2023年3月、ChatGPTにてAPIが使えるようになりました。これにより、既存のサービスやツールとChatGPTを組み合わせられるようになっています。とはいえ、
- ChatGPT APIにはいくらお金がかかるのか知りたい
- 具体的に何ができるのか知りたい
- 予算がいくら必要か知りたい
という人も多いはず。結論から言うと、ChatGPTのAPIは、使用量に応じて課金される仕組みです。様々なツールにChatGPTを組み込めるため、業務効率化や新しいサービスの開発に役立ちます。
そこで本記事ではChatGPT APIの利用料金や支払いシミュレーション、導入するとできることなどを解説。同APIの導入を考えている方はぜひ参考にしてください。
APIとは、異なるソフトウェアやツール同士を連携させるためのしくみと考えてください。つまり社内ツールや外部アプリケーションに、ChatGPTを組み込めるようになります。
ChatGPTのAPIの利用料金・支払いシミュレーション
まずはChatGPT APIに関して以下の点を解説します。
- 利用料金
- 支払い方法
- 支払いシミュレーション
- APIを導入するメリット
ChatGPT APIの利用料金
ChatGPTの開発元OpenAIに利用料金が掲載されていたので、引用します(2024年3月18日時点)。
Tokensとは、ChatGPTが処理する際に使っている「テキスト量」を示す。おおむね1Tokens当たり英語1単語、ひらがな1文字、漢字2文字としてカウントされる。
したがって、入力では1Tokensあたり0.045円、出力では0.09円かかる計算です(1$=150円換算の場合)。たとえば100Tokensで質問して、100文字Tokensで回答があったなら、13.5円ほどかかる計算になるでしょう。
このように入出力時のTokensによって利用料金が変わるため、後述のとおり、うまくTokens消費をおさえるのがポイントになるでしょう。
なお、Assistans APIの利用料金は以下のとおりです。
Assistans APIは、テキストの指示からプログラミングができるCode Interpreter機能と、添付したドキュメントの検索と内容の取得が簡単になるRetrieval機能を使用するために必要なAPIです。
支払い方法
2024年3月18日現在、ChatGPT APIにかかる費用の支払い方法はクレジットカードのみです。
また、ChatGPT APIの支払い(導入)には、Open AIアカウントを作成する必要があります。
公式サイトにアクセスし、画面右側部のLog inをクリックし、アカウントを用意しましょう。
その後、Log in先で支払いに利用するカードを設定できます。
APIを導入するメリット
ChatGPTを導入するメリットとして、以下が挙げられます。
- ユーザビリティ向上/ChatGPT APIを応用したサービスによってユーザーの満足度が高まる
- リソースとコストの削減/ChatGPT APIによってGPT-4が活用できるため、AI開発が不要である
- 拡張性の向上/GPT-4特有の対応力を活かしてあらゆるタスクを処理できる
- 処理能力の向上/GPT-4-32Kを使用する場合、より高度な処理を実施できるようになる
Googleドキュメントなどの既存ツールにChatGPTをくみこめるため、大幅なリソースやコスト削減が見込めるでしょう。一方で、ChatGPT GPTの回答精度が完璧でなく、また情報漏洩の可能性がある点には注意しましょう。
ChatGPT APIを導入するとできること
ChatGPT APTを導入すると何ができるようになるか、イメージできていない人もいるでしょう。代表的な使い方は以下のようなものが挙げられます。
- チャットボットの構築
- 各種文書作成・添削
- ソースコードの訂正
- 言語翻訳
- 画像生成・音声認識の利用
- GPT-4のカスタマイズ
これらのことを、外部アプリケーションにて高度な水準で実施できます。
チャットボットの構築
プログラミング言語の知識が必要ですが、ChatGPT APIを導入すればチャットボットを構築できます。入力に対する回答はGPT-4やGPT-4-32Kがおこなうため、非常に高度です。
以下のようにすでにチャットボットの構築方法を公開しているユーザーも多いので、取り組みやすいでしょう。
たとえば上記を参照にしながらチャットボットを構築するのは、Pythonの基礎知識を知っているユーザーにとってむずかしいことではありません。
高価なチャットボット系統のプロダクトを導入するよりも、コストパフォーマンスを高められるでしょう。
文書作成・添削
ChatGPT APIを利用すれば、以下のような文章を作成、添削することが可能になります。
- ブログ記事
- メール
- 電子書籍本文
- レポート
- スピーチ用原稿
- マニュアル
- 仕様書
- 議事録
またテキストの要約なども実施できます。さらに音声ファイルを取り込めば、その内容を書き起こすことも可能。
