ジェネラティブNFTとは?簡単な作り方からツールまで徹底解説!

出典:azuki.com

NFTマーケットプレイスで人気のNFTコレクションは、プログラムを用いて作られたジェネラティブNFTがほとんど

なかには億単位で取引されているコレクションもあるので、近年におけるNFTのトレンドと言えます。

そのため、以下のように考えている方も多いでしょう。

  • ジェネラティブNFTが何なのか知りたい
  • ジェネラティブNFTを作る手順に興味がある
  • どういったツールを利用して作るか知りたい

今回は、ジェネラティブNFTの特徴やメリット、そして作り方や必要なツールまで紹介します。

ジェネラティブNFTを作ろうと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

ジェネラティブNFTとは?特徴とメリット

ジェネラティブNFTを作成するイメージ
出典:NFT4Creators

ジェネラティブNFTは、以下のような特徴とメリットを持ったNFTコレクションです。

  1. コンピュータのプログラムを用いてパーツを合成したNFT作品
  2. 大量のNFTアート作品を短時間で作成できる
  3. 同一コレクション内で価値に差をつけることも可能
  4. NFTコレクションのブランディングをしやすい

順番に解説します。

1.コンピュータのプログラムを用いてパーツを合成したNFTアート

ジェネラティブNFTとは、コンピュータのプログラムによって絵を合成して作るNFTアートです。

それぞれのNFTアートは髪型や服装、背景といったパーツに分かれており、ランダムに選ばれた絵が組み合わさっています。

以下のような人気NFTコレクションも、合成して作られたジェネラティブNFTです。

  • CryptoPunks
  • Bored Ape Yacht Club(BAYC)
  • DeGods
  • Azuki
  • CLONE X – X TAKASHI MURAKAMI

