プログラマーの作業効率を大きく向上させるAIツールとして注目を集めているのが、OpenAIが開発したCodex(コーデックス)です。
しかし、次のような疑問を持っている方も多いでしょう。
- OpenAI Codexの具体的な機能や特徴を知りたい
- ChatGPTでの使い方やCLIの導入方法がわからない
- 利用料金や無料で使える範囲が気になる
結論から言うと、OpenAI Codexは自然言語をプログラムコードに変換できるAIツールで、ChatGPTやCLI環境から利用できます。
今回は、OpenAI Codexの特徴から具体的な使い方、料金体系まで詳しく解説します。
GitHub Copilotとの違いやよくある質問についても触れているので、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
【2025年9月15日】GPT-5-Codexがリリース

2025年9月最新のアップデートとして、GPT-5をコーディング用途に最適化したGPT-5-Codexが公開されました。
前バージョンと比較した主な改善点は以下のとおりです。
カテゴリ | 内容 |
---|---|
動作効率化 | タスクの難易度に応じて処理時間を最適化し、軽い対話ではGPT-5比で約93%少ないトークンを使用 |
長時間タスク対応 | 自律的に数時間以上作業を継続でき、社内検証では7時間超の大規模タスクを完了 |
コードレビュー精度向上 | 不要な指摘が減少し、重要な不具合検出やテスト実行の精度が高まった |
開発環境改善 | クラウドの処理時間を約90%短縮し、CLIは画像入力対応、IDE拡張はローカルとクラウドを行き来可能 |
API対応については段階的に拡大予定とされています。
詳細は公式発表や主要メディアの報道を確認してください。
(参考)https://openai.com/index/introducing-upgrades-to-codex/
OpenAI Codexとは?開発者向けAIツールの特徴4つ

ここでは、OpenAI Codexの主要な特徴を4つ解説します。
- 自然言語でコード生成ができる
- 利用形態は3種類
- レビュー機能が優れている
- 利用料金は月20ドルから
1.自然言語でコード生成ができる|多言語対応で柔軟に出力
OpenAI Codexとは、自然言語による指示をプログラミングコードに変換するAIツールです。
既存のリポジトリを読み取ったり、複数のファイルを編集したりできるため、設計から仕様変更、バグ調査など幅広く活用できます。
たとえば、「ユーザーログイン機能を作って」と入力すれば、セキュリティを考慮したコードを自動生成します。
以下のように多くの言語が対応しているので、ほとんどの開発環境で導入しやすいでしょう。
言語カテゴリ | 対応言語 |
---|---|
Webフロントエンド | JavaScript、TypeScript、HTML/CSS |
バックエンド | Python、Java、Go、Ruby |
システム開発 | C/C++、Rust、Swift |
2.利用形態は3種類|場所を選ばず使える
OpenAI CodexはCodexは、ChatGPT(クラウド)、IDE拡張、CLIの3環境で利用できます。
利用形態 | 主な特徴 | 利点 |
---|---|---|
ChatGPT(Web/アプリ) | ブラウザやモバイルから利用 | 導入が簡単で即利用可能 |
IDE拡張(VS Codeなど) | エディタ内で直接操作 | 補完・修正をシームレスに実行 |
CLI(ターミナル) | コマンドラインから利用 | 高速・柔軟・画像入力対応 |
作業状態を共有できるため、ローカルで編集しているコードの続きをクラウドで書く、といった切り替えが可能です。
それぞれの利用形態をうまく組み合わせて活用できれば、コーディング時間をさらに短縮させられるでしょう。
3.レビュー機能が優れている|コード全体の読み取りが可能
Codexは、コード全体を読み取り設計意図やテスト結果を踏まえてレビューできます。
それまでのコード差分や開発者の意図を理解し、重大な不具合に焦点をおいて改善案を提示します。
自動テストの実行結果も反映されるため、単なるコード補完では得られない実務的なレビューが可能です。
入力補助が中心である他サービスと比べても、コードの品質向上につながる優れた機能といえるでしょう。
4.利用料金は月20ドルから|有料プラン限定
OpenAI Codexの利用には、OpenAI有料プランへの加入が必要です。
プラン別の料金や使用制限は以下のとおり。
プラン名 | 料金/月 | 使用制限 |
---|---|---|
Plus | 20ドル | 5時間ごとに30~150メッセージ(週制限あり) |
Pro | 200ドル | 5時間ごとに300~1,500メッセージ(週制限あり) |
Business(Team) | 25ドル | Plusと同等(クレジット購入が可能) |
Enterprise | 要問合せ | ・フレキシブル料金プラン:使用料に応じて共有クレジットプールから差し引き ・価格設定なし:Plusと同等(クレジット購入が可能) |
個人で利用するのであれば、開発規模や利用時間に応じてPlusまたはProを選ぶとよいでしょう。
チームで開発する場合はBusinessプランを選択するのがおすすめです。
無料プランではCodexを利用できないので、いずれかのプランを選んで購入してください。
APIを使った従量課金制も存在する
ChatGPTアカウントを使った方法とは別に、APIを使ってOpenAI Codexを従量課金で利用する方法もあります。
APIを利用するにはOpenAIのAPIキーが必要ですが、ChatGPTアカウントを作成する必要がありません。
OpenAI Codexを数回試す程度であれば、ChatGPTで利用するよりも安く済むでしょう。
ログイン方法 | ChatGPTアカウント | API |
---|---|---|
ChatGPTプラン加入 | 必要 | 不要 |
APIキー | 不要 | 必要 |
料金形態 | 月額(20ドル~) | 従量課金(5ドル~) |
ChatGPTでの利用方法と手順

