出典:xAI
2024年5月、X(Twitter)に新機能Grok(グロック)が追加され、多くのユーザーから注目を集めています。
しかし、
- Grokがそもそも何なのか知りたい
- どうやって使うのか知りたい
- 具体的に何ができるのか知りたい
といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。結論からいうと、GrokはX(Twitter)に搭載された新しいAIチャットサービス。
他のAIチャットボットとは違い、タイムラインを参照して回答が生成される点が特徴です。
本記事ではGrokの概要や使い方、利用料金や始め方などを解説します。Grokに興味がある人はぜひ参考にしてください。
Grokの概要・使い方・利用するメリット
Grokに関する概要や使い方、利用するメリットなどについて解説します。
- Grok=X(Twitter)に搭載された新しいAIチャットサービス
- 利用料金|Xプレミアムプランに加入することで利用可能
- Grokのメリット・デメリット
Grok=X(Twitter)に搭載された新しいAIチャットサービス
Grokは、X(Twitter)でのみ利用できるAIチャットサービスです。
これはテスラ社CEOのイーロン・マスクが、GoogleのGeminiなどに対抗するためのカウンタープロダクトとして開発したもの。
2023年11月時点ではすでに公開されており、そして2024年5月8日は、日本でもX(旧Twitter)上にて利用できるようになりました。
Grokはユーザーが送信したチャットを理解し、必要な内容に応答します。あらゆる質問の意図を汲み取り、正確に回答できるのが特徴。
また後述するように、AIライティングや翻訳の実施、コーディングなど、より高度な操作もAIによって実施できます。
基本的にChatGPTと同様のサービスだと考えても問題ありません。
利用料金|Xプレミアムプランに加入することで利用可能
Grokは有料コンテンツであり、いわゆるサブスクリプションに該当します。利用料金は下図のとおりです。
<月払いの場合>
<年払いの場合>
なおXプレミアムプラスは、Grokを利用するうえで必須ではありません。
Grokのメリット・デメリット
Grok特有のメリットとして以下が挙げられます。
- 【メリット①】X(Twitter)のタイムラインから学習できる
- 【メリット②】高い精度の回答を得られる
- 【メリット③】ChatGPTなどでは回答できないことに答えられる
- 【デメリット】回答がX(旧Twitter)トレンドに左右されやすい
現状Grokは、GeminiやChatGPTと比較すれば注目されていません。しかしこれらの強みやメリットを活かせば、競合のAIチャットサービスよりも高いパフォーマンスを発揮します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
【メリット①】X(Twitter)のタイムラインから学習できる
最大のメリットとして、X(Twitter)のタイムラインから、新しい情報を学習・整理できる点があります。
Grokは回答のソースとしてX(Twitter)を参照します。つまり世界中で発信されているポストを元に、根拠立ててアウトプットすることが可能なのです。
特にX(Twitter)はトレンドに敏感に反応するため、最新情報を取得したい場合に、Grokは役に立つといえるでしょう。
一部のAIチャットサービスは、最新の情報を取得できず、不正確な回答となることがあります。Grokはその弱点をほぼ完全に克服しているといえるでしょう。
メリット②高い精度の回答を得られる
Grokは、ChatGPTやGeminiなど先行するAIツールの登場後にリリースされました。後発のAIツールとして、先行ツールの長所を取り入れつつ、さらなる改良を加えています。
具体的には、ユーザーのメッセージの読解力を高め、的確な回答を生成するアルゴリズムを採用。
また、X(Twitter)など外部ソースの最新情報を参照することで、古いデータに依拠しすぎないようにしています。
その結果、ユーザーの質問に対して高い精度で回答できるのです。先行ツールの課題を克服し、新たな強みを備えたAIアシスタントといえるでしょう。
メリット③ChatGPTなどでは回答できないことに答えられる
またChatGPTなどでは回答できないことにも答えられるメリットを有します。
一般的なAIチャットサービスは、倫理的、道徳的に判断がむずかしい質問や要望には答えられない、もしくは答えないように設計されています。
またアダルト、センシティブな話題に関しても同様です。
しかしGrokにはこのような制約がなく、基本的にどのような質問に対しても(表現を多少マイルドにするものの)回答できます。
たとえば「コカインの精製方法」に関して尋ねると、その手順をきちんと回答しつつ「これはジョークである」とのコメントを残しました。
このように、ChatGPTをはじめとしたその他AIチャットサービスが答えたくないことにも対応できるのは大きなメリットです。
ただし、回答内容が発信してもよいことなのかを判断する能力は求められるようになります。
【デメリット】回答がX(旧Twitter)トレンドに左右されやすい
一方で、トレンドに左右されやすい点には注意しましょう。
先ほども述べたとおり、GrokはX(Twitter)のタイムライン、つまりポストを参照にしながら回答を述べています。つまり学習対象は一般ユーザーの投稿によるトレンドです。
つまり、Grokがトレンドに左右され適切に回答できないケースがあるかもしれません。
