スマートグラスでできることは?活用事例を紹介!ARグラスとの違いも解説

スマートグラスは、ハンズフリーでデジタル情報の表示やコミュニケーションができる眼鏡型のデバイスです。

さまざまなメーカーが開発しており、興味を持っている方もいるでしょう。

しかし、

  • ARグラスと何が違うの?
  • どの場面で活用できるの?
  • おすすめのスマートグラスは?

など、スマートグラスについて知りたい方も多いはず。

結論から言うと、スマートグラスは企業での作業効率を格段によくするだけでなく、個人で楽しむエンターテイメント性の高い次世代デバイスです。

この記事では、スマートグラスの機能や活用事例について詳しく解説します。購入しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

スマートグラスとは?特徴やARグラスとの違いを紹介

スマートグラス

スマートグラスの特徴は、以下の5つです。

  1. ハンズフリーのデジタルデバイス
  2. 小さなコンピューターを内蔵
  3. ARグラスとの違い
  4. 両目と片目タイプの違い
  5. ビジネス分野で活用が期待

順に解説していきます。

1.ハンズフリーのデジタルデバイス

スマートグラスは、ハンズフリーで利用できる眼鏡型の次世代型デバイスです。両手がフリーになるため、作業しながらデータを閲覧できます。

視界を遮断しない、声で操作が可能などの特徴も作業効率を上げるのに役立っています。

高所で作業する、マニュアルを確認しながら作業する、通話しながら作業するなど、現場の作業効率を上げるのに役立っています。

スマートウォッチと同じくウェアラブルデバイスの一種ですよ。

2.小さなコンピューターを内蔵

小さなコンピューターを内蔵しているため、ディスプレイを通じてデータを表示したり閲覧したりできます。

現在のところ、液晶や有機EL製のディスプレイに映像を投影するのが一般的ですが、網膜投影型のような眼球内の網膜に直接映像を投影し結像させる仕組みも研究されています。

3.ARグラスとの違い

スマートグラスとAR(拡張現実)グラスの違いを示す明確な定義はありませんが、機能面で呼び方が異なります。

ARグラスは現実の空間や立体物を認識し、連動したバーチャル情報を重ねる機能に特化しています。

近年では以下の動画のように、何もない空間に大きなスクリーンが映し出せる機能が人気です。

一方でスマートグラスは、主に動画や写真撮影、スマホと連携して通話などができるウェアラブルデバイスを指します。

しかし、近年ではARグラスと同様に映像を映し出せる機能を持つものもスマートグラスと呼ばれるケースもあることから、その違いは小さくなりつつあります。

本記事では映像が映し出せるタイプもスマートグラスとして紹介しています。

4.両目と片目タイプの違い

スマートグラスには、両目タイプと片目タイプがあります。

両目タイプであれば、左右に異なる情報を表示させられる、3D画像の表示も可能などのメリットがあります。

複数画面を立ち上げられるタイプもあり、エンターテイメント性が高いものは両目タイプがほとんどです。

Ray-Ban Metaコレクション
出典:Meta

一方で片目タイプは、リアルな視覚情報を遮断せずに利用でき、両目タイプよりも軽量のため、装着の負担が少なく済みます。現場での補助ツールとして使用することが多いようです。

スマートグラス片目タイプ
出典:OPPO

5.ビジネス分野で活用が期待

スマートグラスは、熟練の技が必要な場合や高所など、危険な場所での作業に有効です。

管理者や熟練者の作業風景をスマートグラスで撮影しておき、その映像を確認しながら作業すれば、失敗の確率は格段に下がるでしょう。

また、遠隔から管理者や熟練者が確認しつつ、通話機能で指示を出せば、作業の精度を上げる効果も期待できます。

管理者や熟練者が直接現場へ出向く必要がなくなり、移動や時間のコストも大幅に節約できるはずです。

スマートグラスをピッキング作業に活用して、ミスがゼロになったケースもあります。

最新のスマートグラスは?

最新のスマートグラスは、中国のメーカーXREALが3月末に発売したXREAL Air 2 Ultraです。予約が殺到したため、出荷を5月末に延期するほどの売れ行きとなっています。

XREALは、これまでに35万台のARグラスを出荷しており、2023年のグローバルシェアでは45.2%を占めています。また、Apple社もApple Vision Proを2024年後半に発売予定です。

スマートグラスできること5選

スマートグラスのイメージ

スマートグラスができることを5つ紹介します。

  1. デジタルデータ(テキスト・動画・音声)の表示・閲覧
  2. 通話
  3. 写真や動画の撮影
  4. 音声入力
  5. 状況の共有

それぞれ見ていきましょう。

1.デジタルデータ(テキスト・動画・音声)の表示・閲覧

スマートグラスで表示できるデジタルデータは、以下のようなものがあります。

  • テキスト
  • 動画
  • 音声

検索結果を表示してテキストを閲覧する、リアルタイムでナビゲーション情報を表示する、口頭や文章では理解しにくい作業マニュアルを動画で確認するなど、作業と同時にデジタルデータを閲覧するのに適しています。

