2025年2月19日、Hyperliquidの新しい機能として、HyperEVMがリリースされました。次世代のEVMチェーンとして、高い注目を集めています。
しかし、
- HyperEVMとはいったい何か?
- いつどのような場面で使われているのか?
- 今後どのように影響するのか?
といった疑問を持っている人は多いでしょう。
そこで本記事では、HyperEVMの概要や特徴、代表的なユースケースに関して解説します。
HyperEVMに関して詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。

HyperEVMとは?4つの特徴解説

HyperEVMは、仮想通貨取引に特化した独自ブロックチェーンのHyperliquidにおける新機能です。いわゆるスマートコントラクトの実行環境に該当します。
わかりやすくいえば技術進歩により、さらに高速かつ安価な仮想通貨取引を実現するために作られました。
HyperEVMの特徴として以下が挙げられます。
- EVMとの互換性を持ち開発が容易である
- 従来よりも素早くトランザクション処理を実行できる
- ガス代が安く気軽に利用できる
- 独自のアルゴリズムで高い堅牢性を有する
ややわかりにくいのですが、HyperEVMが登場したことで、より便利かつ安全、そして安価に利用・取引ができるようになったと見て問題ありません。
それぞれの特徴を、以下で詳しく解説します。
EVMとの互換性を持ち開発が容易である
最大の特徴として、EVMと互換性を有している点が挙げられます。
EVMとは、イーサリアムのブロックチェーン上でスマートコントラクトを実施するうえで必要な実行環境。
ほとんどのブロックチェーンはEVMを基準として開発されています。たとえば仮想通貨やメタバースなどは、EVMがなければ存在し得ないと考えて問題ありません。
HyperEVMは、EVMと互換性を持っており、開発言語のSolidityや開発ツールであるTruffleなどをそのまま流用できます。

すなわちHyperEVMを使用して何らかをデザインする際に、新しい技術や知識を習得する必要はありません。
また、EVM開発者コミュニティで培われたきた技術や知見、ノウハウは、引き続きHyperEVMにて有効です。
一般ユーザーにとってはピンとこないかもしれませんが、開発者側からして「すぐにでも使える」のは非常に大きなメリットです。
従来よりも素早くトランザクション処理を実行できる
重要な特徴として、従来よりも素早くトランザクションを処理できる点が挙げられます。
わかりやすくいえば、HyperEVMはHyperliquidのトランザクション処理にも流用されています。
これにより、従来のチェーンで生じていた不要な処理が解消されました。結果として、トークンの取引などが、以前よりも高速で処理できるようになったわけです。
開発者側は、ユーザーに対してよりストレスの少ない使用環境を提供できるようになっています。
ユーザー側から見れば、各種サービスを、より快適に利用しやすくなったといえるでしょう。
特に仮想通貨取引では、数秒のロスが取引の結果に影響を与えることもあります。そのうえで、よりリアルタイム性が高いトランザクション処理が実行できるようになったのは、大きなポイントです。
ガス代が安く気軽に利用できる
ユーザー目線で考えれば、ガス代を安くおさえられるのもメリットです。
従来のEVMチェーンでは、一度のトランザクションに数百円から数千円のガス代が発生することがありました。
一方でHyperEVMはきわめてすぐれたスケーラビリティを有しています。スケーラビリティに関しては以下の動画を参考にしてください。
これにより、初心者でも、高額な手数料を懸念することなくトランザクション処理、すなわち取引を実施できるようになりました。
ガス代が安くなったことで、今後のブロックチェーン取引がより活発化すると見られます。
ブロックチェーン取引が活発になることは、たとえば市場の流動性を高めるなどの影響を与え、結果として仮想通貨の価値向上につながると見られます。
独自のアルゴリズムで高い堅牢性を有する
また、独自のアルゴリズムによってセキュリティを高め、すぐれた堅牢性を発揮しているのもメリットです。
ブロックチェーン自体が改ざんに強いテクノロジーですが、独自アルゴリズムを用いることで、さらに改ざんリスクが低くなりました。
HyperEVMでは、たとえばゼロ知識証明と呼ばれる技術を用いています。
簡単にいえば「自分がある情報を持っていることを、その情報事態を相手に開示しない形で、持っていると証明する」ものです。
これらを組み合わせることで、不正アクセスや改ざんに対してより高い堅牢性を発揮できるようになりました。
ただし後述するように、HyperEVMはまだ若いプロジェクト。
いまだ発見されていない脆弱性が隠されている可能性もあり、万全なセキュリティを持っているとは断言しにくい部分があります。
HyperEVMの代表的なユースケース

