出典:360 LIVE MEDIA
2021年10月28日、FacebookがMeta(Meta Platforms)と社名を変更したことが話題となり、メタバースに注目が集まりました。
しかし、
- Metaとメタバースの関係性を知りたい
- どのようなメタバース事業をしているか知りたい
- Metaの将来性について知りたい
と疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、Metaとメタバースの関係から、実際に提供されているメタバース事業とその将来性について解説します。
Metaとメタバースの関係性を知ることで、メタバースについてより深く理解できます。
ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
Meta(旧Facebook)とメタバースの関係性
Facebookは会社名をMetaと改名するほど、メタバース事業に力をいれています。
Metaとメタバースがどのような関係性にあるのか解説します。
- Metaが考えるメタバースの特徴
- メタバース事業に約5000億円を投資
- 2021年10月に社名をFacebookからMetaに変更
1.Metaが考えるメタバースの特徴
Metaが考えるメタバースには、次の3つの特徴があります。
- Immersiveness(没入感)
- Presence(実際にその場にいるような感覚)
- Interoperability(相互運用性)
2022年10月18日から21日に開催されたMETAVERSE EXPO JAPAN 2022において、Metaの日本法人であるFacebook Japanの代表取締役である味澤将宏氏は、Metaが考えるメタバースの特徴を次のように説明しています。
- Immersiveness=没入感のことであり3D空間がもたらすもの
- Presence=離れた場所にいながら、同じ場所にいるような感覚があること
- Interoperability=リアルとバーチャルのような異なる世界を行き来できる相互運用性
Metaはコミュニティ作りを応援し、人と人がより身近になる世界を実現するために、ソーシャルテクノロジーの次なる進化を目標にしています。
物理的に距離が離れていても、現実世界と同じような人のつながりを作りあげようとしているのです。
2.メタバース事業に約5,000億円を投資
Metaによるメタバース事業への約5,000億円の投資が話題となりました。SNSアプリFacebookの壁を壊し、メタバースの将来性に強く期待したことが巨額の投資に繋がったのです。
近年、FacebookやMicrosoftといった、世界的な大企業がビジネス目的でメタバースを利用しています。
現実世界のみならず、仮想空間でのビジネスチャンスにも注目が集まっているのです。
参考:基礎から学ぶメタバース~なぜFacebookは巨額の投資を決めたのか
3.2021年10月に社名をFacebookからMetaに変更
2021年10月にFacebookはMetaに社名を変更しました。従来Metaが提供しているサービスはSNSアプリFacebookだけでした。
しかし、近年ではVR(Virtual Reality、仮想現実)やAR(Augmented Reality、現実世界を仮想的に拡張する技術)、AI(Artificial Intelligence、人工知能)など、さまざまな分野へ活動の領域を広げています。
なぜ社名を変更したのか。その理由について解説します。
なぜ社名を変更したのか?
SNS事業の1つにすぎないFacebookよりも、より幅広い事業が連想されるMetaの方が現在の同社を正しく形容できるという理由から、社名の変更に至りました。Meta Platformsには、超越を意味するMetaと土台を意味するPlatformが含まれています。
社名の変更はメタバースにおいて確固たる地位を作り上げるという意思表示だとも言えるでしょう。
参考:Facebookからなぜ社名変更?メタ日本法人・味沢代表が明かす狙いと開発戦略 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
Metaが展開するメタバース事業
Metaは次のようなメタバース事業を展開しています。
- Meta Quest|コントローラー付きのVRヘッドセット
- Horizon Worlds|メタバースコミュケーションツール
- Immersive Learning Academy|ARとVRクリエイター教育
1.Meta Quest|コントローラー付きのVRヘッドセット
Meta Questは、仮想現実空間においてメタバース体験ができるVRヘッドセットです。コントローラー付きで、仮想現実空間内において360度自由に行動できます。そのため、まるで現実の世界にいるような体験ができるのです。
以下の動画ではMeta Questでプレイできる、ゾンビサバイバルゲーム「The Walking Dead: Saints & Sinners」を紹介しています。
