画像の背景は、見る人にシチュエーションを伝えるための大切な要素の一つです。
Stable Diffusionで画像を作る際に、狙い通りの背景を生成したいと誰もが考えるはず。
しかし、
- 背景を生成するためのプロンプト(呪文)がわからない
- 思ったとおりの背景を生成できない
- 低品質な背景になってしまう
こういった悩みを抱えている方が多いでしょう。
結論からいうと、Stable Diffusionのプロンプトは背景や風景、シチュエーションなどに適したプロンプトを入力することで、理想の生成結果に近づけます。
今回は、Stable Diffusionでの生成時に使える、背景に関するプロンプトを中心に紹介します。
画像生成で背景の質を高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Stable Diffusionの導入方法や使い方については以下の記事で詳しく解説しています。
Stable Diffusionの背景・風景に関するプロンプト(呪文)一覧
Stable Diffusionで背景や風景の画像を作るときに使えるプロンプトの例を、以下のカテゴリに分けて列挙します。
- 屋内
- 屋外・自然
- 施設・観光地
- 乗り物・交通機関
- 観光地
- 無背景・単色など
屋内
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
indoors | 屋内 |
dining | 食堂 |
kitchen | キッチン |
living room | リビングルーム |
bed room | 寝室 |
bath | 風呂 |
office | オフィス |
factory | 工場 |
hospital | 病院 |
school | 学校 |
classroom | 教室 |
hallway | 廊下 |
library | 図書館 |
convenience store | コンビニエンスストア(コンビニ) |
shop | 店 |
cafe | カフェ |
bar | 酒場 |
hotel | ホテル |
restaurant | レストラン |
movie theater | 映画館 |
aquarium | 水族館 |
gym | ジム |
stadium | 球技場 |
church | 教会 |
casino | カジノ |
prison | 刑務所 |
屋外
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
outdoors | 屋外 |
town | 町 |
country town | 田舎 |
village | 村 |
city | 都市 |
road | 道路 |
alley | 裏通り |
crosswalk | 横断歩道 |
sidewalk | 歩道 |
residential street | 住宅街 |
shopping street | 商店街 |
crowd | 人混み |
park | 公園 |
garden | 庭 |
fountain | 噴水 |
farm | 畑 |
canal | 水路 |
bridge | 橋 |
shirine | 神社 |
temple | 寺 |
graveyard | 墓地 |
amusement park | 遊園地 |
castle | 城 |
windmill | 風車 |
自然
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
nature | 自然 |
forest | 森 |
jungle | ジャングル |
tree | 木 |
grass field | 草原 |
mountain | 山 |
hill | 丘 |
cliff | 崖 |
cave | 洞窟 |
desert | 砂漠 |
island | 島 |
lake | 湖 |
waterfall | 滝 |
ocean | 海 |
beach | 浜辺 |
under the sea | 海底 |
hot spring | 温泉 |
sky | 空 |
sun | 太陽 |
stars | 星 |
shooting star | 流れ星 |
moon | 月 |
space | 宇宙 |
乗り物・交通機関
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
unicycle | 一輪車 |
bicycle | 自転車 |
car | 車 |
car interior | 車内 |
taxi | タクシー |
taxi stand | タクシー乗り場 |
train | 電車 |
subway | 地下鉄 |
station | 駅 |
railroad | 線路 |
bus | バス |
bus stop | バス停 |
ferry | フェリー |
harvor | 港 |
plane | 飛行機 |
airport | 空港 |
観光地
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
Tokyo sky tree | 東京スカイツリー |
Kinkakuji | 金閣寺 |
The Statue of Liberty | 自由の女神像 |
The Great Wall of China | 万里の長城 |
Pyramid | ピラミッド |
Colosseum | コロッセオ |
The Eiffel Tower | エッフェル塔 |
The Sydney Opera House | オペラハウス |
Mont Saint Michel | モンサンミッシェル |
Angkor Wat | アンコールワット |
Sagrada Familia | サグラダファミリア |
Ayers Rock | エアーズロック |
