ChatGPTに新しく追加されたDeep Research機能は、複雑な調査タスクを自動化し、数百ページにわたる情報を要約してレポートを作成する革新的な機能です。
しかし、以下のように思っている人もいるでしょう。
- Deep Research機能の詳細や特徴が知りたい
- 無料で使う方法や回数制限が気になる
- 通常の検索機能との違いがわからない
結論から言うと、ChatGPT Deep ResearchはAIが複雑な情報収集から分析、要約までを自動で行なう高度なエージェント機能であり、リサーチ業務の質と効率を飛躍的に向上させるメリットがあります。無料ユーザーでも月5回まで利用可能です。
今回は、ChatGPT DeepResearchの4つの主要機能と具体的な5つのステップでの使い方、プラン別の利用制限、そして利用するうえでの注意点について詳しく解説します。
情報収集や分析業務の効率化を目指すビジネスパーソンや研究者の方、最新のAIツールに関心のある方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
ChatGPT Deep Researchとは?4つの主要機能

Deep Researchは、ChatGPTに搭載された高度な調査機能です。以下のような4つの主要機能があります。
- 複雑な調査を自動化するAIエージェント機能
- OpenAI o3モデルによる高度な推論能力
- 権威あるベンチマークで実証された性能
- プラン別に異なる利用回数と機能制限
これらの機能を理解することで、Deep Researchを情報収集や分析の強力なツールとして効果的に活用できます。
1.複雑な調査を自動化するAIエージェント機能
Deep Researchは、入力されたクエリ(質問・問い合わせ)に基づいて自動的にウェブ情報を収集・分析・要約するエージェント機能です。
通常の検索とは異なり、以下のような特徴があります。
- 数百ページにおよぶ情報を自動収集
- PDF文書やテキスト、画像などウェブ全体の内容を統合
- 出典付きの包括的なレポートを生成
- バックグラウンドで調査プロセスが進行
Deep Researchを利用することで、これまで人の手で行なっていた情報収集・分析・要約の作業を自動化し、短時間で完了させられます。
2.OpenAI o3モデルによる高度な推論能力
Deep ResearchはGPT-4とは異なるo3モデルを搭載しています。
o3モデルの特徴は以下のとおりです。
特徴 | 詳細 |
推論能力 | 長期的かつ論理的な推論が可能 |
処理内容 | マルチステップの調査・推論・要約に特化 |
用途 | 視覚的認識とデータ分析に最適化 |
位置づけ | エージェント機能の中核として設計 |
単純な情報収集にとどまらず、深い分析や考察まで提供します。
3.権威あるベンチマークで実証された性能
Deep Research は、複数のベンチマークテストで優れた成績を収めています。
評価されたベンチマークには以下があります。
- Humanity’s Last Exam
- GAIA(General AI Assistant)
Humanity’s Last Examとは、AIの総合的な知識や推論力を測定するための大規模ベンチマークです。人間の専門家と同等の分析力が求められる、難易度の高いテストといわれています。
以下は、OpenAIで公開しているHumanity’s Last Examの結果です。(2025年2月2日リリース時点)

GAIAは汎用AIアシスタントとしての実用性や応答品質を評価する指標です。日常的な質問から専門的な課題まで幅広い対応力が問われます。
以下は、OpenAIで公開しているGAIAの結果です。LLM(大規模言語モデル)を使った調査機能のなかでトップレベルの性能を誇ります。(2025年2月2日リリース時点)

4.プラン別に異なる利用回数と機能制限
Deep Researchの利用回数は、契約プランによって大きく異なります。プランごとの利用回数を以下の表にまとめました。
なお「ライト版」とは、フル版に比べてコスト効率に優れた軽量バージョンで、OpenAI o4-miniを使用しています。フル版の利用上限に達した場合、自動的にライト版へ切り替えられる仕組みです。
プラン | フル版 | ライト版 | 合計回数 |
---|---|---|---|
Free | 0回 | 5回 | 5回 |
Plus/Team | 10回 | 15回 | 25回 |
Pro | 125回 | 125回 | 250回 |
Enterprise/Edu | 10回 | 明記なし | 10回 |
利用回数は30日ごとにリセットされます。
Deep Researchを最大限活用するProプラン
月250回まで利用可能なProプランは、Deep Researchを頻繁に使う人に最適です。
Proプランの特徴を以下にまとめました。
- フル版とライト版を合わせて月250回利用可能
- 一日あたり約8回の調査が可能
- ビジネスや研究用途に十分な回数
- 価格は月額200ドル(約3万円)
頻繁に調査業務を行なう人は、Proプランへの加入を検討してみてください。
Deep Researchの使い方【5ステップ】

