「ソフトウェアエンジニアはAIに仕事を奪われるかもしれない」。2024年3月にリリースしたDevinは、そんなウワサを現実にしてしまうAIツールとして、話題になっています。
しかし、
- Devinで何ができるのか知りたい
- 性能はどの程度なのか具体的に知りたい
- Devinの使い方を知りたい
などの疑問をお持ちの方もいるでしょう。
結論からいうと、Devinはプロンプト(AIへのテキスト指示文)を入力するだけで、コーディングからソフトウェア開発まで完結できる最新のAIツールです。
本記事では、気になる「Devin」の性能や機能、特徴についてまとめました。
AIに仕事を奪われるのではなく、AIを使いこなすためにぜひ最後までご覧ください。
Devinとは?完全自立型ソフトウェアエンジニア
Devinは、Cognition社が開発した、プロンプトの一つでコーディングからソフトウェア開発まで完結できる、世界初の完全自律型AIソフトウェアエンジニアです。
基本情報として知っておきたい内容や性能について、以下5つの項目にまとめました。
- 米スタートアップCognitionが開発
- AIの性能評価テストで驚異的な正答率を記録
- SWE-bench の高さの何がすごいのか
- 6月のアップデートで新機能追加
- Devinの利用方法|現在は利用申請を受付中
それぞれ簡単に解説していきます。
米スタートアップCognitionが開発
完全自律型AIソフトウェアエンジニアDevinを開発したのは、アメリカで設立されたばかりのAIスタートアップCognitionです。
Cognitionのチームは、Google DeepMind や Waymo などの企業で応用AIの最前線で活躍してきた経験豊富な専門家で構成されています。
「エンジニアがより興味深い問題に集中し、より野心的な目標を達成できるように支援する」というミッションを掲げ、Devinの開発を進めています。
非常に優秀なエンジニアが集まったチームです!
AIの性能評価テストで驚異的な正答率を記録
Devinは、実際のプログラムのバグを修正したり、新しい機能を追加したりする課題SWE-benchに取り組み、驚異的な正答率を記録しました。
具体的には13.86%の正答率で、他のAIの最高記録(4.80%)を大きく上回ります。
他のAIが解決できなかった多くの問題をDevinが解決したこと、現実のソフトウェア開発の現場で役立つ可能性があることの2点が注目されているのです。
SWE-bench の高さの何がすごいのか
SWE-benchは決して簡単なテストではなく、実際のプログラムのコードに基づいており、実務に近いものとなっています。
SWE-benchは、GitHubの問題とプルリクエストから構成される自動ベンチマーク。システムが実際のコードベースの問題を解決する能力を評価する。
単独関数に限定されるHumanEvalとは異なり、現実のコードベースに対する能力を決定的に評価する点で優れている。
テストのなかでDevinは、必要なファイルを自分で探し出して編集するという、まるで人間のプログラマーが作業しているかのような高度な働きを見せました。
6月のアップデートで新機能追加
2024年6月5日、Devinはエンジニアリングタスクを効率化するための新機能を導入しました。
代表的なアップデート内容を一部ご紹介します。
- VSCodeやインタラクティブブラウザを使用してDevinのマシンの直接操作が可能
- Playbooksで繰り返しタスクを簡単に実行可能
- Knowledge機能で組織のコンテキストを共有し、Machine Snapshotsで開発環境を保存
- SlackやGitHubとの連携も強化
- SecretsマネージャーでAPIキーなどを安全に管理
- Global Work DiffやCommand HistoryでDevinの作業内容の確認が容易に
ソフトウェア開発のエンジニアにとって、より使いやすい機能が追加されました。
Devinの利用方法|現在は利用申請を受付中
Debinはまだ一般の利用は開始していません。利用してみたい場合は、ウェイトリストに登録するか、 Cognitionへメールで申請する必要があります。
Devin is currently in early access as we ramp up capacity. To start using Devin for engineering work, join the waitlist or get in touch at info@cognition.ai.