Meta Questは、VR会議や研修などのビジネスに利用できるほか、ゲームで遊んだりVR動画の視聴をしたりなどさまざまな目的で活用できます。
2.Horizon Worlds|メタバースコミュケーションツール
Horizon WorldsはMetaが運営しているサービスで、VR機器と自分の分身となるアバターを使って仮想空間に参加できるアプリです。仮想空間における、イベント開催やオンラインミーティングなど、さまざまな目的で活用できます。
自らがクリエイターなって、メタバース空間上に独自のワールドを作成することも可能です。オンラインミーティングをはじめとしたビジネスや音楽イベント、遊園地などさまざまなエンターテインメントを創作できます。
Horizon Workrooms|VR会議特化サービス
Horizon Workroomsは、チームで連携してプロジェクトを進められるVRワークスペースです。
チーム向けのルームを作成して、仮想現実で会議をおこなえます。VRヘッドセットの使用が推奨されていますが、ZoomのようにWebカメラのみで参加することも可能です。
メタバースはビデオ会議よりも現実に近い会議体験ができ、生産性の向上に役立つとされています。
メタバースでの会議について詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
VRヘッドセットについて、Z世代からは普段遣いは厳しいといった意見がでています。ヘッドマウントディスプレイが重く、装着に手間がかかるのが大きな理由です。
さらに、Oculus Quest 2を持ち歩くには重さが気になるという意見が挙げられます。また女性からはヘッドセットを装着することで、髪の毛が乱れたり化粧が崩れるなどの声も聞かれます。
そのため、VR機材を普段使いするためには、デザインや使い心地を改善することが求められています。
3.Immersive Learning Academy|ARとVRクリエイター教育
Metaは、ARやVRなどXRの分野におけるクリエイターの育成を目的として、Immersive Learning Academyを日本で開始することを発表しました。角川ドワンゴ学園と連携して、初心者からプロまでXRの最先端技術を学べる機会を提供します。
1,200人以上の学生を対象に、ARやVRに関するオンラインワークショップや、キャリア相談会などを開く予定です。
参考:Metaが日本で次世代XRクリエイターの教育プログラム「Immersive Learning Academy」(Web担当者Forum)
Metaとメタバースの歴史と将来性
これまでのMetaとメタバースの関係性と、将来性について解説します。
- 2022年|メタバース部門の損失は約137億ドル
- 2023年前半|AI技術の発展がメタバースに活用されると期待
- 2023年後半|次世代VRデバイス「Meta Quest 3」の発売を予定
1.2022年|メタバース部門の損失は約137億ドル
メタバース部門は2022年に約137億ドルの損失を出しましたが、他部門とアプリを合わせると321億円(約4.1兆円)の収益を記録しました。
思うようにメタバースの成果が上がらない中、MetaのCEOであるザッカーバーグ氏は「AIの開発に集中する」と発言しています。
この発言だけであれば、メタバースを諦めたと理解される可能性があります。しかし、MetaのCTOであるボスワース氏は、「AIへの取り組みはメタバースの発展にも有益である」と答えているのです。
参考:ザッカーバーグ氏は「メタバースではなくAIに集中」とMeta幹部が明かす(Gadget Gate)
2.2023年前半|AI技術の発展がメタバースに活用されると期待
2023年前半に、Metaは研究者向けの大規模言語モデルである「LLaMA」を発表しました。LLaMAはChatGPTのように文章生成や質問に応答できるツールですが、ChatGPTと比べて処理速度が上回る結果を出しています。
今後LLaMAを使った会話ベースのツールが開発されれば、メタバースでの対話においてChatGPTよりも提供する情報の質が高められる可能性があります。
「Metaがメタバース事業から撤退」の噂は誤報
2023年前半に、一部報道でMetaがメタバース事業から撤退するという噂が流れましたが、事実ではありません。
噂の出所は、ニュースメディアTheStreetが掲載した「Mark Zuckerberg Quietly Buries the Metaverse(マーク・ザッカーバーグはメタバースを静かに葬る)」という記事です。
記事タイトルではまるで、メタバース事業から撤退すると誤解を与えるものですが、実際は、MetaがAI事業を拡大するという内容でした。
しかも、MetaのCEOであるザッカーバーグ氏は2023年4月27日に撤退しないと明言しています。
ザッカーバーグ氏は「何年間もAIとメタバースの両方に注力しており、今後も両方に注力していく」と語っています。