1万点のコレクションを作成しても、1つとして同じ作品は発行されない点も特徴と言えるでしょう。

CryptoPunksについては詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

ジェネラティブアートと混同されることも

ジェネラティブNFTのことを、ジェネラティブアートやジェネラティブアートNFTと呼ぶ人もいます。

しかし、ジェネラティブNFTとジェネラティブアートは異なるジャンルです。

  • ジェネラティブNFT:描いた絵のパーツをプログラムで組み合わせた作品
  • ジェネラティブアート:プログラムの描画処理によって描いた作品

ジェネラティブアートはプログラムの偶然性を意図的に生み出し、アーティスト自身も完成形を予想できない面白さがあります。

アメリカ・テキサス州出身のアーティストタイラー・ホッブスは、東京電力愛宕変電所の壁面にジェネラティブアートを描きました。

実際に制作している動画が公開されているので、参考にしてください。

このように、ジャンルや作成方法も異なるので、混同しないよう注意しましょう。

なお、Art BlocksやGenerativemasksのように、ジェネラティブアートで作成したNFTコレクションも存在します。

ジェネラティブアートを元に作られたNFT
出典:Art Blocks|Chromie Squiggle #7515

複数のパーツを組み合わせて作成されたNFTではないため、ジェネラティブNFTとしては分類されません。

2.大量のNFTアート作品を短時間で作成できる

ジェネラティブNFTを作成するメリットは、大量のNFTアートを省コストで作成できる点です。

たとえば、1万点の絵が異なるNFTアートを作成しようとすると、1万種類の絵を描く時間と労力がかかります。

その点、ジェネラティブNFTであれば、5つのパーツに5種類ずつ絵を用意することで、1万5,625種類のNFTアートを作成可能。

パーツや種類の数を増やせば、100万を超えるバリエーションの絵も簡単に作成できます。

3.NFTコレクションのブランディングをしやすい

構図が似ているNFTアートを大量に作成できるジェネラティブNFTであれば、作品のブランディングがしやすいでしょう。

具体的には、以下のような点で有利にブランディングできます。

  • ひと目見て特定のNFTコレクションと認知されやすい
  • NFTの保有者が多くなれば拡散もされやすい
  • 大規模なプロジェクトであるとアピールしやすい

ブランディングに成功すれば、NFTコレクション全体の価値を大きく高められるでしょう。

4.同一コレクション内で価値に差をつけることも可能

ジェネラティブNFTの作り方や販売方法によって、同様のNFTでも価値に差がつけられます。

CryptoPunksを例にすると、Punk TypesがMale(男性)のNFTよりも、Alien(エイリアン)のNFTのほうが希少で価値が高いです。

Maleは全体の60%を占めるのに対し、Alienは0.1%未満。

属性(Attribute)個数
Alien9
Ape24
Zombie88
Female3,840
Male6,039
出典:CryptoPunks|Types and Attributes

2023年11月現在に販売されているCryptoPunksのフロア価格(最低価格)を比較すると、以下のように差が出ています。

  • Male:およそ60ETH(約1,850万円)
  • Alien:5000ETH(約15億円)

同コレクション内で希少性に優劣があると取引がさかんになりやすいので、発行するNFTの数を検討・調整するのがよいでしょう。

ジェネラティブNFTの作り方

出典:NFT4Creators

ジェネラティブNFTを作る工程を大まかに分けると、以下の3ステップです。

  1. パーツを作成する
  2. ツールを使って合成する
  3. 合成した絵をNFTアートにする
STEP
パーツを作成する

組み合わせるパーツの絵を、ペイントツールで描きます。

レイヤーに分けて描けるのであれば、どのペイントツールを使っても構いません

おすすめのツールを紹介している記事があるので、そちらも参考にするとよいでしょう。

パーツごとにレイヤー分けしながら、元となる絵を描いてください。

レイヤーを重ねてパースを増やしているところ

絵を描けたら、新しいレイヤーを追加してパーツの種類を増やしましょう。

最後はレイヤーごとにパーツの絵を保存すればOKです。

PNG形式で背景を透過させよう

パーツの絵を保存する際、画像ファイル形式を必ずPNG形式を選択してください。

PNGで保存する

PNG形式で保存した画像は、指定された色を透明にできます

もし、PNG以外の形式で画像を保存していると、プログラムで画像を重ねる際に背景色で塗りつぶされてしまいます。

PNG形式で背景色を透明にして、パーツを重ねて表示できるようにしましょう。

STEP
ツールを使って合成する

画像を合成するツールを使って、ジェネラティブNFT用の絵を完成させます。

ツールを使用する前に、あらかじめパーツごとにフォルダ分けしておいてください。

ジェネラティブNFTを作るパーツはファイルわけしておく

すべてのパーツの絵をツールに読み込ませれば、合成された画像を出力できますよ。

具体的に使用するツールは、後ほど紹介します。

STEP
合成した画像をNFTアートにする

絵を合成して作成した画像をNFT化し、NFTアートのコレクションを作ります。

以下のようなサービスを利用してNFTのミント(生成)をおこないましょう

  • OpenSea|NFT作成後に販売がしやすい
  • thirdweb|様々なネットワークに対応
  • Zero Code NFT|自分が管理する外部サーバー(IPFS)にデータを保存

はじめてNFTを作成するのであれば、コレクションを作成してすぐにNFTマーケットプレイスで販売できるOpenSeaがおすすめです。

ジェネラティブNFTが多く出品されるOpenSeaマーケット
出典:OpenSea

コントラクトをデプロイ(作成)して、画像を一括アップロードすれば、ジェネラティブNFTのコレクションの完成です。

OpenSeaでコントラクト(NFTコレクション)を作成する方法

OpenSeaでコントラクトを作成するには、ページ左上にある「作成」から作成ページに入って「コレクションをドロップ」を選択します。

OpenSeaでコントラクトを作成
出典:OpenSea

以下の項目を入力してから右下の「続行」ボタンを押し、コントラクトを作成しましょう。

項目名説明
ロゴ画像NFTコレクション一覧で表示されるロゴ画像
コントラクト名NFTコレクションの名前
トークン記号NFTコレクションを識別できる省略名
ブロックチェーンNFTコレクションを作るブロックチェーン
コントラクトタイプをカスタマイズ(高度な設定)プロキシコントラクトまたは標準コントラクトを選択