Deep Researchを効果的に活用するための基本的な使い方を5つのステップで解説します。
- Deep Researchモードを選択する
- 調査に使用する情報源を指定する
- 具体的な調査内容を入力する
- 処理の実行と進行状況の確認
- 調査結果をPDFで保存・共有する
各ステップを順に実行することで、目的に応じた質の高い調査レポートをスムーズに作成できます。
1.Deep Researchモードを選択する
ログインまたは無料でサインアップしたあと、チャット入力欄の上部にあるツールバーから「Deep Research」モードを選択します。

2.調査に使用する情報源を指定する
Deep Researchでは複数の情報源を組み合わせて調査を行ないます。
利用可能な情報源は以下のとおりです。
- テキスト入力による調査指示
- ウェブサイトのURL指定
- PDFファイルのアップロード
- 画像ファイルの添付
ChatGPTが自動的に最適な情報処理モードを選択します。

3.具体的な調査内容を入力する
調査の精度を高めるために、明確で具体的な指示を入力します。
効果的な指示の例を以下に示します。
- 「日本のAI市場について3つの観点から比較分析して」
- 「論文の主要な発見を5つのポイントでまとめて」
- 「競合3社の製品特徴を表形式で比較して」
漠然とした指示では調査結果の深度が浅くなるため注意が必要です。

4.処理の実行と進行状況の確認
「↑」ボタンをクリックすると、自動的に調査処理が開始されます。

処理中は以下のように進行状況が表示されます。内容によっても異なりますが、調査には5分から30分程度かかります。

5.調査結果をPDFで保存・共有する
調査が完了すると、構造化されたレポートが表示されます。
指示の内容によっても異なりますが、レポートにはおもに以下の要素が含まれます。
- エグゼクティブサマリー
- 詳細な調査結果
- 引用元のリンク一覧
- 関連する図表やグラフ
レポートは、「PDFをダウンロードする」ボタンからPDFファイルとして保存可能です。


Deep Research利用時の5つの注意点

Deep Researchを安全かつ効果的に利用するためには、以下のような注意点を押さえておきましょう。
- 処理時間の長さを考慮する
- プロンプトの品質が結果を左右する
- 情報の正確性を必ず確認する
- 検索範囲の制御には限界がある
- 用途に応じて機能を使い分ける
これらのポイントを理解しておくことで、より的確かつ効率的にDeep Researchの機能を活用できるようになります。
1.処理時間の長さを考慮する
Deep Researchは通常の検索より時間がかかります。
処理時間に影響する要因は以下のとおりです。
要因 | 影響 |
クエリの複雑さ | 複雑なほど時間が増加 |
調査範囲の広さ | 広いほど処理が長期化 |
情報源の数 | 多いほど時間が増加 |
サーバーの混雑状況 | 混雑時は処理が遅延 |
急ぎの調査には通常の検索モードを選択したほうがよいでしょう。
2.プロンプトの品質が結果を左右する
あいまいな指示では、期待する結果を得られません。
良いプロンプトの条件を以下に示します。
- 調査目的が明確である
- 具体的な比較項目を指定している
- 出力形式を明示している
- 調査範囲を限定している
例えば、「AIについて調べて」よりも、「生成AIの企業導入事例を業界別に3つずつ示して」のほうが良い結果を得られます。
3.情報の正確性を必ず確認する
Deep Researchは引用元を明示しますが、情報の正確性は保証されません。
確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 引用元の信頼性
- 情報の最新性
- データの整合性
- 論理的な矛盾の有無
意思決定に使う場合は、情報の正確性を確認するため必ず原典を参照してください。
4.検索範囲の制御には限界がある
現時点では、検索対象を完全に限定する機能は備わっていません。
ただし、以下の方法を組み合わせることで、ある程度の検索範囲の指定や制限が可能です。
- PDFやURLを直接アップロード
- プロンプトで情報源を指定
- 検索キーワードを詳細に設定
- 不要な情報を除外する指示を追加
より精度の高い制御が求められる場合は、手動での補足調査も併せて行なうことをおすすめします。
5.用途に応じて機能を使い分ける
すべての質問にDeep Researchを使う必要はありません。
Deep Researchはプランによって使用回数の制限があるため、以下の表を参考に、使用場面や用途に応じて適切に使い分けるとよいでしょう。
用途 | 推奨機能 | 理由 |
簡単な質問 | 通常チャット | 即座に回答可能 |
最新情報の確認 | 検索モード | リアルタイム性が高い |
複雑な調査 | Deep Research | 深い分析が必要 |
ブレインストーミング | 通常チャット | 対話的な進行が可能 |

