2020年以降、急成長したメタバース。ゲームやイベント、交流会、ショッピングモールなど、仮想空間での交流手段として活用されています。
3次元空間のエンターテインメントとして認知度が上がっているメタバースですが、近年ではメタバースアイドルへの人気が高まっています。
しかし、
- メタバースアイドルってなに?
- VTuberと何が違うの?
- 人気のメタバースアイドルは?
など、メタバースアイドルについて詳しく知りたいと考えている人も少なくないはず。
結論から言うと、アイドル界の重鎮である秋元康さんやavexも進出しており、新しい活動チャンネルとして注目されています。
この記事では、メタバースアイドルの特徴や活動状況を詳しく解説。人気のメタバースアイドルについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。
ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。
メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。
Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。
メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
メタバースアイドルとは?特徴やVTuberとの違いを解説
メタバースアイドルの特徴やVTuberとの違いを以下の4つにまとめました。
- 3次元の仮想空間メタバースで活動するアイドル
- バーチャルとリアルとの融合型が注目
- VTuberとの違い
- メタバースアイドルの市場規模
順に説明していきます。
3次元の仮想空間メタバースで活動するアイドル
メタバースアイドルは、3次元のメタバース空間で活動するアイドルを指します。アバターを利用して活動しているため、場所や年齢的な制約を受けずに活躍可能です。
また、メタバースは、物理的な施設工事が不要なため、小資本で活動できるのもメリット。ライブグッズやNFT販売など、収益化拡大の可能性を秘めています。
86歳のアイドル「メタばあちゃん」爆誕
元気が有り余っているユニークなおばあちゃんたちを、メタバースの世界で人気アイドルに育てていく「メタばあちゃん」プロジェクト。
広島県三原市出身85歳のひろこが0期生としてデビューしています。その後、1期生・2期生と70代〜80代のおばあちゃんがメタバースアイドルとして活動中です。
ニコニコ超会議に出店したり、グッズ販売したりと精力的に活動の場を広げています。メタばあちゃんのYouTubeチャンネルの登録者数は5.5万人、Xのフォロワーも2.4万と注目されています。
バーチャルとリアルとの融合型が注目
生身の人間とアバターがユニットを組んで、アイドル活動するプロジェクトも企画されました。
AKB48初のリアルとバーチャルの混合ユニット「AKB48 SURREAL」は、AKB48劇場でリアルライブを開催したり、NTTドコモが主催するXR Worldで公演したりするなど、バーチャルとリアルを融合させています。
また、テレビ朝日後援のメタバースアイドル「めたしっぷ」では、AR技術で一緒に踊る動画を撮影できます。
自分もアイドルになった気分で楽しめますね!
VTuberとの違い
VTuberアイドルとは、2Dや3Dのアニメーション化されたキャラクターを使ってインターネット上で活動するデジタルエンターテイナーです。
Virtual YouTuberの略称で、今は活動中止しているキズナアイがその代表的存在といえます。
VTuberとメタバースアイドルの主な違いは活動の場です。VTuberは3Dキャラクターが2D空間で活動します。
VTuberの主な活動場所は、YouTube。ほかにもColon、REALITY、SHOWROOM、17Live、ツイキャス、TikTokなど配信プラットフォームが中心。
VTuberとの交流はコメントによるものが中心である一方、メタバースアイドルは、メタバースというプラットフォームを利用することで、より臨場感ある双方向の交流が可能です。
人気VTuberTOP5
VTuberランキングサイトによると、2024年5月時点のファン数ランキングTOP5は以下のとおりです。
多くのVTuberが所属するホロライブプロダクションは、メタバース配信プラットフォームとして「ホロアース」を2022年に実装。
ホロアースでは、自分のアバターを使用して、ほかのユーザーと交流したり、ライブに参加したりするなど、VTuberの新たなコミュニケーションの場として期待されています。
メタバースアイドルの市場規模
矢野経済研究所によれば、メタバースの国内市場規模は2022年で1,377億円、2023年は2,851億円(見込み)と成長しています。
メタバースの国内市場規模における数値は、プラットフォーム、コンテンツ・インフラ等、XR機器の合算値です。
今後、消費者向けの市場がさらに成長していき、2027年度には2兆円を超えると予測しています。