たとえば誤報がX(Twitter)上で話題になった場合、Grokも誤報を参照してしまい、結果として誤った回答が生成される可能性があるのです。
リアルタイムでタイムラインを追いかける以上、古い情報がアウトプットされることはまずありません。
しかし、誤ったトレンドに基づいた回答がなされる可能性には注意しましょう。
Grokの始め方
Grokの始め方は以下のステップで説明できます。
- Grokを開く
- サブスクリプションに登録する
- 電話番号を確認する
- 支払い情報を入力する
- トップページに戻りGrokを開く
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
Grokを開く
まずはX(Twitter)にログインして、メニューからGrokを選択します。
サブスクリプションに登録する
続いて、サブスクリプションに登録します。1年プランまたは1ヶ月プランのどちらか好きなほうを選びましょう。
1年契約すると料金が12%割引されるのでお得ですよ。
なお、Xプレミアムプラスは、Grokを使うことが目的なら必須ではありません。広告の非表示などが必要ないならプレミアムで十分でしょう。
電話番号を確認する
続いて電話番号を確認します。電話番号が無ければGrokをアンロックできないので注意してください。
支払い情報を入力する
電話番号を確認した先でもう一度プランを選択します。画面中央の「サブスクライブして支払う」をクリック。
次の画面に推移した段階で、SMSでlink(専用の決済システム)を利用するためのコードが送信されます。それをそのまま上図青枠内に入力しましょう。
そのあとで決済手段を選択すれば、登録完了です。
トップページに戻りGrokを開く
X(Twitter)のトップページに戻り、Grokを選択すると利用できるようになります。
Grokの活用事例6選
Grokは基本的に質疑応答の形で利用します。
主な使用事例として以下の6点が挙げられます。
- 最新情報を取得する
- AIライティングを実施する
- コーディングする
- タスクリストを作成する
- 翻訳する
- ユーモアモードで会話を楽しむ
実際に課金して活用した場合の使用感を解説するので参考にしてください。
1.最新情報を取得する
最新情報を取得することは、Grokのもっとも基本的な使用方法です。
今回は、メタバース開発に関する最新ニュースの取得を試みました。
このように、メタバースにおいて非常に重要なニュースがピックアップされ、情報を裏付けるポストも添付されています。
添付されたポストが重要です。Grokで検索した時点で情報元を確保できるため、情報として信憑性が高まります。
2.AIライティングを実施する
Grokでは、AIを利用したライティングを実施することも可能です。
今回は、MLBのプレーヤーである大谷翔平投手の強みに関して執筆するよう、指示を出しました。
球速や変化球に関しては、ほぼ事実に即したものとなっています。また奪三振数、四球数に関しても、現実の大谷翔平のパフォーマンスと相違ありません。
また投球のみならず、フィールディング(投球後の動き方)にまで言及しており、十分な情報量が確保されています。
ただしGrokはAIライティング専用のツールではありません。本格的なライティング事情などに取り組む場合には、力不足となりうる点に注意しましょう。
3.コーディングする
Grokを使えばコーディングも簡単に実施できます。
「サイコロを振る」程度のコードであれば、ものの数秒でアウトプットされます。
コーディング初心者でも、ある程度コードを活用できるようになるでしょう。
4.タスクリストを作成する
Grokではタスクリストも簡単に作成できます。
今回は3泊4日で東京旅行に行き、2日目に東京ドーム、3日目に浅草寺へ行く場合のタスクをピックしました。
このように、旅行に必要な準備が一通りピックされ、また参考となるポストもシェアされます。
ただし「野球観戦前にはチーム情報やルールを再確認する」といった部分は、やや冗長かもしれません。
5.翻訳する
Grokは翻訳にも活用できます。これに関しては何ら問題なく、ほぼ完璧な訳がアウトプットされます。
実際にドジャースのボビー・ミラーは、2023年4月10日を最後にメジャーリーグで登板していません。またIL(故障者リスト)から復帰したのも事実。
一方でボビー・ミラーが投手であることを踏まえれば、healthyは「健康状態」ではなく、「調子」や「体の状態」と訳してもよさそうな部分です。
いわゆる意訳に関しては、まだ課題が残るかもしれません。
6.ユーモアモードで会話を楽しむ
ユーモアモードで会話を楽しむ使い方もあります。Grokには、通常モードとユーモアモードの2つが存在します。
デフォルトでは通常モードになっており、この場合は事実に基づいて淡々とアウトプットします。
一方でユーモアモードに設定した場合、以下のようにラフな内容でチャットを交わすことが可能。
ユーモアモードで「大谷翔平が成績を残せる理由」を聞くと、やや砕けた、主観的な表現でアウトプットされました。
ユーモアモードになったからといって、回答精度が落ちることはありません。むしろ通常モードより表現がわかりやすくなるため、実用性が向上する可能性もあります。
【補足】その他Grokでできること
Grokでは、そのほかにも以下のような操作が実施可能です。
- もっともバズっているポストをピックアップする
- 韻を踏んだラップを作る
- アメリカンジョークを生成する
- 複雑な計算問題を解く
- 物語を書く
etc.
