メタバースを作成・配信できるSTYLY(スタイリー)の始め方・使い方を解説

出典:Steam

近年、cluster(クラスター)やRoblox(ロブロックス)など、プレイヤー自身がメタバースを作成できるプラットフォームが人気です。

実際にメタバース制作を体験した方の中には、さらに本格的な制作ツールを探してSTYLY(スタイリー)を知った方もいるでしょう。

しかし、

  • STYLYどうやって始めるのか知りたい
  • どのように使うのかを知りたい
  • 実際の活用事例や作品を知りたい

などの悩みをもつ方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、STYLYはWebブラウザから手軽にメタバース作品を制作できるツール

手順さえわかれば、3Dモデルを制作できなくても簡単にVR・AR/MR作品を作り出せます。

今回は初心者でもわかりやすいように、STYLYの始め方や使い方について解説します。

活用例も紹介するので、STYLYでメタバース作品を制作したい方はぜひ最後までご覧ください。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

STYLY(スタイリー)とは?|3つの特徴と活用事例を紹介

STYLY
出典:Steam

STYLYは、だれでもメタバースに関連する作品を作れるサービスです。

主な特徴は以下の通り。

  1. VR・AR・MR作品を簡単に作成可能
  2. スマホアプリからでも利用可能
  3. 無料で利用可能

実際の活用事例も紹介するので参考にしてください。

1.VR・AR・MR作品を簡単に作成可能

STYLYは以下のメタバースに関連する作品を作成できます。

作れる作品具体的には
VR(仮想現実)3Dアセットを組み合わせて仮想空間を作成できる
AR(拡張現実)スマホカメラから現実世界を見ることで3Dオブジェクトを表示できる
MR(複合現実)実際の都市データを取り込み、3Dオブジェクトを表示できる

STYLYが用意した3Dオブジェクトや、自身が作成した3Dデータを組み合わせて、VR作品を作成可能。

STYLY GALLERYに作品をアップロードすれば、簡単にVR作品を公開できます。

STYLYに公開されている作品
出典:STYLY GALLERY

また、日本の7都市のAR/MRデータテンプレートが用意されており、現実都市と3D作品を連動できます。

都市データにARコンテンツを配置して、スマホカメラで現地を写せば3Dオブジェクトが表示されます。

STYLYは3Dデータを編集できる高機能なツールでありながら、Webブラウザから作品を制作可能。

専用のソフトやアプリをダウンロードする必要がなく、比較的低スペックなPCでもVR・AR/MR作品を作り出せます

2.制作した作品はスマホアプリから鑑賞可能

STYLYはスマホアプリをリリースしており、公開されている作品をスマホから鑑賞できます。

AR/MR作品はスマホアプリのカメラを通して見る必要があります。AR/MR作品を制作したい方は導入しておいた方が良いでしょう。

アプリは下記のリンクからダウンロードできます。

アプリ版の使い方は公式サイトで詳しく解説されています。

【STYLY Mobileアプリ】

3.無料で利用可能

STYLYは高機能なメタバース開発サービスにもかかわらず、無料で利用可能。無料版では作品にSTYLYのロゴ掲載が必須ですが、商用利用も可能です。

ツールの使用制限はなく、有料版と同じ機能をすべて利用できますよ

有料版の価格と無料版との違いは以下の通り。

スクロールできます
プラン|料金Artist|無料Pro|¥50,000/月Pro Unlimited|¥100,000/月
シーンの制作に必要な機能全て利用可能
VR / ARシーンの制作全て利用可能
商用利用商用利用可・STYLYロゴ掲載必須・PR素材として活用することを許諾商用利用可
Galleryに非公開なシーン(Unlisted・Private)×1シーン/月無制限
STYLYロゴの削除・変更×変更可能変更可能
オフライン対応(VR HMD/モバイル)×可能可能
セッションの作成◯(Publicシーンのみ)◯(Public、Unlisted、Privateすべてのシーン)
Unlistedシーンへのセッション参加
Privateシーンへのセッション参加×
ロケーションマーカー×1シーン/月無制限
サポートコミュニティベースでのサポート
STYLY FORUM JP
メールサポートメールサポートに加えオプションとして、・オンライン/オフラインでの技術サポート(10万/日~ )・コンサルティング(100万/月~ )
参考:STYLY

個人であれば無料版を利用し、企業など規模の大きいプロジェクトであれば有料版に登録するとよいでしょう。

STYLYの活用事例3選

STYLYを使えばどのような作品が作れるのか、実際の活用事例を交えて紹介します。

  1. AIR RACE X|都市型XRエンターテインメント
  2. IdentityV 第五人格とのコラボイベント
  3. 電子楽器の創造展|国立科学博物館

1.AIR RACE X|都市型XRエンターテインメント

STYLYを活用した都市型XRエンターテインメントAIR RACE X
出典:STYLY

AIR RACE Xは、2023年10月に開催される小型飛行機によるエアレースイベントです。

エアレースとは?