また、統計調査会社Statistaによると、世界のメタバース市場における売上高は、2022年に820億ドル、2030年には9360億ドルに成長すると予測。
一時期のブームは落ち着きを見せていますが、ただの流行から本格的なビジネスプラットフォームとして拡大していくでしょう。
人気メタバースアイドル5選
人気のメタバースアイドルを5人紹介します。
- AKB48 SURREAL|AKB48発のメタバース専用ユニット
- WHITE SCORPION|秋元康総合プロデュース
- めたしっぷ|テレ朝発メタバースアイドル
- まりなす|avexプロデュースのバーチャルアーティストユニット
- aespa|韓国とメタバース空間で活躍
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.AKB48 SURREAL|AKB48発のメタバース専用ユニット
AKB48がNTTドコモとの共通プロジェクトとして立ち上げたのがリアル・バーチャル混合ユニットSURREAL(サーリアル)です。
「SURREAL」は、現実離れした、非現実的、超現実的といった意味を持つ英単語で、現実と仮想空間の融合を実現しています。
AKB48史上初のメタバース専用ユニットで、メンバーは全部で7人。そのセンターはアバターのSURRYで、チーム8の徳永羚海(REMI)が扮しています。
活動場所は、NTTドコモのメタバースプラットフォーム「XR World」の中にある専用空間「AKB48 SURREAL Theater」とAKB劇場です。
2.WHITE SCORPION|秋元康総合プロデュース
「WHITE SCORPION」は、2023年10月に誕生した秋元康が総合プロデュースするアイドルグループ。
その活動には、仮想通貨Nippon Idol Token(NIDT)による資金調達やメタバースなどのWeb3.0の技術を活用しています。
将来的には、メタバース内のコンサートやイベント参加券をNFTで発行したり、NFTグッズの交換でファン同士を交流させたりするなどを想定しています。
エンタメとテクノロジーを融合させた「エンタメテック」として、テクノロジー企業である東京通信グループがサポート。
Web3.0のテクノロジーを用いた「アイドル活動および推し活」を後押ししています。
「IDOL3.0」とは、株式会社オーバースが、総合プロデューサーに秋元康を迎えて取り組む、アイドル育成プロジェクトです。運営にはキングレコードやAKB48の育成に携わったスタッフも参加しています。
コンサートやイベントの出演など、リアルのアイドル活動に加えて、メタバース(仮想空間)でも活動予定とのこと。
NFTを利用したデジタルグッズの展開など、「Web3.0」の技術を活用してアイドル活動領域を広げていきます。
「WHITE SCORPION」は「IDOL3.0 PROJECT」から生まれたグループです。
3.めたしっぷ|テレ朝発メタバースアイドル
テレ朝発のメタバースアイドル「めたしっぷ」は、2023年3月に本格始動しました。
「めたしっぷ」の名前の由来は、メタバースの「メタ」とリアルとバーチャルの世界でしのぎを削るアイドル業界の荒波に飛び込んでいく「船=ship」との造語です。
桜葉ハグ・藤咲まや・黄花はてな・森風るの4名からなるアイドルユニットで、テレ朝の「新世界メタバースTV」に出演しています。
4.まりなす|avexプロデュースのバーチャルアーティストユニット
2019年にavexがプロデュースしたバーチャルアーティストユニット「まりなす(仮)」が、2021年3月28日に制服と(仮)を外して「まりなす」となりました。
最初は4名でスタートした「まりなす」ですが、現在は、鈴鳴すばると燈舞りんの2名でダンスユニットとして活動。ユーロビートダンスライブをメタバースで繰り広げています。
5.aespa|韓国とメタバース空間で活躍
aespa(エスパ)は、2020年に韓国デビューした、KARINA(カリナ)、WINTER(ウィンター)、ISELLE(ジゼル)、NINGNING(ニンニン)からなる4人組ガールズグループ。
「もう一人の自分に出会い、新しい世界を経験する」という世界観をベースにしており、各メンバーにはメタバース空間にアバターが存在します。YouTubeチャンネルの登録者数は565万人。
メタバースアイドルの課題
メタバースアイドルの課題について、以下の3つにまとめました。
- 高品質3D空間の作成コスト
- 観客もスペックが高いPCが必要
- 同時接続可能な人数制限
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高品質3D空間の作成コスト
物理的な移動や大規模なステージ設営が必要ないため、初期コストが少なく済むのがメタバースアイドルのメリットです。
しかし、本格的なエンターテインメント事業を目指すのであれば、高品質3D空間の構築とそのための資金が必要といえます。
メタバース開発会社に依頼した場合、初期開発費用として300万円〜500万円、毎月の保守運用費として30万円~50万円を見積もる必要があります。
内部スタッフとしてもプロデュース業以外に優秀なエンジニアの確保も必須でしょう。
