出典:Apple
技術の進化が進むことで、ゴーグル型のXRデバイスも普及しつつあります。そのなかでもApple社が開発したApple Vision Proは特に注目を集めています。しかし、
- Apple Vision Proは何ができるのか知りたい
- いくらで購入できるのか知りたい
- どのような楽しみ方ができるのか知りたい
このような疑問を持っている人は多いでしょう。
Apple Vision Proは3,499ドル(約38万円)と高価ですが、価格に見合うだけの性能を有しています。このデバイスがあれば、これまでにない体験が得られるでしょう。
本記事ではApple Vision Proの基本情報やできること、具体的な楽しみ方などを解説します。同デバイスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
Apple Vision Proとは?何ができるのか特徴を解説
Apple Vision Proは、2024年2月にApple社から発売されたXRデバイスです。
現実世界と仮想世界を融合し、新しい体験を創造する技術の総称。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)が含まれる。
これまでXRに関するプロダクトを販売してこなかったApple製のデバイスであり、世界的にも大きな注目を集めました。以下の動画のように現実と仮想が組み合わさったような世界を体感できます。
わかりやすくいえば、iPhoneでできることがXR化できるようになります。
価格は3,499ドル(約50万円)とかなり高額ですが、すでに米国では一定の人気を集めるに至りました。なお日本では販売していませんが、米国に渡航すれば入手可能です。
Apple Vision Proの特徴や強みとしては、以下が挙げられます。
- 3D空間を楽しめる美しいディスプレイ
- 特殊なカメラによる目線と手の動きのトラッキング
- 3Dビデオカメラによる空間記録
- 没入度の調整
順番に見ていきましょう。
3D空間を楽しめる美しいディスプレイ
Apple Vision Proの最大の特徴は、3D空間を映し出す美しいディスプレイです。Apple Vision Proを装着すると、4K画質相当、2,300万画素で表現される映像が表示されます。
この点は非常に高く評価されており「装着していることを忘れるほど、きれいに映る」などといった評価を集めるに至っています。まるで自宅がシアターになったようだ、と語る人も。
XRでは、仮想部分がどの程度きれいに表示されるかが、体験価値に大きく関係しています。そのうえで美しい3D空間を描写するApple Vision Proは、魅力的なプロダクトだといえるでしょう。
これでオンラインゲームや映画などを視聴すれば、相当な満足感が得られそうです。
特殊なカメラによる目線と手の動きのトラッキング
Apple Vision Proはユーザーの意図を理解するため、特殊なカメラで目線と手の動きを追跡しています。
つまりApple Vision Proは、目と手、そして声で操作します。コントローラーは使いません。
トラッキング機能により、目線だけでカーソルを動かす、指で仮想のアイコンをタップ・ピンチするといったことができるようになりました。
操作感は以下の動画を見るとわかりやすいでしょう。
最初はむずかしいかもしれませんが、慣れれば便利そうですね。
3Dビデオカメラによる空間記録
さらに興味深い点として、世界初となる3Dビデオカメラが導入されたのも魅力的です。
3Dカメラを使って撮影すると平面的な動画ではなく、空間自体を記録できます。以下の動画のように、奥行きのある映像が記録できるため、再生するとまるでその場面にタイムスリップしたかのような体験を得られるわけです。
ビジネスシーンでの記録や、より満足度の高い思い出を振り返るのが可能になりました。
この機能に惹かれて購入を決定したユーザーも少なくありません。
没入度の調整
実用性の向上に重きを置いたApple Vision Proでは、没入度も調整できるようになりました。下図中央にあるDigital Crownで、その高低を操作します。
本当にそこにいるような感覚の強さの度合いという意味。
没入度を調整することで、仮想空間をより現実のように捉えられるようになりました。没入度を下げれば、3D酔いを避けることが可能です。
そのほかにも360度の空間オーディオや、外部の光を遮断するヘッドバンド、高性能なM1チップなど、最新技術がふんだんに盛り込まれています。
Apple Vision Proの使い方と楽しみ方
