CapCutは手軽に動画編集できる人気のアプリですが、一方でその危険性について疑問や不安の声も聞かれます。
例えば
- 個人情報が抜き取られるのではないか?
- 商用利用は可能なのか?
- ウイルス感染のリスクはないのか?
といった懸念を持つ方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、CapCutを使ったからといって、ただちにウイルスに感染したり個人情報が盗まれたり、動画が勝手に公開されたりするわけではありません。
しかし、CapCutにはいくつかの潜在的なリスクも存在します。本記事では、CapCutの危険性についてさまざまな側面から詳しく解説し、安全に利用するための方法や代替となる動画編集ソフトについても紹介していきます。

Capcut(キャップカット)に潜む5つの危険性

CapCutの具体的な危険性には以下5つが挙げられます。
- 編集した動画に対する各種権利を放棄させられる
- 年齢制限が設けられている
- 商用利用が禁止されている
- プライバシーが守られない可能性がある
- 楽曲が著作権フリーではない
それぞれ詳しく解説します。
1.編集した動画に対する各種権利を放棄させられる
まず、自身が編集した動画に対する各種権利を放棄させられる点を知っておきましょう。
CapCutの利用規約には「ユーザーコンテンツの権利の放棄」の項があります。

上記を要約すると「CapCutで作成した動画のすべての権利は、開発元であるByteDance社に帰属する」ことになります。
つまりユーザーが作成したにもかかわらず、動画はByteDance社のものです。よって動画を勝手に使われて編集されても、文句はいえません。
編集した動画に関する権利を取り上げられるのは、ユーザーの活動内容によってはかなり大きな制約になります。
この点はCapCutを利用するうえでの最大の注意点です。よく理解したうえで、利用するか否かを決めましょう。
勝手に動画がどこかへアップロードされることはあるか?
CapCutで動画編集したからといって、ただちにどこかに動画がアップロードされるわけではありません。少なくとも、2024年11月の段階でそのような事例はSNSなどで見られません。
ただ、利用規約を読む限りでは、CapCutがそのようにしたいならできてしまうことを理解しておきましょう。
もちろん、CapCutで編集した動画をInstagramやTikTokにアップロードした場合は、ダウンロードやリポストなどの形で、拡散される可能性があります。
2.年齢制限が設けられている
また年齢制限が設けられている点にも注意が必要です。つまり子どもに使わせる場合は気をつけなければいけません。
CapCutの使用に関して、13歳未満は禁止、18歳未満であれば保護者の許可が必要とされています。動画に関しては著作権や肖像権の問題が発生しやすく、未成年がそれらに対処するのが困難なため、このようなルールがあります。
法律ではないので、このルールを破っても罰則はありません。しかし万が一CapCutを利用して法的トラブルが生じた場合、その責任は保護者に帰属します。
つまり、子どもがCapCutを利用して、賠償金や慰謝料を請求されるような事態になったら、対応する必要が生じます。
気軽に使えるフリー素材を使用しただけで、損害賠償などに発展したケースもあります。上の動画では、市区町村が被告となっていますが、同じく保護者もしくは子どもが訴訟の対象になるかもしれません。
法的トラブルの可能性は、CapCutにかかわらず動画制作のあらゆる場面にあります。子どもがそれに関係する際、保護者による教育、注意が必要です。
3.商用利用が禁止されている
CapCutは商用利用が禁止されている点に注意が必要です。
動画を編集するなら、多くのケースで何かしらの収入を得るのを目的としているでしょう。しかしCapCutの利用規約には以下の記載があります。

わかりやすくいうと、収入目的でなく、個人の趣味で楽しむ場合だけCapCutを利用できます。裏を返すと、収益を得る目的では利用できません。
したがってCapCutで編集した動画は以下のように制限されます。
- YouTubeなどで、広告や案件の収入を得るためのコンテンツとして利用できない
- 動画自体を販売できない
- 第三者に金銭をともなう形で動画を納品物として渡せない
CapCutを利用する時点で収益は得られないことをきちんと理解しましょう。
つまりCapCutは、たとえばYouTubeチャンネル運営による収益化に代表される、マネタイズにはまったく向いていません。
4.プライバシーが守られない可能性がある
またCapCutを利用することで、プライバシーが守られない可能性もあります。大きく分けて以下のパターンで、それが起こるかもしれません。
- CapCutが、ユーザーが作成した動画をWeb上などで公開する
- 第三者の申し立てがあったとき、自身の個人情報が、第三者に公開される
まずCapCutは、ユーザーが編集した動画のすべての権利を有します。つまり動画をYouTubeにアップしても問題ありません。
仮に動画に自身が出演する、あるいはプライベートな情報が含まれていた場合、プライバシーが犯されるかもしれません。
また第三者に対し、個人情報が公開されることもあります。