HyperEVMの具体的なユースケースとして以下が挙げられます。
- 分散型金融(DeFi)
- コミュニティ型組織的運営(DAO)
- NFTマーケットプレイス
- ブロックチェーンゲーム
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
分散型金融(DeFi)
多くの分散型金融のシステムは、HyperEVMのもとに成り立っています。

分散型金融とは、中央銀行を置かずに、ユーザー間でお金をやり取りする仕組み。
HyperEVMでは、HyperSwapやHyperLendなど、DeFiに必要なサービスが運営されています。
分散型金融では、ユーザー間のすみやかな資産のやり取りが欠かせません。
しかし、従来ではこれに時間とガス代がかかっていました。
HyperEVMが登場したことでその問題が解消され、誰でも気軽に分散型金融に参加できるようになったのです。
分散型金融に参加するには、ガス代と技術の難解さがハードルとなっていました。しかし、HyperEVMが登場したことで、少なくともガス代の問題はかなり改善されたといえます。
コミュニティ型組織的運営(DAO)
HyperEVMはコミュニティ型組織的運営を成立させるうえで重要な存在です。
これは特定の管理者を持たずに、参加者がブロックチェーンを通した投票を意思決定に用いる組織。
HyperEVMは、この投票をはじめとした処理をスピーディーに完了できるため、コミュニティ型組織運営では重宝されています。
NFTマーケットプレイス
NFTマーケットプレイスも、一部がHyperEVMによって下支えされています。
NFTマーケットでは、数多くのNFT発行や取引が要請され、これを高速で処理しなければいけません。
従来では時間がかかることもありましたが、HyperEVMを用いて、よりスピーディーに発行・取引されるようになりました。
売却者はより多くの販売機会を、購入者はよりスムーズな購入体験を得られるようになったわけです。
またHyperEVMのガス代は安価であるため、より多くのユーザーが新しいNFTを気軽に購入できるようになっています。

たとえばDrip.TradeがHyperEVMを利用しています。
今後、さらにHyperEVMが普及し、高いセキュリティを保ちつつもスピーディーな取引が実施されると認知されるかもしれません。
そうすれば、NFTマーケットはさらなる盛り上がりを見せるでしょう。
ブロックチェーンゲーム
ブロックチェーンゲームにも、HyperEVMが役立てられています。
ゲームである以上、すみやかな情報処理は欠かせません。
しかし、従来は取引の待機が発生するなど、リアルタイム性のあるゲームの制作はやや難しい部分がありました。
しかしHyperEVMが登場したことで、スピーディーな情報処理により、単純により面白く自由度の高いブロックチェーンゲームが楽しめるようになっています。
とっつきやすいブロックチェーンゲームが快適にプレイできるようになったのは、Web3.0の普及の入口が拡大したことを意味します。
HyperEVMの将来的なリスクと注意点

HyperEVMは、さまざまな場面で有効活用されている一方、以下の将来的なリスクや注意点も指摘されています。
- 大型のセキュリティリスクに対する脆弱性
- 関連トークンのボラティリティの不安定感
- ブロックチェーン規制のリスク
ただちに影響を及ぼすものではありませんが、今後はHyperEVMにおける大きな課題に発展するかもしれません。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
大型のセキュリティリスクに対する脆弱性
実際に起こる可能性は不透明ながらも、大型のセキュリティリスクに対する脆弱性が考えられます。
HyperEVMは発足してから、まだ時間が経っていないプロジェクトです。また、大きなセキュリティリスクに直面した経験もありません。
つまり、さまざまな設計に何らかの弱点を抱えている可能性があり、それが問題化した際に効率的に対応できないケースがあります。
たとえばトランザクションの処理の可否を決定するバリデーターらが共謀した場合、資産が盗まれるなどのトラブルが起こるかもしれません。
関連トークンのボラティリティの不安定感
関連トークンのHYPEに関しては、ボラティリティが不安定であるとされています。
HYPEは仮想通貨のなかでもかなり値動きが激しく、年間を通して安定していません。

