メタバースオフィスの特徴とは?種類や活用事例をくわしく解説

近年、GMOペパボ社や伊藤忠商事株式会社など、メタバースオフィスを導入する会社が増えています。

メタバースオフィスが導入されると聞いて、以下のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

  • メタバースオフィスの必要性を知りたい
  • メタバースオフィスのメリットを知りたい
  • 導入事例を知りたい

結論からお伝えすると、メタバースオフィスはテレワークの生産性が向上するメリットが多く、必要性が年々高まっています。

本記事では、メタバースオフィスの特徴や種類、活用事例などを紹介します。

それぞれわかりやすく解説していますので、興味のある方は最後までご覧ください。

そもそもメタバースとは?

メタバースとは、オンライン上でアバターを使ってコミュニケーションをとれる仮想空間のことです。

ゲームだけでなくビジネス、教育、建築など、さまざまな分野で活用されています。

メタバース内ではアバターやアイテムがNFT化され、仮想通貨を使って取引されるケースも。

Meta(旧Facebook)や、マイクロソフトなどの大手企業がメタバース事業に参入しており、世界的に注目を集めています。

メタバースについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

目次

メタバースオフィスとは?5つの特徴を紹介

メタバースオフィスは、仮想空間に構築されたビジネスオフィスです。

ここからは、メタバースオフィスの概要と主な特徴について解説します。

  1. メタバースオフィスの必要性が高まる理由
  2. 利用場所に縛られず気軽に導入できる
  3. スムーズにコミュニケーションができる
  4. 勤務状況を把握しやすい
  5. メタバースオフィスの機能

1.メタバースオフィスの必要性が高まる理由

近年、テレワークの普及により、メタバースオフィスの必要性が高まっています。

主な理由として、アバターを活用することで、現実世界と同じようなコミュニケーションをとれることが挙げられます。

アバターは表情や動きで相手の状態を理解しやすく、チャットやメールよりも直感的なコミュニケーションを実現可能です。

コミュニケーション不足に陥りがちなテレワークであっても、メタバースオフィスを活用することで生産性を高められるのです。

2.利用場所に縛られず気軽に導入できる

メタバースオフィスは、どのような場所からでも気軽に利用できます。

従業員が遠方に住んでいても、メタバースオフィスであれば移動時間ゼロで出勤可能。会議や研修など従来通りの働き方が可能です。

また、住んでいる場所に縛られず社員を採用できることから、日本全国、さらには海外の人材を募集できるようになります。

少子高齢化が進む日本において、メタバースオフィスの導入は人材不足を解消する手段のひとつとなるでしょう。

3.スムーズにコミュニケーションができる

メタバースオフィスを導入すれば、利用場所が限定されないだけでなくスムーズにコミュニケーションをとることが可能です。

ビデオ会議には誰が誰に話しかけているかが分かりにくいという問題点があります。

しかし、アバターを活用すれば、顔の向きが変わるため誰に向かって話しかけているかを視覚的に理解可能。

さらにアバターを活用することで、対人コミュニケーションに関わる心的負担を軽減する効果もあります。

「ストレスのなさ」では、アバターを介した「VRアバター」がもっともストレスを受けず、「Web会議」は「対面」よりもややストレスを受ける傾向が確認された。

引用元:アバターによるコミュニケーションの可能性に関する予備的実験報告書

対面やビデオ会議が苦手な人でも、メタバースオフィスでアバターを使えばスムーズにコミュニケーションを取れる可能性があります。

4.勤務状況を把握しやすい

メタバースオフィスでは、ステータス表示やアバターを確認するだけで出勤状況を把握できます。

従来のテレワークでは、従業員が現在どのような勤務状況なのかが分かりにくいという問題点も。

しかし、メタバースオフィスであれば、アバターが休憩中、会議中などがひと目で把握可能です。

また、勤怠管理システムが組み込まれているプラットフォームも多く、業務効率化につながります。

5.メタバースオフィスの機能

メタバースオフィスには、チャット、ビデオ通話、画面共有などさまざまな機能があります。

アバターを使った音声コミュニケーションだけでなく、チャットを活用してテキストベースで要件を伝えることが可能です。

また、メタバースオフィスにはビデオ通話機能が搭載されているサービスが多いため、Zoomなどの外部ツールを併用する必要がありません

さらに、ビデオ通話中のPC画面共有や、ホワイトボード機能など、充実したサービスを利用できます。

3種類のメタバースオフィスを紹介

メタバースオフィスには主に次の3種類があります。

  1. 3Dメタバース
  2. 2Dメタバース
  3. 音声に特化したメタバース

1.3Dメタバース|3Dアバターを活用した仮想オフィス

3Dメタバースは、3次元の仮想空間にメタバースオフィスを構築したもの。3Dアバターを活用することで、現実世界に近いオフィス環境を再現できます。

利用者は3Dのアバターを操作することで、実際にオフィスで働いているような感覚を体験できるのです。

代表的な3Dメタバースオフィスとして、Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム)が挙げられます。

Meta|Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム)

