メタバース関連の情報に触れていると「HIKKY」の名前を聞く機会は多いはず。
しかし、
- HIKKYって何の会社?
- どのようなサービスを展開しているの?
- バーチャルマーケットとの関係は?
など気になっている方も多いはず。結論からいえば、HIKKYは世界最大級のメタバースイベントを手掛ける会社です。
そこで、今回は初心者でもわかりやすいように、株式会社HIKKYについて詳しく解説。
事業概要やメイン事業であるバーチャルマーケットについて深掘りしていきます。HIKKYについて気になる方はぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
HIKKYとは?3つの特徴を紹介
HIKKYは日本初のVR法人です。その特徴を3つ紹介します。
- 2018年に設立された日本発のVR特化サービス提供会社
- HIKKYは世界からも注目されている
- Rchatと深い関係がある
順に見ていきましょう。
1.2018年に設立された日本発のVR特化サービス提供会社
HIKKYは2018年に設立された日本初のVR特化のサービス会社です。「バーチャル空間を発展させ、豊かにする」をビジョンに掲げ、バーチャルマーケットをはじめとする新しい施策を行っています。
最初は80サークルから始まったバーチャルマーケットも、1000サークルを超える規模へと成長しています。
動く城のフィオは株式会社HIKKYのCVO (Chief Virtual Officer)でバーチャルマーケット(Vket)の創始者。
大手広告代理店やベンチャー企業を経て2018年にアバター活動を開始しました。現在は、コンセプト設計を行うプロデューサーとして活躍中です。
2.HIKKYは世界からも注目されている
HIKKYは非営利団体AIXRが主催する2020年のVR国際表彰式、VR Awardsにて、VRマーケティング部門で最優秀賞を受賞しています。
VR Awardsは、VR業界における卓越した業績を祝う国際的な表彰式です。2021年はファイナリストに2作品が残り、世界でも注目されています。
バーチャルマーケットをプロデュースしている動く城のフィオは、受賞に際して次のようなコメントを寄せています。
「国際的な栄誉ある賞を頂き、誠に嬉しく思っています。 しかし、これはまだバーチャルマーケットの挑戦の第一歩に過ぎません。
バーチャルマーケットは、バーチャル空間上に持続可能な生活圏と経済圏を作ることを目指しています。未開のバーチャル空間は、現実世界に比する「現実」になり得る可能性があります。 今後、バーチャル空間上には多くの職業が生まれ、より多くの人がバーチャルで生きることを選択するようになるでしょう。 (あと省略)」
引用:PR TIMES
また世界最大級のVRイベントであるVket(バーチャルマーケット)は、出展サークル数でギネス世界記録に認定されています。
開催ごとに大きくなっていくVketは今後も注目です。
3.HIKKYとVRchatの関係
HIKKYが開催するバーチャルマーケットは、もともとVRChat内の特設ワールドで行われていました。
VRChatはGraham GaylorとJesse Joudreyによって開発され、アメリカ合衆国の企業であるVRChat Inc. によって運営されているソーシャルVRプラットフォームです。
しかし誰もが参加できるメタバースを目指して、ブラウザからアクセスできるオープンメタバースの開発を始めています。
そのため2021年・70億円の資金調達をし、VketCloudの開発を進めています。
日本発のメタバースベンチャーHIKKYの事業内容とは
HIKKYの事業内容を細かく見ていきましょう。大きく分けて4つにまとめました。
- イベント事業:Vket(バーチャルマーケット)
- 世界100都市をメタバース化:パラリアルワールドプロジェクト
- 企業の課題をXRで解決する:XRソリューション事業
- 自社メタバース開発サポート:Vket Cloud事業
順に見ていきましょう。
1.イベント事業:Vket(バーチャルマーケット)
Vket(バーチャルマーケット)は、2018年8月に始まりました。当時の来場者数は1日1,500名。年を追うごとに参加者も参加企業も増えています。
2022年12月に開催された「バーチャルマーケット2022 winter」には100万人が来場。参加企業は70社を超えました。
バーチャルマーケットはギネス記録を2回達成
これまでバーチャルマーケットはギネス記録を2回達成しています。
2021年2月:バーチャルマーケットの出展ブース数が最多数
