メタバースの作り方|構築方法や制作手順を5ステップで解説

メタバースは、ビジネスからエンターテイメントまで汎用性が高く、これから伸びる分野です。

自分でもメタバースを構築してみたいと考えている方は多いはず。

  • メタバースを作る手順を知りたい
  • 製作に必要な準備は?
  • メタバースは何に使える?

しかしこのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

結論から言うと、メタバースは5ステップで作成可能です。

この記事では、メタバースの構築手順を5ステップで解説するとともに、製作に必要な準備も紹介。最後にはよくある質問にもお答えします。

メタバースを作って、なんらかのサービスを始めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

メタバースの作り方5ステップ

メタバースのイメージ

メタバースの作り方を5ステップで紹介します。

ここで作り方の流れを把握してくださいね。

  1. 目的を設定
  2. サーバーを選定
  3. 3DCGでアバターや素材を作成
  4. 作った素材を配置
  5. 空間をアップロード

それぞれ詳しく解説していきます。

1.目的を設定

制作に取り掛かる前に、目的設定をしましょう。

誰の何のためのメタバースか、といった軸をしっかり決めておくと、途中で困難な事態に直面したとしても、軌道修正が可能です。

目的が確定したら、計画の内訳を決めていきます。

  • 制作メンバーの確定
  • 商業目的かエンタメ目的か
  • 収益化したい場合は収支計画
  • 予算
  • リソース

以上のことが決まったら、次のように具体的な内容も詰めていきましょう。

  • 世界観
  • 空間全体の広さ
  • 空間に持たせる機能
  • 配置する素材など

最後に予定表を作成して、第1ステップは完了です。

2.サーバーを選定

次に、メタバース用のプラットフォームを利用するか自社開発するかを決めます。

潤沢な予算と人材を持ち合わせていれば、独自のプラットフォームがおすすめですが、既存のプラットフォームを利用すれば負荷を抑えられます。

メタバース製作会社に委託する方法もありますが、そういった場合はコストが大きくなる覚えておきましょう。

例えば、メタバース開発会社METABIRDSでは、独自サーバーを使用する場合、275万円〜550万円の基本料金が必要です。

メタバースの開発費用
出典:cyzyspace

開発するメタバースの規模や予算に応じて、独自サーバーを使うか既存のプラットフォームを利用するか選ぶと良いでしょう。

プラットフォームを利用するのもおすすめ

メタバースを構築できるプラットフォームもあり、利用すれば制作時間とコストを大幅に削減可能

プラットフォーム概要
VRChat新規ワールドを作成Vket Cloudの個人ユーザープランであれば、料金無料
RobloxRoblox Studio(ロブロックス スタジオ)でオリジナルゲーム開発料金無料、ゲームの収益の25%が開発者の取り分
cluster「Cluster Creator Kit」を「Unity」に導入「Unity」は非商用であれば無料
Vket CloudHIKKYが提供するメタバース開発エンジン月額定額990円~
DOORNTTこのキューが提供するマルチデバイス対応のプラットフォーム利用料無料から数百万円までプランによる

個人利用であれば無料で始められるものも少なくありません。

3.3DCGでアバターや素材を作成

次にメタバース空間および空間に配置する素材やアバターを作成します。

プラットフォーム内で作成できる場合もありますが、一般的によく使用される編集ソフトには次のようなものがあります。

  • Maya
  • 3ds Max
  • Blender

Mayaは、Autodesk社が提供するCG作成ソフト。

アニメーション・モデリング・シミュレーション・レンダリングが可能です。映画やゲーム、テレビ番組の制作にも使用されている世界的に有名なツールです。

3ds MaxもAutodesk社が提供する有償の3DCG作成ソフト。建築業界における人気ソフトで、CADやRevitのような建築系ソフトとの互換性が高いのが特徴です。