3. 2023年後半|次世代VRデバイス「Meta Quest 3」の発売を予定
Metaは2023年後半に次世代VRデバイスであるMeta Quest 3の発売を予定しています。Meta Quest 3は、Meta Quest 2と比較して2倍の性能を誇り、厚みは半分になるといわれています。
Meta Quest ProのようにMR体験ができたり、新しいアプリやゲームをプレイできる可能性も。The VergeによるとMeta Quest 3の価格は300ドル(約41,000円)から500ドル(約69,000円)の間と想定されています。
参考:Meta’s Quest 3 headset will have better mixed reality tech, according to Zuckerberg(The Verge)
総務省は、世界のメタバース市場規模は、2021年に4兆2,640億円だったものが、2030年には78兆8,705億円まで拡大するとの予想を発表しています。
今後はゲームやメディアなどのエンターテインメント領域だけではなく、教育や販売事業などさまざまな領域での活用が期待されるとのことです。
Meta(旧Facebook)とメタバースの関係についてのQ&A
Meta(旧Facebook)とメタバースの関係についての質問と回答を紹介します。
疑問をお持ちの方は参考にしてください。
- Metaが考えるメタバースとはなんですか?
- FacebookがMetaに社名変更したのはなぜですか?
- Metaはメタバース事業に失敗し撤退したのですか?
- 2017年10月27日の株価下落はメタバース事業が原因ですか?
- Metaが考えるメタバースとはなんですか?
-
Metaが考えるメタバースの構成要素は、以下の3つ。
- Immersiveness(没入感)
- Presence(臨場感)
- Interoperability(相互運用性)
3D空間がもたらす没入感や離れていてもその場にいるような臨場感、リアルと仮想空間を移動できる相互運用性といった特徴が挙げられます。
- FacebookがMetaに社名変更したのはなぜですか?
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社名変更した理由として、FacebookはSNS事業の1つであり、多くのサービスを展開しているMetaには合わないことが挙げられます。また、メタバース事業の牽引をはじめとした将来の事業を体現するにはふさわしくない点も社名変更した理由の1つです。
- Metaはメタバース事業に失敗し撤退したのですか?
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Metaはメタバース事業に失敗し撤退したという噂がありました。2022年業績が著しく悪化し、大幅なリストラを実行したことからメタバース事業から撤退するといわれたのです。
しかし、ザッカーバーグ氏は明確に誤報であると否定しています。実際に主要な海外メディアでは撤退について触れておらず、株価にも大きな変動はありませんでした。
メタバースは失敗する?ザッカーバーグやセカンドライフの事例をもとにその将来性を徹底検証 メタバースは失敗するのだろうか? セカンドライフの二の舞になるのだろうか? 成功するとしたら、その要因は何か? 上記にように考えている人は多いのではないでしょう… - 2017年10月27日の株価下落はメタバース事業が原因ですか?
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2017年10月27日のMetaの株価下落は、AR/VRチームである「リアリティ・ラボ」への積極的な投資を市場が懸念したことが要因です。しかし、ザッカーバーグ氏はメタバースが主流になることで、Metaに良い影響をもたらすと考えています。
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まとめ
この記事では、Metaとメタバースの関係性について解説しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- Metaが考えるメタバースの特徴
- メタバース事業に対して約5000億円を投資
- 社名をFacebookからMetaに変更
- メタバース部門の損失は約137億ドル
- AI技術の発展がメタバースに活用される期待
- 次世代VRデバイス「Meta Quest 3」の発売を予定
2021年に社名を変更したMetaは、業績が悪化しリストラを実行したことからメタバース事業から撤退すると噂されていました。
しかし、MetaのCEOであるザッカーバーグ氏は今後もメタバース事業に力を入れると発言しています。研究者向けの大規模言語モデルである「LLaMA」や次世代VRデバイス「Meta Quest 3」を発表するなど、Metaのメタバースにおける将来性が見込まれているのです。