ここでは、ChatGPTでOpenAI Codexを利用する具体的な手順を解説します。
- ChatGPT Plusに加入する
- GItHubに接続する
- 環境を作成する
- 自然言語で指示を入力する
- 生成されたコードを調整する
ChatGPT Plusに加入する
ChatGPTで有料プランに加入していない場合は、まずPlus以上のプランを購入する必要があります。
無料利用の場合、チャット画面に「現在のプランをアップグレードする」ボタンが表示されているはずです。

ボタンを押すとプラン選択画面に移動するので、購入するプランを決めて決済してください。

支払い方法はクレジットカードまたはPayPalが利用可能です。
有料プランに加入するとChatGPTのサイドバーに「Codex」が表示されます。

GItHubに接続する
「Codex」を選択してコーディング画面に移動し、GitHubに接続します。
GitHubはコードを管理する場所(リポジトリ)を提供しているサービスで、ChatGPTでCodexを利用する際は接続が必須です。
「GitHubに接続する」ボタンを押し、GitHubでログインしたうえで接続を完了させてください。

GitHubのアカウントを持っていない場合は、Googleアカウントを接続して作成するとよいでしょう。

環境を作成する
Codexでコードを生成するための環境を作成します。
環境を作成するには、Codexの設定画面で「環境を作成する」ボタンを押してください。

GitHubのリポジトリや名前などを設定して先に進めると、新しい環境が作成されます。
リポジトリの作成方法
Codexで作成したコードを保管するリポジトリが無い場合は、GItHub上で作成しなければなりません。
GitHubのアカウントメニューから「Repositories」を開き、「New」ボタンを押してリポジトリを作成してください。

リポジトリを作成するには、少なくとも以下の2点を設定する必要があります。
- Repository name(リポジトリの名前)
- Choose visibillity(公開状態)
作成が完了すれば、Codexの環境作成時にリポジトリの一覧に表示されるようになります。
自然言語で指示を入力する
環境を作成できたらCodexの最初の画面に戻り、実行してほしい内容を自然言語で入力します。
たとえば「○○を作成して」「○○を追加して」「○○を修正して」といった形で指示を伝えてください。
指示を入力したら「コード」ボタンを押してコード生成を開始しましょう。