ロゴ画像とコントラクト名はあとから変更できますが、トークン記号やブロックチェーン、コントラクトタイプは一度作成すると変えられないので注意してください。

プロキシコントラクトと標準コントラクト

プロキシコントラクトと標準コントラクトでは、主にガス代の価格が異なります

プロキシコントラクトとは、ブロックチェーン技術において使われる概念で、自動的に実行されるプログラム(スマートコントラクト)を更新できるようにする仕組みです。

OpenSeaではあまり難しくとらえず、ガス代のかかるタイミングが違うものだと考えておきましょう。

初期費用はプロキシコントラクトが安いですが、取引ごとにかかるガス代は標準コントラクトのほうが安いです。

コントラクトタイプコレクション作成時のガス代NFTのミント・転送・販売時のガス代
プロキシコントラクト安い高い
標準コントラクト高い安い

取引される回数が1,500件を超える見込みがあれば、標準コントラクトを選択したほうが費用を抑えられるでしょう。

NFTの画像・メタデータを一括アップロードする方法

OpenSea Studioのページを開くと、作成したコントラクトがNFTコレクションとして表示されます。

画像をアップロードしたいコレクションを選択し、メニューの「アイテム」から画像をアップロードしましょう。

画像をアップロードしたいコレクションを選択し、メニューの「アイテム」から画像をアップロード

画像をアップロードする際、対応したメタデータも一緒に用意する必要があります。

OpenSeaのドキュメントからダウンロードできるサンプルの形式に従って、すべての画像の情報を入力してください。

OpenSeaのドキュメント
メタデータの項目名概要
tokenIDNFTの通し番号・ID
nameNFT名
descriptionNFTの説明文
file_name画像データ名
external_url関連する外部サイトへのリンク(未設定可)
attributes[属性名] ※必要な数だけ追加NFTを表わす属性(パーツ含む)の値

アップロードが完了したら、コレクションにNFTが正しく追加されているかを確認しましょう。

ジェネラティブNFTの作成に使えるツール・アプリ

NFTメーカー
出典:NFTメーカー

ジェネラティブNFTの画像データを作成する際に利用するツールやアプリを4つ紹介します。

  1. ジェネラティブNFTジェネレーター|ブラウザ上で簡単作成
  2. NFTメーカー|さまざまなNFTアートを作成可能
  3. hashlips_art_engine|Visual Studio Codeで詳細設定
  4. NFT4Creators|ミントサイトも作成可能なサービス

1.ジェネラティブNFTジェネレーター|ブラウザ上で簡単作成

ジェネラティブNFTジェネレーターのメニュー画面
出典:ジェネラティブNFTジェネレーター

ジェネラティブNFTジェネレーターは、ブラウザで絵をアップロードするだけで合成された画像を作れるツール。

無料で誰でも使えるので、ジェネラティブNFTをサクッと作るのに向いています。

300点を作成するのに1~2分程度の時間がかかるので、1万点のコレクションを作成するのであれば1時間ほど必要です。

2.NFTメーカー|さまざまなNFTアートを作成可能

ジェネラティブNFTを作成できるNFTメーカー
出典:NFTメーカー

NFTメーカーは、シンガポールのSUN TEAME社が提供しているiPhone・iPad向けのNFT作成アプリです。

ピクセルアートやAIイラストなども作成できる多機能性が魅力。

iOSデバイスだけでジェネラティブNFTを作成したいときに利用するとよいでしょう。

3.hashlips_art_engine|Visual Studio Codeで詳細設定

ジェネラティブNFTを作成できるhashlips_art_engin
出典:GitHub|HashLips Art Engine

hashlips_art_engineは、Visual Studio Codeでプログラムを実行して使う、上級者向けの合成ツールです。

Visual Studio Codeとは?

