11月1日、Ripple社は通常のエスクローパターンから大きく逸脱する売却を実行しました。毎月のエスクローから解放される10億XRPのうち約2億XRPを留保する通常のパターンに加え、さらに2億7,000万XRPが売却用に指定されたリップル社の口座に送金されました。
これにより、保留されているXRPの合計は過去7年間で最大となる4億7,000万(約3,640億円)となり、標準的な売却量から大幅に増加しています。
XRPエスクローシステムとは?
エスクローシステムとは、Ripple社が2017年に導入したXRPの供給管理システムです。「金庫」のような特別なアカウントにXRPを保管し、毎月1日に10億XRPが解放されます。通常、Ripple社はそのうち約2億XRPを事業運営用に保持し、残りは自動的に「金庫」に戻して再ロックします。
これは、Ripple社による大量売却を防ぎ、市場価格の急激な変動を抑制するための自主規制の仕組みです。今回は通常の2億XRPという枠を超えて4億7000万XRPの売却準備が行われたため、市場に大きな注目が集まっています。
市場への影響と懸念
この異例の売却規模に対し、投資家からは市場の安定性への懸念が示されています。
Bitget Research チーフアナリストRyan Lee氏は、「今年のXRPの市場パフォーマンスは比較的低迷しており、価格は広範な市場動向に沿って狭いレンジ内で推移し、特定の法的展開の影響も受けている」と分析しています。
現在、米証券取引委員会(SEC)との法的闘争は2026年初頭まで、あるいはそれ以上長引く可能性があり、この継続的な訴訟過程は大口XRP保有者に疲労と不安をもたらしています。また、XRPレジャーの共有チェーンの進展やRipple USD(RLUSD)の開発の遅れも、投資家の関心低下に影響を与えています。
さらに、今回の売却が米国大統領選挙直前のタイミングと重なることで、金融政策と政治的要因が複雑に絡み合う状況となっています。
XRP大量売却についての考察
Ripple社が今回、通常の2倍以上となる大規模なXRP売却を決定した背景には、複数の要因があると考えられます。
最も大きな理由として、SECとの法的闘争に関連する費用の確保が挙げられます。この訴訟は2026年まで継続する可能性があり、長期化する法的対応のために多額の資金が必要となることが予想されています。
また、事業展開の面では、クロスボーダー決済システムの拡大やRipple USD(RLUSD)といった新規プロジェクトの開発資金の確保も目的の一つと考えられます。特に2023年7月のSEC訴訟での部分勝訴後、Ripple社はより積極的な事業展開を視野に入れている可能性があります。
ただし、Ripple社は具体的な売却理由を公式に発表していないため、これらの分析は市場関係者による推測に基づくものです。このような大規模な資金調達の決定には、複合的な要因が影響していると考えられます。
まとめ
総括すると、XRPはイノベーションの遅れと継続的な法的問題により、大口保有者の失望と投資家の関心の低下を招いています。XRPが法的問題を解決できないか、革新的なアプリケーションを提供できない場合、その将来の市場パフォーマンスは不透明な状況が続くと考えられます。
※為替レートは2024年11月04日時点での1ドル=151.68円で計算
引用ソース:Bitget Research