- Googleはメタバースに投資しているのか?
- それ以外のA・F・A・Mたちの動向は?
- これからメタバースはどう変化するのか?
上記のように考えている人は多いでしょう。
各社の動向は、メタバースユーザーや投資家はじめ、あらゆる人に大きな影響を与えるものです。
そこで本記事では、GoogleをはじめとしたGAFAMと、メタバースの関わりについて解説します。
本記事を読めば、GAFAM各社の動きと、メタバースの将来を見通せるはずです。ぜひご参考にしてください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
Google(アルファベット社)とメタバースの関わり
Googleは、メタバースと以下のように向き合っています。
- メタバース関係のファンドに投資はしているが、少額にとどまる
- 自社でメタバースを開発する動きは見られない
- その代わり、ARには注力する
イメージよりも、Googleはメタバースに対して消極的かもしれません。
実際にどのようなスタンスを取っているのか見ていきましょう。
Googleのメタバース投資は少額で開発もなし
Googleはメタバースに対して少額の投資しかおこなっていません。
2022年には、台湾のメタバース関係へのファンドに投資しましたが、454億円と少額です。
後述するMetaやMicrosoftが、メタバースに兆円単位で投資していることを考えれば、比較的小さい動きと言えるでしょう。
Google独自のメタバースを開発する動きもなく、あまり積極的ではありません。
GoogleはメタバースやSNSがそもそも不得意
Googleほどの企業がメタバースの開発に動かないのは、そもそもコミュニティやソーシャルサービスを作るのが不得意だからという意見もあるようです。
Googleも、GoogleカレントやGoogle+といったSNSにそれなりに注力していましたが、前者は2023年で終了、後者は2019年に業績低迷でクローズしました。
他にもGoogle WaveやGoole Buzzなども早期にサービスが終了しています。
過去の失敗を踏まえて、「コミュニティ要素のあるメタバースの開発には手を出すべきではない」と考えているかもしれません。
メタバースよりもAR技術を伸ばしていくつもり
Googleはメタバース開発には消極的ですが、AR(拡張現実)には積極的です。
すでにAndroidで検索結果をAR表示するGoogle ARなどのサービスを提供しています。
また、ARに強い企業の買収も進めています。2022年5月には高いAR技術を有する米Raxium社を約1,500億円で買収しました。
さらに英語圏メディア「The Verge」では、Googleは新型ARゴーグルの制作に取り掛かっていると報道されています。
かねてからMeta社とAR分野で協力関係にあることからも、その注力度合いの高さが伺えます。
Google MapもARでパワーアップ
GoogleがARにコミットした結果、GoogleMapは大きく進化しています。
目的地へのナビゲーションを利用する際、実際の道路を映した画面上に案内が表示できるようになりました。
上動画ではARによる道案内が実現しています。
お店をカメラに写すと、店名やレビューが表示される機能も搭載されています。
ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
Googleをのぞく巨大IT企業のメタバースとの向き合い方
Googleだけでなく、それ以外の各社の動向も重要です。ポイントは次のとおり。
- Amazon▶︎AWSを軸にバランスのよい動き
- Facebook▶︎社名を変えて、1.5兆円を投資
- Apple▶投資はするが開発には消極的
- Microsoft▶︎7.8兆円を投資
各社の動きを詳しく解説するのでご参考にしてください。
【A】mazonはAWSでMeta社と連携するなどバランスよい動き
Amazonは自前のメタバース開発はしていませんが、自社サービスのAmazon Web Servicesを軸にメタバースとの関わりを持っています。
メタバースを運用するためには、強固なデータセンターが必要で、それがAWSに当たるわけです。さまざまな企業がこれを有するAmazonとの連携を進めています。
実際に2021年にはMeta社との連携強化が発表されました。
Amazonはメタバースを自前で作らなくても、その基盤となるデータセンターを提供するだけで、バランスよく立ち回れるポジションにあると言えそうです。
【F】acebook(Meta)会社名を変えてメタバースにコミット
Facebookは早い段階でメタバースにコミットしています。
Facebookは2021年にMeta社に改名し、同年ザッカーバーグが「メタバースに1.5兆円を投資する」と発表しました。
自前のメタバースHorizon Worldも開発しています。
ただ同サービスはやや伸び悩んでおり、THE WALL STREET JOURNALによれば登録者数目標の下方修正などを余儀なくされているとのことです。
今後もメタバースに注力するのか、それとも方向転換するのかに注目が集まっています。
【A】pple▶投資はするが開発には消極的
