2025年1月10日、米国の銀行規制当局であるFDIC(連邦預金保険公社)で新長官となるトラヴィス・ヒル(Travis Hill)氏が、仮想通貨に関する規制の緩和を提案しました。
Bitget Researchチーフアナリストのライアン・リー(Ryan Lee)氏によると、今回の提案をきっかけに仮想通貨と金融機関の統合が促進される可能性があるとのこと。
これまでのFDICの仮想通貨に対する姿勢
これまでのFDICは、銀行などの金融機関が仮想通貨を取り扱わないよう動いていました。
その根拠となるのは、FDICが暗号通貨サービスの停止を指示したことを示す23件の文書。
これらの文書は、銀行に圧力をかけていた証拠として、Coinbase社の最高法務責任者ポール・グリューウォル(Paul Grewal)氏により公開されています。
新長官のトラヴィス・ヒル氏は、こうしたFDICの姿勢を批判しており、仮想通貨に対する規制を緩和しようとしているのです。
トラヴィス・ヒル氏が提案した具体的な施策
1月10日に提案された具体的な施策は以下のとおり。
銀行監督に関する施策 | プロセスの見直し |
CAMELS評価システムの調整 | |
検査マニュアルと研修の見直し | |
技術革新と暗号資産に関する施策 | FDiTechの復活 |
新技術への柔軟な対応 | |
ガイドラインの作成 | |
パブリックプライベート基準の確立 | |
デバンク問題への対応 | 特定の顧客を排除する問題の防止 |
透明性の向上 | |
銀行秘密法(BSA)の見直し | |
機構関連規制の見直し | 気候政策に関する役割の縮小 |
NGFSからの脱退 | |
バゼル委員会の気候関連提案への対応の慎重化 | |
資本規制とストレステストの見直し | ストレステストの透明性向上 |
資本要件の再設計 | |
一貫性のある規制 |
とくに、暗号資産に関連する企業の銀行口座が拒否されたり閉鎖されたりするデバンク問題は、暗号資産業界にとって早急に解決したい問題と言えるでしょう。
規制緩和がもたらす効果
提案された施策により規制緩和が実現すれば、以下のような効果が期待できるでしょう。
- 仮想通貨を活用した新たな金融商品の増加
- 銀行による仮想通貨関連サービスの積極的な提供
- 暗号資産業界に対する信頼性の向上
- 機関投資家(年金基金や保険会社などの大手投資家)の本格的な参入
つまり、仮想通貨と金融機関の関係が強まり、暗号資産業界への参入が活性化すると考えられます。
ただし、提案がどのような形で実現するかによって、実際の影響は変わってくるでしょう。
実現の鍵を握る規制機関の対応と課題
提案が実現するかどうかは、FDIC以外の主要な規制当局の対応にも大きく左右されます。
例として挙げられるのは、米証券取引委員会(SEC)や米国商品先物取引委員会(CFTC)等です。
ただし、これらの機関が規制を緩めすぎると、マネーロンダリングなどの不正行為や、詐欺的な商品が増える原因となります。
厳しすぎず緩すぎない規制のバランスを取ることが、規制機関の今後の課題となるかもしれません。
引用ソース:Bitget Research