Bitget Researchのチーフアナリスト、Ryan Lee氏は、2025年における仮想通貨業界の大きな変革として「分散化トレンド」を挙げています。
これまでの中央集権型取引所(CEX)の利便性や使いやすさに加え、分散型取引所(DEX)の特徴である安全性や自由度が注目され、両者の「融合」が進むと予測されています。
具体的には、以下の3つが分散化トレンドを牽引する重要な要素とされています。
- 分散型取引所(DEX)の利用拡大
- イールドファーミングの普及
- クロスチェーン取引の進化
トレンド1:分散型取引所(DEX)の利用拡大
分散型取引所(Decentralized Exchange: DEX)は、仲介者を必要とせず、ユーザー同士が直接仮想通貨を取引できるプラットフォームです。
仲介者が不在であるため、取引手数料が削減されるだけでなく、セキュリティや透明性が向上します。
例えば、有名なDEXであるUniswapやPancakeSwapでは、スマートコントラクトを活用して迅速で安全な取引が可能です。
また、DEXは中央管理者がいないため、規制や検閲の影響を受けにくいという特徴もあります。
トレンド2:イールドファーミングの普及
イールドファーミングとは、仮想通貨を特定のプラットフォームに預けることで利回りを得る投資手法です。
これにより、ユーザーは単なる保有以上の利益を得ることが可能になります。
例えば、流動性プールに資産を提供し、その見返りとして報酬を受け取る仕組みが一般的です。
このような仕組みは、DeFi(分散型金融)の成長を支える重要な要素となっています。
トレンド3:クロスチェーン取引の進化
クロスチェーン技術とは、異なるブロックチェーン同士をつなげて、資産やデータを自由にやり取りできる仕組みのことです。
この技術を実現するために使われるのが「ブリッジ」と呼ばれる仕組み。
ブリッジを利用すれば、たとえばイーサリアムやビットコインといった異なるブロックチェーン上の資産を簡単に交換したり移動したりできるようになります。
ブリッジは、あるブロックチェーン上の資産を別のチェーンで使える形に変換する役割を果たし、異なるエコシステム間の垣根を取り払うといえるでしょう。
クロスチェーン技術の進化は、より多くの人が仮想通貨やブロックチェーンを活用できるようにする鍵となり、新しいビジネスチャンスも生み出すと期待されています。
ユーザー教育とセキュリティ対策の重要性
分散化トレンドにより、ユーザーの資産管理権限やプライバシーは向上すると考えられます。
しかし、一方で、新たな課題をもたらします。
- ミーム系暗号資産を使った詐欺
- スマートコントラクトに関するセキュリティ上の問題
ミーム系暗号資産は人気が高まる一方で、詐欺目的で作られるケースもあるため注意が必要です。
また、スマートコントラクトは便利である一方で、プログラムに脆弱性があるとハッカーによって攻撃を受けて資産が盗まれる場合があります。
さらに、分散型取引所(DEX)や分散型金融(DeFi)の仕組みを十分に理解していない初心者のユーザーが、不適切な操作をしたり、詐欺に巻き込まれたりするリスクも高まっています。
そのため、ユーザーが安全な取引方法やリスク管理について学べるよう、教育を充実させることがとても重要です。
中央集権型取引所(CEX)の対応と競争力維持
中央集権型取引所は、競争力を維持するためにハイブリッドサービスの提供を検討する必要があるでしょう。
CEXは、これまで使いやすさや取引の速さを武器に、多くのユーザーに利用されてきました。しかし、最近では分散型取引所(DEX)が注目されており、CEXも競争力を保つために新しい方向性を模索しています。
その一つが、中央集権型と分散型の特徴を組み合わせた「ハイブリッドサービス」の提供です。
仮想通貨市場では、多くの取引所やサービスが登場し、それぞれが異なる特徴を持っているため、ユーザーが複数のプラットフォームを使い分ける必要がある状況が生まれています。
このような状況は「市場の断片化」と呼ばれ、ユーザーにとっては不便さを感じる原因となっています。
市場全体としては、さらなる断片化が進むと予想され、中央集権型プラットフォームの利便性に匹敵するユーザー体験の向上が重要な焦点となります。
CEXとDEXの融合が鍵
仮想通貨取引所の未来は、中央集権型(CEX)と分散型(DEX)の融合が鍵を握っています。
CEXはこれまで使いやすさや取引の速さが強みでしたが、最近ではDEXが持つ安全性や自由度が注目されています。
この2つの良い部分を組み合わせた新しいサービスが必要とされるでしょう。
ただし、課題である初心者向けの教育やセキュリティ対策を強化し、安全で使いやすい環境を整えることが、仮想通貨市場の成長と信頼性向上につながるでしょう。