- Memってどんなメモアプリなの?
- 今までのメモアプリと、何が違うの?
上記のような疑問を抱えている人は多いでしょう。
Memは、これまで主流とされていたメモアプリよりも、利便性や創造性などが強化されたツールです。とはいえリリースされてから日が浅く、特徴や使い方がよく知られていないのが実情です。
そこで本記事では、以下の点を解説します。
- AI型メモアプリMemの基本的な特徴やメリット
- 具体的な使い方・活用方法
- 併用して使いたい類似メモアプリ
本記事を読めば、Memが秘めるすさまじいポテンシャルと、基本的な活用方法を理解できるはず。ぜひご参考にしてください。
AI型メモアプリMemとは?
まずはMemがどのようなメモアプリなのか理解しましょう。そのあとで、その他メモアプリと比較した際の特徴などを解説します。
AI型メモアプリMemはアイデアを教えてくれる
Memは、人工知能=AIであるmemXを搭載したメモアプリです。
AIが使われているチャットボットや検索ツールは多々ありますが、メモと人工知能を掛け合わせた個人向けアプリは、おそらく2023年3月16日現在、Mem以外に存在しません(あったとしても大衆向けでない)。
最大の特徴は、MemXが、登録したメモを情報整理しユーザーをサポートすること。具体的には以下のようなことが自動で行なえます。
- 似たテーマのメモをジャンル分けする
- 指示に従って、文章を作成する
- メモを統合して、新しいアイデアを提供する
まず似たテーマのメモをジャンル分けします。これによりユーザーは、あることがらに関して、より多くの情報を整理した状態で確認可能です。
さらにMemでは、簡単な指示文(プロンプト)を入力するだけで、自動的に文章を作成できます。そして過去のメモを統合して、新しいアイデアを提示することも可能。
従来のメモアプリにはなかった自律した思考能力により、ユーザーにあらゆる恩恵をもたらします。
ただし、一般に言われるMemの魅力は、有料版に限った話である点に注意。
Memは無料でも利用できますが、MemXを機能させるには、有料課金が必要です。
とはいえ、価格は月額8ドル。月1,000円前後であるため、さほど導入ハードルは高くありません。
1年単位となるとリスキーですが、1ヶ月であれば気軽に試せるでしょう。
OpenAIがmemに2,350万ドル投資している
日本ではまださして有名ではないMemですが、将来性は高いと言えます。その要因としてOpenAIが2,350万ドル投資している点が挙げられるでしょう。日本円で35億円ほどです。
金額もさることながら、OpenAIが投資している事実が重要。この営利団体は、ChatGPTやPlayground AIをリリースするなど、AI業界をリードしていることで知られています。
つまりMemは、世界で最もAIに精通している組織からみそめられているわけです。
OpenAIから投資を受け、あるいはノウハウやナレッジを継承することで、Memはさらなる発展を遂げると考えるのが自然でしょう。
その他メモアプリと比較した場合のメリットと特徴
その他メモアプリと比較した場合、Memには以下のメリット・特徴があります。
- 過去の記事に基づいて関連した情報を提供してくれる
- メモの情報を統合して新しいアイデアを提示してくれる
- 自分の代わりにメモしてくれる
最大の特徴は、過去の記事に基づいて関連した情報を取得できる点です。Memにメモが蓄積されていくと、「それなら、こういう情報も必要ではありませんか?」と、別な記事やツイートを提示してくれます。
さらに過去のメモを情報統合されることで、別々な知識が絡み合い、新しいアイデアを見つけられるかも。つまり、Memを使っていれば”ひらめき”や”偶然の思いつき”を発見できる可能性があります。
そして蓄積されたメモの内容を総合し、「たった一言の単語を打ち込むだけで、何十行ものメモを生成する」といったこともできるようになります。
このようにその他のメモアプリと比較したとき、AIであるMemXのパフォーマンスが、Memの特徴としてはっきり表れているといえるでしょう。
AI型メモアプリMemでできることは?
