Bitgetの最高法務責任者ホン・ン(Hon Ng)氏によると、2024年3月11日に開催された米国下院の公聴会で、米ドルの優位性を強化することを目的にステーブルコイン規制を支持し、中央銀行が発行したデジタル通貨(CBDC)に反対する姿勢を示したとのこと。
ステーブルコインとは法定通貨と同価値になるように作られた安定性のある仮想通貨で、民間の企業によって発行されています。
公的機関が発行するCBDCよりもステーブルコインに重きを置く決定は、仮想通貨業界や世界の金融システムにどのような影響をもたらすのでしょうか。
ステーブルコイン規制の目的と影響
米国政府がステーブルコインの規制を強化する目的は、発行者の透明性および準備金の要件を厳格化することです。
透明性や要件が厳格化することでステーブルコインに対する信頼性を向上させ、機関投資家の参入を促す狙いがあります。ステーブルコインを利用するケースが増えることで普及が加速し、米ドルの国際的な影響力が強化される可能性があるでしょう。
しかし、規制を強めすぎると、企業が活動する場が海外へ移るリスクもあります。実際に以下の国では、すでにステーブルコインを金融システムに統合する動きが進んでいます。
- ドバイ:2025年にドバイ金融サービス局(DFSA)が特定のステーブルコインを承認
- 英国:2023年に金融サービス・市場法(FSMA)改正
- 欧州(EU):2024年に暗号資産市場規制(MiCA)施行

CBDCを導入しないメリットとデメリット
米国はCBDCを導入しないことで民間の競争を活発にし、技術革新を促進する狙いがあります。スイスの金融政策と似たこの戦略は、EUにおけるMiCA規制のように実用性とリスク緩和をバランスよく促進できるでしょう。
一方、政府主導のデジタル通貨を持たないことで、米ドルを強化する代わりにデジタル金融の主導権を失うリスクも。デジタル人民元を発行した中国や、デジタルユーロを発行したEUのようなCBDC導入国と比べて、デジタル金融面で遅れをとることになるかもしれません。
ステーブルコインと金融システムの未来
現在、ステーブルコインは暗号資産取引ペアの約70%を占め、24時間365日稼働する決済インフラとして国際送金にも活用されています。
こうしたステーブルコインに焦点を当てる米国の決定は、法定通貨との相互運用性を高める戦略を採用したとも考えられるでしょう。
米国のようにステーブルコインを優先する国が増えるのか、それとも国家管理のデジタル通貨であるCBDCが主流となるのか、各国の今後の動向が注目されます。
引用ソース:Bitget Research