プラグインを使用すれば、フォトリアルなシーンの作成も可能。ただしWindowsにしか対応していません。

Blenderは、オープンソースのソフトウェアです。世界各地のプログラマーがボランティアで開発しており、誰でも無料で使用できます。

3Dアニメーション・モデリング・シミュレーション・レンダリングなど3DCG制作をワンストップで行えます。

高額なライセンス料が不要なため、個人でも費用を抑えて3DCGを作成可能です。

ゲームエンジンを利用してメタバースを作る方法も

多くのメタバースゲームの開発には、ゲームエンジンが使われています。ゲームエンジンには、ゲーム開発に必要な仕組みが最初から用意されており、効率的にコンテンツを制作できます。

その代表がUnityやUnreal Engineなど。

なかでもアメリカのUnityTechnologies社が提供するUnityは、世界シェア約50%を誇ります。

知名度の高いメタバースアプリの多くは、Unityを利用して開発されており、以下のサービスもUnityによるものです。

  • VRChat
  • PokemonGo
  • 原神
  • ドラゴンクエストウォーク

ゲーム以外にもデジタルツインや製品開発にも活用されています。

Unreal EngineはUnityに並ぶ人気のゲームエンジン

個人・法人を問わず無料で利用できます。

ただし、収益化を目的としたゲームやアプリケーションをリリースする場合は、収益が100万ドル以上になると5%をEpic Gamesに支払う必要があります。

ゲーム開発初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーから支持されており、具体的な活用事例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • フォートナイト
  • PUBG
  • メトロエクスプローラーズ

また、メタバースゲームだけでなく、映画アベンジャーズやスター・ウォーズシリーズにも使われていますよ。

4.作った素材を配置

素材やアバターの製作が完了したら、メタバース空間に配置していきます。アバターの動作設定などもこの段階で行います。

空間が形になったら、プラットフォームに合わせて細かな動きなどを設定しましょう。

動きの他の設定事項には、スポーンポイント(アバターがワールドへ登場するときの出現場所と体の向き)や地面や壁につけるコライダーの位置、デスポーンハイトなどがあります。

5.空間をアップロード

最後に、完成した空間をアップロードして公開すれば完成です。アップロード方法はプラットフォームごとに異なります。

Unityでメタバースプラットフォームclusterにアップロードする場合の手順は、次のとおり。

  1. UE4から3D図形をエクスポート
  2. Blenderで成型・最適化をしてFBX出力
  3. UnityにインポートしてClusterに公開

以下の動画が参考になりますよ。

メタバース制作に必要なもの

VRゴーグルを使っている男性

メタバース制作に必要なものは、次の3つです。

  1. ハイスペックパソコン
  2. 編集ソフト
  3. VRヘッドセット

順に見ていきましょう。

1.ハイスペックパソコン

メタバースの制作には、ゲーミングパソコンがおすすめ

3Dグラフィックを動かすためには、高いデータ処理能力が必要なため、一定程度以上のスペックがないと画面が固まったり動きが重くなったりします。

スムーズに編集するために、以下のようなスペックのパソコンを用意しましょう。

CPUオクタコア (8コア)以上
GPUGeforceRTX3060、GeforceRTX3070
メモリ16GB、32GB
グラフィック8GB以上のグラフィックメモリを搭載したグラフィックカード

NVIDAの最新GPUは、2023年8月に発表されたRTX5000、4500、4000です。RTX5000は次世代生成AIに対応するため、GDDR6 32GB(メモリ)を搭載しています。

2.編集ツール

代表的な編集ソフトはBlender、3ds Max、Mayaなど。3DCGは、次のようなフローで作成します。

  1. コンセプトデザインの決定
  2. モデリング:キャラクターの形状作り
  3. テクスチャリング:キャラクターの色や質感
  4. リギング:キャラクターやオブジェクトに骨(ボーン)やジョイントを設定
  5. アニメーション:キャラクターの動きや表情作り
  6. ライティング:照明の設定
  7. レンダリング:映像ファイルに変換
  8. コンポジット:背景の合成やエフェクト追加
  9. サウンドデザイン:音楽や効果音の制作
  10. ポストプロダクション:最終的な仕上げ

これらの作業をするのに便利なのが次の編集ツールです。特徴と使用料についてまとめました。

編集ソフト特徴使用料
Blenderオープンソースの統合型3DCGソフトウェア無料
Mayaキャラクターアニメーション、モーショングラフィックス、シミュレーションなどに優れている36,300円/月~
3ds Max建築、製造、ゲーム、映画、テレビ、その他の産業など、さまざまな分野で利用されている36,300円/月~