2021年8月:1時間でTwitterに投稿されたアバター写真が最多数
ギネス以外でも「Ruby biz Grand prix 2021」大賞受賞などの記録を打ち立てています。
バーチャルマーケットでの話題づくりも上手です。例えば、2021年Winterでは証券会社初となるSNBC日興証券株式会社のブースで、株価連動ジェットコースターを設置して注目されました。
過去の株価変動を再現したジェットコースターで、リーマンショックやアベノミクスなどで影響を受けた株価変動を体感できます。
メディアでも数多く取り上げられ、話題となりました。
2.世界100都市をメタバース化「パラリアルワールドプロジェクト」
HIKKYが提唱する「パラリアル」とは「パラレルワールド(並行世界)」+「リアル(現実世界)」を合わせた造語で、リアルとメタバースが同時並行して存在する世界です。
現実に実在する都市を、メタバース上の都市として新たなデザインで構築します。HIKKYは、今後オープンメタバースの場で世界100都市のメタバース化を目指しています。
HIKKYはバーチャルマーケットをパラリアル都市で開催しています。2023summerの会場は、ラスベガス・福岡・秋葉原の3つ。
過去にもパラリアル化したパリ・札幌・名古屋などでイベントを行っています。
渋谷・ニューヨーク・大阪などがパラリアル化されたことも。各都市の特徴を捉えつつも近未来感が加わっていると好評でした。
3.企業の課題をXRで解決する:XRソリューション事業
HIKKYはメタバースを通した広告ソリューションやマーケティング支援も行っています。例として次のようなものがあります。
トヨタ自動車 | 外部特設バーチャルブースとして出展する「TOYOTA Marine WORLD」の企画制作を担当 |
JR東日本 | リアルの秋葉原駅が持つにぎわいをバーチャル空間においても再現 |
アウディ | 車に乗ってコースを走るテストドライブ体験やバーチャル接客体験を提供 |
ビームス | バーチャルショップでの販売 |
KDDI | スマートグラス「NrealLight」の疑似体験 |
ほかにも学会やイベントをサポートし、現実の売り上げ拡大に貢献することを目的にメタバースを提供しています。
XRとは「Extended Reality/Cross Reality」の略称で、現実の物理空間と仮想空間を融合させて、現実では知覚できない新たな体験を創造する技術を指す。
「VR(仮想現実)」「AR(拡張現実)」「MR(複合現実)」などの先端技術はいずれもXRに含まれる。
4.自社メタバース開発サポート:Vket Cloud事業
2023年4月、ワンクリックでアクセスできるWebメタバース開発エンジンVket Cloudを開発&リリースしました。
使用料金は誰でも無料!個人・法人問わず商用利用も可能。独自のメタバース製作ができる、自由度の高いメタバース空間です。
- アプリダウンロード不要
- URLリンクから簡単アクセス
- 高品質な描画品質
- アバター・音声・チャットで交流
- ECサイトなどのAPI連携可能
企業であれば、自社のホームページのように写真や資料を置いて展示したり、見せたりしながら会話を楽しめます。
利用にはID登録が必要です。新規登録はこちらから。Googleアカウントでログイン可能です。
ChatGPT連携機能も導入
Vket Cloudで制作したワールド内に、ChatGPTを組み込んだAIキャラクターを設置できるようになりました。
まだ実験的な導入ですが、AIアシスタントに「おすすめのイベントは?」「どんなアバターがいい?」など相談ができます。
またAIキャラクターをキャストとしたお店を開くような未来があるかもしれません。今後、ワールド製作者の指示に応じて学習するAIと発話システムを実装する予定です。
HIKKYは、これまでに数百社の企業にメタバース事業やイベント参入をサポートしてきました。
それを体系的なカリキュラムにしたのがメタバースナレッジプログラムです。
「導入の目的」「人材の育成」「事業計画」など講義やワークショップを通してコンサルティングします。基本プランは3か月・全8回です。
HIKKYが提供する「バーチャルマーケット」とは?参加方法や出展企業を紹介
HIKKYの事業の中心といえば「バーチャルマーケット」です。2018年から始まり2023年summerで10回目を迎えます。
- 来場者数でギネス!世界最大のメタバースイベント空間
- バーチャルマーケットの参加方法
- バーチャルマーケットに出展している企業
