近年では、NFTを購入するのが珍しいことではなくなってきました。すでに何らかのNFTを持っている人もいるかもしれません。
しかし、
- NFTを買っても、大した意味はないのでは?
- そのうち価値が暴落しそう
- どのNFTを買えばよいのだろう?
といったことを考えている人も多いはず。たしかにNFTは表面的には単なる絵や写真なので、価格ほどの価値を見出しづらいですよね。
しかしNFTを購入することには多くの重大な意味があります。本記事では、そうであるにもかかわらず「意味がない」と誤解される理由や、購入するメリットを解説します。
また価値のあるNFTを見分けて購入するポイントも解説するので参考にしてくださいね。
そもそもNFTに意味がないと言われる理由
NFTには意味がないと誤解される理由はさまざまですが、大きく分けて4つ挙げられます。
- ただの絵にしか見えない(理解するのがむずかしい)
- 無価値なアートやコレクションが多い
- 実用性はない
- 法的な権利の裏付けがない
もちろんNFTの中には、本当に所有するメリットがなかったり、仕組みに欠点があるものも。しかしそれはすべてのNFTに共通するわけではありません。
なぜ誤解されるのか、下記で詳しく解説するので参考にしてください。
ただ絵や写真にしか見えず理解するのがむずかしい
NFTに意味がないと言われる理由として、ただの絵や写真にしか見えない、という点が挙げられるでしょう。
これはNFTアートコレクションの一種、CryptoPunksのアート。安くても1枚1500万円ほどで取引されていました。
CryptoPunksは、NFTアートとして世界的な知名度とブランド力を有しています。また発行枚数も限定されており、希少性は群を抜いています。
ゆえに、高価な価格で取引されるわけですね。例えるなら世界に7点しかないとされるゴッホの「ひまわり」の作品群が、数億円で取引されるような現象が起こっています。
さらにNFTアートはブロックチェーン技術を利用して本物であることを証明することが可能。これが価値を高めています。
しかしCryptoPunksは、一般的なユーザーから見れば単なるドット絵にしかすぎない上に、ブロックチェーン技術、もしくはNFTそのものが難解な概念。この点も購入する意味を見出せない要因になっています。
A データの取引情報を、特定の形のブロックとして記録して連結する考え方。NFTを偽造すると、その特定の形と矛盾するため、すぐに偽物だとわかる。逆にブロックの形と一致する情報を持つNFTは本物だと断定できる。
無価値なアートやコレクションが多い
実際に無価値なNFTアートやコレクションが多い点も、「意味がない」と言われる要因のひとつです。
先ほど触れたCryptoPunksなどをはじめ、資産価値やブランド力を有するNFTはたくさんあります。一方で誰からも注目されず、「趣味で書かれたイラスト」程度の意味合いしかないものも多数。
こういったものを目にする機会があれば、「買っても意味はなさそう」と誤解するでしょう。
しかし資産価値やブランド力を有するNFTであれば、投資対象やブランディングの手段になり得ます。また現在では無価値だとされているものも、今後何らかのきっかけで価格が高騰し、多額の売却益を生み出すかもしれません。
実用性はない
実用性がないのも、「意味がない」と言われる理由のひとつです。
たとえばオンラインゲームソフトならプレイを楽しめる点で実用性があり、インスト(ボーカルなし)の音源であれば、自身の楽曲制作の土台になる点で実用的。
しかしNFTの多くは絵かイラストであり、実用性はほとんどありません。
もちろん売却益が得られる点から投機性が、集める楽しさがあることから娯楽性があるなどといえるのですが、それを理解できるユーザーはそう多くいません。
結果として実用性のなさだけが目立ってしまい、「現実での活動で使い道がないので、意味がない」と誤解されるわけです。
法的な権利の裏付けがない
法的な価値の裏付けがないのは、NFTの欠点であり、また意味がないと揶揄される大きな理由のひとつです。
上図は、弁護士組織である骨董通り法律事務所による見解です。
わかりやすくいうと、NFTには所有権が保証されないし、著作権も場合によっては認められない、と書いてあります。
つまりNFTを購入して、それを誰かに盗まれたり、使用を制限されたりした際に、「権利を侵害された(していない)」と主張できず、何らかの不利益を被るかもしれません。
また、今後法整備が進むなかで、取引上の制約が増えたり、NFTの定義が変わったりするかもしれません。そうすると資産価値が落ちてしまうなどのリスクも予想されます。
そういった点を懸念した、あるいはそれが行きすぎた結果、「買っても意味はない」という意見に辿りつくこともあります。
それでもNFTを買う意味やメリットは?