※2023年12月時点の料金

3DCGソフトの中で、Blenderだけはオープンソースのため利用料が無料

個人制作には十分な機能が備わっています。その他のソフトは、使用料が年間約30万円からと高額です。

まずはBlenderで3DCGを制作してみて、必要な機能が必要になってから他のソフトを購入すると良いでしょう。

3DCG構築以外のスキルも重要

3DCGが作成できればメタバースが作れそうと考えるかもしれませんが、そのほかにも以下のようなスキルが必要です。

  • プログラミング言語
  • グラフィックデザイン
  • ネットワーク開発
  • セキュリティなどの知識とスキル

メタバース開発プランを立て、全体を監修できる人材も必要とされています。

例えば、VTuber事務所ホロライブが運営するメタバースプラットフォーム「ホロアース」では、開発スタッフを募集しています。

Unityエンジニアや、サーバーサイトエンジニアなど、さまざまなスキルを持つ人材を募集中。

本格的なメタバースを作るにはどのような技術が必要なのか、参考にしてみるとよいでしょう。

ホロアース開発スタッフ募集サイト

3.VRヘッドセット

VRヘッドセットとは、VR(バーチャルリアリティ)を体験するためのデバイス。空間や動作のチェックにMeta Quest やVive Pro 2などのVRヘッドセットが必要です。

ヘッドセット以外にも、コントローラー(Meta Quest Touch Pro、VIVEなど)も同様。スマートフォンをはめ込むタイプのヘッドセットもあります。

さまざまなデバイスからアクセスしても仕様に問題が生じないかを確認するため、数種類のヘッドセットを試してみる必要があるかもしれません。

メタバースとVRの違いとは?

メタバースは、3次元の仮想空間を指します。ほかのユーザーと交流したり経済活動を行ったりなど、プラットフォームとしての機能も持ち合わせています。

VRは、ゴーグルなどを利用して3次元の仮想空間上で楽しむサービスを指します。

メタバースは、仮想世界でのコミュニケーションに重点を置いているのに対し、VRは仮想空間での体験そのものが目的です。

より詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

メタバースを作成・活用することで効果が期待できる分野

メタバースのイメージ

メタバースは、次の3つの分野で効果を発揮すると期待されています。

  1. 教育
  2. ビジネス
  3. エンターテイメント

順に見ていきましょう。

1.教育

メタバースを教育に活用すると、次のようなメリットがあります。

  • 遠方の学生も受講できる
  • 現実世界では体験できない疑似体験ができる
  • 3Dコンテンツで学習効果の向上が期待できる
  • アバターを介して能動的な参加を促せる
  • 障がいを持つ生徒も同じ教育の機会を得られる

通信制高校・角川ドワンゴ学園のN高等学校/S高等学校では、VRを教育に活用しています。

MetaQuest2を利用した授業や、英会話や面接の練習などもでき、遠方に住んでいても履修が可能。

東京大学メタバース工学部は、東京大学大学院工学系研究科・工学部が中心となり、2022年7月に設立が発表されました。

年齢やジェンダーに関係なく、すべての人が工学や情報を学べるよう産官学民一体となって、DX人材の育成を進めています。

VRChatとZoomのハイブリッド方式で、工学系教育プログラムを中高生から学べる機会を提供しています。

スタンフォード大学も授業のほぼすべてをVRで行う講義「Virtual People」を実施しました。

このように教育界でもメタバースが活用され、地域・年齢を超えた交流や学びが可能となっています。

2.ビジネス

ビジネスにもメタバースは広く活用されています。

例えばバーチャルオフィスに出社し、会議や打ち合わせもメタバース上行うなど、出社せずともチームで働ける環境が醸成されつつあります。

他にもNVIDIAのオムニバースのようなメタバース上のプラットフォームで、リアルタイムに複数人が商品開発に関わることもできるようになりました。

さらには地方創生の手段としてメタバースを利用している自治体も。例えば以下のような例が存在します。

  • 吉本興業が地方自治体と提携してメタバース上でイベントを開催
  • 大手人材派遣会社パソナが淡路島へ移転しアバター事業を展開

企業がメタバースを利用する具体的について、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

3.エンターテイメント

マインクラフトやあつまれどうぶつの森、フォートナイトもメタバース要素が強いゲームです。クリエイティブモードを使用すれば、自分だけのオリジナルメタバースを作成できます。

