プログラミングしていると、コードを書くのに時間がかかったり、エラーの原因を見つけられなかったりすることが多いでしょう。
そんなときに使えるのが、ChatGPTを活用したプログラミング法です。
しかし、
- ChatGPTに指示するときの具体的な書き方がわからない
- どんなときにChatGPTを活用できるのか知りたい
- うまくコードを生成するコツを知りたい
このような悩みを持っている方もいるでしょう。
結論から言うと、コード生成や学習、デバッグなどあらゆる場面でChatGPTを活用することで、時間の短縮やスキル向上に繋がります。
本記事では、プログラミングでChatGPTを活用する方法やコツ、注意点などを解説します。
プログラミングの知識がなくても使えるので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
なお、そもそもChatGPTについて知りたいときは、以下の記事が参考になるでしょう。
プログラミングでChatGPTを活用する5つの使い方
プログラミングでChatGPTを活用する方法の例として、以下の5つを解説します。
- コード生成(コーディング)
- プログラミング言語の学習
- アルゴリズムや構造の解説
- テスト用データの作成
- デバッグおよびレビューのサポート
- プログラムコードの変換
1.コード生成(コーディング)
ChatGPTに作りたいプログラムの概要を伝えると、実装するためのコードを生成できます。
たとえば「2つの数字を足し算するプログラムのコードを生成してほしい」と入力すると、以下のようにコードが返ってきます。
コードの生成を繰り返していけば、大規模なプログラムも比較的短時間で完成させられるでしょう。
2.プログラミング言語の学習
生成したコードおよび命令文の意味が知りたい場合は、ChatGPTに解説してもらいましょう。
もちろん、ネット上で公開されている既存のコードでも構いません。
「以下のコードの意味を1行ずつ説明してください」のように入力して、解説してほしいコードを貼り付けてください。
解説文で使われている言葉が分からない場合は「クラスとは何ですか」のように追加で質問して、プログラムに対する理解を深めていきましょう。
学習用のプラットフォームや書籍も探してみよう
ChatGPTでプログラミングの勉強を始める前に、学習プラットフォームや関連書籍を探して体系的に学んでおくのがおすすめです。
たとえば、Pythonを学習したいのであれば「プログラミング言語Pythonについて基本から勉強できるプラットフォームや書籍を教えてください」と入力してみてください。
先に基本を学んでおかなければ、どこを勉強するべきか判断できず途方に暮れてしまうでしょう。
ひととおりプログラミングの概要に目を通してから、分からなかった部分をChatGPTで補強する方法で勉強してみてください。
3.アルゴリズムや構造の解説
プログラム全体で何をするのか、どういった構造になっているかを短時間で知りたいときもChatGPTが役立ちます。
「以下のコードのアルゴリズムを解説してください」といった質問とともにコードを貼り付けて、ChatGPTに聞いてみましょう。
複数人でコードを書くような大規模なプログラムを作成するときや、コメント文がなくて概要が分からないときに利用するとよいでしょう。
また、コードを貼らなくても「チェスのゲームのアルゴリズムを解説してください」のように入力すれば、プログラムを開発する際の参考になります。
4.テスト用データの作成
作成したプログラムの動作をテストするために使うサンプルデータも、ChatGPTであれば大量かつ簡単に作れます。
正しい文法でコードを書けたとしても、入力するデータによっては予期しないバグが発生するかもしれません。
いざ本番リリースしてからバグを見つけることのないよう、できるだけ多くのパターンのデータを作成しましょう。
以下は、ランキングを表示するプログラムのために「名前と点数のデータを10件作成してください」と入力した結果です。
「エラーとなるデータを混ぜてください」と指示すれば、エラー時の挙動もテストできるデータを作れます。
5.デバッグおよびレビューのサポート
プログラムを実際に動かしてエラーが発生したときも、ChatGPTに頼ってみてください。
「以下のプログラムでエラーが起きた原因を特定してください」のように入力してコードも貼り付ければ、ChatGPTがチェックした結果を教えてくれます。
エラーの場所が分かったら、ChatGPTの力を借りながらバグを直して再度チェックにかけましょう。