Appleはメタバースにある程度興味を示しており、BUSINESS INSIDERによれば、CEOのティム・クックが投資対象にしているとのことです。
一方でメタバースの新規開発のニュースは聞かれません。
そもそもAppleはハードウェアを作る会社で、サービスやコミュニティ作りはビジネスの主軸ではありません。
90年代には仮想空間eWordというサービスを提供しましたが、わずか2年で撤退と失敗に終わりました。
その上、Appleは自社でメタバースを開発しなくても、AppStoreでメタバースプラットフォームを扱えます。
さらに得意のデバイス開発で利益を得ることも可能です。
上記の背景からメタバースの開発自体ではなく、その周辺にビジネスチャンスを見出すでしょう。
テクノロジーライターの大谷和利によれば、Apple社内では「メタバース」がNGワードになっているそうです。
同氏はDIAMOND ONLINEで、「メタバース前提で考えると、発想が限られる」と指摘しました。
NGワードに指定して、Apple製品の開発に集中したい狙いがあるようです。
事実だとすれば、Appleから独自のメタバースが発表されることはないでしょう。
【M】icrosoftは7.8兆円を投資
2021年、Meta社がメタバースへの1.5兆円の投資を発表し、話題となりました。
その裏では、Microsoftが、大手ゲームパブリッシャーActivision Blizzardをおよそ7.8兆円で買収しています。
そのねらいは、「メタバースへの進出を意識したもの」だとされています。
また、2021年末にはメタバース技術を利用したビジネスコミュニケーションツール、Mesh for Microsoft Teamをリリースしました。
Microsoftはメタバースに対して積極的な動きを見せており、今後は業界をリードするようになるかもしれません。
Microsoftの仮想空間技術は高い
Microsoftは高度な仮想空間技術を持っています。
同社は長らくの間、仮想飛行ソフト「フライトシミュレーターシリーズ」を提供しています。
最新の2020年版では、地球をほぼ丸々コピーして仮想空間に表現しており、グラフィックも高品質でした。
この技術を応用した場合、より進化したサービスやプラットフォームが登場するかもしれません。
GoogleをはじめとしたGAFAMの動きでメタバースはどう変わるか?
GAFAMの動きは業界に大きな影響を与えており、今後メタバースは以下のように変化していくでしょう。
- VRメタバースはさらに進化する
- ARメタバースも楽しめるようになる
- 日常場面でメタバース技術が活用できる
- VR・メタバースが抱える課題の拡大
メタバースがより魅力的になる一方で、課題もより大きなものとなるでしょう。
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
VRメタバースはさらに進化する
VRデバイスに対応しているメタバースは、さらに進化するでしょう。
Meta社はすでにVRゴーグルMeta Questを提供しており、人気を集めています。
Appleのリーク情報で有名なマーク・ガーマンによれば、2023年6月に新型デバイスReality Proを関係者向けイベントで公開するとのことです。
VRデバイスの開発や改良が進めば、さらに高い没入感を得たり、美しいグラフィックを楽しんだりできるでしょう。
メタバース自体も、MetaやMicrosoftの巨額の投資によって開発が加速するとみられ、今後の進化が期待されます。
メタバースに関連した産業向けの技術に、デジタルツインがあります。
現実にある空間やこれから建築予定の建物などをデジタル上に正確に再現し、シミュレーションするための技術です。
デジタルツインもGAFAMの投資や開発によって、使いやすくなるかもしれません。
たとえばMicrosoftがフライトシミュレーター2020で使っていた技術を応用したら、よりリアルなグラフィックでシミュレーションができるようになるでしょう。
ARがより楽しめるようになる
AR(Augmented Reality)もより楽しめるようになりそうです。
GAFAMのなかでは特にGoogleがARに積極的で、すでにGoogle MapでAR環境を実現、英語圏メディア「The Verge」によれば新しいゴーグルも開発中です。
まだ一般的ではないARですが、今後はGAFAMの技術開発によりさらに楽しめるようになるかもしれません。
VRやメタバースの抱える課題が拡大するかもしれない
GAFAMによってメタバース業界の成長が促進される一方、以下のような課題が拡大するかもしれません。
- メタバースに依存する人が増える
- ログイン情報の盗難などが増える
メタバースの品質や利便性が高まると、依存してしまう可能性が高まります。
ログイン情報を盗まれ、不正利用される危険もあるでしょう。
メタバースではアバターやアイテムなどのNFTや仮想通貨を所有することが多いため、それらを盗まれるなど重大なトラブルに発展しかねません。
業界の成長とともに上記の課題に対処する必要がありそうです。
GAFAMとメタバースに関するよくある質問
本記事ではGAFAMとメタバースに関して解説しました。最後によくある質問に回答します。
- YouTubeのメタバースに対する考え方は?
