ChatGPTとExcelの使い方|AI関数生成と自動化で業務効率化する方法

2025 8/06
ChatGPTとExcelの使い方|AI関数生成と自動化で業務効率化する方法
ChatGPTとExcelの連携イメージ

Excelでのデータ集計や関数作成に時間がかかり、業務がなかなか進まないことで、以下のように悩んでいる人もいるでしょう。

  • Excel作業を自動化して人為的ミスを減らしたい
  • 複雑な関数をすぐに作成してほしい
  • 大量のデータから瞬時にレポートを生成したい

結論から言うと、ChatGPTとExcelの連携は、数式の自動生成やデータ整形などを通じて、これまでの手作業を劇的に効率化できる強力な解決策です。

今回は、ChatGPTとExcelを連携させる具体的な方法から、業務に役立つ実践的なテクニック、導入時の注意点まで詳しく解説します。

Excel作業の効率を飛躍的に高めたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。

目次

ChatGPT×Excelとは?概要とメリット

この章では、ChatGPTとExcelを連携させることで何が可能になるのか、その全体像を解説します。

  • 仕組み|Copilot・GPT for Excel・API連携の違い
  • 主なできること|数式生成・要約・翻訳
  • 対応ツール一覧|Copilot・GPT for Excel ほか
  • 対応OSと必要環境|Windows/Mac/Web
  • 料金とプラン|Copilotサブスク・アドイン無料枠

ChatGPTとExcelの連携は、単一のツールではなく、複数の方法で実現されます。それぞれの仕組みや特徴を理解し、自身の目的に合った方法を選ぶことが重要です。

仕組み|Copilot・GPT for Excel・API連携の違い

ChatGPTとExcelを連携させる主な方法には、「Microsoft 365 Copilot」「GPT for Excel(アドイン)」「API連携」の3つがあり、それぞれ仕組みと特徴が異なります。

連携方法仕組みメリットデメリット
Microsoft 365 CopilotMicrosoft 365に直接統合された公式AI機能。GPT-4oなどが基盤高いセキュリティ、既存システムとの親和性、簡単な導入法人向けプランが前提、月額費用が高め
GPT for Excel アドインExcelに追加するサードパーティ製拡張機能。OpenAIのAPIを経由柔軟なAI関数、比較的安価な従量課金制外部API通信によるセキュリティリスク、設定の手間
API連携 (VBA/Python)開発者がAPIを直接呼び出すカスタム実装最大限の自由度、独自ワークフローの構築高度な開発知識が必要、初期開発コスト

企業で安全に利用するならCopilot個人や小規模チームで柔軟に使いたいならアドイン、特定の業務を完全に自動化したいならAPI連携が向いています。

主なできること|数式生成・要約・翻訳

ChatGPTをExcelで利用すると、手作業で行っていた多くの業務を自動化できます

機能概要
数式・関数の自動生成「A列とB列の合計をC列に出したい」のように日本語で指示するだけで、複雑な関数を自動で作成します。

条件分岐が複雑に絡むIF関数や、データを検索するVLOOKUP関数なども瞬時に生成できます。
データ処理・クリーニング表の中の表記ゆれ(例:「株式会社」と「(株)」)を統一したり、空欄になっているセル(欠損値)を適切なデータで補完したりできます。
自然言語処理機能Excel内の文章を要約したり、外国語に翻訳したり、顧客からのフィードバックの感情を分析したりすることが可能です。
画像からのデータ変換GPTの画像認識機能(Vision)を使えば、画像に含まれる表や手書きのメモをExcelデータに変換できます。

これらの機能により、これまで数時間かかっていた作業が数分で完了する可能性もあります。

対応ツール一覧|Copilot・GPT for Excel ほか

ChatGPTとExcelを連携させるためのツールは、Microsoft公式のものからサードパーティ製まで複数存在します

カテゴリ主なツール特徴
公式Microsoft製品Microsoft 365 CopilotExcel、WordなどOffice製品に統合された最も強力な公式ツール
Copilot Pro個人向けサブスクリプション。Web版Excelなどで利用可能
Excel LabsMicrosoftが提供する実験的機能。LABS.GENERATIVEAI関数など
サードパーティ製アドインGPT for Excel (TwistlyCells)最も普及しているアドインの一つ。AI関数が豊富
ChatGPT for Excel (Apps Do Wonders)画像処理にも対応した多機能アドイン
開発者向けソリューションOpenAI API直接実装VBAやPythonで自由に機能を構築
Azure OpenAI ServiceMicrosoft Azure経由で提供される高セキュリティなAPI