そもそもテストする前にChatGPTでコードを評価してもらい、問題がなくなってからテストを開始するのも一つの手です。
6.プログラムコードの変換
ChatGPTを利用すれば、既存のコードを別の言語や形式に変換できます。
ChatGPTはあらゆる言語に対応できるので、変換したい言語を指定して試してみてください。
たとえば、入力した文字を出力するプログラムを、PythonからJavaScriptに変換してみます。
「以下のコードをJavaScriptに変換してください」と入力すると、次のように出力されます。
マルチプラットフォームに対応したり、開発環境を変えたりする際に有効です。
ChatGPTでコードを生成するコツ4点
とくにコードを生成する際、思ったとおりの回答をなかなか得られずに苦労するかもしれません。
望んだ回答を得やすくするために、以下4つのコツを覚えておくとよいでしょう。
- 使用するプログラミング言語などの関連情報を提供する
- 具体的かつ簡潔に指示する
- 要件を小分けにして段階的に指示する
- 実装したくない処理や問題点も提示する
1.使用するプログラミング言語などの関連情報を提供する
コードを生成する際、使用する言語をはじめとした関連情報をChatGPTに提供してください。
詳細な情報を与えるほど、求めている回答を得られる確率が高まります。
具体的には、以下のような内容を入力するとよいでしょう。
- プログラミング言語(C言語、Java、Pythonなど)
- 開発環境(Visual Studio、Eclipse、Unityなど)
- 使用する変数の名称および型(int型のa、boolean型のbなど)
- 引数と返り値(入力値と出力値)
上記のほかにも、前提条件となる事項があればChatGPTに入力してください。
2.具体的かつ簡潔に指示する
ChatGPTを使ったプログラミングでは、具体的かつ簡潔に指示を出すことが大切です。
漠然とした指示だと的確なコードを生成できないため、できるだけ具体的な内容を明確に伝えましょう。
ただし、不要な情報を盛り込んだり具体的すぎたりする指示では冗長となり、ChatGPTが理解しにくくなります。
例として、以下の比較を参考にしてください。
指示の仕方 | 例 |
---|---|
漠然としている | 計算するプログラムを作ってください |
ちょうど良い | Pythonで、標準入力から2つの整数を受け取り、その和を出力するプログラムのコードを生成してください |
冗長である | Pythonを使って、2つの整数を入力して受け取り、その2つの整数を足し合わせて、結果を出力するプログラムを作成していただけますでしょうか。ただし、入力は関数の引数として渡すのではなく、標準入力から受け取るようにしてください。 |
曖昧な表現は避けて、ChatGPTが理解しやすい言葉を入力すれば、より適切なコードが生成されます。
3.要件を小分けにして段階的に指示する
複雑なプログラムを作成する際は、要件を小分けにして段階的に指示するとよいでしょう。
最初から完璧なコードを生成するのは難しいため、次の手順でChatGPTに指示してみてください。
- 基本的な機能を実装する
- 追加の機能を1つずつ追加する
- 改善点を見つけて肉付けする
このように、段階的に指示を与えればChatGPTが理解しやすくなり、エラーの発生も防げます。
また、各段階でコードをテストすれば問題点を早期に発見でき、修正が容易になるでしょう。
ChatGPTの知識や能力を理解したうえで、一度の指示で実現できる範囲を念頭に置くのが重要です。
4.実装したくない処理や問題点も提示する
プログラムの要件を伝える際は、実装したい機能だけでなく、実装したくない処理や考えられる問題点についても提示することが大切です。
たとえば、以下のような指示が考えられます。
- 「ユーザーの入力をファイルに保存する機能は不要です」
- 「大量のデータを処理するため、メモリ使用量に注意してください」
- 「ネットワークエラーが発生した際はログを記録してください」
- 「エラーメッセージやログには認証情報自体が表示されないようにしてください」
このように指示すれば、不要な機能をあらかじめ省いて効率的にコードを生成できたり、セキュリティ性の高いプログラムを作成できたりするでしょう。
ChatGPTによるプログラミングの問題点・注意点
プログラミングでChatGPTを活用するときの問題点および注意点として、以下の5点に気を付けてください。
- 生成されたコードが動作しないことがある
- 欠陥がないかチェックする必要がある
- 複雑なプログラムを作るのは困難である
- 過去の学習には限界がある
- 機密情報が漏洩する危険性がある