AI型メモアプリMemでは、たとえば以下のようなアクションが可能です。
- MemXによる編集や情報取得
- スマート編集であらゆるタイプのメモを残す
- Twitterのスレッドをわかりやすくまとめる
- グループを作成してメモやタスクを共有
目玉になるのは、もちろんMemXの活躍。しかし単純にメモアプリとしても多機能かつ高性能です。
したがって、ビジネスや生活の幅広い部分をサポートできます。それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
MemXによる編集や情報取得
Memを使う上で主軸となる要素は、やはりMemXです。これにより、他のメモアプリにはない以下のようなアクションを実施できます。
- 数あるメモを統合してカテゴライズする
- メモの内容から割り出された、関連性のあるWebサイトやSNS投稿を受け取る
- MemXが考え出したアイデアを取得する
まずMemXは、蓄積されたメモの内容を精査し、ある基準に従ってカテゴライズします。これでユーザーは、あることがらに関する情報をまとまった状態で確認できるようになります。
また複数のメモをひとつにまとめ、まるでWikipediaのように文中リンクが入った使いやすい記事に編集することも可能です。
そしてメモの内容から割り出された、役立つであろうWebサイトやSNS投稿を表示することが可能。例えば「新しいパソコンを買おうかな」とメモしているなら、「メモから察するに、こういったパソコンがよいかもしれません」と提案されるしくみです。
メモが蓄積すると、MemXはユーザーに対する理解を深めて成長します。そうするとひとつメモを打ち込んだだけで、関連した情報や新しいアイデアを、大量にサジェストするようになります。Memのヘビーなユーザーは、「1を書いたら10返してくる」と表現しました。
スマート編集であらゆるタイプのメモを残す
Memには、スマート編集というきわめて洗練された編集機能があります。Memユーザーはこれを広く活用することとなるでしょう。
画面青枠内にメモを打ち込み、下のメニューバーから種別を選択。ToDoや議事録、プロジェクト内容など、用途に合わせたメモを作成可能です。
下図のようにメニューに応じたテンプレートが用意されています。このあたりはNotionなどの美点をそのまま継承したようなイメージ。
また多数のメモ投稿によりMemXが成長しているなら、たった一言打ち込んだだけで適切なメニューを選択できます。そしてその大部分を代わりにメモしてくれるという優秀ぶり。
つまりユーザーがやることは単語を打ち込むだけで、あとはMemXがプロジェクト概要を細かに作成したり、実現可能なスケジュールと組んだりする、といった活用方法も不可能ではありません。
Twitterのスレッドをわかりやすくまとめる
MemはTwitterとの連携を得意としています。Twitter上のスレッドを回収し、わかりやすくまとめることが可能。
「@memdotai Mem it」とあるツイートにリプライすると、下図のように当該スレッドがMem内に取り込まれます。
さらに格納された情報を分析して、類似したスレッドをサジェストするようになります。
「@memdotai Mem it」で情報を取得し、 Twitterから得られる情報を体系的にインプットしましょう。
グループを作成してメモを共有
Memは、従来のメモアプリ(Notionなど)と同様にグループを作成し、複数人で操作するクラウドシステムとしての側面も持っています。
そしてグループ全体に、取得したメモやタスクを共有することが可能。
共有機能を使うことにより、グループ全体が同一情報を参照するようになります。チームワークを要とする学業や仕事にうってつけの機能と言えるでしょう。
AIを搭載するMemは、複数人による大量のメモ書きを格納すれば、一人で使う場合よりもはるかに速いスピードで成長します。
そうすればMemは、まるで企業シンクタンクのように、膨大な知識をグループに提供するようになるでしょう。
AI型メモアプリMemに似たツールとサービス一覧
上記のとおりMemは、AIによる思考でユーザーをサポートすることが可能です。
一方でツールとしての歴史は浅く、ユーザーレビューもほとんど存在しません。
よってこれだけに依存するのはリスクがあると考える人も多いでしょう。その場合はAIの可能性に期待しつつ、以下のような実績あるメモアプリを併用するのがおすすめです。
- Notion
- Roam Research
- Evernote
いずれも世界中で活用されているメモアプリです。それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
Notion|メモを中心としたオールインワン・ビジネススペース
メモアプリといえばNotionが有力です。全世界での利用者は、2,000万人以上にものぼります。
メモアプリとカテゴライズされますが、実際にはタスク管理に社内Wiki、マニュアル作成ツールなどビジネス上必要な機能がほぼすべて入っているのが特徴です。オールインワン・ビジネススペースなどと呼ばれることも。
Notionひとつで、会社で必要なドキュメントや機能をすべてまかなうことさえ可能です。
メモ以外に以下のような機能があります。
- カレンダー