また、ゲームや映画の画面を3Dで閲覧できるため、没入感あるエンターテイメント体験が可能です。

作業しながら情報を確認できる

早い段階から産業用スマートグラスは開発されており、製造業、物流業、メンテナンス業、建築土木業など、さまざまな業界で活用されています。

法人用に開発された代表的なスマートグラスは以下です。

メーカー商品名機能
VuzixM400スマートグラス単眼ディスプレイ録画機能無線接続ジェスチャーコントロール防水・防塵アプリとの連動
RealWearリアルウエアナビゲーター油田やガスなど可燃性の環境に強いガス漏れなどの特定温度計測
dynabookインテリジェントビューアAR100高精細ディスプレイ高画質カメラマイク・スピーカータッチパッド

過酷な環境下にも耐えられる仕様なのも、産業用スマートグラスの強みですね。

2.通話

ハンズフリーで通話できるため、両手がふさがっているときのコミュニケーションに便利です。外部と通話で確認しながら高所や危険な場所で作業できるので、時間短縮や安全性に貢献できます。

山林での作業で遭難した際には、通話相手にスマートグラスで録画した映像を見せることで、救出に役立つこともあるでしょう。

また、専門家とつながってリモートでトラブルシューティングも可能です。

リモートでサポートできる

作業に不慣れな人材でも、遠隔から指示やアドバイスすることで、一定以上の品質を担保できます。

とくにマニュアルでの対応が困難なケースに有効です。医療、製造、建設など、その場に合わせた対応が必要な場合に役立ちます。

今までは現場に出向いてマンツーマンで教えなくてはいけなかったところ、人材の育成や技術継承にもリモートで対応できるようになりました。

音楽が聴ける・翻訳してもらえる

個人的に使用する場合、イヤホンのように耳をふさがないので快適です。

ジョギングしながら音楽やポッドキャストを楽しむ、自動翻訳で会話を楽しめるなど、ウェアラブルデバイスとして相当便利。

最近では、パッと見た雰囲気がサングラスと変わらないおしゃれなデザインも発売されており、プライベートでの活用用途も広がっています。

音漏れしないタイプが人気です。

3.写真や動画の撮影

一部のスマートグラスにはカメラが搭載されています。目の前の状況や作業内容に対して、手を使わずに録画や撮影でき、リアルタイムで共有可能です。

熟練者の作業風景を熟練者の目線で録画することで、貴重な情報をデジタルデータで残しておけます。録画データを別の作業者が閲覧することで、技術継承もスムーズに進むでしょう。

似ている機能があるデバイスとしてはウェアラブルカメラがあります。

4.音声入力

音声入力できるので、いちいちボタンを押す必要がなく、作業しながら同時に入力も可能です。

例えば、日立製作所と東和ハイシステムが共同で開発した歯科向けスマートグラスは、検査結果を音声で電子カルテに直接入力できます。

スマートグラスをかけたまま電子カルテの中身も確認できるため、検査係と記入係の2名が必要だった歯科検診を一人で作業完了できるようになりました。

一人で検査をしながら、音声で検査結果を記録
画像引用:日経新聞

人員の節約と作業の効率化に役立っています。

参照:日経新聞|東和ハイシステムと日立、AI・音声電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit AI-Voice」を販売開始

5.状況の共有

スマートグラスは、作業現場のリアルタイム音声や画像によって、状況を確認できます。とくに現場でのトラブル状況を把握するのに非常に役立つでしょう。

またウェアラブルデバイスの特性を生かして生体情報を記録する機能もあります。血圧や心拍数を図ったり、将来的には脳波を計測できるタイプも開発されるでしょう。

センサーによる健康管理も

Jinsが発売したMEME(メメ)は、鼻当て部分にセンサーが内蔵されており、体の傾きを感知してデスクワークの姿勢を修正するよう指示したり、瞬きの回数で眼精疲労度合いを感知したりできます。

簡単な運動でリフレッシュできるコンテンツが32種類、瞑想など気分転換できるメンテナンスコンテンツを18種搭載しており、心と体のバランスを整えるサポート役として有効です。

