さまざまな企業が進出しているメタバース。お笑いで有名な吉本興業もメタバース事業に進出しています。
しかし、
- どのような事業内容?
- お笑い芸人さんもメタバースに?
- コラボ企画もある?
このように気になっている方は多いのではないでしょうか?
結論から言うと、吉本興業のメタバース事業は地方自治体とも組み、新しいサービスを創出しています。
今回は、そんな吉本興業のメタバース事業について詳しく紹介。本記事を読めば、吉本興業の新規事業内容やメタバースの活用方法について深く理解できるでしょう。
「こんなこともやってたの?」と驚くかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
吉本興業が手掛けるメタバース事業
吉本興業が手掛けるメタバース事業は、大きく分けて次の5つです。
- 月面劇場|オリジナルメタバース空間
- 地方創生|養父市と提携
- 企画プロデュース
- アバターの貸出
- コンサルティング
順番にみていきましょう。
1.月面劇場|オリジナルメタバース空間
2022年8月、吉本興業創業110年を記念してメタバース空間「月面劇場」がオープンしました。参加者は、スマホアプリから吉本のメタバース空間へ参加できます。
月面劇場で楽しめる内容は、大きく分けて次の7つ。
- アバター&ルームを選ぶ
- チャットやエモート機能で楽しむ
- ワールドを探索してコインを収集する
- コインとアイテムを交換する
- ネタを鑑賞する
- スタンプで芸人を応援する
- 芸人のリアルアバターとチャットなどで直接交流できる
好きな芸人さんをスタンプで応援でき、推し活を楽しめます。スタンプ数が人気投票となり、芸人さんに収益が還元されることも。
遠方の友達とメタバースで待ち合わせして、一緒にお笑いライブを楽しむことも可能です。
専用アプリで鑑賞できる
月面劇場はスマートフォンの専用アプリから観賞できます。まずは登録して、FANY IDを取得しておきましょう。
2.地方創生|養父市と提携
地方創生の一環として吉本興業は養父市と提携して、メタバース上に「メタバースやぶ」をオープン。
市の魅力発信や交流拠点として、仮想空間と現実世界を結ぶイベントなどで市の魅力を発信しています。
もともと吉本興業は、2011年4月にスタートした「あなたの街に住みますプロジェクト」で、全国47都道府県に芸人を派遣。
地域密着で活動するなど、地域貢献・地方創生活動に取り組んでいました。「住みます芸人」は、地域に密着した芸能活動に取り組み、イベントの出演や物産展での紹介など地域振興活動を行っています。
養父市と提携してVRChat上で利用できるメタバースをオープンしたのも、その流れをくんだものです。
アバターを使ってユーザーと交流できるソーシャルVRプラットフォーム。
自然豊かである一方、高齢化が進む養父市は、メタバースのような先端技術を利用しながらビジネス特区を目指しています。
2Dメタバース「バーチャルやぶinZEP」もオープン
2023年にはソフトバンクと提携し、2DメタバースプラットフォームZEPを活用したメタバース空間「バーチャルやぶinZEP」もオープン。
VRゴーグルがなくても、スマートフォンやウェブサイトから気軽にアクセスできます。
養父市を代表する観光スポットや市役所などをメタバース上に再現し、市民同士の交流や会議スペースなども提供。
リアルと連動したイベントも開催し、PR活動に協力しています。
3.企画プロデュース
エンターテイメント事業者として、早くからメタバース事業に参入した吉本興業。
そのノウハウを生かして企業のメタバース作成・コンテンツ作成などをプロデュースしています。
養父市のようなメタバース開発や、吉本芸人とのコラボなども可能。ネットショッピングやふるさと納税返礼品などと絡めて、盛り上げることもできます。
他にも次のようなメタバースを利用した提案をしています。
- お笑いイベント(リアルイベントとも連動)
- 商品のキャンペーン
- イベントプロモーション
CM契約がない自治体や企業であっても利用できます。興味がある場合は問い合わせてみましょう。
4.アバターの貸出
バーチャル上で開催されるイベントやキャンペーンを盛り上げるため、芸人のアバター貸し出しも行っています。
本人が操作するアバター、スタッフによる操作付きアバター、アバターのみ貸出など予算に応じて選べるプランを用意。
例えば、メタバース上で開催する世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Winter」では、JR東海のブースに、所属タレントのアバターを出演させました。
芸人以外にもアイドル・スポーツ選手・キャラクター・VTuberなどのアバター化と管理を行うサービスも展開しています。
配信・ゲーム・野外モニタ・観光スポット・お笑いライブ・花火大会などさまざまなイベントに利用できそうです。
5.コンサルティング