- テンプレート
- ガントチャート
- ロードマップ
- チームスペース
Memと比較すれば、AIはさておき、ない機能がないともいえる状態です。導入して、役に立たないということはあり得ません。一度は検討する価値があるでしょう。
Roam Research|Wikipedia方式でメモを構造化
Roam Researchは、Memと同じく、メモを整理して構造化するのが得意なメモアプリです。
たとえば「東京都の魅力」という”親”メモを書き出したとしましょう。そうすると、市区町村だったり施設名だったり、なんらかの”子”としての概念もまとめる必要が生じるはずです。
Roam Researchでは、親メモを執筆しながら、同画面上で”子”メモを執筆できます。
わかりやすく言えば、Wikipediaと同じ方式でメモを執筆することが可能。これでものごとを構造的にとらえたり、事象の隠れたつながりを見つけたりして、クリエイティブな活動を高められます。
Memにも似たような機能はありますが、まだ使い勝手や安定性に確固たる信頼が集まっているとは言い難い状況。しかしRoam Researchは2019年にリースされ、多くのユーザーに使われています。
Evernote|マークダウンメモと社内Wikiの複合
Evernoteは、全世界で2億2,500万人以上が利用する、最もユーザー数の多いメモアプリです。
シンプルなのが特徴で、基本的にはメモを書き、それをフォルダ分けする形になっています。余計な機能がないぶん、ユーザーの迷いが生じづらく、とにかく使いやすいのが魅力的です。
とはいえ近年ではその利便性を保ちつつ、できることを増やしています。たとえばToDoリストやタグ付けなど機能が追加されており、より体系的にメモを整理することが可能に。
共有機能などはさほど強力ではありませんが、個人的な目標、私的なプロジェクトといったサイズのものごとを管理するにはうってつけです。
Memに関するよくある質問
本記事ではAI搭載のメモアプリMemに関して解説しました。最後によくある質問に対してQAの形式で解答します。
- NotionやEvernoteなどとどのように使い分ければよい?
- 日本語版はある?
- Memはインポートとエクスポートに関してどこまで対応しているか?
気になる点があれば確認しましょう。
- NotionやEvernoteなどとどのように使い分ければよい?
-
NotionやEvernoteとは、以下の基準で使い分けるのがおすすめです。
- Mem▶︎AI機能を活かしたアイデア作りや情報集めに役立てるNotion▶︎シンプルなメモアプリとして活用、もしくはオールインであることを活かし、メインワークスペースとする
- Evernote▶︎小規模なビジネス、あるいは私的な目標の管理に利用する
MemはAI機能が搭載され、新しい可能性を感じさせつつも、まだ実績がないのが難点です。Notionなどへの愛着が、Memの導入を遠ざけている部分もあるでしょう。
- 日本語版はある?
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現状でMemの日本語版はリリースされていません。基本的には英語版をなんとか利用することとなります。
ただしGoogle Chromeなど翻訳機能があるブラウザを使っているなら、この問題は解決可能です。
上記のように、かなり自然な日本語の状態でMemを活用できます。
ただしAIによるメモライティングにも翻訳がかかるため、情報の精度に悪影響が生じるかもしれません。
その点を踏まえるとサービス自体の日本語対応が待たれるところです。
- Memはインポートとエクスポートに関してどこまで対応しているか?
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現在のところ、主要なツールやサービスとの互換性はありません。せいぜいメールと同期できる程度です。
つまりEvernoteの内容を写し込むなどのアクションが実施できません。仮に完全に切り替えるなら、相当な移行コストが生じます。
となるとMemをメインのメモアプリとして使うのは、まだ現実的ではありません。AIを有すること、またそれに裏付けられた画期的な機能性があるのは認めつつも、主要なメモアプリのそばでサブ的に活用するのがよさそうです。
まとめ
本記事ではMemに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- MemはAIを搭載した画期的なメモアプリ
- 与えられたメモを整理したり、代わりにメモ書きしてくれるなど、AIならではの機能が満載
- スマート編集や Twitterスレッドの整理も魅力的
- ただしサービスとしての歴史は浅く、Mem単独に依存するのはややリスキー
- Notionをはじめとしたメモアプリを主軸に、Memを試験的に回すのが、現時点での最適解か
AIを搭載したMemは、メモをまとめるだけでなく、必要なメモを勝手に書いてくれるまさに夢のようなツールです。OpenAIの支援を受けたことにより、今後の更なる発展やアップデートが期待されます。一方でNotionなどの大手メモアプリほどの実績や信頼があるわけではありません。現在の利用スタイルを保ちつつ、Memは試験的に運用するのが賢明でしょう。