処理には通常1〜30分かかりますが、進捗はリアルタイムで確認できます。
生成されたコードを調整する
生成が完了したらコードを確認し、追加や修正の指示を出して完成を目指すしましょう。

たとえば「○○エラーへの対応を追加して」「変数名を○○に修正して」といった指示が考えられます。
満足できる結果が得られたら右上の「PRを作成する」ボタンを押し、GitHubにプルリクエスト(Pull Request)を送りましょう。
GitHub側でプルリクエストを承認すると、Codexで生成された内容がリポジトリに反映されます。
Codex CLIの導入方法と使い方

ここでは、Codex CLIを導入して使用する手順を解説します。
- 環境構築を行う
- Codex CLIをインストールする
- ChatGPTアカウントでログインする
- codexコマンドで指示を入力する
- 出力されたコードを調整する
環境構築を行う
Codex CLIを利用するには、Node.jsとnpmがインストールされている必要があります。
ターミナルアプリを開いて以下のコマンドを入力し、それぞれインストールされているか確認してください。
- node –version
- npm –version
バージョンが表示されない場合は、Node.jsの公式サイトからダウンロードしましょう。

ダウンロードしたインストーラーを実行することで、ターミナルでnodeやnpmのコマンドが使えるようになります。
Windows OSを使う場合の手順
Codex CLIが対応しているOSはMacとLinuxであり、Windowsには対応していません。
そのため、Windows上で使うためには、Windowsに標準搭載されているLinux仮想マシンWSL2を利用する必要があります。
また、Windowsの代わりに動作するLinux用のOS、Ubuntuもインストールしなければなりません。
PowerShellを管理者として実行し、以下のコマンドを入力することで、WSL2を有効化してUbuntuをインストールできます。
- dism.exe /online /enable-feature /featurename:Microsoft-Windows-Subsystem-Linux /all /norestart
- dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart
- wsl –install -d Ubuntu
Ubuntuインストール時にユーザー名とパスワードを聞かれるので、Linux用に新しく設定しましょう。
インストールしたUbuntuを管理者として実行するとターミナルが表示されるので、以下のコマンドを入力してNode.jsとnpmをインストールします。
- sudo apt update && sudo apt upgrade -y
- sudo apt install -y nodejs npm
以降は、MacやLinuxと同様の操作をUbuntuで実行してください。
Codex CLIをインストールする
npmコマンドを使ってCodex CLIをインストールします。
公式のCodex CLIは「@openai/codex」パッケージとして提供されているため、以下のコマンドでグローバルインストールを実行すればOKです。
- npm install -g @openai/codex
インストール完了後、以下のコマンドで正常にインストールされたことを確認してください。
- codex –version
ChatGPTアカウントでログインする
Codex CLIにChatGPTアカウントを紐づけるためログインします。
以下のコマンドを入力するとログイン画面が自動的に開くので、使用するChatGPTアカウントでログインしてください。
- codex login
自動的にページが開かないときは、ターミナル上に表示されているURLをブラウザに入力しましょう。
ログインが完了したら、そのままページを閉じて構いません。

APIキーを使う方法
OpenAIのAPIキーを使う場合は、ログインの代わりに以下のコマンドを入力してください。
- export OPENAI_API_KEY=”APIキー”
「APIキー」の部分には、sk-から始まる英数字が入ります。
なお、ChatGPTアカウントでログインしていてもOpenAIのAPIキーが優先されるため、両方有効である場合は従量課金となります。
APIキーを解除したい場合は以下のコマンドを実行しましょう。
- unset OPENAI_API_KEY
codexコマンドで指示を入力する
Plusプラン以上のアカウントでログインしていれば、codexコマンドを実行してコードを生成できます。
codexコマンドの使い方の例は以下のとおりです。
コマンド例 | 処理内容 |
---|---|
codex | Codex用のUI(インタラクティブモード)に変更される |
codex “指示” | 入力した指示に従ってコードが生成される |
codex –full-auto “指示” | 途中で確認せずに指示内容を実行する |
codex -i 画像名 “指示” | 画像を含めた指示を実行する |
例として「codex “スタートボタンを押した3秒後にアラート音が鳴るアプリを作って”」と入力し実行してみました。