すでに運用しているメタバースや開発会社が決まっているメタバースであっても、盛り上げるためのコンテンツ相談やアイデア提供などが可能。
自社で運営するメタバースをブラッシュアップするため、コンサルティングの依頼もできます。
企画の提案・協賛企画・YouTube・SNS連携・番組タイアップなど、所属芸人とのコラボによる企画もできるのが吉本興業の強みでしょう。
メタバースプラネットでお笑い番組を配信
チョコレートプラネットがMCを担当し、メタバースの特性を生かしたバラエティ番組をテレビ東京から配信。
全部で24回放送されました。過去の放送は吉本興業のサービス・FANY channelで配信されています。(FANY channelについては、後ほど詳しく解説します)
バーチャルやぶとは?メタバース空間で養父市の魅力を発信
吉本興業は地方自治体と組んで、メタバース事業を進めています。特に注目されたのが兵庫県養父市との提携です。おもな特徴は次の3つ。
- メタバース上で養父市を再現
- 吉本芸人とのコラボ
- バーチャルやぶの利用方法
順番にみていきましょう。
1.メタバース上で養父市を再現
人口約2万2千人の地方自治体・養父市は吉本興業と組み、メタバースを利用した地方創生に、2022年から取り組んでいます。
交流したい人数目標を100万人と定め、吉本興業所属の芸人ともコラボイベントを開催。メタバースを通して次のようなサービスを提供しています。
- バーチャルやぶの市役所でデジタル住民票を発行
- 1円列車に乗って観光名所を巡るアトラクション
- 環境スポットや地元特産物の紹介
- 吉本芸人によるイベント
メタバース上では、会議スペースの貸出や市民同士の交流もできます。オープニングイベントでは、市長のアバターとガリガリガリクソンのアバターが登壇し、メタバースの立ち上げを盛り上げました。
1円電車とは
1円電車は、兵庫県養父市にある明延鉱山の鉱山鉄道です。正式名称は明神電車で、約6キロの軌道を走っていました。
客車の乗車賃が1円だったことから「一円電車」とよばれており、2022年4月に30年ぶりに復活。現在は150mの路線を走っています。
メタバース上でも1円列車を再現しており、アトラクションとして楽しめます。
2.吉本芸人とのコラボ
バーチャルやぶは、数多くの吉本興業の芸人ともコラボレーションしています。オープニングでは、くっきー!がバーチャルやぶの1円列車などを体験。
ほかにも、とろサーモン、ロッシー、野生爆弾、銀シャリなどもオープニングを盛り上げました。
オープニングセレモニーにはガリガリガリクソンが出演
オープニングで養父市長とともに司会をしていた美少女は、実は芸人のガリガリガリクソン。
本業の傍ら株式投資をし、今はVTuberとしても活動中です。メタバース開発にも協力しています。
3.バーチャルやぶの利用方法
バーチャルやぶを訪れるには次の3つが必要です。
- アプリ「Steam」「VRChat」をインストールしたWindowsPCもしくはVRゴーグル
- スピーカーまたはヘッドホン
- マイク
PCはグラフィックボードを搭載したゲーム向けのものがおすすめです。スピーカーやマイクはPC内蔵でも問題ありません。
VRゴーグルがなくても楽しめますが、VRゴーグルを使用した方がより没入感を楽しめますよ。
参加の手順は次のとおり。
- PCもしくはVRゴーグルからVRChatを起動
- ワールド検索から「virtual yabu」を検索
- アクセスする
PCからアクセスすると、ブラウザの矢印やコマンドで操作できます。
Webブラウザからも利用可能に
VRゴーグルを使用した没入感が魅力のメタバースですが、VRゴーグル無しでも楽しめる2Dメタバースのサービスも増えてきました。
2023年9月にソフトバンクの2DメタバースプラットフォームZEP(ゼップ)を活用して、「バーチャルやぶ in ZEP」も開始。
スマートフォンやブラウザから手軽にアクセスできるようになりました。
FANYとは?3つのサービスを紹介
FANYとは、吉本興業が手掛けるオンライン事業です。その特徴を次の3つにまとめました。
- FANY Online|吉本興業のオンライン事業
- FANY Channel|オリジナルチャンネルでコンテンツ配信
- FANY X|NFTやメタバース
順にみていきましょう。
1.FANY Online|吉本興業のオンライン事業
吉本興業のチケットがオンラインで購入できるようになりました。その事業をまとめているのがFANY Onlineです。
全国各地のライブチケットが手に入るだけでなく、リアルタイムのライブ鑑賞やアーカイブ鑑賞も可能。
オンラインチケット販売以外にも、オンライン物販やファンクラブ運営なども担っています。
支払・発行手数料は無料。チケット購入100円につき「1FANYポイント」が貯まります。貯めたポイントは、さまざまな特典と交換可能です。
