AIで業務効率化できる?効率化できる業務と主な事例を解説

AIがさまざまな分野で導入されて需要が高まっています。次のような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

  • 日本企業でAIが導入されている状況と目的を知りたい
  • AI導入でどのような業務が効率化できる?
  • 実際にAI導入で業務効率化している事例を知りたい

結論から言うと、2024年5月現在日本ではさまざまな分野でAIが導入されており、業務効率化に活かされています

そこでこの記事では、日本企業におけるAI業務効率化の現状や対象となる業務について、詳しく紹介していきます。

業務効率化を目的としてAI導入を検討している方は参考にしてください。

目次

日本企業におけるAI業務効率化の現状と効果

内閣府ではAI利活用の推進を目的として「AI戦略2022年の概要」を発表しています。

総務省では自治体におけるAI活用や導入ガイドブックを作成するなど、日本政府はAI導入を推進しています。

しかし、世界と比較すると日本企業でのAI導入は遅れている状況です。

ここでは、日本企業におけるAI業務効率化の現状や効果を解説します。

  • 日本企業でAIが導入されている割合
  • AI導入による効果
  • 企業がAIを導入するメリット

日本企業でAIが導入されている割合

2021年に日本やドイツ、アメリカを対象としてAIを業務に取り入れているかの調査が実施されたました。

アンケートの結果、日本は24.3%、ドイツは29.3%、アメリカは35.1%と日本は最も導入率が低くなっています

日本でも年々AIを導入している企業は増えていますが、海外と比較すると低い数値であることがわかるでしょう。

AIの導入率のグラフ
出典:HUMAN SCIENCE

また、AIを導入した日本企業のうち、8割は業務効率化が目的といったデータがあります。

AI導入の目的別グラフ
出典:HUMAN SCIENCE

このデータを踏まえると、業務効率化に活かしたいものの、実際にはまだ導入が進んでいないのが現状です。

AI導入による効果

次に、AIを導入した企業が効果を実感しているかを見てみましょう。

以下のデータでは80%以上が効果ありと解答しており、AIの導入が業務効率化につながっていることがわかります。

AIを導入したことで効果があったかのグラフ
出典:HUMAN SCIENCE

また、マイナス効果があったと答えている企業がゼロである点も注目すべきでしょう。

企業の業務効率化においてAI導入は効果があり、マイナスになることはないといった結果です。

企業がAIを導入するメリット

企業がAIを導入するメリットは次の通り。

  • 業務効率化
  • 人材不足の解消
  • 顧客満足度の向上
  • コスト削減

AIを活用することで事務作業やデータ分析などをよりスムーズでき、従業員の負担を減らせます

特に単純作業に強く、自動化を進めることで人材不足の解消にもつながるでしょう。

また、単純作業を自動化することで従業員がコア業務に集中できるため、商品やサービスの質が高まり、顧客満足度向上も期待できます。

チャットボットをはじめとしたAIがこれまで従業員がしていた作業を代行することで、人件費のコスト削減も可能です。

AIで効率化できる業務

AIで効率化できる業務は次の通り。

  • メンテナンス管理
  • 事務作業
  • データ分析
  • 営業業務
  • 物流業務
  • 人事業務

それぞれの業務でどのようにAIを活用できるか説明していきます。

メンテナンス管理

AIの画像解析を使うことで、メンテナンス管理の負担を減らすことができるでしょう。

従来担当者が目視でチェックしていた業務をAIの画像解析を使うことで自動化できます。

また、ビルの外壁をはじめ危険な場所の点検もAIの画像解析の活用によって、大幅に従業員の負担を減らせるでしょう。

AIの導入は業務精度を一定にできる点もメリットです。

人間が点検するとどうしてもバラツキが発生しますが、AIではどのような状況でも適切に点検が可能です。

事務作業

AIの導入によって、事務作業におけるさまざまな分野で業務効率化が進んでいます

例えば、請求書や納品書の発行、帳票処理などの自動化によって、従業員の負担軽減につなげられます。

特に、毎月一定の動作が必要な業務においては、自動化を導入しやすいことが特徴です。

また、ヒューマンエラーを減らせることから、生産性の向上も期待できます。

データ分析

AIはデータ分析の効率化も可能です。

近年ではインターネットやスマートフォンが普及したことから、ネットで商品を購入したり情報を収集したりする人が増えています。

そのため、顧客の行動や属性など多くの情報を集めることが可能です。

しかし、人が情報を集めるには負担が大きすぎるほか、集めた情報は活用しなければ意味がありません。