メタバースオフィスとして活用されるHorizon Workrooms
出典:Meta

Meta(旧Facebook)が提供するHorizon Workroomsは、VRを活用して仮想空間で臨場感のあるミーティングができるサービスです。

チャット用のルームを作成して、利用者がどこにいても一緒に仕事ができます。

また、アバターを使って会議に参加したりパソコンやデスクなどをバーチャルルームに持ち込むことも可能です。

Horizon Workroomsでは、VRヘッドセットがなくてもウェブカメラだけで参加できます。

誰でも参加しやすいことが大きな特徴です。

メタバースを活用した会議について詳しく解説している記事があるので、そちらも参考にしてください。

2.2Dメタバース|平面的なデザインが特徴

2Dメタバースは、平面的なデザインが特徴のメタバースオフィスです。2Dのアバターを操作することから、3Dと比較して手軽に操作できます。

さらに2Dメタバースは、3Dと比較してハイスペックなパソコンや通信環境が不要であるため、導入しやすい点が特徴です。

代表的な2DメタバースとしてoVice(オーヴォイス)が挙げられます。

oVice株式会社|oVice(オーヴォイス)

メタバースオフィスとして活用されるoVice(オーヴォイス)
出典:oVice

oVice株式会社では、オフィス利用向けやイベント利用向けなど、さまざまな目的に活用できるoViceを提供しています。

oViceの利用方法は以下の動画を視聴するとわかりやすいでしょう。

アバターを使ってオフィス内を自由に移動して、他のアバターと簡単に交流できることが特徴です。

出典:oVice

3.音声に特化したメタバース

音声に特化したメタバースオフィスも存在します。

声によるコミュニケーションがメイン機能であることから、通信環境の制約を受けにくくスムーズなやり取りが可能です。

代表的なプラットフォームとしてroundz(ラウンズ)が挙げられます。

ラウンズ株式会社|roundz(ラウンズ)

メタバースオフィスとして活用されるroundz(ラウンズ)
出典:ラウンズ株式会社

ラウンズ株式会社が提供するroundzは、離れていた場所にいる人と隣にいる感覚で会話をできる仮想オフィスです。

累計導入社数は400社以上、累計ログイン時間は83万時間以上とすでに多くの導入実績があります。

さらに、ラウンズ株式会社は総務省「テレワーク先駆者百選」認定企業であることから安心して導入可能です。(参考:ラウンズ株式会社

roundzでは、実際のオフィスと同じような部屋を作ることで部屋にいる人と会話ができます。

チャットだと時間のかかる問題も、数分話すだけで解決できるため業務効率化につながります。

roundz(ラウンズ)のイメージ画像
出典:ラウンズ株式会社

roundzは、声だけでやりとりをすることからシンプルで使いやすいUIであることが大きな特徴です。

余計な機能は一切なく、カメラ機能もないため気軽に声をかけることによって業務スピードを維持できます。

メタバースオフィスの活用事例3選

メタバースオフィスは、さまざまな企業で導入されています。

遠く離れた社員と研修や合宿をしたり、デジタルツインに導入されたりするケースも。

デジタルツインとは?

現実世界で集めた情報を仮想空間で再現する技術。

ここでは、メタバースオフィスの活用事例を3つ紹介します。

  1. 企業内での合宿に活用
  2. 新入社員向けのワークショップとして活用
  3. デジタルツインのオフィスとして活用

1.企業内での合宿に活用

メタバースオフィスを使うことによって、従業員が仮想空間で合宿を実施可能に。

場所が制約されないことから離れた場所に住んでいる人でも合宿に参加でき、実施のハードルが下がりました。

メタバースオフィスの導入は、効率的な学習と経験共有を促進し従業員の成長につながります。

GMOペパボ

メタバースオフィスとして活用されるペパボバーチャルオフィス
出典:バーチャルお産合宿を開催しました(GMOペパボ)

GMOペパボ社では、2020年1月から在宅勤務を実施。社員同士の交流の場所として誕生したのがペパボバーチャルオフィスです。

2007年から毎年開催している1泊2日での開発合宿「お産合宿」を、バーチャルで開催するようになりました。

日頃作成している展示物をバーチャルオフィスに並べて、アバターとなって自由に閲覧可能。

企業理念である「もっとおもしろくできる」の達成を目的としたお産合宿を、在宅ワークであっても継続中です。

2.新入社員向けのワークショップとして活用

新入社員向けのワークショップとして、メタバースオフィスを活用するケースも見られます。

仮想空間でワークショップを実施することで、新入社員はオフィス環境を体験しながら業務に必要なことを学べます

またアバターを活用して、社員同士の交流をスムーズにするメリットも。

メタバースオフィスを使ったワークショップを開催することで、新入社員が効果的に組織へ適応しやすくなります。

伊藤忠インタラクティブ株式会社|VR VENUE(VRヴェニュー)

伊藤忠インタラクティブ株式会社が提供するメタバースオフィスVR VENUE(VRヴェニュー)
出典:伊藤忠インタラクティブ「VR VENUE」伊藤忠商事新卒内定者が考えるVRを活用した「次世代採用」プロジェクトが本格始動(PR TIMES)