利用にはアプリのダウンロードとID登録が必要です。有料のプレミアムメンバーに登録すると以下のような特典が受けられます。
- チケットの先行抽選販売に参加できる
- 限定ライブやイベントへの参加
- グッズや特典映像のプレゼント
- ポイント10倍
3,960円の年間会員か、330円の月額会員を選択できます。
どちらのプランを選択しても入会月は無料のため、興味のある方は登録してみてはいかがでしょうか。
2.FANY Channel|オリジナルチャンネルでコンテンツ配信
FANY Channelは、吉本興業の全国の番組や劇場公演のアーカイブを中心とした10,000本以上のコンテンツが見放題の映像配信サービスです。
- 大阪チャンネル:全国のお笑いや人気バラエティ番組が見放題
- よしもと劇場プレミアム:全国のよしもと劇場の公演が見放題
月額1,980円で利用でき、FANY IDを取得していれば1週間無料です。AmazonプライムビデオやひかりTVからも申し込みができ、初月無料〜月額1,500円で視聴できます。
利用にはアプリをダウンロードしてくださいね。
3.FANY X|NFTやメタバース
FANY Xは、吉本興業が手掛けるメタバース・タレントアバター事業。おもに次のような事業を展開しています。
- メタバースの構築
- メタバースの企画
- メタバースの制作
- メタバース月面劇場でのイベント・ライブ
- アバターの貸出
所属タレントをアバター化し、イベントやプロモーションに活用する、地方創生に派遣するなどメタバースによる新事業を展開しています。
メタバース上に「住みます芸人」のアバターを派遣したり、自治体のニーズに合わせたメタバース開発をサポートするなど、吉本興業の強みを生かした事業を展開中です。
メタバースの構築から所属タレントを起用したイベント企画まで、さまざまな相談もできます。
2022年からNFTマーケットにも本格的に参入しており、LINEのNFTマーケットプレイス「LINE NFT」と提携。
ファン向けに「FANYよしもとデジタルコレカ」でデジタルトレーディングカードや撮り下ろし動画の「よしもとNFTシアター」などを発売しています。
吉本のメタバースに関するQ&A
吉本のメタバースに関する、よくある質問を集めました。
- 吉本興業はどのようなメタバース事業をしていますか?
- メタバース事業に進出した理由は?
- メタバースに登場する芸人は誰ですか?
順番にみていきましょう。
- 吉本興業はどのようなメタバース事業をしていますか?
-
吉本興業のメタバース事業には、大きく分けてメタバース企画・構築事業とアバター事業の2つの柱があります。
メタバース企画・構築事業では、自治体と組んで地方創生をサポート。その第一弾が養父市の「バーチャルやぶ」でした。
アバター事業では、所属タレントをアバター化し、メタバース上のイベントに出演させたりアバターを貸し出したりと幅広く展開。
芸人以外にもアイドル・スポーツ選手・キャラクター・VTuberなどをアバター化やアバターを管理するサービスもおこなっています。
- メタバース事業に進出した理由は?
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一番大きな理由は、コロナ禍により劇場への集客ができなくなったことです。
メタバースであれば、距離感を気にせず集まれます。タレントと客とがステージ上で交流するなどの演出も実現するでしょう。
さらに芸人やタレントのアバターをメタバース上で、接客・営業活動・ライブ配信などに利用できます。
メタバースという別チャンネルを持ち、仮想空間でもしっかり収益を上げられるよう、次世代のサービスに取り組んでいる最中です。
- メタバースに登場する芸人は誰ですか?
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これまでFANY Xには以下のような芸人が登場しました。
- かまいたち(山内健司・濱家隆一)
- 見取り図(盛山晋太郎・リリー)
- 田村淳
- ジョイマン
- 間寛平
- ゆりやんレトリィバァ など
メジャーな芸人たちがアバターとして活躍しています。
まとめ
この記事では、吉本興業のメタバース事業について解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 地方創生のサポートツールとしてメタバースを提案
- メタバース製作からメタバース内のイベント企画までサポート
- 芸人のアバターをつくり、メタバース内でも出演
- 映像やデジタルコンテンツの販売
劇場に直接足を運んで、その場の臨場感を楽しむ従来のエンターテイメントもいいですよね。
その良さを残したまま、メタバース事業にも積極的に進出している吉本興業。
吉本の劇場が近くになくても、メタバース上であれば芸人さんたちと交流できるチャンスも大いにあります。
今後も、どのようなコンテンツを提供してくれるか注目ですね。