そこで、AIを導入することでビッグデータを収集、また分析できることから顧客満足度の向上や売り上げアップにつなげられます。

営業業務

営業業務においても、AIの導入によって業務効率化を実現できています。

日本では足で稼ぐことが必要とされていましたが、決して効率が良いとはいえませんでした。

AIはビッグデータを収集、分析することで見込み客を抽出したり、顧客の属性に合わせて適切に商品を提案したりすることが可能。

また、営業部署内でデータを共有することで属人化を防ぐことにもつながるでしょう。

物流業務

物流業務には、入庫作業から受発注、検品、出庫、仕分け、配送などさまざまなプロセスがあります。

それぞれのプロセスごとに担当者が配置されることが一般的ですが、手間がかかってしまいます。

また、情報の共有が難しく商品の発送が遅れる、あるいは適切な商品が配達されないことも。

そこで、AIを導入して自動化また省人化することで業務を大幅に効率化できているケースもあります。

例えば、入出庫作業に画像認識を導入することで精度を上げたり、渋滞情報を把握したりすることでスムーズな配達が可能です。

人事業務

人事業務にもAIが導入され業務効率化が進んでいます

人事業務は採用業務や従業員の勤怠管理、適切な人材配置などさまざまな業務があり、担当者に負担がかかっています。

そこで、人事業務におけるさまざまな分野でAIが活用されています。履歴書に対して自然言語処理を使うことで、職歴やスキルなどを自動的に抽出できるのです。

また、応募者に対して面接日時を自動的にメール送信することをはじめ、フォローアップも自動化でき従業員の負担を軽減しています。

業務効率化を目的としたAI導入事例3選

業務効率化を目的としたAI導入事例は次の通り。

  1. チャットボットを活用した顧客対応
  2. 医療診断における活用
  3. 事務処理における活用

順番に見ていきましょう。

1.チャットボットを活用した顧客対応

問い合わせにAIチャットボットを活用することで、24時間365日対応可能です。

顧客にとって、いつでも必要な情報を入手できるため顧客満足度向上につながります。

Webで年末調整を申告できるサービスを提供するさくら情報システム株式会社では、顧客からの問い合わせをAIチャットボットで自動化しています。

さくら情報システム株式会社
出典:さくら情報システム株式会社

チャットボットを導入したことで、1か月で2,700件の問い合わせに対応できるように。

利便性が向上したことで顧客満足度の向上につながりました。

2.医療診断における活用

医療診断においても自然言語処理、深層学習などのAIを導入するケースが増えています

病気を診断するほか、患者一人ひとりのケアやモニタリング、治療計画の提案などはAIを用いて提案することが可能。

また医療現場でAIを活用することで、医師や看護師の業務効率化やコスト削減につながります。

負担を減らすことで、病気を早期発見したり24時間対応できるような医療体制を維持できたりします。

アメリカの医療用画像解析システムを提供しているEnliticでは、ディープラーニングを活用することによって、肺がんの検出率を高めています

Enliticによる肺がん検出
出典:日経XTECH

Enliticでは、悪性腫瘍を検出する放射線を照射することを目的として、担当する医師にシステムを提供しています。

2015年10月にオーストラリアの医療画像診断サービスを提供しているCapitol Healthが、Enliticを導入開始したのがきっかけです。

以降さまざまな医療関係の企業や病院がCTスキャンの診断時間を短縮でき、医師の負担を減らし業務効率化を実現しています。

3.事務処理における活用

事務作業においてもさまざまな分野でAIを導入し業務効率化につなげています

人材採用時の動画選考や不動産査定、住宅ローンの事前診断システムなど業界や業務内容に問わずAIを採用。

明治安田生命では、人事評価をはじめとした人事運用にAIを導入して社員情報の一元化に成功

AIを導入する明治安田生命
出典:明治安田生命

従業員一人ひとりの経歴や自己開発、評価などを把握できるため今後のキャリア形成に活用できています。

さらに、明治安田生命が導入したAIは人材検索機能を搭載しており、従業員一人ひとりの経歴や実績を確認したうえで適切なポジションを提案。

ミスマッチを減らすことによって人材運用において業務効率化を実現しています。

AI業務効率化に関するQ&A

AI業務効率化に関するよくある質問についてまとめました。

  • AI業務効率化において注意すべきことは?
  • AI業務効率化を目的としたツールはどのようなものがある?
  • AI導入した企業は効果を実感している?
  • AIを導入するデメリットはありますか?
  • AIは将来の予測ができますか?
  • 画像認識を使ってどのようなことができますか?
  • 音声認識を使ってどのようなことができますか?

