ADetailerの使い方|Stable Diffusionで表情や手を修正する方法を解説

2025 9/30
ADetailerの使い方|Stable Diffusionで表情や手を修正する方法を解説

Stable Diffusionで生成した画像の顔や手が崩れてしまっても、拡張機能ADetailerを利用すると部分的に修正できます。

しかし、以下のように思っている人もいるでしょう。

  • ADetailerで何ができるのか具体的に知りたい
  • インストール手順や使い方がわからない
  • 顔や手を修正する際の設定方法が知りたい

結論から言うと、ADetailerは顔や手を自動的に検出して修正してくれる拡張機能で、インストールすれば少ない手順で利用できます。

今回は、ADetailerの機能紹介からインストール方法、設定方法まで詳しく解説。

顔や手の修正に悩んでいる方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください

目次

ADetailerでできること3つ

ADetailerの機能説明

ADetailerを利用すると実現できる以下の3点について詳しく解説します。

  1. 表情差分を作れる
  2. 手など特定部位だけを修正できる
  3. 顔だけにLoRAを適用できる

1.表情差分を作れる

表情差分の例

ADetailerを使えば、同じキャラクターの表情だけを自然に変更できます

顔の構造や特徴はそのままに、笑顔から真顔、驚きの表情などへ変化させることが可能です。

複数の顔が含まれる画像でも、それぞれの顔の表情を個別に制御できます。

シード値を変えずに表情の指示を変更することで、安定した表情のバリエーションを作成できるでしょう

ゲームやVTuberのキャラクター制作でよく使われている

キャラクター制作の例

実際の活用例として、ゲームやVTuberのキャラクター制作で重宝されています

基本となる立ち絵を1枚生成し、ADetailerで「smile」「angry」「surprised」などの表情差分を作成する使い方が一般的です。

従来は各表情ごとに全体を再生成する必要がありましたが、ADetailerを用いることで作業時間の大幅な短縮が期待できます

2.手など特定部位だけを修正できる

手の修正例

生成AIが苦手とする手の描画問題も、ADetailerを利用すれば効率的に解決できます

画像全体の構図やスタイルを保持したまま、崩れた手だけをピンポイントで修正することが可能です。

体の部位ごとに検出モデルが異なるため、顔や手の処理が互いに影響を与える心配もありません。

ただし、手の修正は難易度が高く、形状によっては思った効果が得られない場合も

3.顔だけにLoRAを適用できる

LoRA適用例

顔だけにLoRAを反映させられる点も、ADetailerの特徴の一つです

たとえば、特定の質感や個性を与えるLoRAを顔に使い、背景や服装のスタイルは維持するといった使い方ができます。

ADetailerのモデルで検出できる部位に適用できるため、手や全身に限定してLoRAを使うことも可能です。

うまく利用すればユニークな画像を生成できるようになるでしょう

ADetailerの導入方法と使い方

ADetailer導入手順

ADetailerをStable Diffusion web UIに導入して実際に使うまでの手順を、以下4ステップで解説します。

  1. URLからインストールするタブを開く
  2. URLを入力してADetailerをインストールする
  3. web UIを再起動する
  4. ADetailerを有効化する
STEP

URLからインストールするタブを開く

まずは通常通り「webui-user.bat」ファイルを実行してStable Diffusion web UIを起動します

web UIの画面が開いたら、上部のタブで「拡張機能 > URLからインストール」を選択してください

拡張機能タブの画面
STEP

URLを入力してADetailerをインストールする

拡張機能ADetailerが公開されているリポジトリのURLを入力し、インストールを実行します

「拡張機能のリポジトリのURL」に以下のURLを入力してください。

  • https://github.com/Bing-su/adetailer.git

ほかの入力欄はデフォルトのままでOKです。

「インストール」ボタンを押して数秒ほど待つとインストールが完了した旨のメッセージが表示されます

インストール画面
STEP

web UIを再起動する

インストールが完了したら「インストール済」タブに切り替えて、web UIを再起動します

タブを切り替えた際に、ADetailerが一覧に表示されて有効になっていることを確認してください。

インストール済タブ画面

問題がなければ「UIを再起動する」ボタンを押して再起動します。

再起動しないと、インストールに成功していても画像生成画面に表示されないので注意してください

STEP

ADetailerを有効化する