1.生成されたコードが動作しないことがある
ChatGPTが生成したコードは、そのまま動作しないことがあります。
とくに、特定のライブラリやフレームワークを使用したり、複雑な機能を実装したりする場合は注意しましょう。
生成されたコードが動作しない原因として、以下の要因が考えられます。
- 文法エラー
- ロジックの誤り
- 必要なモジュールのインポート忘れ
- バージョンの互換性
- APIの機能変更
このように、生成されたコードは正しいとは限らないため、動作するかどうかを必ず確認し、必要に応じて修正を加えてください。
2.欠陥がないかチェックする必要がある
実際にプログラムを動かしてみて正しく動作したとしても、潜在的な欠陥や脆弱性が含まれている可能性があります。
たとえば、ユーザーの入力に対するエラーチェックが不十分であったり、要求するスペックが高すぎたりする場合があります。
また、悪意を持った攻撃に対処できない脆弱性が含まれている可能性も。
そのため、ChatGPTで生成されたコードを本番環境で使用する前に、徹底的なテストや評価が不可欠です。
ChatGPTにテストや評価を任せるのも一つの手ですが、最終的には経験豊富な開発者によるレビューを実施するのが望ましいでしょう。
3.複雑なプログラムを作るのは困難である
ChatGPTは単純なプログラムの作成には非常に有用ですが、複雑なプログラムを一から作成するのは難しいものです。
複雑なプログラムには多数のモジュールや関数、クラスが含まれており、相互に依存し合っています。
また、エラーや問題が発生したときにメンテナンスしやすいように、性能や拡張性などの要件を満たさなければなりません。
複雑な構造や要件を把握するのが苦手なChatGPTでは、最適なコードを生成できないと考えておいてください。
そのため、開発者がプログラム全体の設計や構築を担当し、ChatGPTはあくまでサポートとして扱うべきです。
4.過去の学習には限界がある
ChatGPTにはユーザーとの会話の内容を学習する機能が備わっていますが、永続的な記憶ではない点に注意してください。
記憶が消去される原因として挙げられる理由は以下のとおり。
- チャットの変更およびリセット
- 記憶容量の制限
- ChatGPT自体のシステム更新
- 技術的な問題による不具合
とくに記憶容量については、制限に達すると古い情報から忘れられるので、前提条件として覚えさせた内容を再度入力する必要があります。
情報が多いほど忘れられやすいため、最低限の入力にまとめるよう心がけましょう。
ちなみに、ChatGPTではユーザーの情報や回答の仕方を手入力して保存できるカスタマイズ機能が利用できます。
常に考慮してほしい情報をあらかじめ保存できますが、入力できる文字数が限られている点に注意。
2024年2月にメモリ機能のテスト運用が開始
2024年2月、ChatGPTにおいて会話内容を永続的に記憶するメモリ機能の追加が発表されました。
メモリ機能によってユーザーと会話した内容が自動的に記憶され、以降のチャットに反映されるようになります。
メモリに記録された内容を忘れさせたり、機能をオフにしたりすることも可能です。
2024年5月時点では一部のユーザーのみ利用できるテスト運用の段階なので、これからの実装に期待しましょう。
5.機密情報が漏洩する危険性がある
ChatGPTとの対話のなかで機密情報を含むコードやデータを共有してしまうと、その情報が意図せずに漏洩する危険性があります。
なぜなら、ChatGPTが会話内容を学習し、ほかのユーザーとの対話で機密情報を参照する可能性があるためです。
実際、OpenAIの利用規約には、入力した情報を使用する場合があると明記されています。
以下のような情報を送信しないよう、細心の注意を払ってください。
- データベースにアクセスするためのパスワード
- アプリに接続するためのAPIキー
- 個人情報・顧客情報
- 機密情報を含んだプログラムのソースコード
情報漏えいの対処方法
情報漏えいを防ぐ方法の例は以下のとおり。
- 機密情報を入力しないように気を付ける
- 一時チャット(会話を学習させないチャット)を利用する
- 情報漏えい監視ツールを導入する
- 法人向けサービス(ChatGPT Enterprise)に契約する
- そもそもChatGPTを利用しないようにする
完全に情報漏えいの可能性をゼロにするのは困難ですが、できる限りリスクを抑える方法を検討してください。
ChatGPTでのプログラミングに関するQ&A
ChatGPTでのプログラミングに関する、よくある質問と回答を紹介します。
- プログラミングの知識がなくても使えますか?
