2024年12月9日、Google社のブログにて最先端の量子チップWillow(ウィロー)を紹介する記事が公開されました。
従来のPCとは異なる(量子力学を利用した)アプローチにより、計算能力を飛躍的に向上させた処理装置。量子チップを搭載したPCのことを量子コンピュータと呼ぶ。
Willowの記事では、その驚異的な計算能力も明らかになりました。この高い計算能力が、BTC(ビットコイン)のネットワークを守るセキュリティを破る可能性があると不安視されています。
しかし、Bitget Research チーフアナリストのライアン・リー(Ryan Lee)氏によると、暗号資産分野の専門家たちは「WillowがBTCの暗号資産技術にとって直接的な驚異にはならない」という見解で一致しているとのこと。
そこで、Willowが持つ計算能力の詳細と、BTCの驚異にならない理由について紹介します。
Googleの量子コンピュータ「Willow」の性能
Willowは、以下2つの大きな成果を達成した量子チップです。
- 量子エラー訂正の飛躍的進展
- スーパーコンピュータを超える計算性能
量子エラー訂正の飛躍的進展
Willowは、量子コンピュータが抱える大きな課題の一つである量子エラー訂正の精度を高め、技術の飛躍的な進展に貢献しました。
量子コンピュータの計算単位である量子ビットは、周りの環境(ノイズや宇宙線等)により計算がズレてエラーになるため、エラーを訂正する仕組みが必要になります。量子ビットの数が増えるほどズレが大きくなりやすく、量子コンピュータの寿命は短いとされてきました。
その点、Willowは量子ビットの数が増えるほどエラーが減る状態(閾値以下)を実現。これにより量子コンピュータの実用性は高まり、一般的に流通される可能性が生まれつつあります。
スーパーコンピュータを超える計算性能
Willowは105キュービット(量子ビット)を実現し、従来のスーパーコンピュータをはるかに上回る計算性能を示しました。
具体的には、計算にかかる時間について以下のような差が出ています。
- 従来のスーパーコンピュータ:10,000,000,000,000,000,000,000,000 年(10の25乗)
- Willow:5分未満
Willowは過去最高の速度で計算していますが、今後も進化して処理能力が向上する見込みがあるとのことです。
BTCのセキュリティを突破するには不十分
驚異的な計算能力を持っているWillowですが、BTCの暗号化セキュリティを突破するにはまだ足りません。
BTCのセキュリティを突破するには、極めて低いエラー率で数百万または数十億のキュービットを処理できる量子コンピュータが必要だと言われています。
Willowの量子ビットは105キュービット、他社の量子チップでも1,000キュービットを超えるのがやっとです。
いずれの量子チップも、現時点ではBTCの驚異にはなりえないでしょう。
将来的な影響は最小限にとどまる見込み
Willowを含めた量子コンピュータが、将来的にBTCのセキュリティへ与える影響はそれほど大きくないと考えられます。少なくとも、数年内にセキュリティが破られることはないと見てよいでしょう。
とはいえ、AIなどの技術が急速に成長している昨今では、量子コンピュータの技術的な進歩が加速する可能性もありえます。現時点で驚異はないにしても、量子コンピュータの進展とBTCに与える影響には注意を払うべきかもしれません。
引用ソース:Bitget Research