知識管理や情報整理に悩む人が注目しているのが、ノートアプリObsidian(オブシディアン)です。
Obsidianに興味はあるものの、以下のように思っている人もいるでしょう。
- Obsidianの詳細や特徴が知りたい
- 無料で使えるのか気になる
- 初心者でも使いこなせるか不安
結論から言うと、Obsidianはノート同士をリンクで繋げて知識を体系化できる無料のノートアプリです。マークダウン形式でローカルに保存されるため、データの安全性も確保できます。
今回の記事では、Obsidianの概要や初心者向けの使い方、便利なプラグインを解説します。
基本機能は完全無料で利用できるので、ぜひ本記事を読んでみてください。
Obsidianとは?|基本機能と注目される5つの理由

Obsidianの主な機能は以下の5点です。
- マークダウンで簡単にノートを作成・編集できる
- 双方向リンクでノート間の関係を可視化できる
- グラフビューで知識の構造を俯瞰できる
- ローカルに保存され外部に依存しない
- 基本機能は無料で利用できる
各機能について詳しく見ていきましょう。
マークダウンで簡単にノートを作成・編集できる
Obsidianでは、マークダウン記法を使ってノートを作成できます。
マークダウンでは、以下のように記述して文字を装飾することが可能です。
- 見出しは「# 見出し名」
- 太字は「**文章**」
- 箇条書きは「- 項目1」
- リンクは「[表示テキスト](リンクURL)」
キーボードから手を離さず文章構造を指定できるため、思考を中断せず執筆に集中できるでしょう。
作成したノートは.md拡張子のプレーンテキストファイルとして保存されます。
双方向リンクでノート間の関係を可視化できる

Obsidianの最大の特徴は、双方向リンク機能です。
ノート内で[[ノート名]]と二重角括弧で囲むだけで、相互参照可能なリンクを作成できます。
たとえば「プロジェクト管理」のノートで[[タスク管理]]と記述してリンクを作ると「タスク管理」ノートでは「プロジェクト管理」からリンクされていることが表示されるようになります。
情報同士の関連性を双方向から把握できるため、アイデアの繋がりを発見したり、思考を深めたりする際に威力を発揮するでしょう。
従来の階層型フォルダ管理とは異なり、ネットワーク状に情報を整理できる点が革新的です。
グラフビューで知識の構造を俯瞰できる

グラフビュー機能を使うと、ノート間のリンク関係を視覚的なネットワーク図として表示できます。
グラフビューの利点は以下の通りです。
- 関連の強いトピックのクラスターを発見できる
- 孤立したノートを見つけられる
- 知識の偏りや空白領域を特定できる
- アイデアの繋がりを直感的に理解できる
たとえば、マーケティング関連のノートが密集している一方で、財務関連のノートが少ないといった傾向が一目で分かります。
次に作成すべきノートの分野を特定するのに役立つでしょう。
ローカルに保存され外部に依存しない
Obsidianでは、ノートを保存する場所(保管庫)がユーザーのPC内に保存されます。
クラウドサービスとは異なりローカル環境に保存されているため、インターネット接続は不要です。
ローカルに保存するメリットは以下の通り。
メリット | 詳細 |
---|---|
プライバシー保護 | データが外部サーバーに送信されない |
高速動作 | ネットワーク遅延がなく軽快に動作する |
サービス終了リスクなし | 企業の倒産やサービス停止の影響を受けない |
完全オフライン対応 | ネット環境がなくても全機能を利用可能 |
機密情報や個人的な思索を扱う場合でも、安心して利用できますね。
基本機能は無料で利用できる
Obsidianの基本機能は、個人利用において完全無料で提供されています。
無料版で利用できる主な機能は以下の通りです。
- ノート作成・編集機能
- 双方向リンク・グラフビュー
- プラグインによる機能拡張
- テーマのカスタマイズ
- マークダウンのプレビュー表示
課金なしでも十分に強力な知識管理システムを構築できます。
有料オプションとして、Obsidian Sync(同期サービス)やObsidian Publish(Web公開機能)を追加することも可能です。
まずは無料版から始めて、必要に応じて有料オプションを検討すれば良いでしょう。
Obsidianの使い方|初心者でもすぐできる操作方法

初心者でも迷わず始められるよう、インストールからノート作成までの基本操作を以下の順に説明します。
- アプリをダウンロード・インストールする
- 最初の保管庫(Vault)を作成する
- ノートを新規作成する
- ノート同士をリンクして整理する
上記の手順を完了すれば、あなただけの知識ネットワークの第一歩を踏み出せます。
アプリをダウンロード・インストールする
まずはObsidianをインストールします。
公式サイトにアクセスし、使用しているデバイスに応じた方法でアプリのダウンロードおよびインストールを進めてください。

ちなみに、公式サイトではアカウントを作成できますが、有料サービスを利用しない場合は作る必要はありません。
最初の保管庫(Vault)を作成する
Obsidianを初めて起動すると、ノートや設定を保存するフォルダ(保管庫)の設定画面が表示されます。