観客もスペックが高いPCが必要
メタバースの高画質3D空間を楽しむためには、観客側も高スペックPCが不可欠です。
VRゴーグルがなくてもブラウザからアクセスできるメタバースも増えて、気軽に楽しめるようになりましたが、スペックが低いパソコンでアクセスすると、動きがカクカクしてしまうことも。
最低限でも以下のようなスペックが必要です。
CPU | Intel® Core™ i7 シリーズやAMD Ryzen™ 7 |
メモリ | 16GB(もしくは32GB) |
GPU | GeforceRTX3060 |
Cluster(クラスター)やZEPET(ゼペット)などスマホから接続できるメタバースもあります。
お目当てのメタバースアイドルがどのプラットフォームで活動しているかによって、必要な接続機器が左右されるでしょう。
同時接続可能な人数制限
一般的なメタバース空間の同時接続数は10〜50人程度です。同時接続人数を増やすためには、プラットフォームを提供する側の技術的な問題があります。
NTTドコモが開発したメタバースサービス「コノキュー」では、同時接続1万人が可能。
ほかにもめちゃバースでは2,000人、XR CLOUDでは1,000人が同時接続できます。VRChatでは、2024年元旦の同時アクセス数10万人を記録しています。
ただピーク時にはサーバーダウンが起こり、一時サービスが停止するという問題もありました。
メタバースアイドルは、全世界のファンと同時につながれるメリットがあると同時に、パフォーマンスするプラットフォームの重要性が高いといえます。
人数制限やサーバーダウンに対応するための十分な対策が必要です。
メタバースアイドルに関するよくある質問
メタバースアイドルに関するよくある質問は以下のとおりです。
- メタバースアイドルになるには?
- メタバースアイドルのよさは?
- メタバースライブのデメリットは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- メタバースアイドルになるには?
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メタバースアイドルになるには、以下のような方法があります。
- オーディションを受ける
- 自分で勝手になる
オーディションで代表的なものは秋元康氏がプロデュースする「IDOL3.0 PROJECT」です。
ほかにもXANAが主催するメタバースアイドルリアリティショー「XANA DIVA」やバーチャルシンガー募集のタレントオーディションなど多数存在します。
リアルのアイドルオーディションと同様、選考を勝ち抜くことでメタバースアイドルになれます。
VTuber・Vシンガーのニーズや人気は高まっており、オーディションも数多く存在するので、興味がある方は応募してみましょう。
自分で勝手になる方法は、オリジナルアバターを作成し、配信プラットフォームで配信を繰り返し人気を得ていく方法です。
おすすめの配信プラットフォームは、大手プラットフォームであるVRChatやcluster。スマホで手軽に利用でき、ライブ配信も可能なREALITYもおすすめです。
- メタバースアイドルのよさは?
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メタバースアイドルのよさは自宅からでも世界に配信でき、年齢や容姿に関係なく活躍できる点です。
男性であっても女性アイドルとして活動でき、80歳の高齢者でも10代のアイドルのような容姿で配信できます。
また、パフォーマンスを見てもらう観客数にも制限がありません。コンサート会場のようにチケット数に限りがなく、同時接続数万人も可能です。
- メタバースライブのデメリットは?
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リアルのコンサート会場と比較すると、参加しやすい反面、離脱されやすいのがデメリットです。参加者が興味を失ってしまえば、その場にとどまる理由がありません。
パフォーマンス中でも離脱されてしまうでしょう。また、ネットに接続する際のセキュリティ対策や導入のための手間やコストがかかります。
まとめ
この記事では、メタバースアイドルについて詳しく解説しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- メタバースアイドルは3Dの仮想空間で活動するアイドル
- リアルとの融合で相乗効果
- 年齢や性別に関係なく活動可能
- 大手企業が取り組むプロジェクトの存在
- メタバースアイドルのオーディションもある
- 配信側はプラットフォームやメタバース空間の構築が必要
VTuberとメタバースアイドルは、かなり近い存在です。VTuberアイドルがメタバース空間にも進出してくる可能性は大いにあるでしょう。
今後の課題としては、メタバース空間への接続ハードルをいかに下げるかです。
技術の発展にともなって、そのハードルが下がりつつあるため、今後のメタバースアイドルの活躍が楽しみですね。