上記のとおり、NFTはあらゆる面から「買っても意味がない」と評価されることがあります。
そして実際に、質の悪いNFTアートやコレクションを購入する意味合いは薄いでしょう。
また希少価値の高いNFTにアートでも、実用性が低かったり、法的な権利の裏付けが不十分だったり、欠点があることは否めません。
それでも、今日もNFTは活発に売り買いされ、新しいプロジェクトが発表されています。それは、NFTに以下のようなメリットがあるからです。
- 売却益を得られる可能性がある
- 小規模でもNFTを基軸にしたビジネスを展開できる
- クリエイターに利益が還元される
- 法整備が進んでいる
- ファッションとして楽しめる
「NFTには意味がない」と言われがちですが、実際にはさまざまな意味、メリットがあります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
売却益を得られる可能性がある
まず、売却益を得られる可能性がある時点で、NFTには大きな意味があります。つまり購入したNFTがのちに値上がりし、売却すれば差額で稼げる、つまり投資対象としての価値があるわけです。
これはNFTコレクションのひとつであるCryptoPunksの、2017年から2023年11月までの平均取引金額を示すチャート。2017年ごろは0.1ETH(当時のレートで200円ほど)の価値しかありませんでした。
しかし2022年中頃に価値が高騰し、2021年には125ETH(6000万円ほど)の平均取引金額を記録しています。
このようにNFTは、何らかのきっかけで価格が高騰する可能性を持っています。収益を生み出しうるのは大きなメリットですね。
小規模でもNFTを基軸にしたビジネスにつながる
NFTを購入すれば、たとえ小規模でもビジネスを展開できます。具体的には次のようなもの。
たとえば有名なNFTを購入してX(Twitter)のアイコンに設定すれば、NFT界隈で一定の影響力が得られます。そうすると、インフルエンサー的なビジネスを展開できるかもしれません。
その影響力を活かしてメディアを運営したり、YouTubeチャンネルで情報発信したりすることも可能。
またNFTの購入をきっかけに、自分自身がNFTプロジェクトを立ち上げる人もいます。上記したNFT売却による収益の獲得もビジネスのひとつといえるでしょう。
このようにNFTを購入することで、ビジネス展開の機会が得られます。
クリエイターに利益が還元される
クリエイターに利益が還元されるのも、大きなメリットです。
NFTは、クリエイターからユーザーに売り渡され、そのユーザーからまた別の誰かに転売されます。
通常、モノが売買されるとき、お金は売り買いする人同士の間でしか起こりません。しかしNFTの場合「転売されるたびにクリエイターに少額の収益が入る」ように設計することも可能です。
これを利用すれば、売り買いすることでクリエイターをサポートすることができます。そうするとクリエイターとの関係性が築かれ、それが今後のビジネス展開などにつながるかもしれません。
そしてさらに重要なのは、自身がNFTを制作して流通させれば、それが転売されるたびに利益を得られることです。
この点に興味があるなら、ぜひNFT制作にチャレンジしてみましょう。制作について詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
ユーティリティを得られる
ユーティリティを得られるのも、NFTを購入するメリットのひとつです。
A NFTを購入した際に付随する、有形無形を問わない特典のこと。
わかりやすくいえばオマケのようなもので、これを目当てにNFTを購入する人も少なくありません。
上図はアサヒビールが提供するNFTコレクション、ASAHI SUPER DRY BRAND CARD COLLECTIONの概要です。
これを保有していると、アサヒビール工場に併設されたミュージアムのツアーに無料で参加できるようになります。
このようにNFTのなかには独自のユーティリティが用意されている場合があります。魅力的なものがあれば保有してみるのがよいでしょう。
ファッション・コレクションとして楽しめる
NFTをファッションとして楽しむユーザーもいます。たとえばX(Twitter)のアイコンに設定したり、自分が好きなデザインのアートを集めたりして楽しむことが可能です。
上図は、NFTコレクションの一種、NAMAIKI GIRLS。表題どおり怖いもの知らずで、生意気な女の子が、カラフルかつ近未来的に描かれています。
これはデザイン性の高さを評価されており、インフルエンサーのけんすう氏による単独インタビューが組まれるほど注目されました。
このようなデザイン性の高いNFTをアイコンにしたり、コレクションしたりする楽しみを味わえるのも、NFTを保有するメリットといえるでしょう。
買って損しないNFTの見分け方
「NFTを買ってみよう」と考えている人も多いでしょう。上述のとおりNFTを保有することにはさまざまな意味とメリットがあり、決して悪い選択肢ではありません。
しかし、なかには保有する価値がないNFTもあります。そういったものを避けて、価値の高いものを見つけるため、以下の点を意識しましょう。
- トレンド性があって転売するチャンスが広がっているか
- 知名度や認知度があるか
- 過去に完売・劇的な値上がりなどのイベントがあるか
- 活発に取引されコミュニティが健在であるか
トレンド性があって転売するチャンスが広がっているか
トレンド性があるNFTは、積極的に購入したいところです。転売して利益を得られる可能性が高いからです。