コード生成に成功したらターミナルを開いた場所にファイルが作成されるので、実際に実行して確認してみてください。

WindowsでUbuntuを利用している場合は、以下の場所がデフォルトとなっています。
- \\wsl.localhost\Ubuntu\home\(ユーザー名)
出力されたコードを調整する
出力結果を確認して、修正点などがあれば調整します。
ターミナル上で追加の指示を出し、機能や文章などを変更してください。
とくに修正点が思いつかない場合は「作られたアプリをレビューして」のような指示でCodexにレビューを依頼することも可能です。

CLIで生成されたファイルは直接編集できるため、手作業で修正するのもよいでしょう。
OpenAI Codexに関するよくある質問

最後に、OpenAI Codexに関するよくある質問にお答えします。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
- Codexは無料でも使えますか?
- Codexはどの言語に対応していますか?
- Codexは日本語で使えますか?
- VS Code(IDE拡張)で使うには?
- GitHub Copilot Coding Agentとの違いは?
- Codexは無料でも使えますか?
-
いいえ、2025年9月時点において、OpenAI Codexは有料プラン限定の機能です。
ChatGPT有料プランへの加入(20ドル~)またはAPI利用のためのチャージ(5ドル~)が必要となります。
ただし、無料プランでChatGPTを利用してコードを出力したり修正したりすることは可能です。
- Codexはどの言語に対応していますか?
-
OpenAI Codexは10以上の主要プログラミング言語に対応しています。
- Python
- JavaScript
- TypeScript
- Go
- Java
PHP、Ruby、Shell/Bash、Swift、Perl、C/C++、Rust、SQLなどにも対応しています。
- Codexは日本語で使えますか?
-
Codexは日本語での指示入力に対応しています。
「ログイン機能を実装して」といった日本語の指示から、適切なコードを生成できます。
ただし、CLIなどのUIは日本語で表示できません。
- VS Code(IDE拡張)で使うには?
-
OpenAI CodexをVS Codeで使うには、専用の拡張機能をインストールします。
Visual Studio Codeの拡張機能マーケットプレイスでOpenAI Codexを検索し、インストールしてください。
インストールしたCodexを開き、ChatGPTアカウントでログインもしくはAPIキーを入力することで使えるようになります。
- GitHub Copilot Coding Agentとの違いは?
-
OpenAI CodexとGitHub Copilot Coding Agentは、活用できる環境や設計思想に違いがあります。
Codexは幅広い環境で使え、GitHubに依存せずローカルやクラウドでもプロジェクト全体の改善やレビューを実行できます。
一方Copilot Coding AgentはGitHubに特化したエージェントで、Issueを基点にコードを修正したり、プルリクエストを自動作成したりすることも可能です。
Codexは汎用的なAI開発パートナー、Copilot Coding AgentはGitHub利用者向けのタスク自動化エージェントといえます。
まとめ
本記事では、OpenAI Codexについて解説しました。
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- OpenAI Codexは自然言語をプログラムコードに変換できる開発支援AI
- 利用形態はChatGPT、IDE拡張、CLIの3種類で柔軟に使い分けられる
- コードレビューやリファクタリングにも対応し、実務的な改善が可能
- 利用にはChatGPT有料プラン(20ドル~)またはAPI課金が必要
OpenAI Codexは単なる補完ツールではなく、自律的にコードを生成・レビューするエージェントです。
ぜひ開発効率を高めるために活用してみてください。