Leaning tower of pisa | ピサの斜塔 |
Stonehenge | ストーンヘンジ |
Machu picchu | マチュピチュ |
Antelope canyon | アンテロープキャニオン |
無背景・単色など
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
no background | 背景なし |
background only | 背景のみ |
simple background | 単純な背景 |
flat background | フラットな背景 |
gradient background | グラデーションの入った背景 |
blurry background | ぼかした背景 |
white background | 白背景 |
green background | 緑背景 |
blue background | 青背景 |
シチュエーションや構図を変えるプロンプト一覧
続いて、背景のシチュエーションや構図を変更するときに使えるプロンプトの例を列挙します。
- 季節・行事
- 天気
- 時間帯
- カメラアングル・構図
- 光源・ライティング
季節・行事
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
spring | 春 |
summer | 夏 |
autumn | 秋 |
winter | 冬 |
cherry blossoms viewing | 花見 |
fireworks | 花火 |
Fall foliage viewing | 紅葉狩り |
aurora | オーロラ |
New Year | 正月 |
Lunar New Year | 旧正月 |
valentine’s day | バレンタインデー |
halloween | ハロウィーン |
Thanksgiving | 感謝祭 |
Christmas | クリスマス |
Albuquerque International Balloon Fiesta | アルバカーキ・インターナショナル・バルーン・フェスタ |
Rio Carnival | リオのカーニバル |
Easter | イースター祭 |
Hanukkah | ハヌカ |
Dia de los Muertos | 死者の日 |
天気
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
sunny | 晴れ |
fine weather | 快晴 |
cloudy | 曇り |
rain | 雨 |
light rain | 小雨 |
heavy rain | 大雨 |
thunder | 雷 |
thunderstorm | 雷雨 |
snowing | 降雪 |
fog | 霧 |
時間帯
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
morning | 朝 |
noon | 昼 |
afternoon | 午後 |
evening | 夕方 |
night | 夜 |
midnight | 深夜 |
sunrise | 日の出 |
sunset | 日の入り |
Twilight | 黄昏時(たそがれどき) |
magic hour | マジックアワー |
blue hour | ブルーアワー |
カメラアングル・構図
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
close-up | 近くから |
long shot | 遠くから |
dutch angle | カメラを斜めに傾ける |
top angle | 上から |
low angle | 下から |
aerial shot | 上空から |
overhead shot | 真上から |
bird’s eye view | 鳥瞰図(空の上から) |
worm’s eye view | 虫瞰図(地面の近くから) |
fisheye | 魚眼レンズ |
narrow angle | 狭角レンズ |
perspective | 広角レンズ |
bird’s eye viewやworm’s eye view、fisheyeは生物が映り込む場合があるため、生物名をネガティブプロンプトに書いたうえで使用しましょう。
画像を生成する際に除外したい内容の指示文のこと
光源・ライティング
プロンプト(呪文) | 意味 |
---|---|
strong light | 強い光 |
light sparkles | 輝く光 |
sunlight | 太陽光 |
sunbeam | 太陽光線 |
dappled sunlight | 木漏れ日 |
moonlight | 月光 |
spotlight | スポットライト |
volumetric lighting | ボリューム感のある光 |
cinematic lighting | シネマティックな光 |
dynamic lighting | ダイナミックな光 |
dimly light | 薄暗い光 |
darkness | 暗闇 |
クオリティの高い背景・風景を生成する5つのコツ
背景の画像を高いクオリティで生成するためのコツを5つ紹介します。
- 画質を向上させるプロンプトを書く
- 状況を詳しく記述する
- 画像サイズを横長にする
- 背景が得意なモデルを使う
- Loraを利用する
1.画質を向上させるプロンプトを書く
画質を向上させるプロンプトを入力すれば、クオリティの高い画像を生成しやすくなります。
たとえば、以下のような単語を入力するとよいでしょう。
- Masterpieces(傑作)
- best quailty(最高品質)
- hyper detailed(非常に詳細)
以下の記事も参考にして、プロンプトの精度を高めてみてください。
