR Worldの評判として「過疎化している」「誰もいない」などの声が見られました。
しかし、最新のTwitterでは、「XRワールド最高!」「同じルームの方ともフレンドリーに お話しができて楽しかった」など好意的な口コミが多く見られました。
会員登録が必要なく無料で遊べるXR Worldは、手軽にはじめられるコミュニティだと評判のようです。
- ドコモの仮想空間「メタバース」はすべて無料で遊べますか?
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XR World内の基本的なコンテンツは無料で利用できますが、イベント参加やプレゼントアイテムの購入など一部有料となるコンテンツもあります。
有料コンテンツは、ドコモ払い、dカード・クレジットカードなどで支払い可能で、dポイントも利用できます。
また、通信料は別途かかり、ボイスチャットや映像の視聴などを行うと通信量が高額になる可能性があります。
そのため、定額の通信サービスを利用するかWi-Fiに接続した状態での利用がおすすめです。
まとめ
本記事では、NTTドコモのメタバース事業について詳しく解説しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- NTTドコモの主要なメタバース事業はXR World、XR City 、MetaMe
- 2026年度までにメタバースを含む非通信領域からの売上高を全体の半分以上とする計画
- NTTドコモは6G(第6世代移動通信システム)の研究開発に着手
NTTドコモは通信事業の先駆者としての技術を活かし、豊かで楽しい仮想体験の提供を目指しています。
今後もメタバース事業におけるNTTドコモの国内外への展開に注目です。