2024年4月、Ripple社は米ドルと連動したステーブルコインを発行すると発表。8月には通貨名をRipple USD(RLUSD)として公式ウェブページを発表しました。
そして10月16日には、以下7つの取引所、交換所に上場することを発表しています。
- Bitstamp
- Bitso
- CoinMENA
- Independent Reserve
- MoonPay
- Uphold
Ripple社が発行するステーブルコインRLUSDは、法人・機関投資家向けに最適化された設計により、コンプライアンスを重視する市場や企業向けアプリケーションにおいて独自の強みを発揮する可能性があります。
暗号資産取引所Upholdの研究責任者であるDr. Martin Hiesboeckは、10月24日にX(Twitter)に投稿したポストで、主なユースケースとして以下のようなものを挙げています。
- 決済:リアルタイムで24時間365日、コスト効率の高い信頼性のある国際送金を実現
- オン/オフランプ:従来の法定通貨とデジタル資産をつなぐシームレスな橋渡し
- 現実世界の資産(RWA)のトークン化:商品や証券などの資産の流動性、決済、担保化を提供
しかし一方で、暗号資産市場全体におけるUSDT(Tether USD)の支配的な地位を脅かすまでには至らないとも予想されています。
RLUSDとUSDTの規模格差と市場影響力の比較
Bitget Research チーフアナリストRyan Lee氏によると、RLUSDはUSDTと比べて規模がはるかに小さいと指摘します。USDTはすでに1,200億ドル(約18兆円)を超える規模があり、大きな市場と取引のしやすさを確立しています。
デジタル資産市場における主要なステーブルコインとしての地位を覆すのは困難でしょう。Rippleは法令順守の強化に努めてきましたが、米証券取引委員会(SEC)との法的な争いやXRPトークンの法的な位置づけを巡る問題から、市場の信頼に影響が及ぶ可能性があります。
ステーブルコインの利用者は、使いやすさや既存の投資方法との相性のため、今後もUSDT(Tether USD)を使い続けると予測されます。
RLUSDの競争優位性
しかし、RLUSDには独自の強みも存在します。Rippleは銀行や大手金融機関向けのブロックチェーン技術の提供に力を入れ続けています。RLUSDは企業や大手投資家向けに作られており、USDTの透明性と法令順守面に不安をもつ機関投資家や企業から支持を得られる可能性があります。
Ripple社が発行するRLUSDは、法令順守を重視する市場や、企業向けサービス、既存のRipple技術との組み合わせが必要な分野で、USDTと競争関係になると予測されます。
ただし、暗号資産市場全体で見ると、RLUSDがUSDTの優位な市場での立場を脅かすには至らない結果となると考えられるでしょう。
※為替レートは2024年10月24日時点での1ドル=152.15円で計算
引用ソース:Bitget Research