(日本語訳)Devinは現在、生産能力増強のため早期アクセス中です。エンジニアリング業務にDevinを使い始めるには、ウェイティングリストに参加するか、info@cognition.ai までご連絡ください。
引用元:Cognition AI
利用開始の明確な時期はまだ発表されていません。
Devinの5つの特徴とその機能
ここではDevinの機能を中心に特徴を解説していきます。
注目すべきは、次の5つです。
- 自立型ソフトウェアエンジニア
- リアルタイムのエラー修正
- エンドツーエンドの開発
- 独自のツール群
- チャット型のコミュニケーション
それぞれ解説していきます。
1.自立型ソフトウェアエンジニア
Devinは、人間による介入なしに自律的に動くソフトウェアエンジニアとして開発されています。
ソースコードの作成、ウェブサイトやアプリの構築とデプロイ(配備)、独自のAIモデルのトレーニングと微調整、これらは世界初の機能です。
たとえば、以下の動画ではDevinを使ってAIをファインチューニングする様子が解説されています。
AIがAIを調整する高度な技術だといえるでしょう。
2.リアルタイムのエラー修正
AIエンジニアのDevinはプログラミングの問題を自動で解決できます。以下はその様子を公開した動画です。
一般的に、人間がプログラムのバグを見つけて修正するのに時間がかかります。
対して、Devinは自動で問題を見つけて修正してくれるのです。
動画ではNeilという人が、数学の計算プログラムで間違った結果が出る問題に気づきましたが、自分で直す代わりにDevinに頼みました。
Devinは問題を特定し、必要な部分を修正したうえで、すべてが正しく動作することを確認しました。
このように、Devinを使うと難しいプログラムの問題も簡単に解決できるので、時間を大幅に節約できます。
3.エンドツーエンドの開発
Devinは、コードを書くだけではなく、プロジェクト全体をエンドツーエンドで処理できる能力があります。
プロジェクトや作業の最初から最後まで、すべてのステップを一貫して実施すること。
ソフトウェア開発の文脈では、アイデアの段階から最終的な製品の完成まですべての作業をカバーできる。
プログラムを書くことはもちろん、ウェブサイトやアプリを作って公開することもできます。
さらに、AIの頭脳を訓練して賢くすることも可能なのです。
要するに、Devinはプログラマーが行うさまざまな作業をすべて自動でやってくれる、とても便利な存在です。
4.独自のツール群
Devinは、プログラムを作成するための独自のツールを用意しています。
例えば、次のようなツールがあります。
- コマンドライン:プログラムを実行したり、システムを操作したりするための入力画面
- コードエディタ:プログラムのコードを書くためのソフト
- ブラウザ:ウェブサイトを表示したり、操作したりするためのソフト
独自のツールを使って、AIであるDevinが人間のプログラマーと同じようにソフトウェアを開発するのです。
AIが人間の代わりに開発を進める環境が整っていると考えて良いでしょう。
5.チャット型のコミュニケーション
Devinは、ChatGPTやGeminiのようにチャット型のUIを取り入れています。
チャット型で開発を進めることによって、簡単な指示でDevinを動かすことができ、フィードバックもリアルタイムで受け取れるようになります。
また、複雑な作業を必要とせず言葉で指示ができることで、手間をかけないまま効率アップが期待できるのです。
プログラム開発は、より簡単でスムーズなものとなるでしょう。
Devinがエンジニアの仕事に与える影響3つ
Devinの登場により、エンジニアの仕事は今後変化を迎えるかもしれません。
予想される3つの変化を確認していきましょう。
- 単純作業はAIに代替される
- 高度な設計やAIマネジメントなど高度なスキルが求められる
- AIを使いこなすエンジニアがより重要になる
非エンジニアの方にも関係してきますので、ここでチェックしておきましょう。
1.単純作業はAIに代替される
単純作業がAIに代替されることで、エンジニアはより重要な業務に集中できるようになります。