2025年5月以後はある程度の上昇トレンドですが、3月には暴落するなどしています。
HYPEは典型的なハイリスクハイリターンの仮想通貨であり、投資の際には慎重な判断が求められます。
仮に投資するとなれば、ほかの安定性の高い投資商品を購入するなどのリスクヘッジが求められるでしょう。
ブロックチェーン規制のリスク
ブロックチェーンが規制された場合、HyperEVMは無視できない影響を被る可能性があります。
特に仮想通貨の取引は、世界各国のブロックチェーンに対する態度に大きく左右されます。
国によっては、取引やトークンの発行が自由に実施できなくなることも。
そうすると仮想通貨の価格にも悪影響が生じます。それを保有していた場合は、大きな損害を被る可能性も否定できません。
HyperEVMに対する影響が心配されるのはもちろんですが、HYPEの値動きに干渉するのは、大きなリスクだといえるでしょう。
HyperEVMに関するよくある質問

本記事ではHyperEVMに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 一般的なユーザーはHyperEVMを使って具体的に何ができる?
- HyperEVM Explorerとは?
- VMwareと何が違う?
- ESXiとは何が違う?
- ハイパーリキッドとは何か?
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
- 一般的なユーザーはHyperEVMを使って具体的に何ができる?
-
一般的なユーザーは、HyperEVMを使って以下のようなことを実現できると考えています。
- NFTのすみやかな発行・売買
- より快適なブロックチェーンゲームのプレイ
- Solidityを利用したプログラミング
- 自作トークンの安価な発行
- ノーコードツールによるコンテンツ制作
NFTやブロックチェーンゲームにかかる取引がスムーズになるのは大きなメリット。
開発者側に回った場合でも、より自由度が高い開発や制作を実施できるでしょう。
- HyperEVM Explorerとは?
-
HyperEVM Explorerとは、HyperEVM上で発生した事象を記録しているツールです。
出典:Purrsec どのような取引があり、誰の資産がどれだけ増減したか、すべて記録されています。
ユーザーはHyperEVMをとおしてすべての記録を閲覧することが可能。
このような履歴は、仮想通貨の取引やNFTを売買するうえで欠かせません。
- VMwareと何が違う?
-
VMwareとは、複数の独立したOSを同時に動作させるための仮想マシンの一つです。
出典:VMware たとえば一つのパソコンで、WindowsとLinuxを同時に起動するなどします。
一方でHyperEVMはブロックチェーン上でアプリケーションを動作させるための実行環境。
つまり、HyperEVMとはまったく異なるテクノロジーであると考えましょう。
- ESXiとは何が違う?
-
ESXiとは、VMwareが提供するサーバー向けの実行環境ソフトです。
VMware同様に、複数のOSを同時に動作させる場合に使用されます。
仮想的に環境を作る点では共通していますが、ESXiとHyperEVMそれぞれはまったく異なる目的を持っています。
- ハイパーリキッドとは何か?
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ハイパーリキッドはHyperliquidのことであり、仮想通貨取引に特化した実行環境もしくは分散型取引所(DEX)を意味します。
Hyperliquidは、独自のブロックチェーンを有しており、これが高い流動性と約定速度、低いガス代を実現しています。
ユーザーから見れば「より便利で安いシステム」といえるでしょう。
本記事で解説しているHyperEVMは、Hyperliquidに付随する新しい機能です。
まとめ

本記事ではHyperEVMの概要や特徴、代表的なユースケースなどを解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- HyperEVMは、仮想通貨取引に特化したテクノロジーの一つ
- いわゆるスマートコントラクトの実行環境に該当する
- 高い互換性や処理能力、ガス代を低減できることから注目されている
- 分散型金融やコミュニティ型組織的運営などを成立させる重要な存在
- NFTマーケットプレイスやブロックチェーンゲームの構築にも貢献
- 技術的に重要な存在だが、セキュリティリスクなどは否定できていない
- 関連トークンはボラティリティが高く不安定な点にも注意
HyperEVMは、かなり理解するのがむずかしい存在です。今の時点では、Web3.0で主体となっている仕組みやシステムを下支えする、とても重要な実行環境として認識しましょう。
一般的なユーザーにとって重要なポイントは、HyperEVMの登場でガス代が安くなり、またトランザクションの処理も早まった点でしょう。
今後、HyperEVMがさらにブラッシュアップされるなら、さらに仮想通貨取引などがスムーズかつ活発になるかもしれません。