ここまでApple Vision Proの基礎情報や目立った強みに関して解説しました。続いて同デバイスの使い方と、よりよい楽しみ方を紹介します。
- これまでにない3D空間エンターテイメントの体験
- より迫力のあるオンラインゲーム
- ディスプレイを使わない仮想デスクワーク
- Magic keyboard・Magic TrackPadと連携
- バーチャル空間に基づくビジネスや作業の効率化
これまでにない3D空間エンターテイメントの体験
もっとも魅力的なのは、最新技術によって実現されたこれまでにない3D空間を楽しめることです。
このようなXR環境下で、あらゆるコンテンツを楽しめます。
また以下の動画のように没入度を高めて、あたかもコンテンツの世界に飛び込んだような楽しみ方も可能。
これまでも仮想通貨空間を体感できるツールやデバイスはありましたが、それがAppleの最新技術レベルで楽しめるのは、かなり魅力的です。
より迫力のあるオンラインゲーム
まずオンラインゲームはぜひとも楽しみたいところです。Apple Vision Proにより、本当にゲームの世界にいるかのような感覚を味わえます。
実際にはこのようなプレイ環境となります。
ゲームに入り込んだような感覚を楽しむアイデアは、かねてより存在しました。PlayStation VR(2016年)の時点で、家庭で楽しめるようになっています。この段階でも衝撃的な仮想体験を提供し、ユーザーを驚かせました。
2024年の最新モデルであるApple Vision Proは、そこから8年進んでいるデバイスです。その点を踏まえれば、よりリアルで没入感のあるオンラインゲームを楽しめると予想できます。
また、最近話題のメタバースゲームなども、Apple Vision Proならより刺激的な体験が得られるコンテンツとなるでしょう。
ディスプレイを使わない仮想デスクワーク
また、ディスプレイに向き合わないデスクワークも、Apple Vision Proで実現可能です。
このように、XR環境でウィンドウを開いて操作する、ビデオチャットをつなぐなど、ビジネスシーンでは欠かせない機能が搭載されています。
もちろん、Microsoft Officeやビジネスチャットツールも活用可能です。画像編集やイラスト作成などのクリエイティブな作業にも対応。
大きなディスプレイを設置できない環境であっても、作業効率を高めることが可能です。
ディスプレイの購入費用を削減できるといったメリットもありますね!
Magic Keyboard・Magic TrackPadと連携可能
Apple Vision Proはコントローラーがなくても、目線・指・声で操作できますが、Apple社が提供するMagic KeyboardとMagic TrackPadと接続することも可能です。
これらを接続すれば、Apple Vision Proを仮想ディスプレイとして活用することが可能。
目線や声でも便利に活用できますが、あまりに複雑だと操作が少し難しいかもしれません。
そこでMagic KeyboardやMagic TrackPadを利用すれば、本格的なデスクワークも可能になるのです。
【補足】制限・非推奨の使い方もある
Apple Vision Proがあれば、これまでにないXR体験が得られます。その一方で、制限もしくは非推奨とされる使い方もあります。
まず、ポルノコンテンツはApple社によって制限されており、通常は利用できません。
また、制限されていないもののApple Vision Proを装着した状態での走行や歩行は危険です。Apple社もそのような使い方をしないように強く警告しています。
Apple Vision Proを装着していると、自動車の接近などの危険を見逃しがち。さらに走行中だと、バッテリーの充電が切れると画面が真っ暗になり、視界がブラックアウトしてしまいます。
革新的ながら危険性もあるのがApple Vision Proです。制限・非推奨とされる使い方は避けましょう。
基本的には、Apple Vision Proに完全に集中できる環境でのみ利用すれば安全です。
Apple Vision Proに関するよくある質問
本記事ではApple Vision Proに関して詳しく解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 日本での発売予定はありますか?
- Apple Vision Proの重さは?
- 返品が多数発生しているのは本当ですか?
- 代替品はありますか?
- どのアプリがApple Vision Proで利用できますか?
- 日本での発売予定はありますか?