まずは「GPT for Excel」のようなアドインから試してみて、より高度な要件やセキュリティが必要になった場合にCopilotやAPI連携を検討するのがよいでしょう。

対応OSと必要環境|Windows/Mac/Web

ChatGPTとExcelの連携機能は、主要なOSと環境で利用できます

項目詳細
対応OSWindows 10/11、macOS 10.15以降
対応ExcelバージョンExcel 2016以降、Microsoft 365サブスクリプション版
Web版Excel Online(ブラウザ経由)でも利用可能(特にCopilot Pro)
モバイルiOS/Android版アプリでは機能が制限される場合があります

いずれの方法でも、AIモデルと通信するために常時インターネット接続が必須です。また、大量のデータを処理する場合は、PCのメモリが8GB以上あると快適に動作します。

料金とプラン|Copilotサブスク・アドイン無料枠

利用料金は、選択する方法によって大きく異なります

プラン名料金体系備考
Microsoft 365 Copilot月額4,497円/ユーザー・法人向け
・別途Microsoft 365の前提プラン契約が必要
GPT for Excel アドインアドイン無料 + API従量課金・個人の軽い利用なら月額数ドル〜
・OpenAIのAPI利用料が発生

まずはアドインの無料枠や、OpenAIの初回クレジットを利用して、どの程度のコストがかかるか試してみることをおすすめします。

ChatGPT×Excelの導入と初期設定

この章では、ChatGPTをExcelで実際に使うための導入手順と初期設定について解説します。

  1. Copilot数式生成の有効化|設定ステップ
  2. GPT for Excelアドインのインストール手順
  3. APIキー取得と設定方法|OpenAI/独自モデル
  4. 日本語対応の設定ポイント
  5. よくあるエラーと対処法|アドイン/Copilot

ここでは、法人向けの「Copilot」と、個人でも始めやすい「GPT for Excelアドイン」の2つの導入方法を中心に説明します。

Copilot数式生成の有効化|設定ステップ

法人でMicrosoft 365 Copilotを利用する場合、管理者の設定が必要です

  1. ライセンス割り当て: Microsoft 365管理センターで、管理者が利用ユーザーにCopilotライセンスを割り当てます。
  2. Excelでの有効化: ライセンスが割り当てられると、Excelのリボンメニューに「Copilot」アイコンが表示されます。初回利用時にアイコンをクリックし、利用規約に同意すると機能が有効になります。
  3. 動作確認: サイドパネルに「売上データの傾向を分析して」のように指示を入力し、数式やグラフが提案されるかを確認します。

もしアイコンが表示されない場合は、ライセンスが正しく割り当てられていないか、企業のセキュリティポリシーで制限されている可能性があります。

GPT for Excelアドインのインストール手順

個人で手軽に始めるなら、GPT for Excelアドインのインストールがおすすめです

  1. アドインの検索: Excelの「挿入」タブから「アドインを入手」をクリックします。
  2. ストアで検索: Officeアドインストアが開くので、検索窓に「GPT for Excel」と入力し、表示されたアドインの「追加」ボタンを押します。
  3. 権限の承認: アドインがドキュメントにアクセスするための権限要求が表示されるので、内容を確認して承認します。
  4. APIキーの設定: インストール後、Excelのリボンに表示される「GPT for Excel」タブからサイドパネルを開き、後述するOpenAIのAPIキーを設定します。

これで、GPT()関数などのAI関数がExcel内で使えるようになります

APIキー取得と設定方法|OpenAI/独自モデル

GPT for Excelアドインを利用するには、OpenAIが発行するAPIキーが必要です。APIキーは、AIモデルを利用するための「鍵」のようなものです。

  1. OpenAIアカウント作成: OpenAIの公式サイト(platform.openai.com)にアクセスし、アカウントを登録します。
  2. 支払い方法の登録: APIは有料のため、クレジットカード情報を登録し、支払い方法を設定します。月に利用する上限金額(Budget)も設定できるため、使いすぎを防ぐために設定しておくと安心です。
  3. APIキーの生成: ダッシュボードの「API Keys」メニューから、「Create new secret key」をクリックして新しいキーを生成します。このキーは一度しか表示されないため、必ずコピーして安全な場所に保管してください。
  4. アドインへの設定: Excelに戻り、GPT for Excelのサイドパネルにある設定画面に、コピーしたAPIキーを貼り付ければ設定は完了です。