Microsoftが提供する無料のプログラミングコードエディタ。

設定ファイルを編集すれば、決められた数だけ合成したら処理を終了したり、パーツの種類の出現頻度を調整したりできます。

また、合成された画像データとともに、json形式のメタデータが出力されます。

json形式のメタデータ

OpenSea以外のサービスでNFTを一括作成する際にjson形式のメタデータを使う場合があるので、作業時間を大きく減らせるでしょう。

4.NFT4Creators|ミントサイトも作成可能なサービス

ジェネラティブNFTを作成できるNFT4Creators
出典:NFT4Creators

NFT4Creatorsは、日本発のジェネラティブNFT作成ツールです。

画像データだけでなく、コレクションやNFTまで一貫して作成できます。

また、NFTを販売するためのミントページも作成可能。

EthereumまたはPolygonのブロックチェーンでNFTコレクションを販売したいのであれば、利用を検討するとよいかもしれません。

ジェネラティブNFTに関するQ&A

Q&A

ジェネラティブNFTに関する、よくある質問と回答を紹介します。

疑問をお持ちの方は参考にしてください。

  • Pythonなどのプログラミング知識が必要ですか?
  • 費用やガス代はどのくらいかかりますか?
  • 適切な画像サイズはありますか?
  • 作成したジェネラティブNFTの売り方は?

Pythonなどのプログラミング知識が必要ですか?

ジェネラティブNFTを作成する際にプログラミング知識は必要ありません

パーツとなる絵を描いたり、メタデータを作成したりするスキルは必要になるでしょう。

なお、ジェネラティブアートを描くときは、PythonやJavaScriptなどのプログラミング言語でコードを記述します。

費用やガス代はどのくらいかかりますか?

コントラクトやNFTを作成する際に、ブロックチェーンに応じたガス代がかかります。

たとえば、OpenSeaを利用してEthereumチェーンのコントラクトを作成する場合、プロキシコントラクトでは約4,000円、標準コントラクトでは約48,000円かかるようです。

Polygonチェーンで作成する場合のガス代は、プロキシコントラクトで約24円、標準コントラクトで約300円です。

なお、一度コントラクトを作成すると修正できないため、不備があった場合は再度ガス代を払って作り直さなければなりません。

本番環境でガス代を払う前に、Goerliなどのテストネットを利用して動作を確認するとよいでしょう。

Goerliとは?

イーサリアムネットワークの開発や学習用のネットワーク。無料のテスト用ETHを入手できる。

適切な画像サイズはありますか?

NFTアートにサイズの指定はないため、好きなサイズの画像データを利用できます。

ただし、利用するツールやサービスによってはサイズ上限が決められている場合も。

たとえば、本記事で紹介したジェネラティブNFTジェネレーターは、980×980pxの画像サイズが推奨されています。

画像サイズに問題があるときは、別のツールを試したり、絵を編集したりしましょう。

作成したジェネラティブNFTの売り方は?

OpenSeaで作成したのであれば、NFTコレクションのドロップを公開した時点から取引可能になります。

OpenSea Studioで公開したいコレクションを選択し、ドロップを設定したうえで「公開前」のページからドロップを公開しましょう。

thirdwebなどのツールでNFTを作成した場合も、独自の販売ページやOpenSeaでコレクションを公開できます。

販売戦略については、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

BAYCのGalleryより
出典:BAYC|Gallery

本記事では、ジェネラティブNFTについて解説しました。

最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

  • ジェネラティブNFTとは、複数のパーツを組み合わせて作成した画像のNFTアート
  • ジェネラティブNFTは大量に作ることができ、ブランディングもしやすい
  • パーツ描画・ツールによる合成・NFT化の3ステップで作成する
  • コントラクトやNFTの作成などにガス代がかかる

これからNFTを作成するのであれば、メリットの多いジェネラティブNFTがおすすめです。

1点1点NFTを販売するよりも利益を得られる可能性が高いので、興味があれば挑戦してみてください。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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