再起動後すると「txt2img」または「img2img」タブ内にADetailerが追加されるので、画像生成するときに適用されるよう有効化します

追加された「ADetailer」は標準パラメータよりも下の方にあります。

ADetailer有効化画面

先頭のチェックボックスにチェックを入れれば、画像生成時にADetailerが適用されます

画像生成前に設定すべき5つの項目

設定項目の説明

ADetailerの効果を発揮させるには、タブを開くと表示されるパラメータの設定が必要です

ここでは、とくに重要といえる以下5つの項目について解説します

  • ADetailer model|検出に使うモデルを選ぶ
  • シード値|安定した生成のため固定する
  • プロンプト|変更内容を書く
  • ネガティブプロンプト|崩れを制御する
  • Inpainting|各種パラメータを調整する

各設定項目について詳しく解説します。

ADetailer detector|検出に使うモデルを選ぶ

効果的に修正するには、検出する対象に応じたADetailer detectorを選択する必要があります

選択するモデルによって、検出できる部位や得意な画風が異なります。

デフォルトで選択できるADetailer用モデルは以下のとおりです

モデル名検出対象
face_yolov8n.pt顔(高速)
face_yolov8s.pt顔(高精度)
hand_yolov8n.pt
person_yolov8n-seg.pt全身(高速)
person_yolov8s-seg.pt全身(高精度)
yolov8x-worldv2.pt物体(人物以外も含め幅広く検出)
mediapipe_face_full顔(正面全体)
mediapipe_face_short近距離の顔(アップの顔)
mediapipe_face_mesh顔(細かく分けたメッシュ形状)
mediapipe_face_mesh_eyes_only目元
Noneなし

モデルを追加したい場合は、HuggingFaceのリポジトリで公開されているものをダウンロードして以下のフォルダ内に配置するとよいでしょう。

  • stable-diffusion-webui/models/adetailer/

シード値|安定した生成のため固定する

構図やポーズを保ったまま特定の部位だけ差し替えるには、メイン設定のシード値を固定することが大切です

シード値を変更してしまうと、ADetailerで修正した部分以外も大きく変わってしまう場合があります。

シード値設定画面

入力欄の横にある再利用ボタンを押し、指定したシード値で生成するようにしてください

再利用ボタン

なお、出力した画像のシード値は生成結果の下に記載されています。

プロンプト|変更内容を書く

ADetailerの設定欄にあるプロンプト欄に、表情などの修正指示を入力します

たとえば表情を変えたいときは、喜びや悲しみのように感情を表す語句を書いてください

表情・感情記述例
笑顔wide smile,
joyful,
teeth showing
怒りangry expression,
furrowed brows,
glaring eyes
悲しみtearful,
sad expression,
downturned lips
驚きsurprised expression,
wide eyes,
mouth open
照れblushing,
shy smile,
averted gaze
真剣serious expression,
focused eyes,
determined

複数の要素を組み合わせるとより具体的になり、自然な表情を生み出しやすくなるでしょう。

検出対象が手の場合は、open hand(開いた手)やpointing finger(指さし)のような形状を表す語句を使います。

複数人の表情を指定する方法

複数の部位が検出される場合は、プロンプトに[SEP]と書いて分割することで、それぞれの変更内容を指示できます

例として、画像に3人の顔が含まれている場合の書き方は以下のようになります。

  • smile [SEP] angry [SEP] cry

このように記述すると、1人目を笑顔、2人目を怒り顔、3人目を泣き顔に指定することが可能です

複数人表情指定の例

順番はモデルによる検出結果によるため、実際にADetailerを適用して試してみるとよいでしょう。

ネガティブプロンプト|崩れを制御する

低品質な出力結果を防ぐためにネガティブプロンプトも入力するのがおすすめです

ネガティブプロンプトには、出力結果に含めたくない要素を書きます。

以下はADetailerで有効なネガティブプロンプトの記述例です

有効な箇所ネガティブプロンプト例
・open mouth(開いた口)
・cross-eyed(寄り目)
・extra eyes(余分な目)
・six fingers(6本の指)
全身・disconnected limbs(つながっていない手足)
・disfigured body(形が崩れた体)
・extra arms(余分な腕)