日本語対応の設定ポイント

ChatGPTは日本語にも高い精度で対応していますが、いくつかのポイントを押さえることで、より意図した結果を得やすくなります

ポイント説明
具体的な指示「分析して」のような曖昧な指示ではなく、「C列の売上データを基に、D列に顧客ランクをA, B, Cで付けるIF関数を作成して」のように、具体的かつ明確に指示します。
サンプル提示(Few-shot)複雑なデータ整形の場合、期待する出力の例を1〜2個プロンプトに含めることで、AIが意図を正確に理解しやすくなります。
段階的な指示一度に多くの処理を頼むのではなく、「ステップ1: A列のデータを正規化。ステップ2: B列の欠損値を補完」のように、処理を分割して指示すると成功率が上がります。

よくあるエラーと対処法|アドイン/Copilot

導入時に発生しがちなエラーと、その対処法をまとめます

エラー内容主な原因対処法
アドインが読み込めないセキュリティ設定、ネットワーク制限Excelの信頼できるアドイン設定を確認する。企業のファイアウォール設定を見直す
API接続エラー (401など)APIキーが間違っている、料金未払いAPIキーを再生成して設定し直す。OpenAIアカウントの支払い状況を確認する
Copilotアイコンが表示されないライセンスが割り当てられていないMicrosoft 365管理者にライセンスの割り当てを依頼する
レスポンス品質が低い指示が曖昧、モデルの限界より具体的なプロンプトを試す。アドイン設定で高性能なモデル(例: GPT-4o)を選択する

問題が解決しない場合は、アドインやOfficeの再起動、オンライン修復などを試してください

ChatGPT×Excelの実践テクニック

この章では、ChatGPTとExcelを組み合わせた具体的な業務改善テクニックを紹介します。

  • 関数生成|自然文→数式
  • データクリーニング|欠損補完・整形
  • VBA & Pythonコード自動生成|繰り返し作業を自動化
  • GPT_VISION関数|画像→表変換
  • 大規模シート要約|レポート作成を高速化

これらのテクニックを習得することで、日々のExcel作業を大幅に効率化できます。

関数生成|自然文→数式

最も基本的かつ強力な機能が、自然言語からの関数生成です。Copilotやアドインのチャットウィンドウにやりたいことを日本語で入力するだけで、適切な関数を提案してくれます。

たとえば、「B2セルの売上が100万円以上なら”A”、50万円以上なら”B”、それ以外は”C”と表示したい」と入力すると、以下のような数式が生成されます。

=IF(B2>=1000000,”A”,IF(B2>=500000,”B”,”C”))

これまでヘルプやWebサイトで調べていたような複雑な関数も、対話形式で瞬時に作成できるため、作業時間が劇的に短縮されます

データクリーニング|欠損補完・整形

アンケート結果や顧客リストなど、不揃いなデータを整形する作業も自動化できます

機能説明
表記ゆれの統一GPT_FILL()のような関数を使い、「(株)」「株式会社」「㈱」といった表記を「株式会社」に統一できます。
欠損値の補完売上データの一部が欠けている場合に、前後月の平均値や中央値で自動的に補完させることが可能です。
住所や電話番号の整形バラバラに入力された住所データを、都道府県、市区町村、それ以降に分割・整形し、郵便番号を補完することもできます。

これらのクリーニング作業は地味ですが時間がかかるため、自動化による恩恵は非常に大きいです。

VBA & Pythonコード自動生成|繰り返し作業を自動化

毎月同じ形式で行うレポート作成など、定型的な繰り返し作業は、VBA(Excelの操作を自動化するプログラミング言語)やPythonのコードを生成して自動化できます

たとえば、「現在開いているシートのA列のデータを集計し、新しいシートにグラフを作成するVBAコードを書いて」と指示すれば、数秒でマクロのコードが生成されます。

生成されたコードをExcelのVBAエディタに貼り付けて実行するだけで、手作業なしに定型業務が完了します。プログラミングの知識がなくても、マクロによる自動化の第一歩を踏み出せます。