保管庫の作成手順は以下の通りです。
- 「作成」ボタンをクリックする
- 名称とロケーション(保存場所)を設定する
- 「作成」を押すと作成が完了する
保管庫は後から追加したり削除したりできるので、ひとまず仮の名前で作成しても問題ありません。
ノートを新規作成する
保管庫を作成するとノートを作成できるようになるので、実際に新規作成してみます。
左サイドバーの「新規ノート」アイコンをクリックすると、新しいノートが追加されます。

双方向リンクを付けたうえで新しいノートを作成したいときは、既存のノート内で「[[新しいノート名]]」と記述してください。

リンクからノートを作成する方法は、ノートの孤立を未然に防げるのでおすすめです。
ノート同士をリンクして整理する
複数のノートを作成したら、双方向リンクを活用して知識のネットワークを構築します。
たとえば「Web開発」ノートに以下のようなリンクを作成し、ノート同士の関連性をつなげましょう。
- [[HTML基礎]]
- [[CSS設計]]
- [[JavaScript入門]]
リンクの表示名を変更したい場合は、パイプ記号(|)を用いて記述してください。
[[JavaScript入門|JS基礎]]と記述することで「JS基礎」と表示される「JavaScript入門」ノートへのリンクを作成できます。
ノート作成以外の機能
左端にあるアイコンから、Obsidianのさまざまな機能を使えます。
アイコン名 | 機能 |
---|---|
クイックスイッチャーを開く | 検索可能なノート一覧が開く |
グラフビューを開く | ノートのつながりをグラフ表示する |
新規キャンバスを作成 | カードを自由に配置できるキャンバスを新規作成する |
今日のデイリーノートを開く | 今日の日付が名前となったノートを作成する |
テンプレートを挿入 | 保存されたテンプレートを呼び出す |
コマンドパレットを開く | さまざまな操作を実行できるリストを表示する |
特にグラフビューは、知識のネットワークを構築するうえで重要な機能です。
ノートの数が多くなったら、グラフビューでつながりを確認するようにしましょう。
Obsidianのおすすめプラグイン一覧

Obsidianの機能は、プラグインを導入することで自由にカスタマイズ可能です。
ここでは、コミュニティが開発したコミュニティプラグインのうち、6つのおすすめを紹介します。
- Dataview|ノートをデータベース化できる強力プラグイン
- Templater|テンプレート作成と自動化に対応
- Calendar|日付ごとにノートを整理できるカレンダー表示
- Git|Gitでノートを自動バックアップ
- QuickAdd|定型操作をショートカット化できる
- Web Clipper|Web記事をノートに素早く取り込める
コミュニティプラグインを導入する方法
コミュニティプラグインを使用するには「設定 > コミュニティプラグイン」で有効化し、プラグインをインストールする必要があります。

有効化したら「閲覧」ボタンを押し、導入したいプラグインを探してください。
目的のプラグインを見つけたら選択し、インストールしたのち有効化しましょう。

Dataview|ノートをデータベース化できる強力プラグイン
Dataviewは、Obsidianのノートをまるでデータベースのように一覧表示・検索できる、とても便利なプラグインです。
たとえば以下のようなクエリ(命令文)で表を作成できます。
“`dataview
table time-played, length, rating
from “games”
sort rating desc
“`
上記のクエリは「games」フォルダ内にあるノートからキーワード「time-played」「length」「rating」を抽出して「rating」の大きい順に並べ替えた表を作成するものです。

また、設定を変更することで、JavaScriptを用いたdataviewjsクエリも記述できます。
ほかのプラグインに使うのに必要なこともある、汎用性の高いプラグインです。
Templater|テンプレート作成と自動化に対応
Templaterは、定型的なノート作成を劇的に効率化するプラグインです。
Templaterを有効にすると左端に追加されるアイコンをクリックすると、テンプレートとして使うノートを選択できます。
テンプレートを選択することで、現在開いているノートにコピーすることが可能です。

日付や曜日などでコピーされる内容が変わるテンプレートを作成すれば、何度も繰り返す作業の負担から解放され、本来の思考に集中できるでしょう。
Calendar|日付ごとにノートを整理できるカレンダー表示
Calendarプラグインは、デイリーノートを活用する人に必須のツールです。
右サイドバーにカレンダーを表示し、日付ベースでデイリーノートを管理できます。右サイドバーが開いていない場合は、上部の「展開」アイコンをクリックしてください。

カレンダーの日付をクリックしてノートを切り替えることができ、その日のデイリーノートが存在しない場合は作成することも可能です。
Git|Gitでノートを自動バックアップ
ObsidianのGitは、バージョン管理システムGitと連携してノートを自動バックアップするプラグインです。
このプラグインを使うには、保管庫として使っているフォルダがGitのリポジトリ内に含まれている必要があります。
保管庫がリポジトリ内に含まれていれば、Gitの設定画面が以下のように表示され「Split timers for automatic commit and sync」で自動コミットのオンオフを切り替えられます。