- そのほかIT企業やゲームパブリッシャーの買収・開発・連携状態は?
- とりあえずメタバースを試したいが、無料で使えるのはどれ?
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
- YouTubeのメタバースに対する考え方は?
-
YouTubeはメタバースに関する見解を、以下のように示しています。
メタバースは避けて通れず、まずはゲームでVR体験を提供できないか考えているとのことです。
今後はゲームの動画がより気軽にVRで楽しめるようになるかもしれません。
- そのほか企業やゲームパブリッシャーの買収・開発・連携状態は?
-
GAFAM以外の著名なIT企業やゲームパブリッシャーの数多くが、メタバースに対して動きを見せています。
韓国の大手電子メーカーSamsungは、Decentralandと提携し、同メタバースに土地を購入してオンラインショップを立ち上げました。
国内ニュースサイトdmenuによれば、国内ではKDDIがメタバース関連事業に1000億円を投資すると表明、NTTdocomoも600億円をメタバースやデバイス開発に投じています。
数えきれないほどの企業がメタバースに参入しており、今後も業界は盛り上がりそうです。
メタバース参入日本企業7選!事業例や市場の展望まで網羅 | meta land 日本企業が実際にこのメタバースにどのように参入しているか、またどのようなサービスやプロダクトを提供しているのかを中心にご紹介します。Decentraland(ディセントラランド)の始め方と稼ぎ方|LANDの買い方まで徹底解説 人気のメタバースゲーム、Decentraland(ディセントラランド)。 ブロックチェーン技術を使用しており、ユーザーは仮想キャラクターを使いながら、仮想空間内で移動した…Decentraland(ディセントラランド)の 稼ぎ方は?攻略方法6つと稼ぐ際の注意点 ユーザー同士の交流やイベントなど、さまざまな楽しみ方があるメタバースゲーム、Decentraland(ディセントラランド)。 稼げるという噂もあり、以下のような疑問を持っ… - とりあえずメタバースを試したいが、無料で使えるのはどれ?
-
無料で利用できるメタバースとして以下が挙げられます。
- cluster
- The Sandbox
- Decentraland
特におすすめなのが日本製のメタバースであるclusterです。
日本語環境かつ日本人が馴染みやすいデザイン性と操作性を持ち合わせているため、面白さを見出しやすいでしょう。
登録も簡単なので、ぜひ気軽にプレイしてみるのがおすすめです。
【徹底図解】cluster(クラスター)の使い方|登録から操作まで完全ガイド | meta land 上記のように考えている人は多いのではないでしょうか? clusterは数あるメタバースプラットフォームのなかでも、かなり人気の高い存在。一方で登録方法や使い方、そして収…メタバースのプラットフォームとは?概要とおすすめ10選を徹底解説! 「メタバースを使ってみたい!」 「どのような種類・プラットフォームがあるんだろうか?」 「どのプラットフォームからスタートすればよいか?」 上記のように考えてい…あつ森もメタバースあつまれどうぶつの森も、メタバースの一種に分類できます。
経済産業省の見解によれば、メタバースとは「ひとつの仮想空間にて、あらゆるサービスやコンテンツが、生産者から消費者へと提供される」ことを示します。
島などの仮想空間があり、たとえば野菜や魚が取引されるあつまれどうぶつの森も、メタバースといえそうです。
まとめ
本記事ではGoogleをはじめとしたGAFAMの、メタバースに対する動きを解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- Googleのメタバース投資はごく少額
- 元々コミュニティ的なサービス作りとは相性が悪く、メタバースの開発にも未着手
- AR分野には積極的で、現在は新しいデバイスを開発中か
- Amazonは、投資や開発はせず、プラットフォームにAWSを提供するスタンス
- Facebookは2021年に1.5兆円投資すると発表し、自社製メタバースも開発
- Appleは必要に応じて投資しているが、社内では「メタバース」が禁句との情報も
- Microsoftはゲームパブリッシャーを7.8兆円で買収し、Mesh for Microsoft Teamも発表
- GAFAMの動きによって、メタバースやVR、ARはさらに進化する見込み
GAFAMはそれぞれで立ち位置が異なり、メタバースとの向き合い方もさまざまです。
共通しているのは、いずれの会社もメタバースの関連分野にはビジネスを展開しているということ。各社の動向次第では業界に大きな変化が起こり得ます。
今回の調査では、GAFAMのなかでもGoogleではなく、7.8兆円でゲームパブリッシャーを買収したMicrosoftが業界をリードする公算が高そうです。
常に情報がアップデートされる業界ですから、アンテナを広く張っておきましょう。