通常のネガティブプロンプトは画像全体に影響するため、ADetailer欄内のネガティブプロンプトとうまく使い分けましょう。

Inpainting|各種パラメータを調整する

ADetailerでより自然に修正するには、Inpaintingのパラメータ全体を把握しておくことが大切です

これらの値は細かく調整でき、項目によっては仕上がりを大きく変えます。

以下のパラメータを覚えておけば、出力される画像を調整しやすくなるでしょう

  • Inpaint mask blur:修正部位の境界をどの程度ぼかすか
  • Inpaint denoising strength:どの程度描き直すか
  • Inpaint only masked padding, pixels:検出範囲の広さ(ピクセル単位)

「Inpaint only masked」などのチェックボタンにチェックを入れていないと直下のパラメータが有効にならないので注意。

パラメーターの画面

項目ごとに数値を細かく変えながら生成をくりかえし、適切な設定を探してみてください。

ただし、使い方を誤ると「境界線が浮いてしまう」「修正が強すぎて別人になる」といった問題が起こりやすくなります

そのほかのパラメータの概要

ここで紹介したパラメータ以外にも、設定できる項目は多数存在します

以下表にまとめたので、気になるパラメータがあれば触れてみましょう

項目概要
Enable this tab選択している処理タブ(1st、
2nd、
3rd、
4th)を有効化
Detection検出に関する設定(検出する判定の強さなど)
Mask Preprocessing検出範囲に関する設定(エリア拡張など)
ControlNet model使用するControlNet用モデル
ControlNet weightControlNetを反映させる強さ
ControlNet guidance startControlNetを反映させるステップ開始地点(0=初めから)
ControlNet guidance endControlNetを反映させるステップ終了地点(1=最後まで)

Detection、Mask Preprocessing、Inpainting内に多数のパラメータが存在するので、少しずつ試してみてください。

ADetailerに関するQ&A

よくある質問

ADetailerに関するよくある質問に回答します。

  • モデルの違いは何ですか?
  • LoRAとControlNetは併用できる?
  • アニメ系と実写系どちらが得意?
  • 処理が遅い時の対策は?
モデルの違いは何ですか?

主に検出する部位や検出の仕組みが異なります

モデル名に含まれている単語から、どの部位を検出するモデルなのかがわかります。

  • face:顔
  • hand:手
  • person:全身

また、YOLOやMediaPipeは検出方法を表しています。

基本的に、安定しやすいYOLO系のモデルを選択するのがおすすめです

LoRAとControlNetは併用できる?

ADetailerはLoRAやControlNetと併用できます

LoRAを使う場合は、ADetailerプロンプト内で「lora:model_name」の形式で入力してください。

[SEP]でプロンプトを区切ることで、部位ごとに異なるLoRAを適用することも可能です。

ControlNetを利用する場合は、ADetailerの設定内にある「ControlNet model」を変更しましょう。

すでにインストールしているControlNet用モデルから選択が可能です

アニメ系と実写系のどちらが得意?

ADetailerはどちらにも安定して対応できます

アニメ系と実写系の比較

とくにYOLOv8系モデルを選択した場合では、アニメと実写のどちらでも効果を得やすいです。

ただし、手を検出するモデルはジャンルを問わず修正が効きにくいことが多いため注意が必要です

処理が遅い時の対策は?

ADetailerを導入して処理が遅くなったときは、以下の方法で対処しましょう

  • サイズの小さいモデルに変更する(yolov8s→yolov8nなど)
  • ステップ数やCFGスケールなどのパラメータを変更する
  • ADetailerのタブ数を減らして同時処理数を減らす
  • xformersを利用してメモリ負荷を軽減する

小型モデルを使用すると、処理速度が向上するぶん精度がやや低下するので気をつけてください

まとめ

本記事では、ADetailerの使い方について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

  • ADetailerは顔や手を自動検出して部分修正する拡張機能
  • 表情差分の作成や特定部位の修正が可能
  • LoRAを顔だけに適用してスタイルを保持できる
  • 適切なモデル選択とパラメータ調整が品質向上の鍵

ADetailerは、AI画像生成の品質を劇的に向上させる強力なツールです

ぜひ本記事を参考にADetailerを導入して、高品質な画像生成に挑戦してみてください

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この記事を書いた人

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