- バーチャルマーケットの楽しみ方
参加方法や楽しみ方などを詳しく解説します。
来場者数でギネス!世界最大のメタバースイベント空間
バーチャルマーケットは、世界最大規模のVR展示会です。メタバース上にある会場を自分のアバターが自由に歩き回り、3Dアイテムやリアルの商品を売買できます。
個人サークルから有名企業までが多数出展しており、世界中から100万人を超える来場者を誇っています。
2021年には、出展ブースの数とTwitter投稿数で2回ギネスを受賞。期間中は24時間いつでもアクセス可能です。
2023年Summerのバーチャルマーケットは7月15日10時から7月30日23時まで開催されます。
会場はパラリアル3都市(ラスベカス・福岡・秋葉原)に加え、13会場が用意されています。リアル会場でのイベントも企画されており、メイン会場はベルサール秋葉原。
バーチャル空間と連動したゲーム、巨大フォトスポット、物販など楽しめます。
声優、VTuber、プロゲーマーが登場するスペシャルステージも企画され、メバタースとリアル会場を同時に楽しめるでしょう。
バーチャルマーケットの参加方法
バーチャルマーケットへの参加は無料。参加方法はふたつで、VR機器やパソコンから参加するVRChat会場と、スマホやWebブラウザから参加するVket Cloud会場のどちらに行くかで異なります。
VRChat会場へ行くためには、VRChatやSteamの登録が必要です。手順は次のとおり。
- VRChatのアカウントを作る
- Steamのインストール・登録
- VRChatのインストール・起動
- ワールド検索・選択
VRChat会場は、VR機器を持っていなくてもデスクトップモードで参加可能。また同会場であれば、スマホからワンクリックで簡単に参加できます。
利用方法は次のとおりです。
- チームIDに登録
- ログイン後、管理画面でワールドのIDを表示
- UnityにSDKを導入
- SDKにワールドIDを入力
チームIDにはGoogleアカウントでもログインできます。
バーチャルマーケットに出展している企業
バーチャルマーケットに出展している企業数は、ギネス記録に認定された2021年で80社にのぼります。平均して50社以上の企業が毎回出展しています。
大企業も多く、大丸松坂屋・三越伊勢丹・セブン-イレブン・ローソンなどの小売業、トヨタ自動車・アウディなどの自動車会社、BEAMS・WEGOなどのファッション関係、KDDI・ソフトバンク・NTTドコモなどの通信会社などが名を連ねます。
出展希望の場合、開催期間の約4〜5か月前までに申し込み、約1か月前までに入稿が必要です
2022Winterでは環境省が初出展
省庁として初出展したのは環境省です。パラリアル札幌内のススキノのエリアに、脱炭素と豊かな暮らしが実現された未来のモデルルームを展示しました。
モデルルームの中のコンテンツに近づくと、脱炭素の取り組みに関するクイズが出題され、理解を深める仕組みです。
全問正解すると3Dグッズがもらえるなどの楽しい工夫もされていました。
ほかにも焼津市・泉佐野市など地方自治体も参加。地域の特産品をアピールする場として利用しています。
2023 Summerではリアル会場でも同時開催
バーチャルマーケットはメタバース上のイベントですが、2023 Summerではリアル会場でも同時開催します。
即売会やトークショー、焼津市によるマグロ解体ショーやパラリアル都市の実況中継など盛りだくさんです。
バーチャルマーケットの楽しみ方
楽しみ方は次のとおりです。
- バーチャルマーケットに出展する
- クリエイターの作品を見る
- 企業ブースを体験する
- キャンペーンに参加する
- イベントに参加する
- 公式配信で実況を楽しむ
- リアル会場へ行く
個人で出展する場合、費用は無料〜3,300円と格安。ブースに自作の3Dモデルを展示でき、自分の世界観を発表・販売できます。
もちろん、お祭りの雰囲気を楽しみたい、お目当てのクリエイターのブースに行きたい、イベントに参加したいという方もOKです。
自分の好きな楽しみ方で参加してみましょう。
バーチャルマーケット2023 Winterの会場はロンドン、沖縄、渋谷/原宿
2023 Winterでは、パラリアル化したロンドン、沖縄、渋谷/原宿の3会場を企業出展会場とすることが決まっています。
渋谷はバーチャルマーケット2021で登場していますが、エリアを原宿方面まで拡大してリニューアルされます。
HIKKYに関するQ&A
HIKKYに関する、よくある質問を集めました。
- HIKKYはどういう意味?