フォートナイトでは米津玄師や星野源がメタバース上でライブを開催しました。また、ぴあ株式会社はバーチャル空間でライブを楽しめるプラットフォームNeoMeを開発。

スマホアプリで気軽にバーチャルライブが楽しめます。

株式会社HIKKYが主催するVketなどのメタバースでは、マーケットやイベントが開催され、ひとつの経済圏として成り立っています

バーチャル秋葉原やバーチャル渋谷などのメタバース会場とリアル会場とのコラボなども行われており、今後の広がりが注目されています。

メタバースの作り方に関するQ&A

VRゴーグルを使う男性

本記事では、メタバースの作り方に関する方法を解説しました。最後によくある質問に回答します。

疑問をお持ちの方は参考にしてください。

  • メタバースを構築するための費用はいくら?
  • メタバースを体験する手順は?
  • 3D NFTの作り方は?
  • メタバースは個人でも作れる?

メタバースを構築するための費用はいくら?

メタバースを構築し、自社のイベントを開催するには、既存のプラットフォームを利用する方法と、独自のオリジナル空間やシステムを構築する方法の2種類があります。

すべてをオリジナルにする場合、メタバース構築を専門とする企業に委託すると数百万〜1千万円以上の費用となるケースも。

また、2Dとフル3Dでも作業工程や必要な人材が大きく異なります。

また保全を含め月額費用が必要な場合も。その場合、月額数十万円かかるケースが多いようです。

初期(開発)費用だけでなく、月額維持費用も考慮して計画を立てましょう。

メタバースを体験する手順は?

メタバースを体験する手順は次のとおりです。

  1. メタバースに参加するためのデバイスを準備する(パソコン・VRゴーグルなど)
  2. 暗号資産を管理するためのウォレットを用意する
  3. プラットフォームのアカウントを発行し、ウォレットを用意する
  4. メタバースにログインする

3D NFTの作り方は?

NFTとは「Non Fungible Token(非代替可能トークン)」の略で、デジタルデータに識別子をつけて、ブロックチェーン上に保存する技術のことを指します。

デジタルデータを資産として所有でき、2次販売がアーティストの収益になることもあります。

3D NFTは、3DのデジタルオブジェクトをNFT化すれば作成可能。その手順は以下のとおりです。

  1. 作品をデジタルで作成
  2. 仮想通貨取引所でイーサリアムなどを購入
  3. 仮想通貨ウォレットを用意
  4. NFTマーケットプレイスとウォレットを接続
  5. NFTマーケットプレイスにログイン
  6. ウォレット内にNFT売買に必要とされている仮想通貨を入金
  7. 提供するNFTの売買価格などを入力
  8. 出品するNFTをアップロードして完了

基本的に2D作品のNFT制作と手順は同じです。

メタバースは個人でも作れる?

近年、メタバース開発環境が整ってきているため、個人でもメタバース開発は可能です。

メタバースプラットフォームを利用すれば、3DCG制作やプログラミングのスキルがなくてもメタバースを制作できます。

本格的に開発したい場合は、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンを利用すると良いでしょう。

個人であれば無料で利用できるゲームエンジンを利用すれば、費用を抑えてメタバースを制作できますよ。

まとめ

この記事では、メタバースを作る手順を5ステップで解説しました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • メタバースを作るには3DCG制作スキルが必要
  • 3DCGを作成できる主なツールは3ds Max、Maya、Blender
  • メタバース開発に利用されるゲームエンジンはUnityとUnreal Engine
  • プラットフォームを利用すれば工程を短縮できる
  • メタバースは教育・ビジネス・エンターテイメント分野で活用できる

メタバース開発プラットフォームを利用すれば、個人でもメタバース作りは可能です。

かけられる予算に応じて、メタバース作りに取り組んでみましょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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