-
テック系メディアのTECHNO EDGEによれば、日本での販売予定は2024年以内とされています。しかし、2024年4月20日現在、詳細な日程は未定です。
有力なタイミングとして、2024年9月ごろが挙げられます。この時期はAppleの新製品発表イベントが開催されるため、Apple Vision Proの全世界流通などが発表されるかもしれません。
渡米して購入する人もいますが、もうじき日本で流通するならそれを待ってもよいでしょう。
技適の問題に関して
電子機器に対して、日本政府が「流通させてよい」とする「技適」と呼ばれる制度があります。「技適は取れないのでは?」と思っている人も多いでしょうが、基本的に心配する必要はありません。
Apple Vision Proは全世界での展開を前提として設計されているため、技適にも適合した形になっているでしょう。
ただし2024年現在、Apple Vision Proに関して技適が申請された様子はありません。もし技適の取得が遅れた場合、Apple Vision Proの販売時期がずれることもあるでしょう。
一方で、もうすでに技適を取得している可能性があります。もし米国内で技適取得マークがついたApple Vision Proが確認されれば、日本で流通可能かつ、日本国内での販売が決定的になったと判断できるでしょう。
- Apple Vision Proの重さは?
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Apple Vision Proはやや重いデバイスだと評価されています。本体には620gの重量があり、長時間装着すると頭が疲れる人が多いようです。
また専用のバッテリーパックは360gあり、合計1kg近い重さになります。ここまでくるとさすがに重すぎるかもしれません。
重い上に目も疲れるので、長時間の使用には向いていない部分があります。
- 返品が多数発生しているのは本当ですか?
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一部では「米国でApple Vision Proの返品が多発している」「返品希望者がアップルストア前で長蛇の列を成している」と言われていますが、事実ではない可能性があります。
ギズモード・ジャパンおよびAppleInsiderの取材によれば、実際にアップルストアを見て回っても、客列は確認できなかったそうです。
また返品の頻度や割合に関しても、Appleの他のプロダクトと同水準程度のこと。
返品しているのは「買う気がないが、レンタルしてみたい一部の配信者」だと言われています。(参考:GIZMODO)
- 代替品はありますか?
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代替品として、Meta社のMeta Quest3が挙げられます。
これはMeta社のVRゴーグルの、2023年時点での最新モデルです。価格は74,800円〜96,800円と、Apple Vision Proよりははるかに低価格。
実際のレビューなどを確認し、購入の必要があるか、Apple Vision Proと比較してすぐれているか確かめてみましょう。
- どのアプリがApple Vision Proで利用できますか?
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基本的にApple純正アプリは、Apple Vision Proで利用することが可能です。つまりFaceTimeやMMSなどの重要なアプリは、すべてApple Vision ProのXR空間で利用できます。
またWebexやChatWork、SlackやNotionなど、主要なビジネスツールはすべて利用可能。既存のApple Storeで公開されているものもほぼ利用できます。
さらに、Apple Vision Pro専用のアプリも存在します。一例として、周囲の空間をシンセサイザーの演奏場所に変えられるAnimoog Galaxyアプリが挙げられます。
これを使えば、バーチャルのシンセサイザーを演奏可能です。イコライザで音色を調整する、練習用のガイドを表示するといったこともできます。
今後もApple Vision Proで利用できるアプリは、次々と増えていくと予想されます。
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まとめ
本記事では、Apple Vision Proについて解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- Apple Vision ProはApple社による最新型のXRデバイス
- 3499ドル(約50万円)からと高額だが、すでに米国では人気を博している
- 画質や音声環境の良さや目線・手・声による便利な操作性が魅力
- 3Dカメラによる空間記録、没入度調整、高性能なM1チップなどが搭載されている
- ディスプレイを使わないデスクワーク、美麗なグラフィックでのオンラインゲームプレイなどが楽しめる
- 日本での発売予定は2024年内
- 代替品としてMeta Quest 3などが挙げられる
これまでにもMeta社などがXRデバイスを発売していましたが、これまでApple社はXRデバイスの開発に消極的でした。その背景があったため、Apple Vision Proをリリースしたことに注目が集まっています。
高額ではあるものの、すぐれた画質をはじめとしたあらゆる強みを持っており、値段相応の価値はありそうです。
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