Deep Researchライト版とフル版の違い

Deep Researchには、フル版とライト版の2種類があります。それぞれの特徴と使い分けについて解説します。
おもな違いは以下の3点です。
- ライト版の特徴
- フル版からライト版への自動切り替え
- 各プランのライト版利用可能回数
詳細を確認していきます。
ライト版の特徴
ライト版はo4-miniモデルを使用する軽量版です。フル版に比べてコスト効率に優れており、普段使いとして十分な品質を維持しています。
フル版との比較を以下の表にまとめました。
項目 | フル版(o3) | ライト版(o4-mini) |
処理速度 | 標準 | 高速 |
出力の詳細度 | 詳細 | 簡潔 |
正答率 | 51.5% | 45.6% |
高度な推論や分析を必要としない日常的な利用であれば、ライト版でもストレスを感じることなく使用できるでしょう。
フル版からライト版への自動切り替え
フル版の利用上限に達すると、自動的にライト版に切り替わります。
切り替わりのタイミングは以下のとおりです。
- 無料ユーザー:最初からライト版のみ
- Plus/Teamユーザー:フル版10回使用後
- Proユーザー:フル版125回使用後
切り替わり時には通知メッセージが表示されます。
各プランのライト版利用可能回数
ライト版はフル版とは別枠で利用回数がカウントされます。
プラン別の詳細は以下のとおりです。
- 無料ユーザー:月5回(ライト版のみ)
- Plus/Teamユーザー:月15回(フル版使用後)
- Proユーザー:月125回(フル版使用後)
ライト版のDeep Researchはすべてのユーザーが体験可能な仕組みです。
ChatGPT Deep Researchに関するFAQ

Deep Researchに関して、多く寄せられる質問と回答をまとめました。
- パソコンのブラウザ以外でも使えますか?
- 通常の検索機能との違いは何ですか?
- どのモデルが使用されますか?
- 残り利用回数の確認方法は?
- 処理が終わらない場合の対処法は?
それぞれの質問に詳しく回答していきます。
- パソコンのブラウザ以外でも使えますか?
-
はい、使用可能です。
ChatGPT Deep Researchは2025年6月現在、macOSとWindowsのデスクトップ版アプリ、iOSとAndroidのモバイル版アプリ、モバイルブラウザで利用できます。
- 通常の検索機能との違いは何ですか?
-
Deep Researchと通常の検索機能は目的が異なります。
通常の検索は、リアルタイムで最新情報を取得します。Deep Researchは、複数の情報源をもとに分析・推論し、構造化されたレポートを作成します。
簡単な情報確認には検索機能、複雑な調査にはDeep Researchと、場面に応じて使い分けるのがおすすめです。
- どのモデルが使用されますか?
-
使用されるモデルは状況によって異なります。
通常時にはo3モデル(フル版)が使用されます。使用回数の上限を超えた場合には、o4-miniモデル(ライト版)に自動で切り替わります。
Deep Researchモードにおいては、ユーザーが手動でモデルを選択する機能はありません。
- 残り利用回数の確認方法は?
-
残り回数はモード切り替えボタンで確認できます。
確認手順は以下のとおりです。
- チャット入力欄上部のツールバーにカーソルを合わせる
- 「Deep Researchを実行する」にカーソルを合わせる
- 処理が終わらない場合の対処法は?
-
処理が長時間終わらない場合は、以下の対処法を試してください。
対処法を優先度順に示します。
- 10分以上待ってから再度確認
- ページを更新
- プロンプトを簡潔に修正して再実行
- ブラウザを変更して再試行
- サポートへ問い合わせ
多くの場合、ページ更新で解決します。
まとめ
本記事では、ChatGPT Deep Researchについて解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
- Deep Researchは数百ページの情報を自動で調査・要約するAIエージェント機能
- 高性能なo3モデル(フル版)とo4-miniモデル(ライト版)を搭載し、高度な推論が可能
- 無料プランでもライト版を月5回利用可能、Proプランならフル版と合わせ月250回利用できる
- 処理時間は5〜30分かかるため、急ぎの調査には通常の検索機能を使う
- プロンプトの質が調査結果を大きく左右するため、具体的で明確な指示が必要
ChatGPT DeepResearchは、複雑な調査業務を大幅に効率化し、質の高い情報を得るための強力なツールです。
ぜひ無料プランからその機能を体験し、日々のリサーチ活動に活かしてみてください。