そして、これらを外部アプリケーションでも容易に実施できるようになります。これだけでも業務効率などの向上に期待が持てるでしょう。
ChatGPTから出力されたテキストは、基本的に誤字脱字がありません。この性質を利用し、ユーザーが書き出した文章のチェックを実施することも可能です。
ソースコードの訂正
また、間違えたソースコードの訂正も簡単になります。
プログラミング言語で書かれたテキストファイルのこと。
ChatGPTは自然言語のみならず、PythonやC#などの主要なプログラミング言語を理解します。打ち間違いが疑われるソースコードを入力すれば高い精度で修正を実施可能。
プログラミング言語を仕様している現場では重宝するでしょう。
またプラグインのCode Interpreterを入力すれば、テキストの指示からソースコードを書き出すことも可能です。
Code Interpreterも組み合わせれば、外部アプリケーションでソースコードを作成もしくはチェックできるようになります。
言語翻訳
ChatGPT APIを導入すれば、言語翻訳も高い水準で実施できるようになります。
ChatGPTは英語や中国語、ロシア語や韓国語、スペイン語など、あらゆる言語を翻訳する能力を有します。また翻訳精度も高く、少なくとも主要言語を訳する範囲では特別に不自然な表現はありません。
API連携することで、外部アプリケーションにこの言語翻訳機能を追加できます。
主要言語のほか、ベラルーシ語やアラビア語、フィンランド語など、やや話者の少ない多くの言語の翻訳にも対応しています。
画像生成・音声認識の利用
ChatGPT APIの導入により、画像生成ツールのDALL-E3や音声認識機能のWhisper 3を外部アプリケーションから利用できるようになります。
DALL・E3は、プロンプトを入力するだけで下図のような高品質な画像を出力します。
Whisper 3は、主にプロンプトを音声入力する際に使う機能です。SiriやAlexaに話しかける感覚で、ChatGPTにプロンプトを入力できるようになります。
これらが外部アプリケーションから使用できるようになれば、イラスト作成やプロンプト入力などをより迅速に実施できるようになるでしょう。
DALL-E3について詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。
GPT-4のカスタマイズ
ChatGPT APIを導入すれば、AIをカスタマイズすることが可能です。つまり、ChatGPTに社内用語や専門用語、テンプレートなどを記憶させ、必要に応じてアウトプットさせられます。
十分に学習させれば、特定のビジネス領域でしか使用されない専門的な言葉を入力しても、AIとの会話が成立するようになるでしょう。一般的なプロンプトとも組み合わせれば、かなり専門性の高いツールになります。
Chat GPT APIの利用料金をおさえる方法
すぐれた機能拡張性を持つChatGPT APIですが、心配なのが利用料金です。これを心配している人も多いでしょう。
しかし、以下の方法である程度支出を抑えることは可能です。
- 英語で利用する
- max_tokensの上限を設定する
- messagesの回答数を制限する
- 簡潔に質問する
各種設定と工夫があれば、基本的に問題ありません。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
英語で利用する
まず英語で利用するのが、利用料金をおさえる上で有効です。
先ほど、ChatGPTではテキスト量をTokens数という単位でカウントしていると解説しました。そしておおむね1Tokens当たり英単語1文字、ひらがな1文字、漢字2〜3文字と数えられます。
つまり英語で利用すれば、漢字が使われないぶん、Tokensの消費が少なくなるわけです。漢字ばかりを入力していると、相当なベースで従量課金されてしまいます。
Tokens数カウントツールであるTokenizerに、日本語と英語で文章の要約を求めてみましょう。
Tokens数は9でした。しかし英語で入力すると、4まで減ります。
可能な限り英語で入力し、Tokensの消費をおさえましょう。
ただしこの方法を使うには、英文法に対して相応の理解が求められます。それに自信がない場合は、正確な出力を得るためにも、日本語で入力したほうがよいでしょう。
max_tokensの上限を設定する
また、max_tokensの上限を設定するのもおすすめです。このパラメータは、ChatGPTによる一度のアウトプットのTokensの最大値。つまりmax_tokensを制限すれば、おのずと利用料金を節約できます。
なお、max_tokensの上限値に到達した場合、会話の途中でもアウトプットが中断されます。つまり、上限を低くし過ぎると、「情報が不足している▶︎もう一度アウトプットする▶︎Tokensを無駄遣いする」という悪循環に入りがちなので注意してください。
max_tokensの上限値を下げる場合は、慎重に判断することを推奨します。
max_tokensの値はOpenAIアカウントにログインすれば変更できるようになります。