つまり「あなたの動画が誰かの肖像権などを侵害していたとして、その本人がCapCutに申し立てたとき、あなたの個人情報を公開する可能性がありますよ」と書かれています。
実際そのようになれば、少なくとも申し立てた本人には個人情報が知らされます。またその人が情報をWeb上で拡散するなどして、さらに悪い形でプライバシーが犯されるかもしれません。
5.楽曲が著作権フリーではない
またCapCut上に存在する楽曲が、著作権フリーでない点にも注意してください。
たとえば、YouTubeが用意する大半の楽曲はフリー素材であり、自由に利用できます。
YouTubeで頻繁に聞かれる以下のピアノ楽曲「Escort」はそのひとつです。同楽曲は条件を満たせば著作権を侵害しない範囲で利用できるわけですね。
しかし、CapCutで提供されている楽曲の中には、著作権フリーではないものが含まれているため、利用規約をよく確認し、著作権に配慮する必要があります。
著作権の有無を誤って判断すると、著作権侵害につながる可能性があるため、十分に注意しましょう。
Capcutより危険性が低い動画編集アプリ4選

CapCutの利用に不安があるなら、以下のような別の動画編集アプリを使いましょう。
- iMOVIE(アイムービー)
- PowerDirector(パワーディレクター)
- Adobe Premiere Pro(アドビ・プレミア・プロ)
- Filmora(フィモーラ)
これらはCapCutより注意点が少なく、利用規約を見ても各種のリスクが低いようです。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
1.iMOVIE

メリット | Mac製品に標準搭載されており、無料で手軽に利用できる。初心者でも扱いやすいシンプルなインターフェース。 |
デメリット | 高度な編集機能は少ない。Windows環境では利用できない。 |
料金 | 無料 |
オススメユーザー | ・動画編集初心者 ・Macユーザー ・簡単な動画を編集したい人 |
iMOVIEは、Appleが提供する動画編集アプリです。iMacやiPhoneを持っているなら誰でも利用できます。
無料ではあるものの、動画編集に必要な機能はほとんどそろっているのが特徴。使い方もわかりやすく、CapCutの代替えとして十分なパフォーマンスを発揮します。
無料素材も豊富で、すべて著作権フリーなので安心して利用できます。ある程度は操作性も安定しており、Mac製品が使えるなら問題ないでしょう。
ただし機能がシンプルであり、高度な編集には向いていません。また作業効率はさほど高くなく、大量もしくは本格的な動画編集やYouTubeチャンネルを運営する際には、不便を感じるでしょう。
とはいえ、個人が動画投稿などを楽しむ範囲では何ら問題ありません。ほとんどの面でCapCutよりも使いやすいでしょう。
2.PowerDirector

メリット | 初心者から上級者まで幅広い層に対応できる豊富な編集機能。動作が軽く、書き出し速度が速い。 |
デメリット | 無料版は機能制限がある。有料版は買い切りまたはサブスクリプション形式。 |
料金 | 買い切り版:約13,000円サブスクリプション版:月額6,700円〜 |
オススメユーザー | ・幅広い編集機能を求める人 ・効率的に動画編集したい人 |
PowerDirectorとは、有料版が存在する動画編集ソフトのなかでは、もっとも人気のあるソフトです。
有料版の前提であれば、ほかのあらゆる動画編集ソフトよりも使いやすく、機能が多彩。また動作や書き出し速度もスピーディーで、ストレスなく利用できます。
また縦画面編集や画面録画、360度動画対応など、ニッチなニーズにも応えられます。
買い切り版は13,000円程度、サブスクリプション版は1ヶ月あたり6,700円から購入可能です。
3.Adobe Premiere Pro

メリット | 業界標準の動画編集ソフトであり、非常に高度な編集機能を持つ。AIを活用した機能も充実している。 |
デメリット | 価格が高く初心者にはややハードルが高い。 |
料金 | 年間プラン34,680円 |
オススメユーザー | ・プロレベルの動画を編集したい人 ・Adobe製品をよく利用する人 |
Adobe Premiere ProはAdobeから販売されている動画編集ソフトです。世界的企業から発売されているソフトであり、多くのユーザーから信頼されています。
操作性が高く、AIによる自動編集機能がすぐれているのが強み。またほかのAdobe製品とも連携できるなど、Adobeらしい特徴も有しています。
サポート体制も充実しており、このソフトがあれば安定した動画編集環境を構築できるでしょう。
ただし年間プランが34,680円と高額なのがデメリットです。
4.Filmora