目や体の健康をサポートする役割に特化したスマートグラスですね。

スマートグラスの活用事例3選

スマートグラスのイメージ

スマートグラスを企業が活用している事例を3つ紹介します。

  1. NEXCO中日本|高速道路の点検作業やOJT
  2. Nestle|遠隔で工場での作業を指示
  3. 豊田合成東日本株式会社|工場のピッキング作業

順に見ていきましょう。

1.NEXCO中日本|高速道路の点検作業やOJT

トンネル内の点検作業
画像引用:株式会社日立国際電気

2021年にNEXCO中日本は、ローカル5Gを活用した高速道路トンネル内メンテナンス作業の効率・安全性向上に関する開発実証を開始しました。

作業効率アップのために無線型スマートグラスを導入。トンネル内での作業をスマートグラスで確認しながら、オフィスにいる熟練者に支援してもらうのに活用しています。

2.Nestle|遠隔で工場での作業を指示

食品会社のNestle(ネスレ)は、工場の遠隔作業支援にスマートグラスを活用。

本社のあるスイスから工場のあるタイや中国を遠隔支援するのに効果を発揮しています。スマートグラス以外にも360度カメラ、ARマーカーなどを活用し作業効率アップに役立てています。

国を超えて直接現場に指示を出せるのは、品質保証の点でも有効ですね!

3豊田合成東日本株式会社|工場のピッキング作業

車の内装品や外装品を製造する豊田合成東日本株式会社では、dynabookのスマートグラスおよびリングスキャナーを導入しています。

作業者はスマートグラスにピッキング対象のリストが表示されるため、ピッキングミスがゼロになったという実績も。

作業者の無駄な動きがなくなった結果、作業者の体への負担を軽減。また、効率アップにより作業者の人数を減らすことにも貢献しました。

コスト削減効果が高いですね。

スマートグラスでできることに関するよくある質問

FAQ

スマートグラスでできることに関する、よくある質問についてまとめました。

  • スマートグラスの問題点は?
  • 手軽に利用できるおすすめのスマートグラスは?
  • 生体情報を取得できる?
  • 活用シーンは?
  • ウェアラブルカメラとスマートグラスの違いは?

順に見ていきましょう。

スマートグラスの問題点は?

通信環境に左右されるためWi-Fi環境が整っていない、または電波が弱い場面では効率が落ちます。また、バッテリーの持続時間が短ければ、長時間の使用に耐えられません

手軽に利用できるおすすめのスマートグラスは?

プライベートで手軽に利用できるスマートグラスを3つ紹介します。選ぶポイントとしては以下です。

  • 3DoF表示対応
  • 広い視野角
  • 調光機能
  • 画質の良さ
  • 音漏れの有無
製品名価格主な特徴
XREAL Air 2 Pro61,980円最大5面モニター表示
VITURE One XR74,880円音質が良い
XREAL Air 254,979円色がきれい複数ディスプレイ表示可能

特にXREAL Air 2 Proが人気のため、気になる方はチェックしてみると良いでしょう。

生体情報を取得できる?

センシング機能が実装されたスマートグラスの場合、眼球の動きや身体の傾き具合などの生体情報を取得できます。

センシングとは?

センサーと呼ばれる感知器などを使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称。

血圧や脈拍から健康状態を計測できるものもあり、過労や熱中症などのリスクを早期に検知するのにも役立てられます。

活用シーンは?

スマートグラスは、作業や点検が必要な現場で企業が利用するといった目的で開発が進められてきました。

しかし最近では、個人がゲームや映画などエンターテイメントを楽しむために利用する目的のスマートグラスも増えています。

VRヘッドセットの世界出荷台数は2022年の時点で1253万台に対し、スマートグラスの出荷台数はわずか38万台

これから一般の人が、どれだけ利用していくかがスマートグラス普及の決め手となるでしょう。

スマートグラスとウェアラブルカメラの違いは?

スマートグラスは、眼鏡型のウェアラブルデバイスです。装着者の目線映像を撮影でき、装着者自身もグラスに映った映像を確認できます。

それに対しウェアラブルカメラは、装着場所によって視点を変えることが可能で、主にアウトドアやスポーツシーンなどで利用されます。

アクションカメラとも呼ばれており、耐久性があり激しい動きにも耐えられる仕様となっています。

まとめ

この記事では、スマートグラスでできることについてまとめました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • スマートグラスは眼鏡型のデジタルデバイス
  • ハンズフリーで動画や音声を楽しめる
  • カメラ機能で作業現場の情報を共有できる
  • 遠隔から熟練者が現場の作業を指示できる
  • 生体情報を取得し健康維持に役立てられる

今まで企業の作業現場を中心に使用されてきたスマートグラスは、今後エンターテイメント分野でも発展していくと予想されます。

MetaやAppleも2023年にスマートグラスを発売しており、日本でもスマートウォッチに続き、スマートグラスの利用者が増えていきそうです。この記事をきっかけに、スマートグラスを試してみましょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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