- HIKKYのユーザー数は?
- 資金調達金額はいくら?
- HIKKYが今後上場する予定は?
- バーチャルマーケットでは何ができる?
- 2023 Winterはいつ開催される?
順に見ていきましょう。
- HIKKYはどういう意味?
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HIKKYの社名の由来は「引きこもり」です。代表取締役の船越氏は次のように社名の由来を語っています。
「精神または身体にハンディキャップがある等で、なかなか外に出られない人たちや、時間の都合で働けない人たちも、場所や距離の制約を解決できるVRでなら働く機会やものづくりの機会が持てます。」
引用元:VRはやってみないとわからない、HIKKY舟越氏に聞く企業のメタバース活用クリエイターが「創りたい」気持ちを表現できる場として、またその活動が経済的に成功する場となるような広がりを作っていきたいとのことです。
- HIKKYのユーザー数は?
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2018年に開催された第1回バーチャルマーケット(Vket)では、参加サークル80、来場者は1日1,500人程度でした。毎年回数を重ねるごとに来場者数を増やしてきました。
「バーチャルマーケット 2022 Winter」では、参加企業は70社、一般出展は540サークル、来場者数は延べ100万人超となっています。うち4割が海外から、7〜8割はVRハード経由で来場しています。
- 資金調達金額はいくら?
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HIKKYは独自のVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」の開発のためにNTTドコモから65億円、メディアドゥから5億円の資金調達をしました。
優秀な人材の採用にも力を入れ、クリックするだけでインターネットのように接続できるようなメタバースを目指しています。
- HIKKYは今後上場する予定はある?
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上場の期待値は高いものの、上場すると明言はしていません。評価額は約650億円と言われています。(2022年8月時点)
- バーチャルマーケットでは何ができる?
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バーチャルマーケットの楽しみ方は下記のように多岐にわたります。
- アバターやアクセサリーの配布・販売
- VR空間上の建物・家・アイテムの鑑賞・購入
- リアルの商品を販売・購入
- ライブやイベントの開催・参加
- 乗り物に乗る
このように、リアルのイベントと同じようなことが楽しめます。出展する場合は事前に申し込みし、期限までに入稿します。
一般のサークルにとってはコミックマーケットのような存在、企業にとっては有効なPRや販売の場と言える
- 2023 Winterはいつ開催される?
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バーチャルマーケット 2023 Winterは、2023年12月2日から17日に開催予定です。2023 Summer同様、リアルイベントも実施予定。パラリアルワールドプロジェクト第5弾として、ロンドン・沖縄・渋谷/原宿の3都市を企業出展会場とします。
まとめ
この記事では、HIKKYについて解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 2018年に設立された日本発のVR特化サービス提供会社
- ギネス記録を持つVRイベントを主催
- 世界からも注目されるバーチャルマーケット
- 世界100都市をメタバース化する計画がある
- 自社メタバースVket Cloudを開発
- 資金調達70億円を果たす
今や100万人が来場する巨大マーケットを主催するHIKKY。メタバースの発展の一端を担っています。
一般的なメタバースに接続するには、VRゴーグルなどが必要でハードルが高いのも事実。HIKKYはURLをクリックすればブラウザで参加できるメタバース開発に力を入れています。今後の動向にも注目です。