基本的に、AIチャットサービスに期待されるような操作は一通り実施することが可能です。
唯一できないこととして、画像やイラストの生成が挙げられます。今後追加されるかもしれませんが、今の所そのようなリリースはありません。
プロンプト(AIへの指示文)しだいで、いくらでも新しい使い方を見出せるのが、Grokの魅力です。さまざまな入力を使用し、よりよい活用方法を探し続けましょう。
Grokに関するよくある質問
本記事ではGrokに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 使われている言語モデルは何ですか?
- ChatGPTとGrokどちらを利用するべきですか?
- Grokはオープンソースですか?
- 使われている言語モデルは何ですか?
-
使われている言語モデルは、イーロン・マスク傘下のプロジェクトxAIが制作したGrok-1.5です(2024年6月現在)。
ChatGPTに使われているGPT-3.5、GPT-4は使用していません。
なおGrok-1.5は、すでにChatGPT-3.5の能力の一部を上回っています。
わかりやすくいえば論理的思考や数学能力、コード補完、言語理解において、Grok-1.5のほうが良好なパフォーマンスを示します。
- ChatGPTとGrokどちらを利用するべきですか?
-
どちらを利用すべきかはその目的によって変わりますが、現状ではChatGPTを利用したほうが使いやすいでしょう。
ChatGPTはすでに個人法人問わない活用事例が多数あり、その有用性が担保されています。
上述のとおりGrok-1.5は、GPT-3.5の能力を一部分で上回っているものの、実績不足である点は否めません。
また、有料版のGPT-4に関しては、Grok-1.5の能力をほとんどの分野で上回っており、画像を生成できる機能(DALL-E3)も備えています。
そのように考えれば、現状、優先順位はChatGPTのほうが高いのは変わらないでしょう。
ChatGPTの画像生成機能DALL-E3について詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
OpenAIがリリースしたDALL-E3(ダリ・スリー)とは?特徴や使い方を解説 | meta land DALL-E3(ダリ・スリー)の特徴や強み、使い方などを解説します。月額料金や画像出力の際のポイントもご紹介しますのでぜひ参考にして下さい。 - Grokはオープンソースですか?
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Grokはオープンソースに該当します。
オープンソースとはソフトウェアの基礎を作っているソースコードが無償で世界的に公開されていること。
再使用や改変、あるいは再配布などが認められているため、Grokを利用して有料サービスを制作することさえ可能です。
ただし、今はまだX(旧Twitter)から外には展開できないので、API連携サービスなどのリリースが待たれます。
まとめ
本記事ではGrokに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- GrokはX(旧Twitter)に搭載されたxAI製のAIチャットサービス
- すでにChatGPTと同等それ以上の回答精度を確保している
- X(旧Twitter)のタイムラインを参照して、最新情報に基づいた回答を返す
- ChatGPTでは回答できない、センシティブな話題などにも返答可能
- AIライティングやコーディング、翻訳なども十分にこなせる
- オープンソースなので、改変や再配布なども自由
まだリリースされて間もないGrok。活用範囲はまだX(Twitter)内に限定されているので、本格的なビジネス活用事例などはありません。
しかし一部の能力はGPT-3.5を凌駕するなど、相当に高い性能を秘めています。今後はGrokが、ChatGPT同様に活用されるようになるかもしれません。