小型飛行機の操作技術やスピードを競うスポーツ。

パイロットは世界各地の拠点からリモート形式でフライトを行い、タイムを競います。

STYLYでは、小型飛行機の飛行データをリアルタイムで取得し、渋谷の街をフライトする様子を上映

2023年10月15日の決勝戦のフライトを観戦できる予定です。

STYLYアプリをダウンロードしたスマホ、またはVRゴーグルを使えば観戦できますよ。

2.IdentityV 第五人格とのコラボイベント

IdentityV 第五人格とのコラボイベントではSTYLYが採用
出典:scarz.net

IdentityV 第五人格(アイデンティティファイブ だいごじんかく)は、中国のNetEase Gamesが提供する鬼ごっこゲーム

ハンター1人対サバイバー4人で鬼ごっこを行い、サバイバーはハンターの攻撃を避けながらフィールドを抜け出せばゲームクリアです。

STYLYは2023年4月にコラボイベントを開催。東京・GINZA SIXに会場が設営され、VRゴーグルを使用して第五人格の世界観を体験できました。

商業施設にゲームの世界を拡張するイベント事例は少なく、STYLYが先進的な取り組みを実施していることがわかります。

3.電子楽器の創造展|国立科学博物館

STYLYが活用された電子楽器の創造展
出典:STYLY

電子楽器の創造展は、2023年7月から8月にかけて、VR空間で実施された電子楽器の展示イベント。メタバースプラットフォームにSTYLYが採用されました。

歴史的な電子楽器が精密な3Dモデルで展示され、楽器の音源も視聴可能

電子楽器開発に携わった偉人たちや、電子音楽の普及に貢献したバンドYMOの機材セッティングも展示されました。

STYLYの始め方を画像つきで解説

出典:STYLY

これからSTYLYを始める方のために、実際の手順を画像つきで詳しく解説します。

ここから先は、このページを別画面で開きながら作業するとわかりやすいですよ。

  1. STYLY公式ページにアクセス
  2. アカウントを作成
  3. 新規シーンを作成

STYLYを始める前に、推奨動作環境を確認しておきましょう。

推奨動作環境

STYLYが公表する推奨動作環境は以下の通り。

OSWindows(64bit)、macOS
GPUdiscrete GPU (NVIDIA、AMD)、Intel HD Graphics (4000 and above)
Memory4GB以上、8GB推奨
WebブラウザGoogle Chrome
引用:styly.cc