伊藤忠インタラクティブ株式会社では、VR空間を構築できるWebサービスVR VENUE(VRヴェニュー)を開発。

伊藤忠商事株式会社に、2022年度新卒内定者向けのワークショップを目的としてVR VENUEを提供しました。

就職活動で非接触を要求される環境を経験した2022年度新卒内定者の視点で、伊藤忠本社内をVR化。

就活生が本社の雰囲気を体験できるコンテンツが準備された他、社員と意見交換をおこなう場も提供されました。

3.デジタルツインのオフィスとして活用

デジタルツインとは、現実世界の情報を収集してデジタル空間で再現することです。

バーチャル空間に現実のオフィスを再現し、アバターを使ってコミュニケーションをとれるようにします。

デジタルツインを活用したバーチャルオフィスでは、離れた場所にいる社員とのコミュニケーションが円滑になり、業務の質と効率が向上します。

戸田建設株式会社

戸田建設株式会社ではoViceを使ってメタバースオフィスを構築
出典:ハイブリッドな働き方を支援する、デジタルツインスマートオフィスの共同開発に着手(戸田建設)

戸田建設株式会社では、oViceを使ってリアルとバーチャルを組み合わせたデジタルツインスマートオフィスを実現

非対面コミュニケーションに対応するために導入され、多様なワークスタイルに適用しています。

バーチャル空間に、実際のオフィスと同じレイアウトを構築していることが大きな特徴です。

デジタルツインスマートオフィスでは、実際にオフィスに出社している社員の位置を把握することが可能。

近距離無線通信やBluetooth Low Energyといった技術を活用して、現実のオフィスに出社している社員をデジタル空間に連動させます。

社員だけでなく、機器類やデジタルサイネージ、温湿度やトイレの空き状況などリアルなオフィスを再現しています。

メタバースオフィスに関するQ&A

メタバースオフィスに関するよくある質問についてまとめました。

  • バーチャルオフィスとはどう違うのですか?
  • メタバースオフィスにはデメリットがありますか?
  • 選ぶポイントはありますか?
  • 資料の共有はできますか?
  • 大人数で会話できますか?

バーチャルオフィスとはどう違うのですか?

メタバースオフィスとメタバースオフィスでは、大幅に意味合いが異なります。

メタバースオフィスとは、Web上の仮想空間に構築されたオフィスです。

他のアバターと交流したり、会議に参加したりするなど離れた場所にいても同じオフィスにいるような感覚で仕事ができます。

一方バーチャルオフィスは、事業向けに住所を貸し出すサービスです。物理的にオフィスを利用することはありません。

メタバースオフィスにはデメリットがありますか?

メタバースオフィスのデメリットとして次の2点が挙げられます。

  • 導入や運用にコストが必要
  • パソコンやVRなどのスペックを満たすことが必要

一般的に、メタバースオフィスには導入・運用コストがかかります。

選ぶツールや利用人数などによって価格が異なるため、自社にあったツールを選ぶことが重要です。

さらに、ツールによってはパソコンやVR機器のスペックが求められる場合があります。

メタバースオフィスを選択する際に、自社の持つ設備や導入費用を見積もる必要があるでしょう。

選ぶポイントはありますか?

メタバースオフィスを選ぶポイントとして次の2点が挙げられます。

  • 自社の業務に合った機能があるか
  • コストパフォーマンスが良いかどうか

メタバースオフィスを選ぶ際、プラットフォームが自社の業務に合った機能を提供しているかどうかを確認することが重要です。

会議や研修など、企業のニーズに合った機能のあるプラットフォームを選ぶことで、業務効率化につながります。

また、メタバース導入に必要なコストが提供される価値と釣り合っているかを把握することも必要です。

予算内で必要な機能があり、コスト面でバランスが取れるか事前に確認しておきましょう。

資料の共有はできますか?

多数の3Dメタバースオフィスでは、複数資料の共有が可能です。

ビデオ会議では、1つの画面上でしか資料を共有できませんが、メタバースオフィスでは複数の資料を共有できます。

メタバースオフィスは大人数で会話できますか?

メタバースオフィスでは、大人数で会話できます

ビデオ会議の場合は同時に大勢で話し始めたら、誰が何を話しているかわからない状態になってしまいます。

しかし、メタバースオフィスではアバターを使って会話をすることから、近くにいるアバターとの会話が可能。

遠くにいるアバターの声が聞こえなくなるプラットフォームも存在します。

そのため、メタバースオフィスでは実際に近い感覚で会話をできることが大きな特徴です。

まとめ

この記事では、メタバースオフィスの特徴や種類、活用事例などについてまとめました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • メタバースオフィスには複数の種類がある
  • メタバースオフィスは利用場所に縛られず利用できる
  • チャットやビデオ通話、アバターなどさまざまな機能がある
  • 企業でも研修や合宿、会議などを目的として導入している

メタバースオフィスで研修や会議などを実施すれば、離れた場所にいる人でも参加可能です。

さらに、勤務状況を把握しやすくアバターでコミュニケーションを取れることから、バーチャルオフィスの活用が増加していくでしょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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