最上部に「Git is not ready.」などが表示されている場合はGitとの同期に失敗しているので、リポジトリや保管庫の設定を見直しましょう。
QuickAdd|定型操作をショートカット化できる
QuickAddは、あらゆる定型操作を自動化・高速化するプラグインです。
このプラグインは、ホットキーに設定したコマンドを入力することで、あらかじめ作成したChoiceに従った処理を自動的に実行できます。
ChoiceはQuickAddの設定画面で作成でき、以下4種類のタイプから選択できます。
- Template:テンプレートを使って新規ノートを作成
- Capture:既存のノートにタスクなどを追加
- Macro:複数のステップで処理するマクロ操作
- Multi:Choiceをフォルダのように整理

作成したChoiceの雷アイコンをオンにするとホットキーの設定にChoiceが追加されるので、Alt+1などのキーを割り当てれば準備完了です。

試しに、設定しておいたTemplateタイプのChoiceをホットキーで呼び出すと、指定したフォルダ内でテンプレートに沿ったノートが自動的に作成されました。

設定画面は英語で書かれているためハードルが高めですが、使いこなせば作業効率が格段に上がるでしょう。
ちなみに、ChatGPTなどのAIと連携した機能を使うことも可能です。
Web Clipper|Web記事をノートに素早く取り込める
Clipperは、Web上の記事に書かれている内容をノートに取り込める、公式のブラウザ拡張機能です。
これまでのプラグインとは異なりObsidianアプリ内では入手できないので、公式サイトからインストールしてください。

使い方は、ノートに取り込みたいWebページを開いている状態で、インストールしたObsidian Web Clipperを起動し、一番下の「Obsidianに追加」ボタンを押すだけです。

Obsidianの「Clippings」フォルダ内に、Webページの内容が複製されたノートが追加されます。

研究や執筆で使う資料の収集など、Web情報が必要なときに役立つでしょう。
Obsidianに関するQ&A

Obsidianに関する、よくある質問と回答を紹介します。
- スマホアプリでもPCと同じように使えますか?
- 日本語に対応していますか?
- ObsidianでAI機能は使えますか?
- コアプラグインとコミュニティプラグインの違いは?
- Obsidianのノートはクラウドに保存されますか?
- Obsidian Syncで同期するには?
- Obsidianは商用利用できますか?
- スマホアプリでもPCと同じように使えますか?
-
スマホアプリ(iOS/Android)は、PC版とほぼ同等の編集・表示機能を備えています。
ただし、Obsidian Gitのように、スマホアプリでの使用が推奨されていないコミュニティプラグインが存在します。
画面サイズの大きさがPCと比べて小さい点からも、PCとスマホで使い方を分けるのがおすすめです。
- 日本語に対応していますか?
-
Obsidianは日本語に対応しています。
初回起動時または設定画面から言語(Language)を日本語へ切り替えてください。
日本語に設定していても、コミュニティプラグインの説明文などは基本的に英語で表示される点に注意。
- ObsidianでAI機能は使えますか?
-
Obsidianには公式のAI機能は搭載されていません。
ただし、以下のようなコミュニティプラグインをインストールすることで、AI機能を使えるようになります。
- Smart Connections
- Copilot
- AI Assistant
ローカル環境でも一部の機能が使えるSmart Connectionsから試してみるといいかもしれません。
- コアプラグインとコミュニティプラグインの違いは?
-
コアプラグインは公式によるプラグインで、最初からアプリに含まれています。
一方コミュニティプラグインはユーザーが作成しており、追加インストールが必要です。
どちらも設定画面でオンオフを切り替えられます。
- Obsidianのノートはクラウドに保存されますか?
-
デフォルトでは自分のPC(ローカル)にのみ保存されます。
ほかのデバイスと同期させたり、自動的にバックアップをとったりしたいのであれば、iCloud DriveやGoogle Driveと同期しているフォルダを保管庫にすると良いでしょう。
また、公式で提供されているObsidian Sync(有料)を利用する方法もあります。
- Obsidian Syncで同期するには?
-
Obsidian Syncは以下の手順で同期を始められます。
- 公式サイトでアカウントを作成する
- Syncページでプランを購入する
- Obsidianアプリの「設定 > コアプラグイン」で「同期」をオンにする
- 「設定 > 同期」でプラン購入済みのアカウントでログインする
- リモート保管庫を作成して接続する
選択したプランによって、作成できるリモート保存庫の数やストレージ容量が異なります。
出典:Obsidianを翻訳 - Obsidianは商用利用できますか?
-
完全無料で商用利用できます。
以前は2名以上の組織での業務利用には有料ライセンスが必要でしたが、2025年2月のライセンス変更により制限がなくなりました。
商用ライセンスは開発支援のオプションとして残されていますが、購入は任意です。
フリーランスから大企業まで、誰でも無料でObsidianを業務に活用できます。
まとめ
本記事では、Obsidianについて解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- Obsidianは知識をネットワーク化できる無料のノートアプリ
- マークダウン形式のテキストをオフラインで保存する
- Obsidian Syncなどを活用してオンラインで同期させることも可能
- アプリをインストールして初期設定すればすぐに使い始められる
- 豊富なプラグインで機能を拡張できる
Obsidianは、情報を繋げて新たな価値を創造する「第二の脳」として機能する革新的なツールです。
ぜひ公式サイトからダウンロードして、あなただけの知識ネットワークの構築を始めてみてください。