例えば、これまでエンジニアが手作業で行っていたコードの書き直しやバグ修正をDevinが自動で行うことで、エンジニアはこれらの単純作業から解放され、時間と労力を節約できます。
その結果、エンジニアは新しい機能の設計やプロジェクトの戦略立案など、より複雑でクリエイティブな仕事に集中できるようになります。
2.高度な設計やAIマネジメントなど高度なスキルが求められる
エンジニアは個々のプログラムのコーディングやデバッグから、システム全体の設計やAIモデルの管理・最適化といった高度なスキルが求められるようになります。
これまでのエンジニアは、個々のプログラムのコーディングやデバックを担当することも珍しくありませんでした。
システムの全体設計やAI最適化を知らなくてもよかったのです。
しかし今後は、全体の設計を考え、その中で適切にAIを活用する人材が活躍することになりそうです。
3.AIを使いこなすエンジニアがより重要になる
今後は、AIを使いこなすエンジニアの重要性が増すでしょう。
Devinのような高度なAIツールを効果的に活用できるエンジニアは、組織にとって非常に貴重な存在となります。
AIの仕組みを理解し、その能力を最大限に引き出すスキルを持っているかが重要なポイントです。
AIを使いこなせるエンジニアは、チームの生産性を大幅に向上させ、競争力を高めることができます。
今のうちにしっかり学び、触っておくことをおすすめします!
Devinに関するよくある質問
Devinに関するよくある質問と回答を紹介します。
疑問をお持ちの方は参考にしてください。
- Devinとは何ですか?
- Devinは現在利用できますか?
- 無料で利用できますか?
- どの程度のレベルのコードを書けますか?
- どのようなプログラミング言語に対応していますか?
- Devinとは何ですか?
-
Devinは、Cognition Labs社が開発した世界初の完全自律型AIソフトウェアエンジニアです。
自然言語による指示を理解し、ソフトウェアの設計、コーディング、テスト、デプロイまで、開発プロセス全体を自動的に実行できます。
- Devinは現在利用できますか?
-
Devinは現在、限定的なベータテスト中です。Cognition Labsのウェブサイトからウェイトリストに登録することができます。一般公開の時期は未定です。
- 無料で利用できますか?
-
ベータテスト期間中は無料で利用できる可能性がありますが、正式リリース後の料金体系は未定です。Cognition Labsから発表される情報にご期待ください。
- どの程度のレベルのコードを書けますか?
-
Devinは高度なAIアルゴリズムと膨大なコードデータでトレーニングされており、人間の熟練エンジニアに匹敵するレベルのコードを書くことができます。
ただし、現時点ではすべてのケースにおいて完璧なコードを生成できるわけではありません。継続的な学習と開発により、その精度は日々向上しています。
- どのようなプログラミング言語に対応していますか?
-
Devinは以下のような幅広いプログラミング言語に対応しています。
- Python
- JavaScript
- Java
- C++
- C#
- Swift
- Rust
- Go
- PHP
- SQL
また、新しい言語やフレームワークへの対応も進められています。
まとめ
本記事のポイントを改めてまとめます。
- Devinの概要:完全自律型AIソフトウェアエンジニア
- 開発背景:Cognition社がGoogle DeepMindやWaymoの専門家によって設立
- 高い性能:SWE-benchで13.86%の正答率
- 主要機能:リアルタイムエラー修正、エンドツーエンド開発、チャット型
- エンジニアへの影響:単純作業の自動化により、高度な設計やAIマネジメントに集中
Devinの登場により、ソフトウェア開発の未来が大きく変わろうとしています。
DevinのようなAIソフトウェアエンジニアは、エンジニアリングの効率と生産性を上げるだけでなく、エンジニアの役割は再定義されるでしょう。
今後のDevinの進化と、その影響が楽しみです。