GPT_VISION関数|画像→表変換

GPT_VISION関数(画像の内容を解析してテキストや表データに変換する機能)が使えるアドインを利用すれば、画像からのデータ入力が可能です

活用シーン具体例
手書きメモのデジタル化ホワイトボードに書かれた会議の議事録を撮影し、その画像からタスクリストをExcelに抽出できます。
紙の帳票のデータ入力請求書や納品書などの紙媒体をスキャンまたは撮影し、画像から品名、数量、金額などのデータを読み取ってExcel表に自動入力します。
グラフの数値化論文やレポートに掲載されている棒グラフの画像から、元の数値データを読み取ってExcelで再現することも可能です。

これまで手で打ち込むしかなかった作業を自動化し、入力ミスを防ぎます

大規模シート要約|レポート作成を高速化

数万行に及ぶ大規模なデータシートの内容を要約し、レポートを作成する作業も高速化できます

Copilotなどに「この売上データから、以下の3つのポイントでエグゼクティブサマリーを作成して。1. 全体の売上推移、2. 最も貢献した商品カテゴリ、3. 今後の課題」と指示します。

AIはデータ全体を分析し、人間が見つけにくい傾向やインサイトを抽出し、簡潔な日本語のレポートとしてまとめてくれます。これにより、データ分析から報告書作成までの一連のプロセスを大幅に短縮できます。

ChatGPT×Excelに関するFAQ

最後に、ChatGPTとExcelの連携に関するよくある5つの質問にお答えします。

  • ChatGPTとExcelは無料で使えますか?
  • 日本語データでも精度は高いですか?
  • Copilot/アドインの利用制限やレートリミットは?
  • 機密データを扱う際のセキュリティ対策は?
  • アドインが動かない・ダウンロードできない時は?
ChatGPTとExcelは無料で使えますか?

いいえ、基本的に無料では利用できません。Copilotは有料の法人向けプランが前提です。「GPT for Excel」のようなサードパーティ製アドインは、アドイン自体のインストールは無料ですが、機能の利用には有料のOpenAI APIキーが必要です。

OpenAIは初回登録時に少額の無料クレジットを提供している場合があるため、その範囲内でお試し利用は可能です。

日本語データでも精度は高いですか?

はい、GPT-4oのような最新モデルは日本語の処理能力が非常に高く、ビジネスレベルで十分に活用できる精度を持っています

ただし、最高の精度を引き出すには、本記事で紹介したように「具体的で明確な指示を出す」「サンプルを示す」といったプロンプトの工夫が重要になります。

専門用語が多いデータや、独特の言い回しがある場合は、意図した結果にならないこともあります。

Copilot/アドインの利用制限やレートリミットは?

Copilotには明確な回数制限は公表されていませんが、短時間に大量のリクエストを行うと応答が遅くなることがあります

アドインで利用するOpenAI APIには、プランに応じたレートリミット(1分間あたりのリクエスト数やトークン数の上限)が設定されています。

通常利用で上限に達することはまれですが、大量のデータを一括処理する場合は、バッチ処理を組むなどの工夫が必要です。

機密データを扱う際のセキュリティ対策は?

Microsoft 365 Copilotは、データがMicrosoft 365のサービス境界内で処理され、AIの学習には使われないため、高いセキュリティが確保されています

一方、サードパーティ製アドインは外部のOpenAI APIと通信するため、機密情報や個人情報を含むデータを送信するのは避けるべきです。

企業の機密データを扱う場合は、Copilotまたは高セキュリティなAzure OpenAI Serviceの利用が推奨されます

アドインが動かない・ダウンロードできない時は?

アドインが正常に動作しない場合、さまざまな要因が考えられます

まずはExcelやPCの再起動を試してください。それでも解決しない場合は、企業のファイアウォールやセキュリティソフトが通信をブロックしていないか確認が必要です。

また、APIキーの設定ミスや、OpenAIアカウントの残高不足も原因として考えられるため、設定を再度見直してみましょう。

まとめ

本記事では、ChatGPTとExcelの連携について、その仕組みから導入方法、実践的な活用術までを解説しました。

  • ChatGPTとExcelの連携はCopilot、アドイン、API連携の3つの方法が主流
  • 自然言語での関数生成、データ整形、レポート要約などを自動化できる
  • 導入はアドインなら個人でも可能だがAPIキーの取得と設定が必要
  • Copilotは高セキュリティだが法人向けプランが前提でコストがかかる
  • 画像データの取り込みやVBAコード生成など高度な活用も可能

ChatGPTとExcelの連携は、日々の定型業務を自動化し、より創造的な仕事に時間を使うための強力な武器になります

ぜひ本記事を参考に、まずは手軽なアドインから導入し、AIによる業務効率化を体験してみてください

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