メリット | 操作が簡単で初心者でも使いやすい。豊富なテンプレートや素材が用意されている。AI機能も搭載。 |
デメリット | 無料版は書き出し時に透かしが入る。高度な編集機能はPremiere Proなどに劣る。 |
料金 | 永続ライセンス14,900円(学割あり) |
オススメユーザー | ・動画編集初心者 ・手軽にクオリティの高い動画を作成したい人 ・学生 |
Filmoraも、PowerDirectorやAdobe Premiere Proなどと並んで、人気の高い動画編集ソフトです。
操作が簡単で、動画もスピーディーです。無料素材やエフェクトも豊富で、特に初心者におすすめ。ウェディングムービーなど、私用の範囲でも使われることが多い動画編集ソフトです。
またモーションテキストなども充実しており、簡単に表現の幅を広げられます。
最近ではAI動画生成、画像生成、コピーライティングなどの機能も追加されました。ただしAI関連の機能に関しては発展途上であり、現段階での実用性はさほどではありません。
価格は永続ライセンスで14,900円です。ただし学生もしくは教職員の場合、5,980円程度まで割引できる制度があります。
学生がYouTubeチャンネルの運用などにチャレンジするのであれば、Filmoraは有力な選択肢となるでしょう。
無料版はありますが、ファイルを書き出した段階でFilmoraの透かしが入るため、実用性がありません。使用するなら有料版を入手しましょう。
CupCutに関するQA

本記事ではCapCutに関して詳しく解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 中国製のアプリは危険?
- 過去にCapCutを使ってしまった場合はどうすれば?
- 作成した動画は自動で公開される?
- CapCutに訴えられた人はいる?
- CapCutで編集した動画はYouTubeにアップロードできない?
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
- 中国製のアプリは危険?
-
中国製のアプリだからといって一律に危険なわけではありません。なかには安全に利用できるものもあります。
ただし中国製アプリは、中国の法律のもとで運営され、それがユーザーの損害につながる点を理解しておきましょう。
たとえばTikTokでは、アプリ上で収集されている情報が中国政府に渡っているかもしれない、と懸念されています。
中国には国家情報法という法律があり、ここには「いかなる組織や個人も、国家の情報活動に関して協力しなければいけない」と記されています(出典:国立国会図書館デジタルコレクション)。
つまりTikTokは、中国政府が求めるなら、ユーザーの個人情報などを提供するほかないわけですね。
中国製アプリやサービスを利用すると、今後自身の損害につながるかもしれません。その点を踏まえたうえで、アプリを利用しましょう。
- 過去にCapCutを使ってしまった場合はどうすれば?
-
CapCutを利用した場合、提供した個人情報はすでに収集されています。ただしこれだけで大きな問題は起こりません。
また動画を編集しただけでも、公開しない限り支障はないでしょう。
しかしCapCutで編集した動画を投稿している場合は転載されたり、第三者から何かしらの権利を侵害しているとして申し立てされたりする可能性があります。
大きな問題に発展しそうなら、必要に応じて動画を非公開にするなどして対応しましょう。
- 作成した動画は自動で公開される?
-
作成した動画は、自身が公開しない限りは非公開です。
「編集時点で、自動的に公開される」といった情報が流れていますが、事実と異なります。したがって編集した段階であれば、特別な対処は必要ないでしょう。
- CapCutに訴えられた人はいる?
-
2024年11月現在、CapCutから訴訟を起こされたユーザーは確認できません。また同様の裁判記録も見受けられませんでした。
ただし、CapCut内の楽曲を使用し、YouTube上で申し立てを受けるなどした人は一定数います。
出典:Yahoo!知恵袋-法律相談 したがって、CapCut内の楽曲を使用する際には、著作権フリーか否かを確認するのが大切です。
そのほかにも、人格権や肖像権を侵害していないか、といった点にも注意する必要があるでしょう。
- CapCutで編集した動画はYouTubeにアップロードできない?
-
CapCutで編集した動画は、YouTubeにアップロードできますが、CapCutでは編集した動画の商用利用が禁じられています。
したがって広告をつけたり、案件を受けてPR動画としてアップロードしたりはできません。
YouTubeチャンネルで収益を得るためには、CapCutのように、商用利用を禁じていない動画編集ソフトを利用し、アップロードする必要があります。
何度か触れていますが、CapCutによる動画編集では収益化を実現できないので注意してください。
まとめ

本記事ではCapCutの危険性に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- CapCutは便利な動画編集ソフトだが危険性もある
- 特に編集した動画に関する権利がCapCut側に移行するのは大きな問題
- 年齢制限や商用利用禁止などにも注意が必要
- 楽曲に著作権フリーではないものが含まれる点もトラブルのもと
- CapCutの代替えとして、iMOVIEやPowerDirectorなどが挙げられる
CapCutは簡単に動画を編集できる便利なサービスです。しかし利用規約などを踏まえると、収益化を狙ったYouTubeチャンネル運営には向いていません。
収益化が目的である場合は、本記事で紹介したような別の動画編集ソフトを活用しましょう。
また収益化を目指すわけではない場面でも、CapCut側に著作権が渡る点には、プライバシー保護などの観点から、かなり大きな問題があります。その点を踏まえたうえで、CapCutを使うべきか、一度考えてみるのがよいでしょう。