また、ネガティブプロンプトを利用するのも効果的です。
画像を生成する際に除外したい内容のテキストを入力すること。
2.状況を詳しく記述する
背景となる場所の状況を詳しく鮮明に書けば、イメージに沿った画像を作りやすくなります。
状況を説明する際には、以下のように5W1Hを意識するとよいでしょう。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
たとえば「泳ぐ女性」と入力するよりも「夏に、プールで、女性が、泳ぐ、暑いから、ワンピースの白い水着で」といった詳細を書いたほうが、イメージどおりの画像を生成しやすいものです。
画像を生成しながら、より詳細に追記したり省いたりして調整してみてください。
人物や小物に関する特徴も詳細に
人物や小物の特徴について詳細に書くと、背景に影響を与える場合があります。
たとえば、プロンプトに「town」と書くと多種多様な町が生成されますが「kimono」を追記して人物に着物を着せると、祭りのような夜の町並みになりやすいです。
さらに「Lantern」などを追記して提灯の明かりを灯せば、より雰囲気のある町が生成されるでしょう。
背景そのものに指示するだけでなく、被写体や周囲の特徴も詳しく書くのが大事です。
3.画像サイズを横長にする
背景に重点を置いて画像を生成する際は、サイズを横長に変更するのがおすすめです。
とくに人物などの対象物がある場合、横長にしたほうが背景をきれいに生成しやすくなります。
背景だけの場合でも、wide shotなどのプロンプトが機能しやすくなるでしょう。
もしスマートフォン用の画像を生成するのであれば、縦長でも構いません。
4.背景が得意なモデルを使う
配布されているモデルデータの中から、背景画像の生成に特化したものを選びましょう。
Civitaiなどで検索する際に「BACKGROUND」タブを選択すれば、以下のような背景を重点的に学習したモデルが表示されます。
生成したい系統のモデルデータを使用すれば、よりイメージに近い背景で画像を生み出せるでしょう。
先に背景画像のみ生成し、あとから人物画像を合成するのも一つの手です。
5.Loraを利用する
モデルを変更したくないのであれば、Loraを利用する方法もあります。
Loraは学習内容を拡張するモデルデータで、特定のシチュエーションやジャンル、物体などをより高い精度で生成できるようになります。
たとえば、和室の背景は「Japanese room」で生成できますが、和室を学習したLoraを導入すれば品質を上げやすくなるでしょう。
ファンタジーな背景やオーロラなど、さまざまなコンセプトのLoraが配布されているので、一度チェックしてみてください。
Stable Diffusionの背景に関するQ&A
Stable Diffusionの背景に関する、よくある質問と回答を紹介します。
- 背景のサイズを指定できますか?
- 人物を残したまま背景だけ生成し直せますか?
- 人物画像と背景画像を合成する方法はありますか?
- 背景を透過させたイラストを生成するには?
- 背景のサイズを指定できますか?
-
画像を生成する際に大きさの設定を変更すれば、サイズを自由に指定できます。
ただしサイズを大きくしすぎると、画像が崩れたり生成に失敗したりする確率が高いので注意が必要です。
モデルデータは512×512の画像データで学習しているケースが多いため、サイズを変更する際は512〜768の範囲に留めるとよいでしょう。
使用するモデルがSDXLであれば1024×1024で学習されているので、1024前後のサイズでも大丈夫です。
さらに大きいサイズで作りたい場合は、以下のような方法を試してみてください。
- 画像生成時に「高解像度補助」にチェックを入れる
- 一度小さいサイズで生成してから拡大する
- 高画質化できる拡張機能を利用する
- 人物を残したまま背景だけ生成し直せますか?
-
Stable Diffusion WebUIのInpaint機能や、拡張機能sd_katanukiを使用することで、背景だけ生成し直すことは可能です。
以下の手順で準備して再生成してみてください。
- 拡張機能sd_katanukiをインストールする
- sd_katanukiの機能で人物のマスク画像を作成する
- img2img内のInpaint uploadで元画像とマスク画像をアップロードする
- マスクの方式を「マスクの範囲以外をinpaint」に設定する
- 背景のプロンプトを書いて画像を生成する
- 人物画像と背景画像を合成する方法はありますか?
-
上で紹介した拡張機能sd_katanukiで人物画像の背景を透過すれば、背景画像と重ね合わせて合成できます。
そのため、人物画像と背景画像を別々に生成してから合成する手法も考えられるでしょう。
- 背景を透過させたイラストを生成するには?
-
画像を生成した時点で背景を透過させたい場合も、拡張機能sd_katanukiが使えます。
txt2txtで、設定項目のスクリプトを「Katanuki」に変更して画像を生成すればOKです。
通常の背景と透過された背景、2種類の画像が生成されるので注意してください。
まとめ
本記事では、Stable Diffusionの背景について解説しました。
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- 場所を表すプロンプトを入力すれば狙った背景画像を生成できる
- シチュエーションや被写体など、細かな情報を加えると精度が増す
- 背景をメインにするなら横長または縦長のサイズがおすすめ
- 作りたい背景に合ったモデルやLora、拡張機能を活用するとよい
今回紹介したプロンプトやコツを参考にすれば、より高品質な背景の画像を生成する助けになるでしょう。
別記事で解説するプロンプトの書き方も踏まえて、イメージどおりの画像作りに挑戦してみてください。