32bitのWindowsには対応していないため自身の所有しているPCのスペックを確認しておきましょう。

STEP

STYLY公式ページにアクセス

まずはSTYLY公式ページにアクセスしましょう。

STEP

アカウントを作成

画面右上の「新規登録」ページにアクセスして、アカウントを作成しましょう。

「ユーザーID」「メールアドレス」「パスワード」を入力して「同意して新規登録」をクリックします。

STYLYのアカウント作成画面

以上でアカウント登録は完了です。

STEP

新規シーンを作成

STYLYにログインするとSTYLY GALLERYページが表示されます。画面右上の「新規シーン」をクリックしましょう。

STYLY画面右上の「新規シーン」をクリック

STYLY STUDIOページに遷移するので「シーンを作成」をクリック。

STYLYで作成するシーンを新規作成

AR・VRシーンのテンプレートが表示されます。作成したいテンプレートを選択しましょう。

STYLYのテンプレートを選択

プロジェクト名を入力して「作成」をクリックします。

STYLYで作成するプロジェクト名を入力

テンプレート編集画面が表示されるので、シーンを作成しましょう。

STYLYのテンプレート編集画面

STYLYの使い方を解説

出典:STYLY

STYLYの主な使い方を解説します。

  1. VRシーン|仮想空間を制作
  2. ARシーン|都市テンプレートを活用
  3. STYLY Mobileアプリの使い方

1.VRシーン|仮想空間を制作

VRシーンでは、仮想空間を制作できます

シーン選択画面から「VR Scene Template」を選択しましょう。

STYLYシーン選択画面から「VR Scene Template」を選択

VR空間の編集画面が表示されます。

STYLYの VR空間の編集画面

3Dオブジェクトを配置する際は、画面右上のアセット追加ボタンをクリックしましょう。

STYLYのアセット追加ボタンをクリック

STYLYには、すでに完成した3Dオブジェクトが用意されています。「Official Model」をクリックして、追加したいオブジェクトを選択しましょう。

STYLYのOfficial Model

オブジェクトを選択すると、編集画面に配置されます。

オブジェクトに表示されている矢印マークをドラッグ&ドロップすれば、配置を移動できます。

矢印の中央にある四角いマークをクリックすれば、オブジェクトを自由に移動できますよ。

STYLYのオブジェクトに表示されている矢印マークをドラッグ&ドロップすれば、配置を移動可能

アセットは豊富に用意されているので、オブジェクトを組み合わせるだけでもVRシーンを作成できます

ご自身で作成した3Dモデルをアップロードしたい場合は、アセット追加ページの「My uploads」からデータをアップロードしましょう。

3DモデルはMy uploadsからアップロード可能

2.AR/MRシーン|都市テンプレートを活用

STYLYでは、下記7つの都市テンプレートからAR/MRシーンを作成できます。

  • 札幌・大通公園
  • 東京・渋谷駅
  • 新潟・古町
  • 名古屋・名古屋駅
  • 京都・京都駅
  • 大阪・道頓堀
  • 福岡・天神駅

テンプレートを選択してARコンテンツを配置すれば、現実世界の都市にARコンテンツが連動します。

下記の動画を視聴すれば、ARコンテンツがどのように表示されるかわかりますよ。

AR/MRシーンを作成する場合はまず、シーン作成メニューから都市テンプレートを選択しましょう。

STYLYの都市テンプレートを選択

プロジェクト名を入力して「作成」をクリック。

STYLYで作成するプロジェクト名を入力して「作成」をクリック

都市データがインポートされたシーン編集画面が表示されます。

STYLYの都市データがインポートされたシーン編集画面

VRシーン編集時と同様、アセットメニューから3Dオブジェクトを配置しましょう。

画面右に表示されているボタンをクリックすれば、オブジェクトの拡大・縮小が可能です。

STYLYでは画面右に表示されているボタンをクリックすれば、オブジェクトの拡大・縮小が可能

画面の向きを変更したい際は、カメラ画面右上のカメラマークをクリックしましょう。

画面の向きを変更したい際は、カメラ画面右上のカメラマークをクリック

キーボード操作でカメラの位置が変更でき、マウスの左クリックでアングルを変更できます。

キーボード操作でカメラの位置が変更でき、マウスの左クリックでアングルを変更可能

作品の公開方法

制作した作品を公開する際は、シーン制作画面左上の地球儀マークをクリックしましょう。

STYLYで制作した作品を公開する際は、シーン制作画面左上の地球儀マークをクリック

「Go to Publish」をクリックします。

「Go to Publish」をクリック

タイトルと作品の紹介文を入力して、タグを選択したら「PUBLISH」をクリック。

アップロードした作品はSTYLY GALLERYに公開されます。「Open in Gallery」をクリックして公開した作品を確認しましょう。

「Open in Gallery」をクリックして公開した作品を確認

作品ページの「シェア」をクリックすると、公開用URLが表示されます。URLから作品ページにアクセスすれば、STYLYアカウントがなくても作品を鑑賞可能です。

作品ページの「シェア」をクリックすると、公開用URLが表示される

AR作品をシェアする際は「ARで体験」ボタンをクリックしましょう。STYLY mobileアプリからQRコードを読み込めば、作品を楽しめます。

AR作品をシェアする際は「ARで体験」ボタンをクリック

STYLYに関するQ&A

STYLYに関するよくある質問と回答を紹介します。

疑問をお持ちの方は参考にしてください。

  • 無料版と有料版の違いは?
  • スマホでも利用できますか?
  • STYLYではUnityを使う必要はありますか?

無料版と有料版の違いは?

機能面で無料版と有料版に違いはありません。無料版でもすべてのメタバース制作ツールを利用できます

有料版では作品に表記されるSTYLYのロゴを削除でき、オフライン環境でもメタバース作品を公開できます。

無料版でも十分な機能性を備えているため、これからメタバース制作を始める方でも本格的な作品を制作可能です。

スマホでもメタバース作品を制作できますか?

STYLYスマホアプリでは、メタバース作品の制作はできません。アプリはVR・MR作品の鑑賞専用です。

スマホブラウザからも制作ツールは利用できないため、メタバース制作はPCから行いましょう。

STYLYアプリは以下のリンクからダウンロードできます。

STYLY公式サイトに詳細な使い方が公開されているので、参考にしてください。

【STYLY Mobileアプリ】 

STYLYではUnity(ユニティー)を使う必要はありますか?

STYLYではUnity(ユニティー)を利用できますが、必ずしも使う必要はありません

Unityとは?

3Dゲームを制作するための制作環境。無料で利用でき、世界中の3Dゲームに利用されている。

あらかじめ用意された3Dオブジェクトが存在し、組み合わせるだけでVR・AR/MR作品を制作できます。

まとめ

この記事では、STYLYの始め方や使い方について解説しました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • STYLYはWebブラウザから利用可能なメタバース制作ツール
  • VR・AR/MR作品を無料で制作できる
  • STYLYが用意したアセットを組み合わせるだけで作品を制作できる
  • 公開した作品はSTYLYのアカウント登録なしで誰でも鑑賞できる
  • AR/MR作品はスマホアプリから鑑賞できる

STYLYはWebブラウザから手軽にメタバースを制作できるツール。無料で利用できるため、開発初心者でも簡単に始められます

本記事を参考にして、この機会にぜひSTYLYを使い始めてみましょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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