上図は、2022年5月に発売されたNFTコレクション、CryptoNinjaPartnersのフライヤーです。22,222点が販売され、わずか1時間で完売となりました。
同コレクションは世界でもっとも権威あるNFTコレクションCryptoPunksのスピンオフであり、大きなトレンドとなりました。決して安いわけではないにも関わらず、早期に完売。
このように需要が非常に多いNFTアートは、高値で転売するチャンスがあり、値下がりするリスクが小さいと言えるでしょう。このようにトレンド性が高いNFTであれば、賢い投資となりますよ。
知名度や認知度があるか
基本的に知名度や認知度が高いNFTを購入するのがおすすめです。需要が高く、ビジネス面でも役立ちやすいからです。
NFTと一口にいっても、コレクションによって知名度や認知度はさまざま。CryptoPunksのように世界的に知られるものがあれば、個人の趣味の域を出ないものもあります。
よく知られているものであれば、転売先を見つけやすく、売り抜けしやすいでしょう。またビジネス面でも、「有名なNFTを所有している」ことが強みになることも。
一方で知名度の低いものはそもそも需要がなく、保有していてもあまり意味がないかもしれません。よほどデザインが気に入っているなどの事情がないなら、こういったものを購入するのは避けましょう。
過去に完売・劇的な値上がりなどのイベントがあるか
また、過去に完売や劇的な値上がりのイベントがあったかも確認しましょう。それがNFTの価値をある程度担保するからです。
先ほど触れたCryptoNinjaPartnersは、販売開始後わずか1時間で完売しました。CryptoPunksは、下チャートが示すように、急激な価格上昇を経験しています。
完売しているなら、需要が高く転売先に困らない、あるいはビジネス上の影響力が高いといえます。ユーティリティの有用性を示しているのかもしれません。
極端な値上がりがあれば、今後同じような値動きをする可能性も。
このように完売や値上がりなどのポジティブなイベントを経験しているNFTは、大きなメリットを有している可能性が高いです。購入する前にその歴史をチェックしましょう。
NFTを購入する意味に関するQ&A
本記事ではNFTを購入する意味合いに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 過去の取引最高額は?
- バブルが崩壊する可能性は?
- 情報商材って買っても大丈夫?
- どういう人がNFTの運用に向いている?
- 過去の取引最高額は?
-
NFTの過去の取引最高額は、約75億円です。
デジタルアーティストのbeeple氏による下図のアートがこの金額で売却されました。
- バブルが崩壊する可能性は?
-
NFTの価格は常に変動し、時としてバブルが到来することがあります。上述したCryptoPunksの大幅な値上がりは、まさにバブルの典型例だといえるでしょう。
またNFTとETHが値動きする以上、バブルが崩壊する可能性は常に存在します。
上図は、人気NFTコレクションの一種、DeGodsの値動きを示すものです。
2023年8月上旬は9ETH以上の最低取引価格でしたが、中旬には3ETH近くまで下落。日本円に換算すると30万円近く値下がりしました。
株式などと同様に、値上がりすることもあれば、バブルが弾けて大損する可能性がある点には注意しましょう。
- 情報商材って買っても大丈夫?
-
NFTに関する情報商材が多数出回っていますが、購入はあまりおすすめしません。以下のような問題があるからです。
- 情報商材を購入するまで、中に何が書いてあるかわからない
- 書かれている内容の真偽を確かめるのがむずかしい
- 情報商材を皮切りに、さらに高額な商材を勧められることがある etc.
高額な情報商材がなくても、自分でニュースを追いかけたり、書籍を読んだりすればいくらでも学習できます。買わないと中身がわからないものを購入する必要はないでしょう。
- どういう人がNFTの運用に向いている?
-
NFTの運用に向いている人物像として以下が挙げられます。
- NFT以外の投機的な投資に関して一定の知識がある
- 保有や損切りなどの適切な判断ができる
- 余剰資金で運用できる程度の資産がある
値動きがあり、リスクをコントロールする必要がある点において、NFTは株式や為替と同様のむずかしさを持っています。
したがってそれ相応の知識や判断力が必要となるでしょう。
またNFTは値動きが激しい点を考慮し、余剰資金で運用するのがおすすめです。
まとめ
本記事ではNFTを購入する意味合いに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- NFTを買うことには、さまざまな意味がある
- ただしNFT自体が難解だったり、実用性がなかったりするのは事実
- これらが曲解されて、「NFTには意味がない」と言われているのが実情
- 実際、法的に所有権や著作権が保証されていないなどの問題はある
- 一方で売却益を得られる可能性や、ビジネス展開の足がかりになるなどのメリットもある
- ユーティリティを入手したり、ファッションとして楽しめたりするなどの利点も
- NFTを購入するなら、トレンド性や知名度、過去のイベントに注目するとよい
NFTを購入することには、さまざまな意味があります。たとえば購入後に値上がりして、多額の売却益が得られる可能性などが挙げられます。
ぜひNFTに対する理解を深め、機会があれば購入してみましょう。