messagesの回答数を制限する
max_tokensだけでなくmessagesの回答数を制限するのも有効です。
ChatGPTで設定されるパラメータのひとつ。適切な回答を得るために、AIが一時的に保持している過去のやり取りのこと。質問をして、そのあとにさらに詳細な内容を聞いたとき、有効な返答ができるのは、過去の入出力をmessagesとして保持しているから。
ChatGPT APIは、messagesが保持されている状態でプロンプトが入力された場合、その両方をTokens数として計算します。つまりmessagesの上限値が設定されていないと、入力するほどに無駄なTokensを消費します。
それを防ぐために、OpenAIアカウントでmessagesの上限値を減らしましょう。そうすればTokens数としてカウントされる回答数を制限し、Tokens数の不要な増加を避けられます。
プロンプトを簡潔に入力する
また、プロンプトは可能な限り簡潔に入力することを意識しましょう。
たとえば、「明日の会議のアジェンダを作成してください」というプロンプトがあったとします。これをTokenizerに読み込ませてみます。
Tokens数は17でした。しかしこのプロンプトは「明日の会議アジェンダ作成をして」とも表現しても大きく意味は変わりません。
5文字短くなり、2Tokensを節約できています。日本語はある程度省略しても意味が通じるようになっており、ChatGPTもある程度「汲み取る」能力を持っています。
したがって簡潔な入力をしても、プロンプトの実行にさほど支障はありません。できるだけ冗長な表現を避けましょう。
ただし注意したいのは、簡潔すぎると期待される回答が得られない点です。出費をおさえたいがあまり、アウトプットの品質を著しく落とすのはよくある失敗。この点には十分注意しましょう。
Chat GPT APIに関するよくある質問
本記事ではChatGPT APIに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- Chat GPT APIは有料プラン(ChatGPT Plus)の一部ですか?
- 無料で使う方法はある?
- APIを使わずにChat GPT Plusで十分ですか?
- Chat GPT APIは有料プラン(ChatGPT Plus)の一部ですか?
-
ChatGPT APIはChatGPT Plusの一部ではありません。
ChatGPT APIは外部ツールとの連携機能を開放するプランです。ChatGPT PlusはGPT-3.5からGPT-4への切り替えを目的としたプランです。
- 無料で使う方法はある?
-
ChatGPT APIを永続的に無料で利用する方法はありません。2024年3月18日現在、以下の利用料金が発生します。
ただし2024年3月18日現在、OpenAIアカウントを作成した際に3ヶ月間$5相当の無料トライアルが用意されています。この期間中は5$相当以上のTokens消費がない限り、請求は発生しません。
5$でもGPT-4での入力16.7万Tokensに相当するため、本格的にChatGPT APIを使うことが可能です。実際に使用して、課金するかどうか判断するとよいでしょう。
無料トライアルがいつ終わるかはわからない点に注意してください。
- APIを使わずにChat GPT Plusで十分ですか?
-
APIを利用するのが目的なら、ChatGPT Plusに登録しても利用できません。このプランに登録してもAPI機能がアンロックされないからです。
APIを使って外部ツールと連携したいなら、ChatGPT APIに登録する必要があります。
ただしChatGPT Plusに切り替えただけでも、ChatGPTが以下のようにブラッシュアップされます。
- 回答精度の大幅な向上
- より正確なコーディング
- 回答に利用される学習データの追加
- 画像生成ツールDALL-E3のアンロック
- 音声認識機能Whisper 3のアンロック
- 画像入力機能の追加
外部ツールと連携させる目的がなければChatGPT Plusでも十分でしょう。
まとめ
本記事ではChatGPT APIに関して解説しました。最後に重要なポイントと利用料金をおさらいしましょう。
- ChatGPT APIとは、ChatGPTと外部アプリケーションを連携させるサービス
- 導入すれば、ChatGPTを社内ツールなどに組み込める
- チャットボット構築、文書作成、ソースコードの訂正などの機能を外部アプリケーションに持ち出せる
- 画像生成ツールDALL-E3なども使えるようになる
- ChatGPT APIの利用料金は、Tokens数によって計算される
- 英語によるプロンプト入力、各種パラメータ設定によってToken数消費を減らし、利用料金をおさえるのが重要
ChatGPT APIを導入すれば、既存のツールにAIを組み込めるようになります。作業効率や正確性は大幅に向上するでしょう。
無料トライアルも用意されているので、まずはテスト運用してみることをおすすめします。