AI業務効率化において注意すべきことは?

AIは人間を上回る作業処理能力があり、従業員の負担軽減や属人化を解消しています。

しかし、AIにすべてを任せられるわけではありません。

人間によって業務が定期的に進んでいるかを確認することが必要であるほか、人間でしか対応できない業務もあります。

AIの特徴やメリットなどを把握して、適切に導入することが重要です。

そのため、AIに関する知識をもった人材が必要なのです。

AI業務効率化を目的としたツールはどのようなものがある?

AI業務効率化を目的としたツールには、次のように目的別にさまざまな種類があります。

ツール名概要
ChatGPTOpenAIが提供する言語型AIチャットツール
ELYZA Pencilキーワードを入力するだけで文章が生成できるAIツール
RImo VoiceChatGPTを使った文字起こしツール
Lookaオシャレなロゴやポスター、ブログバナーなどの作成が可能

これらのツールを活用することで従業員の負担を減らせるほか、外注費用も削減できるでしょう。

それぞれのツールについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてください。

AI導入した企業は効果を実感している?

AI導入した企業の8割が効果を実感しています。また、日本の企業がAIを導入している目的の大半が業務効率化です。

事務作業や営業、物流、医療などさまざまな分野において、AI導入による業務効率化が進んでいます。

AI導入による効果を実感している企業が多いことからも、今後さらに需要が高まっていくことでしょう。

AIを導入するデメリットはありますか?

AI導入は必ずしもメリットばかりとはいえず、次のようなデメリットもあります。

  • 情報漏洩につながる
  • 情報が膨大になる
  • 人材不足が解消しない

顧客情報をはじめAIで個人情報を分析する場合、情報漏洩に対して十分に注意が必要です。また、社内の情報が漏れないようにデータを暗号化することをはじめ対策が求められます。

AIのメリットとしてビッグデータの分析が挙げられますが、一方で膨大なデータを管理しなければいけません。

特に外付けハードディスクで管理している場合は、膨大なデータを管理できない可能性があります。

AIを適切に活用するためには、十分なセキュリティ知識をもった人材が求められるでしょう。

AIは将来の予測ができますか?

AIはビッグデータを分析することで将来の予測が可能です。

例えば、顧客のWebサイトを使った行動履歴や、店舗でのPOSを通じた購買情報、顧客情報などから商品の需要を予測できます。

また、店舗やイベントなどにおいて、天候や過去のデータなどから来場者予測が出来る場合もあります。

ビッグデータからの分析はAIの得意技であり、これまでのデータが多ければ多いほどより詳細に予測できるでしょう。

AIを使って将来を予測することで、商品開発や営業展開、人材の確保などに活かせるでしょう。

画像認識を使ってどのようなことができますか?

AIはテキストだけでなく、画像を学習、分析することで映っているものを判別できます。

大量のデータを学習することで、画像から情報を読み取ることが可能です。

AI-OCRを活用した文字認識を使うことで、手書きの文字をデータ化できます。

さらに、自動レジや車の自動運転、入店時や退店時の顔認証、万引きの摘発などさまざまな分野で応用されています。

音声認識を使ってどのようなことができますか?

AIはテキストや画像以外にも音声を認識可能

人が会話した内容から文字起こししたり、スマート家電に動作を指示したりするなどさまざまな活用例があります。

また、電話応対やコールセンターにおける品質評価に利用されることもあります。

まとめ

この記事では、AIでの業務効率化についてまとめました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • AI導入企業の8割は業務効率化が目的である
  • AI導入によってさまざまな分野で業務効率化が可能である
  • さまざまなAI導入事例が存在する

日本はまだAI導入が進んでいるとはいえないのですが、導入企業の8割は業務効率化が目的で成果を実感しています。

デメリットはありますが、従業員の負担が減り、生産性も向上していることから今後もAIの導入は進んでいくことでしょう。

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この記事を書いた人

「Metaland編集部」は、Web3.0、メタバース、AIといった最新のトピックを皆様にお届けします。専門知識がない方でもご心配は不要です。情報を深くかつ分かりやすく解説することを重視し、新しいデジタル時代への案内役となることを目指しています。一緒に新たなステップを踏み出しましょう!

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