- どうやってプログラミングについて勉強すればよいですか?
- Pythonのコードは生成できますか?
- 無料版のChatGPTでも大丈夫ですか?
- ChatGPTが生成したコードだとバレますか?
- プログラミングの知識がなくても使えますか?
-
ChatGPTに適切な指示を与えられれば、プログラミングの知識がなくても目的のコードを生成できます。
ただし、生成されたコードの正確性を判断するために、ある程度プログラミングを理解している必要があります。
以下のようなスキルを身に付け、ChatGPTを効率的に活用しましょう。
- プログラミングの基本(変数、関数など)の理解
- 適切に指示するための論理的思考力
- 生成されたコードを検証・評価するデバッグ能力
- エラーメッセージの意味を理解して対処する問題解決能力
- どうやってプログラミングについて勉強すればよいですか?
-
ChatGPTを利用して基本を学んだり、学習プラットフォームを利用したりするとよいでしょう。
ChatGPTを利用した学習方法は本記事でも解説しているので参考にしてください。
ちなみに、プログラミングのスキルを習得する一番の近道は、実際にプログラムを作成することです。
ある程度の知識を身に付けたら、ChatGPTを使わずに小規模のプログラムを作成し、修正し、評価してみるのをおすすめします。
- Pythonのコードは生成できますか?
-
ChatGPTは、Pythonをはじめとした数多くの言語のコードを生成できます。
以下のような言語を生成できるので、自分が利用する分野に沿った言語を選択しましょう。
プログラミング言語 主な活用場面 Python 人工知能(AI)の開発・データ収集 JavaScript Web開発 Java Androidなどのアプリ開発 C++ システムやゲームの開発 C# WindowsアプリやUnityゲームの開発 Ruby Webアプリケーションの開発 Swift iOSアプリの開発 Go 並列処理 Solidity スマートコントラクトの開発 Rust メモリの活用 PHP WordPressのプラグイン開発 SQL データベースの操作 上記以外の言語でも、ChatGPTが学習していれば対応できます。
ただし、学習しているデータの範囲はモデルによって異なるため、どこまで学習できているかOpenAIのドキュメントで確認しましょう。
- 無料版のChatGPTでも大丈夫ですか?
-
無料版でもプログラミングに活用できます。
2024年5月に新しくリリースされたモデルGPT-4oは無料でも使えるため、基本的な機能に大きな違いはありません。
GPTs(カスタマイズしたAI)も、既存のものであれば無料で利用できるようになりました。
ただ、無料版には以下の制限がある点に注意してください。
- 利用できる時間やトークン数が限られている
- 一度に生成されるコードの長さに制限がある
- 画像生成など一部の機能が使えない
- 今後提供される新機能は有料版が優先される
- GPTsを新規に作成できない
頻繁にChatGPTを使うようになってから有料版に登録すると良いでしょう。
- ChatGPTが生成したコードだとバレますか?
-
ChatGPTで生成したことがバレる確率は低いのですが、以下の要因で怪しまれる可能性はあります。
- コメント文の内容や量
- 変数や関数の命名規則
- インデント(空白スペース)や改行の使い方
- ネット上のコードとの一致を調べるコピーチェックツールでの判定
仮にバレたとしても、ChatGPTが禁止されていない限り問題にならない可能性が高いでしょう。
ChatGPTの使用が禁止されている場合は、情報漏えいの問題にも繋がってしまうので使用を控えるべきです。
まとめ
本記事では、ChatGPTによるプログラミングについて解説しました。
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- ChatGPTがあればプログラミング知識がなくてもプログラムを作成できる
- コード生成や学習、テストなどにChatGPTを活用できる
- ChatGPTには関連情報を提供したうえで具体的かつ簡潔に指示する
- 複雑なコードは一括で生成できないため、段階的に指示する必要がある
- 生成したコードが不完全で動作しない可能性もある
ChatGPTにうまく指示を出せるようになれば、自分でコードを書くよりも簡単にプログラムを完成させられます。
ChatGPTを活用し、プログラミングのスキルを学びながら、効率よくプログラムを生成していきましょう。